TJSラジオGW特別号アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 うのじ
芸能 3Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 4.4万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 04/30〜05/02

●本文

 吹き抜けのビルの一階に設けられたライブスペース。
 そこに、二人の男性の声が響く。
「『サンダージェットストリーム‥‥ゴールデンウィークスペシャル』」
 普段流れているオープニングテーマソングが広場に、そして、頭上に広がる各階に響いていく。
「おはようございます。サンダージェットの上田神かっこ仮りと」
「下田丹同じくかっこ仮り、です」
 普段の挨拶に付け加えられたゴールデンウィークスペシャルの言葉。
 その説明を、司会の上田が説明をする。
「今日はゴールデンウィークスペシャルということで、朝から、この公開スタジオで、ラジオをさせて貰うことになりました」
「人通りが多い所で、こんな事して、ますます人の足が止まって、大混雑だな」
 下田の言葉に頷きつつも、情けない声を上げる上田。
「まぁ、そうだけど、朝早いせいかな、人がかなりまばらなんだけど‥‥。みなさん、おはようございまーす」
「『おはようございまーす』」
 まばらに聞こえる観客からのレスポンス。
「‥‥まぁ、まだ朝の5時だからな。これから、23時までの生放送! ‥‥‥‥これ、労働なんとかで訴えたら勝てるんじゃねえの?」
「こらこら、朝からそんなネガティブな話はしないの。もし、このラジオを聞いて、こちらに向かおうと思った方は、こちらのアクセスでどうぞ」

 東京の埋め立て地にある、とある高層ビル。
 海と東京の夜景が一望できることビル上層階にはホテルが、ビルの下層階にはブランド洋品店、維新的野心をもったオリジナルショップと言った流行を生み出す店が並ぶ。
 さらに、本格的なフレンチや和食、軽食など様々なフード施設、そのほか、ライブハウスやシネマコンプレックスなども併設された、総合エンターテイメントとも言うべきものがそこにあった。
 昼を過ぎれば普段はデートスポットとしても使われるのだろう、そんな空間に、20代後半の男が二人、ビル内の広場に儲けられているライブスペースに陣取り、ラジオ番組を始めているのだ。
 もちろんラジオの公開放送をこの場でやるのは初めてではない。
 そのためスタッフたちはかなりゆとりを持っているのだが、公開生放送というものが初めての司会者の二人は、いつもよりかなりハイテンションで飛ばしていた。

「そろそろ朝ご飯を食べたくなって来たところで、差し入れ付きのゲストの紹介だ」
「‥‥朝ご飯は休憩時間に食べような?」
「おうよ」

 ラジオ番組『サンダージェットストリーム』。
 この番組は、旬なゲストに登場してもらい、近況報告や、様々な宣伝を、トークを交えて行う番組である。

●今回の参加者

 fa0475 LUCIFEL(21歳・♂・狼)
 fa1376 ラシア・エルミナール(17歳・♀・蝙蝠)
 fa3861 蓮 圭都(22歳・♀・猫)
 fa3887 千音鈴(22歳・♀・犬)
 fa4339 ジュディス・アドゥーベ(16歳・♀・牛)
 fa4526 菜姫 白雪(19歳・♀・猫)
 fa4852 堕姫 ルキ(16歳・♀・鴉)
 fa4909 葉月 珪(22歳・♀・猫)

●リプレイ本文

●7時15分 晴れ
「や、おはよう」
 朝の晴れ晴れしい様子で挨拶をしたのはラシア・エルミナール(fa1376)だった。
「おはようございます。朝早くからお疲れ様です」
 ぺこりと頭を下げる上田。
「二人もお疲れ様だね。ほら、誰かさんが待ちわびてた朝ごはんの差し入れだよ」
「気が利くな‥って、朝からピザかよ!」
 喚く下田に対して、遠慮するなと笑顔のラシア。
 結局、下田はピザを口に入れると、すかさずラシアが言った。
「あれ? 少し太った? 朝からそんなカロリーが高いもの食べたらだめでしょ。そろそろ中年なんだから」
「誰が中年かー!」

 サイン入り生写真の当選者をラシア本人の抽選によって選んだりしながら、朝の早い時間の放送が過ぎていく。
 徐々に店も開き始め、人の数も朝と比べれば5倍に近い。
「んで、 flickerの事なんだけどこの度めでたく新メンバーをお出迎えー。綺麗なお姉さんだけど、写真見たい?」
 ラシアの言葉に、見たい見たいと答える司会者。
「確かに綺麗なお姉さんだ。ソロで来たことがあるね」
 上田の言葉に、うんうん、と頷く下田。
「せっかくなのでGW特別プレゼント。新メンバー含めたflicker集合写真をサイン入りで1名様にプレゼントー」
「俺にくれるんじゃないの? じゃ、俺は本人をもらうことで我慢‥痛」
「朝から飛ばしすぎだ!」
 司会者のじゃれあいを横に見ながら、話を進めていくラシア。
「というわけで、さっきの抽選漏れた人もあきらめるなー」

 ラシアの新メンバーを加えたこれからの活動予定の発表。
 CDは未定だが、ライブを。そして、それは、今この場でも、と言う言葉に会場が沸いた。
「昨日できたばかりの新曲と、ライブでもCDでも結局使わずじまいだったショートの曲。2曲続けて行って見よう」
 曲の準備を頼む、と目でスタッフに合図を送るラシアだったが、ふと、司会者二人の方を見る。
「‥‥二人とも、妙に静かだね?」
「いや、楽だなあって」


●11時25分 快晴
「二人目のゲスト。女優の葉月珪さん、こんにちは」
 司会者の言葉を受け、葉月 珪(fa4909)が答える。
「こんにちは」
 ぺこりと頭を下げ、外で大きく手を振る観客たちに軽く手を振る、珪ちゃん。

「差し入れのお弁当です。ちゃんと栄養バランスや健康を考えて作ってきたんですよ」
 微笑む珪ちゃんから大きな荷物を受け取り、礼を言う司会者のふたり。
 そして司会者の一人が、すぐさま差し入れを開け、外にいる人たちに見せつける。
「いいだろー? うましそうだな、うん。‥‥でも、野菜がいっぱい」
「健康に考慮した生活を送って頂くために、やはり野菜はかかせませんので‥‥」
 今にも、すいません、と言い出しそうな珪ちゃん。
「いえいえ、こいつのはタダの好き嫌いですから。それに美味しければなんでも食べる奴ですし」
 そして、ありがとうございます。と続ける。
「なんだとー。‥‥まぁ、嘘ではないから今回は許してやろう。では、さっそく‥」

「はい、素敵なお話になっていると思います」
 ドラマの仕事の話しになり、少し照れながら話しを続ける珪ちゃん。
「とても楽しいですし、恋する乙女ということで、私も親近感というか‥」
「珪さんも恋する乙女ですよね。今度ご結婚なさるとか」
 司会差の言葉に頷く珪ちゃん。
「‥はい。じつは、結婚することになりまして」
 客席からわき起こる拍手。
「おめでとうございます」
「おめでとう。それで旦那はどんなやつ?」
 司会者の二人が思い思いに祝福をする。
「ど、どんな、ですか‥‥」
 急に聞かれて答えに詰まる珪ちゃん。
「えー、じゃあ、優しい人ですか?」
「あ、はい、それは」
 顔を赤らめながら頷く珪ちゃん。
「何か、彼の優しさを表すようなエピソードとかありません? 例えばデートの時に何かしてくれた、とか」
「ああ、それでしたら‥‥」
 聞く上田と、照れながら話す珪ちゃん。
 一人、下田は黙々とお弁当を食していた。
 最後に、これからの色々活動を頑張ると言う珪ちゃんに、ちゃんと幸せになれよ、とぶっきらぼうに下田が言ったのであった。


●12時20分 晴れ
「上田さん、下田さん、はじめまして!」
 お昼を少し過ぎたころ、春爛漫な菜姫 白雪(fa4526)の元気の良い声がスタジオに響いた。
「それからリスナーの皆さん、こんにちはー! アイドル歌手の菜姫白雪です。今日はお招き下さってありがとうございました」
 お昼も食べ、気合い十分な司会者たちも元気に返事をする。
「えと‥忘れないうちに、差し入れどうぞです。朝からお疲れだと思って」
 白雪が持ち出したのは、おにぎりとお茶、そしてデザート?の和菓子。
 それを見て、司会者たちの元気が凍った。
「あ、ありがとう。でも今はお腹いっぱいかな?」
 上田のスルーも、白雪には通用しない。
「食べ物をいただく時は、作った方々と自然の恵みに心から感謝しなくちゃなのです」
 白雪の笑顔に、今度は司会者ふたりが協力して抵抗を試みた。
「‥お昼、食べたばかりで」
「朝もピザだったし」
「そんな、だめですよ。ちゃんと食べないと。食べ物をいただく時は、作った方々と自然の恵みに‥‥」
 永遠に続くループの4周目、ついに司会者が負け、美味しいおにぎりと、苦すぎるお茶と甘すぎるやばい羊羹を食すことになったのだった。

「白雪さんは弾き語りをされるんですね」
「そうなんです。なにか私、ずれてるとか天然とか言われてますけど、歌だけはばっちりの自信があるんですよ」
 キーボードを前に胸を張る白雪。
「ばっちり!」
 下田が茶化すが、白雪はそれを受け止めた。
「はい。ばっちりです」
 照れ笑いをする白雪は話を続ける。
「そうですね、今日は沢山の方がいらっしゃってますし‥‥この場で一曲、即興しましょうか」
 白雪の言葉に会場が拍手が沸いた。


●15時25分 曇り
 おやつを前にして、大喜びの下田。
 先ほどまで、食べ過ぎで死ぬとまで言っていたのが嘘のようだ。
「すいませんね、ほんとうに」
 上田がジュディス・アドゥーベ(fa4339)に頭を下げる。
「いえいえ、ちょうどおやつの時間ですしー」
 ジュディーが差し入れの説明をしてくれる。
 疲れを取るチョコ入りのカップケーキ。喉を癒す蜂蜜入りハーブティー。
「‥‥長丁場の放送ですが、これを飲んでこの後も頑張ってくださいね」
 のんびりとした口調だったが、差し入れはしっかりとしたものであった。

「私、歌が苦手だったのですが‥‥」
 ジュディーの言葉に苦笑する下田と上田。
「言わなければいいのに」
「あれ? でも、さっき聞いたけどそんなに下手じゃなかったと思うけど」
 上田の言葉に照れるジュディー。
「最近、ようやく歌の方も『少しさまになってきた』と言ってもらえるようになりました」
「確かにな。今だってきちんとラジオ向けの発音とか声とかだしてるし」
 下田の感想にジュディーが嬉しそうに言う。
「そ、そうですか? 歌って踊れるのはまだ無理なので、まずは歌だけでも勝負できるようになれればいいなって思ってるんですよ」
「がんばれ。応援するよ」
「ありがとうございます」
 司会者の上田の言葉にぺこりと頭を下げるジュディー。
「せっかくだから、その歌を。と思ったけど、新曲をこれから?」
「はい。初夏、そして夏に向けて、こっそりいろいろ練習中だったりします」
「じゃあ、これから地獄の特訓が待っているのかな?」
 上田の言葉に大きく頷くジュディー。
「はい、がんばります。まだ曲名とかは出せないんですけど、その時は是非聴いて、そして応援してくださいね」


●16時45分 雨
 外は軽い夕立が降っていた。
「どうも。急に雨が降って来ちゃったけど、みんな、傘を持ってるかな? 心配だな」
 そう言ったのは、ゲストで出演しているLUCIFEL(fa0475)だ。
「お前は傘あんの?」
 下田の質問に、指を振るルシフ。
「水もしたたるいい男っていうだろ?」
「つまり、傘は無いってことか。いいけどな。濡れて風邪ひくなよ。」

 専門のファクトリーで作られたチーズケーキスティックの差し入れをもらい、上機嫌の下田を余所に、上田とルシフはトークを転がしていた。
「去年はCMやTV番組にも出演してたんだが、今年に入ってからは今のとこ音楽に専念してるな」
「先日はおつかれさまでした」
「いや、こちらこそ、だな。この前は悔しかったねぇ。愛がテーマなら圧勝だったんだけどな?」
 そう言い、観客へ片目を瞑るルシフに、惜しかったですからね、と上田が相づちを打つ。
「ま、アーティストとして、より多くのモノを伝えられるように頑張らねぇと」
 そう言うたルシフに、今まで黙っていた下田が言った。
「勝つなら、あれだ。俺の所に来ればいいんだって。俺は最強よ」
「‥前回の俺は下田さんの所だった気がするけど」
「‥‥」

「今日は呼んでくれてありがとう。こんなに近くでみんなに会えるなんてね。楽しかったよ」
 途中までは司会者の二人に、最後は、スタジオの前にいるファン達に言うルシフ。
「最後に、今後の予定の告知、とかどうですか?」
「そうだな。そうそう、6月にあるファンクラブパーティーでは色々と考えてるから、皆楽しみにしててくれよな。後の予定は、今日これからのディナーの約束があるかな」
 何気なく言ったルシフの言葉に下田が食らいつく。
「約束? 相手は女か? 行け、パパラッチ!」


●18時20分 曇り
「皆さん、こんにちはー!」
 蓮 圭都(fa3861)の声がスタジオ、そしてビルの中に響いた。
 元気よく挨拶をした後は、元気よくおにぎりの差し入れを差し出す圭。
「‥ツナマヨか高菜どっちのおにぎりが良いですかー?」
「‥‥いや、今日一日食べっぱなしで、そろそろ差し入れいいや」
 差し入れがコンビニ製だと確認した後、ぞんざいに差し入れ拒否をする下田。
「えー。美味しいのに」
「‥‥あとで、今までのゲストの差し入れがどんな感じだったか、たっぷり教えてやるから」

 圭とのトークは、ライブの話しや、曲作りの話しがメインで真面目に進んでいた。
「でも、曲作りって中での作業だから、根詰めすぎてもね」
「たまには息抜きも必要、ですね」
「そうね。今日はせっかく素敵な所に来たわけだし、出番が終わったら満喫していこうかしら」
 上田の言葉に頷きながら答える圭。
「おー、それはいいな。俺も実は、今日はここからほとんど動いてないし」
 同意した下田だったが、圭が情け容赦ない言葉を言う。
「お二人は番組終了まで頑張ってね。私は、一人で、遊び倒すわ。下田さん、私も頑張る」
「‥‥‥」
 沈黙する下田を余所に圭の言葉が続く。
「そういえば、5月3日が誕生日なの。みんな、おめでとうって言ってー」
 その言葉に、おめでとう、と大合唱が響き渡るビル内。
「そうか、誕生日か‥‥よし、決めた。圭、俺も遊び倒す。今からプレゼント買いに行くから、付き合え」
 下田の決断に上田が言う。
「‥‥番組は?」
「まかせた」

●19時36分 曇り
 あでやかな浴衣姿の圭が、スタジオに再登場した。
「ただいま」
「お帰りなさい。似合ってますね」
 今まで一人で番組進行をしていた上田が、圭と下田を出迎える。
「素敵な誕生日プレゼントありがとう。上田さん、下田さん」
「‥‥俺も?」
 上田が下田を見ると、すっと領収書が渡される。
「ちょうどサイズが合うのがあってな。即決だった。割り勘な」
「‥‥え? まじで」

 その後、圭の抱負で、締められることになった。
「23歳になるけど、これからも、変わらず全力投球かな。色々あるけど、今、走ってる最中だとなかなか実感もわかないけど。後悔のないようにしたいわ」


●20時25分 晴れ
 翼を持つ少女、堕姫 ルキ(fa4852)が、本日の最後のゲストだった。
 翼がでかい、狭い、とからかう下田、差し入れで仕返しをするルキ。
 そんな風にトークが進んでった。
「あたしは上田さんと一緒のチームだったワケなんだけど、今にして思うと勝因って何だったんだろーねー? どっちも良い曲ばかりだったし。リーダーの人徳とかかな?」
「ほほう。それはあれか? 俺の方が人徳がないと!!」
 結局そこにまとまる二人の会話。
 その後、少し考えた上田が答えた。
「うーん。結局、勝因は、お客さんの体力かな? 最後まで体力が持ってくれた、っていうのが大きいんじゃないかな?」
「なるほど。へろへろになったら、萎れて、元気でないもんね」
 納得するルキだったが、つい余計なことを言ってしまった。
「でも、それなら次も勝てるかな? あたしなら、一瞬で元気にしてタタセテあげれるし」
 はたかれるルキ。
「いたーい」
「今、たつの漢字が違っただろ、絶対」

 その後、上田のなれそめ、放送研究会の話などをしながら続けられるトーク。
 終始ルキペースだった会話だが、唯一主導権を握られたシーンがあった。
 それは、上田の娘の写真を見せられるところ。
 その姿はまさに親ばかであった。

 ゲスト出演の時間が過ぎ、もっと居るーと言うルキに、ピンクラジオはあと5時間待てと言い返す下田。
 なんだかんだで息の合う二人の会話の後、仕事もあるため、ルキが帰ることになった。
「今日はみんな、この時間まで居てくれてありがとう。みんな大好きー」
 そう言い、ばいばーいと大きく手を振って退場するルキ。
 それは、カップルで見に来ていた男のほうへ、悩殺投げキッスを贈り、見ず知らずのカップルに爆弾を投げながらの退場となった。