music carnival 前半アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
うのじ
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芸能 |
1Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
難しい
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報酬 |
1.3万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
01/27〜01/31
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●本文
「準備はできてるー?」
大きな声が響く。
普段とは違う、すこしだけ、緊張した雰囲気。
用意されたテロップも、『魂を響かせろ! Battle the Rock SP』と、SPが付け加えられていた。
そう、ここは、スペシャル番組の準備をしている、まさにその現場だった。
「望月さん、大変です〜」
一人の女性が慌てて、番組をまとめている、望月というプロデューサーに駆け寄る。
「え? ど、どうしたんですか? 何か問題が発生?!」
釣られて慌てる望月。
「‥‥、い、いえ、問題というわけではないのですが‥‥」
一息ついてから、事情を説明する。
「じつは、ヴァニシングプロの方が、番組を見学したいって、言ってきまして」
「へー、いいんじゃない? どうして大変なの?」
「え? だって、ヴァニシングプロですよ、ヴァニシングプロ! 超人気グループが所属し‥‥」
「いや、それは知ってるけど。じゃあ、後ろの方の場所とってあげて」
彼女の説明を望月が遮る。
「それだけでいいんですか? お茶とか、特別席とか、おもてなしとか‥‥」
「いらないから、そういうのは」
単に忙しいのか、それとも、これが真の姿なのか、めずらしく強気な望月。
そして、この話は終わり、と、別のスタッフと話を始めようとしたとき、さらに別のスタッフが慌てて駆け寄ってきた。
「大変です、望月さん!」
「今度はいったいどうしたの?」
「マスターミュージックの方が、今回の番組を生で観たいって‥‥」
「マスターミュージックって、あの、超大手プロダクションの?」
「はい」
その答えを聞くと、先ほどの女性スタッフの方をちらりとみて、つぶやく。
「‥‥まったく、どこも考えることは一緒なんだね」
そして、伝えに来たスタッフに向き直る。
「じゃあ、後ろの方のスペースとってあげるって、言っておいて」
「それだけですか?」
「うん、それだけでいいから。じゃあ、よろしく」
やっかいな二組の来客を適当にあしらうように伝えた望月は、再度、打ち合わせに戻る。
「今回さ、ノンテーマだから、ある程度、出演者のわがままを聞いてあげたいんだけど、そこらへん大丈夫?」
「あ、はい。ある程度なら、大丈夫ですけど」
「うん、じゃ、そこらへん、頼むね。次回‥‥はお休みだけど、その次から冬スポーツとか、またテーマにもどるから、今回ぐらいはね。あ、で、次なんだけど‥‥」
番組の準備は着々と進んでいる。
舞台で繰り広げられる音楽バトル! 『Battle the Rock』。
今回は『魂を響かせろ! Battle the Rock SP』とあるように、そのスペシャル番組だ。
そして、『the music carnival』と続くテロップ。
『Battle the Rock』1stステージの集大成がスタートする。
●リプレイ本文
●オープニング
『Battle the Rock』の文字が画面に広がる。
12月から始まったこの番組に登場した全てのミュージシャンたちの映像が画面に映る。
そして大きく書かれるスペシャルの文字。
『the music carnival』の文字が最後に登場し、番組がスタートした。
最初に登場したのは、いつもの司会者の二人。
司会者のコールと共に、先ほどの今までに登場したミュージシャンたちの紹介と同じ要領で、今回のメンバーも紹介される。
ギターを担いだ少女がまず最初に紹介された。
夜凪・空音(fa0258)だ。
ソラはカメラが向けられると、カメラ越しにいる誰かに、みんなに向かって、軽く微笑んだ。
「小さな身体から放たれる、ソウルフルソング! 正面から歌を紡ぐ、夜凪・空音!」
「前回の勝者が新たな仲間とともに登場! 目指すその先には世界征服! 蜜月」
続いて紹介されたのは、早河恭司(fa0124)、クク・ルドゥ(fa0259)、棗逢歌(fa2161)の三人。
お姫さまのククに、それに仕える執事と給仕のおーかと恭司。
真ん中に座り、ほんわりと笑っていたククが、世界征服と目指しているという台詞に反応する。
おおーとあげたククの拳が、横でかしこまっている執事のおーかにクリーンヒット。
うけうずくまるおーかに恭司が慌てて駆け寄る。
心配そうに見ている二人、しばらくして、ばっと起きあがるおーか。
完全復活した三人で、カメラに向かって、ポーズを決めた。
カメラが次に向かったのは、紅いシャツに黒のスーツと黒のネクタイの三人組。
はしゃぐエミュア(fa0755)と、それをかまっている旺天(fa0336)。
そして、横からみている陸 琢磨(fa0760)。
「ステージの上を突風が駆け抜ける。【BLAST BREAKERS】」
コールされて、がんばるよーと手を振るエミィと、同じく軽くステッキを振るテン。
そして、あいからわず、クールに横から見ているタクマ。
画面が切り替わり、映し出されたのは何もないただの壁。
そこへ、ピンクのミニドレスを着た御鏡 遥(fa0368)が上から飛び込んでくる。
ふわりと上がったスカートは、地面に足が着いたとき瞬間に元に戻る、絶妙なタイミングだ。
「美少女が舞台に舞い降りた。容姿に勝るとも劣らないキュートな歌を、ポップに歌い上げる、御鏡 遥!」
さらに、ハーモニカを胸にさげた美女や、黒のチャイナでそろえたクールビューティーな二人組と、紹介は続く。
全ての紹介が終わる。
今回参加したのは、全部で9組。
この中から、今夜の勝者が選ばれるのだ。
●夜凪・空音
集中するのに適した少し静かな控え室。
バンドを組んでいる人たち部屋から漏れる多少騒がしい声も、壁を一枚へだてているためにあまり聞こえない。
「最初ってラッキーかも。終わったら抜け出して、みんなのステージを観にいこうかな」
そう言って笑うソラ。
笑ってはいるものの、目は真剣だ。
これから歌う歌を聞いてくれるみんなのために、全力を出すつもりだった。
「うん、楽しそうだ。絶対に抜け出そう。観客席は暗いし後ろの方だとばれないよね、きっと。‥‥でも、ううん、だから、その前に、僕のステージを、全力で駆け抜けてからにしよう」
壁に立てかけていたギターをつかむと、ステージに向かった。
「夜凪・空音。『Solo』!」
ステージに出てきたのはソラ、一人。
バックコーラスもなかった。
ステージ中央に用意された椅子に座り、ギターを膝の上にのせる。
ソラがギターを奏でて、ソラが声を響かせる。
自らの歌を、ソラが歌った。
一人じゃない たとえ誰もこの視界に映らなくても
一人じゃない たとえ誰の声も耳に聞こえなくても
誰かが 私の声を 姿を 心に映してくれるならば
名前も知らない人 今日あったばかりの人でも
僅かにでも心に想ってなら 一人でも居てくれるなら
一人じゃないから私は歌える 一人でいたくないから私は歌う
歌い奏でるのが私一人でもいいの 想ってくれる人が私の歌の伴奏となるから
それが私だから
自分の音 もっと強く響かせて
自分の姿 もっと魅せて
●蜜月
「ドキドキだね〜。みんなもドキドキして、がんばっているのかな?」
言ったのは緑色のプリンセスドレスに王冠、そしてガラスのヒールという衣装に包んだクク。
「ああ、そうかもな」
答えたのは、先ほどから給仕の格好をしている恭司。
「そうだよね。みんな頑張ってもらいたいね」
うんうんと頷くククに、慣れないギターを手に今も練習を続けている執事のおーかが言う。
「クク姫さま。頑張るのは僕たちもだよ?」
「うん、それはもっちろんだよ」
「なら、安心。優勝、絶対奪わせていただくよん。クク姫さま、きょんちゃん、最高の歌、歌ってこよう」
「蜜月。『眠れる森』」
コールされる三人。
「うつむいてばっかな、Ladies & Gentlemen! 蜜月から甘美な一時をお届けだ、準備はいいかい?」
登場するなり、おーかが軽いMCを入れた。
「Chacun Bon voyage!」
そして、この一言で曲がスタートした。
きっと此処は眠れる森
世界を舞台にした壮大なお芝居は
今日も今日とて廻り続ける
平凡・普通・退屈・諦め
限られた毎日を消費する生き方で
空を飛ぶ鳥にあこがれて
羽がないコトを嘆くだけで
そんな世界に嫌気が差して
お姫様は目が覚めた
一糸乱れぬお芝居はある日突然狂いだす
「輪を乱すな、置いてかれるよ」
非難罵声の嵐の中でお姫様は歩き出す
脱いでいたガラスの靴を客席へ放り投げると、裸足になったククが所狭しと暴れまくる。
それに釣られてか、曲のほうもより元気にになっていった。
rout in this sleeping days!
Bloom in this fuckin’days!!
眠り姫のままじゃいられない
不条理だらけの台本なんか
ガラスのヒールで蹴散らしちゃえ!
ククがとや〜と蹴り上げる。
元気に暴れるククを、おーかと恭司がフォローしながらも、楽しいステージを作り出す。
「結末だって変えてみせる!」
ククの最後の歌詞と共に、ざん、と止まる音、そして消える照明。
聞こえないはずの音が、なぜか聞こえるような沈黙。
そんな余韻を残し、蜜月のステージは終了した。
●【BLAST BREAKERS】
「タクマ、そろそろ出番だけど、準備は大丈夫か?」
「‥‥ああ、大丈夫だ。準備もしてある。が、一人だけ、半獣状態で、大丈夫だろうか?」
テンの心配を、タクマが問題ないと答え、別の問題を考え始めた。
「うーん、前も半獣で歌ったことあるけど、うまくやれば大丈夫だよー、きっと」
タクマの疑問にそう答えるとエミィは時計をチラっとみる。
「時間がきちゃったね。みんな、顔見知りだし、練習通りにやれば、だいじょうぶだよね。がんばろう」
「もっちろん!」
「ああ、そうだな。いつも通り、やってこよう」
「【BLAST BREAKERS】、『DREAM CATCHER』」
コールされて登場する三人。
バックの液晶には、オフィスが映し出される。
そして、三人の登場が完了すると、轟音と突風が吹き荒れた。
それらが止むとバックのオフィスは、書類などが散乱し、部屋の中で突風が吹いたかのように錯覚をする様に思える映像を映し出した。
そんな、荒れるオフィスをバックに、【BLAST BREAKERS】の歌がはじまった。
偽りの光追いかけて
君は黄昏る街を奔る
途方も無い明かりに照らされ
僕も一緒に奔るんだ
いきなり激しく刻んでいてビートが少しやや収まった。
タクマとエミィは背中合わせになり、しんみりと歌っていく。
鼓動が 耳を覆い尽くしていく
夢から 目は離せなくなって行く
身体は求めて 叫ぶんだ
ややスローテンポだった曲が、元に戻る。
エミィが、テンのほうをちらりと観ると、テンがウィンクで返す。
それをさらにウィンクで返すエミィ。
そして、テンが刻むビートが速く激しく変化していく。
1番、2番と共に暴風のように飛ばしていく。
GO to irregular road!
Be bound dy anoter person!
Behave according to true character!
fly out! fly out!! fly out!
Be full of hope!
放さぬよう 抱き締めろ!(激しく、しっかりとした感じに)
wish of importance!
激しかった暴風が、最後の歌詞が終わると止んだ。
演奏が終わると観客席に投げ込まれたテンのスティック。
そして、エミィの輝く笑顔も、客席に投げ込まれた。
●御鏡 遥
「御鏡 遥。『恋した乙女の心情は純情』」
コールされたヨウ。
その姿のまま駆け出し、ステージの中央にあるスタンドマイクを掴む。
ねぇ 不思議だね? 君を見ていると胸が苦しいよ?
何でだろ? 昨日までは別に感じなかったのにね
キュートな歌詞に合わせて、ターンし、ジャンプするヨウ。
そのたびに、ふわりと広がるスカートが、目を引きつける。
恥かしいけど この私を君に伝えたい こっちをみて
一番が終わり、ドレスの上につけていたファーをはずすと、肩から胸元にかけて大胆に開いた衣装になった。
そして、そのまま、2番も歌いながら、舞台を狭しと飛び跳ねるヨウ。
恥かしいけど この気持ちを君に伝えるね 大好きだよ!
最後の歌詞が終わると、満面の笑みをカメラにみせた。
前半の4組が終わった。
軽い休憩を挟んで、後半の5組にバトンタッチされる。
音楽の宴はまだ続く。