番長のストーブリーグアジア・オセアニア

種類 ショート
担当 牛山ひろかず
芸能 フリー
獣人 フリー
難度 やや易
報酬 0.7万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 10/21〜10/23

●本文

 TOMITVのスタッフルーム。その中の自称スポーツイベント便乗チームで、二人の男がボンヤリと会話をしていた。
「プロ野球も残すは日本シリーズだけになりましたね。ま、番長のチームはすでにまったく関係なかったわけですけど、いよいよ本格的にストーブリーグ到来なわけで。いるだけで数億円の経済効果はある番長だけに、安泰は安泰なわけですけどね」
「まあ、去年はいろいろあったもんなぁ。この屈辱を忘れないために刺青入れるだの、結局ピアシングだの‥‥」
 わずか1年前のことなのに、遠い昔を懐かしむように遠い目をする先輩と後輩。だが無論、ただ懐かしんでいるだけでは終われないのが便乗チームの宿命。
「でだ。ストーブリーグということは、番長的にはストーブと戦うリーグ戦ということだよな?」
「ストーブの季節にやるからストーブリーグなんであって、別にストーブと戦うわけじゃないんですけど‥‥ま、番長ですしね」
 ツッコミを入れつつも、しっかり乗ってしまう後輩。
「そうだ、番長は常に命を懸けて何かと戦っているんだ! だったら、ストーブと戦うしかないんだよ、番長だから」
 リスペクトじゃなくて小バカにしてねえか? という外野の意見も聞こえてきそうだが、気にせずにストーブと戦う番長リスペクト企画の第9弾が問答無用でスタートするのであった。

『ストーブリーグとは、ストーブと戦うことと見つけたり編』

ルール
・全員が番長とかに扮して、ストーブと戦います。ただそれだけのことです。
・場所は野球場ではなく、スタジオ収録となります。
・戦い方ですが、ストーブをガンガンにきかせて暑さと戦うガマン大会形式もよし、だるまストーブと拳で語り合ってベコベコにしてしまうもよし。要するに『なんでもあり』です。
・撮りたいものは、おもしろ番長映像です。もっとも番組を(お笑い的に)盛り上げた人が優勝となり、賞金10万円が授与されます。
・その他細かいルールは特にありません。が、番長でも法律は守る必要があります。

過去の放送スケジュール(最近5回分)
・番長のマッハパンチ 6月29日 7:00〜
・番長だらけの水泳大会 7月17日 9:00〜
・【AoS】スケ番Bサッカー 7月30日 07:00〜
・番長の千本ノック 8月17日 7:00〜
・【PSF】番長だらけ野球 9月19日 07:00〜

●今回の参加者

 fa1790 タケシ本郷(40歳・♂・虎)
 fa2529 常盤 躑躅(37歳・♂・パンダ)
 fa3092 阿野次 のもじ(15歳・♀・猫)
 fa3596 Tyrantess(14歳・♀・竜)
 fa3622 DarkUnicorn(16歳・♀・一角獣)
 fa4038 大神 真夜(18歳・♀・蝙蝠)
 fa4717 金緑石(21歳・♂・狐)
 fa4729 キューレ・クリーク(25歳・♀・豹)

●リプレイ本文

 石油、石炭、電気、ガス、そしてよく分からない燃料のストーブが並べられた本日のスタジオは、番長シリーズなのになぜかCETである。もちろん、スタッフはTOMITVの面々で固められている。
「俺の名はバイオレットバイオレンス、覆面レスラー志望のスタントマンだ!」
 パンダの着ぐるみという名の獣化の裸体の上から、バイオレンスという名前からはほど遠いフリフリリボンのガクランを着た常盤躑躅(fa2529)が、すでにのぼせていた。
「ふひひ‥‥俺は氷のパンダ番長だ! ストーブだろうと、とことん冷たく接してやるぞ!」
 氷のパンダ番長だけあって、学ランの下に大量の氷を詰め込んでいた常盤。
「ぐへへ‥‥待ち合わせの場所に、3時間遅れて来ることなんざザラだぜ!」
 だが、収録前から文字どおりのウォーミングアップと称してずっとこもっていたので、大量の氷も溶けるどころかすでに蒸発してしまっている。すでに暑さで笑い方がおかしくなっていたが、本人は気づいていない。
 そんな常盤の座るカフェテリアのセットに、DarkUnicorn(fa3622)がやって来る。氷の番長は待たせる側のハズなのだが、頭が熱暴走の季節なので、早いか遅いかも分からなくなっている。
「ツンデレならぬ、クールツン番長登場なのじゃ。クールツンなので、頭のシークレットウサミミも、常にツンと立っておるのじゃ!」
「そして、常に乳首もツンと‥‥ぐはっ!」
 暑さで頭が回らないせいかどうかは分からないが、常盤がDarkUnicornの胸を両の人差し指でツンツンと突いていた。逆上したDarkUnicornは仕込み日傘を抜くのも忘れ、そのままぶん回してど突く。
「ちょ、待て、ガキみたいな身体に興味はねぇ‥‥ぐぼはっ!」
 常盤が慌てて言い訳するも、余計に火に油を注いだだけである。抜き身となった仕込み日傘で、残酷映像が繰り広げられる。もちろん、モザイク越しではあるが。
「‥‥はぁはぁ。このように、クールに冷たい遺体となってしまったのじゃ!」
 ようやく落ち着くDarkUnicorn。CETではありえない下ネタに、やっぱりTOMITVの番組なのだと再確認することとなった。
 とそこへ、ライオンな青いユニフォームに背番号3をつけた大神真夜(fa4038)が現れる。
「番長といえばピアスが有名。もちろん、ダイヤのピアス!」
 そう言って、ピアスをカメラに見せる大神。もちろん、本物の輝きではない。
「番長みたいな高給取りではないので、私のはイミテーションだけど‥‥」
 ガックリ肩を落とす大神の背後に、なにやら影が。そう、暑さでおかしくなって復活したという設定の常盤である。
「そうそう、ピアシングを‥‥ぎょはっ!」
 常盤がまたもDarkUnicornの胸を狙うが、またもボコられるだけであった。しかも、今回は大神とのダブルアタックである。大神は古流武術の師範代であることを遺憾なく発揮し、常盤に身動きもさせずにボッコンボコンにしてしまう。
 暑さでおかしいという設定なのをいいことにやりたい放題のハズが、ボコられ放題のバイオレットバイオレンス。復活に際して改造手術が施され、セクシャルバイオレットなバイオレンスとなってしまっていたのである。改造前からそうやん! という話もあるが。
「なんだかえらいコトになってるようだが‥‥自分が本当のストーブとの戦いというヤツを見せてやるゼ!」
 そこへ、コタツの着ぐるみを装着したタケシ本郷(fa1790)が入ってくる。が、かすれる常盤の視界には、極上の獲物が飛び込んできたようにしか思えなかった。
「げへへ‥‥だいてぇ、俺はガキには興味がねぇんだ。やるンだったら、見た目20歳以上のボンキュッボン、タケシ本郷からだろ‥‥いや待て。やつは男だろ? いや女か? もうどっちでもいいかッ!?」
 またも復活した常盤が、本郷に飛びかかる。さらなる改造により、セクシャルバイオレットがバイセクシャルバイオレットになってしまっている。もうちょっと煮詰めればホモセクシャルバイオレットになるのかもしれないが、すでに今の段階で放送不能なまでに暑苦しい映像であるのは言うまでもない。
 手際よくコタツの着ぐるみを脱がす常盤だったが、本郷に首根っこをつかまれ、宙に浮かされてしまう。番長のような大柄な選手同士の戦いも醍醐味なのかもしれないが、誰も求めてはいない。
「答えはシンプルだ、テメーは俺を怒らせた!」
 そのまま、喉輪で熱せられた灯油ストーブに押しつける本郷。
「ぐへへ‥‥激しすぎる愛に焦がされそうだーッ!」
 TV的にはパンダの着ぐるみに守られているように見えるが、実際は獣化の肌が焼かれているのである。が、暑さにそれすらも愛の痛みにしか思えなくなってしまっている常盤。
「やれやれだぜ‥‥そんなことよりも、コタツの戦いはまだはじまってもいねえ!」
 すでにコタツの着ぐるみは脱がされてしまっていたが、灯油ストーブにモチのように常盤を乗せたまま戦いをはじめようとする本郷。
「戦いはこうだッ! 火の点いたままの灯油ストーブのタンクに、灯油を注ぎ込むッ! 炎上しなければ自分の勝ち、シンプルにしてディープ!」
 画面下に『使用上の注意をよく読み、守りましょう』のテロップが流れる中、わざとらしいまでにガソリンの入ったポリタンクを持ってきてしまう。テロップに『消防法も守りましょう』が加わる。
 ドーン! 黒煙を上げて爆発する灯油ストーブ、炎に包まれる常盤。
「俺の愛は‥‥ここまで燃え上がっちまった!」
「バ、バカヤロウ! 離せ!」
 常盤に抱きつかれ、あっという間に本郷にも引火する。
 ウー! 手でサイレンをしながら、阿野次のもじ(fa3092)が入ってくる。が、消火活動をすることなく二人の前を素通りし、スタジオ中央で立ち止まる。
「番長といえば漢気! 番長が繰り出すといえば六本木! そして、ストーブといえば生でんぷんだね☆」
 その隙にスタッフの手によって常盤と本郷の消火救出活動は行われていたからサイレンは置いておくとしても、語尾『ぎ』で統一するのかと思いきや、よもやの生でんぷんである。
「え? まさか生でんぷんが分からない? 生でんぷんは道産子の主食だよ!」
 ハマっ子はサンマーメン以外の麺を食べてはいけない、静岡人は黒はんぺんだけで生きているくらいにムチャを言っているが、すでに臼を運び込んでいも餅をつく準備万端なので止める隙がない。
「一撃よく臼をも砕くGハンマーに熱き魂を乗せ、届けお餅を‥‥」
「臼を砕いたら、餅をつけないんじゃ‥‥?」
 ナゾのテーマ曲にノッて餅をつく阿野次に、思わず大神がぼそりと呟いてしまうが、単に阿野次独特の言い回しについていけてないマトモな人というだけである。
「‥‥手作りはもちのろんろん、みんなにもおすそ分け、お正月怪獣モチろんさ!」
 そんな間にも餅はつき上がり、小さく丸めはじめる阿野次。
「丸められた白い塊は、まるで白球のよう‥‥白球‥‥我が一撃、喰らうがいい!」
「ぐはっ!」
 突然、阿野次が常盤と本郷目がけてハンマーを投げつけてしまう。消火剤で真っ白になっているのが、ホームベースに見えたようだ。しかし、投げるのが白球ではなくバットの方かよ? という話であるが、そこが番長の基本事項というものだ。
 そして、本郷が常盤を焼いていた灯油ストーブに今度は阿野次が餅を乗せ、またも歌いはじめる。
「〜膨らむ膨らむ私の想いのように〜胸がきゅんきゅん♪ ぶいぶいぶい〜」
「膨らむものもないのじゃがの‥‥」
 笑顔ながらも鬼の形相となった阿野次がキッと声の方を振り向くと、やはりないわりには散々いじられたDarkUnicornがブツクサ言っていた。言葉もなく分かり合うと、涙味の餅を二人で食べはじめる。
「‥‥ストーブリーグ‥‥ストーブの対戦リーグ? 分かったわ!」
 散々その様子を見ていたキューレ・クリーク(fa4729)が、何かを閃いたようである。
「ストーブを着込んで、ガマン大会よ!」
 着ぐるみではいけないらしく、本物のストーブをくり抜きはじめるキューレ。今までの流れから、どうしてこういう発想になるのかはナゾであるが、頭が悪キューレなのでしょうがない。頭が悪キューレだって、そのワルの字が書けなくてただのキューレになってしまったという逸話の持ち主なのである。
「ああ、身も心も弄ばれ、なんという変わり果てた姿に‥‥」
 そこへ、よろよろと金緑石(fa4717)がやって来ると、すっかり分解されたストーブをキューレから取り上げる。
「こんな終わり方が見たかったんじゃない‥‥そうだろう?」
「?」
 ストーブへのラブ&ピースに目覚めてしまった金緑石に、キューレはただただポカーンとするしかない‥‥反応も悪キューレなので。
「こんなところにいたら、ボロボロにされてしまう。さあ、俺と一緒に行こう」
 メカフェチなんか目じゃない、あさっての方向に突き進んでしまっている金緑石。手近にあったガスストーブを抱えると、そのままスタジオから駆け出していってしまう。
「もうすぐ冬が来るからストーブが欲しいとかじゃない。これは愛の逃避行なんだ」
 慌ててスタッフが追うが、それでも収録は進む。最後に素肌に学ランだけのTyrantess(fa3596)が入ってくる。
「あれ? ここに置いておいたストーブが1個減ってるな? なんとか入手させた、メーカーからリコールのかかったブツなんだが‥‥まあいい」
 そう言うと、ギターをかき鳴らしはじめるTyrantess。
「ストーブと俺と、どっちが周りをアツくできるか。ストーブどもには、石油やガスを燃やして空気を熱くする程度が関の山だろ?」
 ちょうどTyrantessの目にストーブを着込み直しているキューレの姿が飛び込んできたが、方向性があまりに違いすぎるので、ただ目をそらすことにした。
「ただ暖めるだけと言われては、黙ってられないな」
 登場以来様子をうかがっていた大神であるが、木人に見立てて改造したダルマストーブを相手に木人拳の修行をはじめてしまう。
 見た目は地味だが、もちろんストーブは熱せられている。どっかの塾では普通にやってそうだが、拳の熱さに耐えつつも暑さによる脱水症状とも戦わねばならないハードな修行なのである。
 一方のキューレは、ストーブの格好のまま護摩壇まで作ると、焚かれたその前で素振りをはじめる。
 この二人のせいで、よく分からないヤバげな精神修行の場と化しつつあった。
「そんなんじゃ、アツくなれねーぞ! 俺は違う、俺を見ろ!」
 学ランをバッと放り投げるTyrantess。学ランしか着ていないのだから、それを脱いだら‥‥というわけで、すっかりやり遂げた男たちとなってまったりしていた常盤と本郷だが、急にがっついて視線をそちらに向ける。
 だが、出てきたのは水着だった。男性陣は一瞬ガッカリである。それでも、露出度の高い水着なので文句は言えない。言えないのだが、裸に学ランだけとどちらがいいかは意見の分かれるところである。
 こうしてスタジオの空気が一気にヒートアップしたが、冷え冷えとしている空間もでき上がっていた。
「けしからんの! まったくもって、けしからん身体じゃの!」
 貧乳で意気投合していたDarkUnicornと阿野次である。
「いや、そんな目で睨まれても‥‥人並みなんだが‥‥」
「まあ、聞きまして? 奥様。これはもう、寝オチ怪獣ネコタツの刑アルね!」
 阿野次のキャラがすっかり不明になっていたが、そのドサクサでTyrantessのビキニの上がハラリと落ちてしまう。
「こうなったら‥‥ニトロでどっかんV! なのじゃ」
 ストーブに入れるべく用意しておいたニトログリセリンをこぼすDarkUnicorn。
 ドッカーン! こうして、爆破オチで落ちないまま終わるのであった。
 そして、全員アフロで表彰式である。
 まずは優勝であるが、完全にコワレてしまった常盤に、見舞金も兼ねて10万円が贈られた。
 また、お色気担当にされてしまったTyrantessとDarkUnicornに、エロ敢闘賞として2万円ずつ贈られた。
 一方、賞金獲得を目指していた金緑石であるが、
『‥‥番組では、消息を絶った金緑石さん(19)の情報に懸賞金を‥‥』
 賞金獲得どころか、賞金首になっていた。