スキーエアリアルクイズアジア・オセアニア

種類 ショート
担当 牛山ひろかず
芸能 フリー
獣人 フリー
難度 普通
報酬 0.8万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 12/05〜12/07

●本文

 TOMITVの会議室の一室。そこで、2人の男が企画を練っていた。
「ウインタースポーツのシーズンやな」
「はぁ、そうですね‥‥」
 上司とおぼしき男に、実に9ヶ月半ぶりに呼び出された部下の男。それまでの間、この上司は何もしていなかったような気がするのは気のせいだろうか? と思わずにはいられなかった部下だったが、口に出すようなマネはしない。
「しかも、今年は冬季オリンピックイヤーや! もう、分かるな?」
「今年の頭に終わっていて、便乗する冬季五輪は激しく先ですが‥‥」
「かーっ、卑しいのう! 銭の臭いがせんと動けんのかい!」
「そういうわけでは‥‥はぁ‥‥」
 勝手なコトを言うだけの上司に、部下はマトモに対応するのもバカらしいと、生返事である。
「ついこの間、スノボのハーフパイプでクイズをやったばかりだから‥‥今度はスキーでエアリアルやな! 滑った先に早押しボタン。滑っとるのに滑り知らずっつーヤツや! かっかっかっ」
 すでに上司は滑りはじめていたが、部下に止める術はない。こうして、ウインタースポーツ便乗企画がスタートした。

 スタート地点でクイズが出され、エアリアルのジャンプ台を飛び、その後クイズに答えます。その際のおもしろリアクションを競い合います。
 一人ずつ飛ぶか、一斉に早押しにするかは、その日の上司の気分次第で決まります。
 スキーで滑る必要はありません。どのような用具、格好で滑ろうとも勝手であります。
 クイズとは名ばかりなのは、言うまでもありません。正解しても特典は何もないので、最後のボケどころを大切にしましょう。
 出題されるクイズを自分で指定することもできます。ただし、必ずしもそのとおりに出されるとは限りません。
 優勝者には、賞金10万円が授与されます。
 得点は、おもしろさと無謀さのコンビネーションで決まります。視聴者が引くくらい無謀すぎると、逆に得点は下がります。何事もバランスが大切なのです。

過去の放送のスケジュール
・スノボハーフパイプQ 2月20日 18:00〜

●今回の参加者

 fa2002 森里時雨(18歳・♂・狼)
 fa2529 常盤 躑躅(37歳・♂・パンダ)
 fa2539 マリアーノ・ファリアス(11歳・♂・猿)
 fa3092 阿野次 のもじ(15歳・♀・猫)
 fa3800 パトリシア(14歳・♀・狼)
 fa4120 白海龍(32歳・♂・竜)
 fa4203 花鳥風月(17歳・♀・犬)
 fa4713 グリモア(29歳・♂・豹)

●リプレイ本文

『雪山に可憐な花は咲くのか? だから、跳べ叫べそして歌え! 曲当てクイズで超イントロずどーん!!』
 番組名も企画意図も間違えつつ、確実におかしなテンションで、番組をスタートさせるは司会進行の阿野次のもじ(fa3092)。もっとも、常人からはおかしなテンションでも、阿野次にとってはいつもどおりに過ぎない。
 しかし、ここで残念なお知らせが。おかしいのは何も阿野次だけではないという、その事実! まあ、本来の企画自体からしてイカレているので、類は友を呼ぶだけの話であるが。
 というわけで、森里時雨(fa2002)が無意味にラージヒルのジャンプ台のへりに立っているのも、むしろ必然と言えた。
「ここが、ときめきエアリアルの会場ですか?」
 阿野次並みに色々と間違えている森里だったが、フラグ番長となんとかは高いところが好きなので仕方がない。
「さあ、伝説のジャンプ台の下での告白のために‥‥って、下!? どうやって降りましょう‥‥?」
 ここで重要なコトに気づく森里。そう、彼は受験を控えた高校生なのである。
「おっと、危うくだまされるトコでしたよ。滑って降りるわけにはいきません。転ぶのも、落ちるのも禁句っス!」
 受験生は本能的に『滑る、落ちる』等と言われることを嫌うが、今年度の場合は今ごろになって『実は未履修でした、補習ね』とか言われる方がずっと恐ろしいことなので、気にしなくてもいいような気もする。
 まあ森里の場合、単純に取得単位が足りていない自業自得の人なのだが、ここぞとばかりに未履修のせいにしてしまうのがお約束というものである。
 そんな感じに、森里がなんの解決にもなっていないのに納得しかけていたころ、ジャンプ台の上の方が騒がしくなる。
「はわわ! このコース、やけに急ですよ!」
 じゃじゃ馬のスノーモービル、まーきゅりー号を乗り馴らそうとしていたパトリシア(fa3800)が、どこでどう間違えたか、ジャンプ台に突入してしまっていたのである。
「‥‥せめて、他の人を轢いちゃわないように注意し‥‥って、目の前に人が!?」
「さて‥‥そろそろ、美少女と曲り角でぶつかる出会いに備えて、学生服に着替えてトーストくわえて‥‥ぐぼはっ!」
 寒さも気にせず、ジャンプ台のへりでおもむろに着替えをはじめてしまう森里に、弾丸と化した鋼鉄の塊が激突する。
「なんて衝撃的な出会いぃぃ〜‥‥」
 その衝撃すら前向きに捉えていた森里だったが、パトリシアを置き去りにしたまーきゅりー号と共にコースを突き破り、まるで森里の成績のような下降線をたどって谷底へと消えていく。
 一方、一人へりに取り残されたパトリシアは、動転して沈みゆくまーきゅりー号に敬礼をしていた。よって、森里の存在には気づいていなかった。
『司会侵攻は私、阿野次のもじが‥‥むしろ信仰? 我を崇めよ! ダミー人形による試技も無事終了したところで、ひゃういあご〜☆』
 離れたエアリアルのジャンプ台から双眼鏡で確認していた阿野次が、森里キッカケで収録を開始する。
 最初の挑戦者として、サンタクロース姿の白海龍(fa4120)が登場する。サンタがいないというヤツは誰だ? むしろ僕が新世界のサンタクロースになる! というわけだ。
「ノンノン。決シテ、この格好が暖かいからする訳じゃアリマセ〜ン」
 が、あっさりと暖を取るためだと主張し、子どもたちの夢を破壊してみせる白海龍。まあ、ふくよかなサンタではなくマッチョなサンタという時点で、すでに破壊気味ではあるが。
「よい子のみんなに紹介シマ〜ス。先頭赤鼻がルドルフ、以下ダッシャー、ダンサー‥‥」
『それでは最初の問題です☆ 曲当てクイズで超イントロずどーん!!』
 ぬいぐるみのトナカイを紹介する白海龍と噛み合うということを考えずに、相変わらずイントロクイズにこだわる阿野次。
『正解すると、冷凍室っぽい名前の人の初期戦闘力と同じ53万Pが得られます電気玉の心、むしろサンタだけにダイナマイトキーック!』
 一人盛り上がってしまった阿野次が、キーックの言葉に合わせて本当に飛び蹴りを放ってしまう。
「そして、ヨシ子さんデ‥‥ぐはっ!」
 未だにトナカイの紹介をつづけていた白海龍の後頭部に直撃する。本物のダイナマイトキックならピクリともしないところだろうが、放ったのが阿野次なので見事に吹っ飛ぶ白海龍。
 しかも、見事にソリの上に吹っ飛ばされ、そのままソリが動き出してしまう。
「HOHOHOー!」
 しかし、手綱を持ってノリノリの白海龍。問題の曲も流れないうちのスタートだが、そんなコトは気にしない、それが夢を与えるサンタの心意気。
 だが、ジャンプ台でくるりと半回転すると、そのままグシャと雪面に叩きつけられる。ソリの重みを白海龍がモロに浴びるという衝撃映像のまま、ソリは滑りつづけていく。
 その下方では、パトリシアのスノーモービルの引き上げが終わり、ちょうど森里が自力で這い上がってきたところだった。
「またも出会いのプレゼントおぉ〜‥‥」
 白海龍だけを残し、森里とソリがまたも消えていく。森里の成績同様、どん底まで落ちる模様である。
 こうして、白海龍だけが助かっていたが、
「ヨシコー! ヨシコォー!」
 9体のトナカイぬいぐるみのうち、なぜかヨシ子さんの安否だけを気にして、結局谷底へ突っ込んでいってしまう。
「あたし花鳥風月(fa4203)、ちょっぴりドジな小学4年生☆」
 代わって登場は、サバの読みすぎも気にしない花鳥。
「苦労人カードを集めて、日夜、カードの守護者や、逃げ出したカードとバトルしているんだ☆ 登下校にはローラーブレード使うんだよ☆」
 はにゃーんなキャラ作りの花鳥の横では、阿野次知世と化した阿野次がカメラを回していた。
「寒そうな格好で大変そうだな。一緒に暖まらないか?」
 そこへ、ソリの付いたコタツを持った、パンダの覆面の常盤躑躅(fa2529)が乱入してくる。急にカードの守護者の役割分担がなされたから、パンダ覆面をしているわけでは決してない。単に変態のプライバシー保護のためである。
「ぐっへっへ、じゅるじゅるり‥‥」
 変態? そう、さなぎになる変態である。とはいえ、女の子をコタツというさなぎの殻の中に引きずり込もうとしている変態であったが。コタツ布団で見えないのをいいコトに、下半身をいじくり合うのがエロマンガの王道であるがゆえに。
「どいてー!」
 だが悪いコトはできないもので、そこへ谷底から引き上げられ、今度こそ鋼鉄の暴れ馬と化したパトリシアのまーきゅりー号までもが乱入してきてしまう。
 突き飛ばされ、斜面に突入する常盤のコタツソリ。もちろん、パトリシアも勢いは死なずにそのまま突入である。期せずして、早押しの様相である。
「じゃあ、行くよ〜☆」
 となれば、花鳥だって黙ってみているわけにはいかない。ローラーブレードで滑り出し、後を追う。白海龍につづいて問題が出ていなかったが、花鳥は天然キャラに入り込んでしまっているので気づいていない。
「このままでは‥‥負ける? くっ、他人や自分にボタンを押させるくらいなら、自分が壊す。ふふ‥‥この境地に達するのに、3秒もかかるなんてね‥‥」
 花鳥のキャラが明らかに変わり、ただ惰性で滑り落ちるだけの常盤とパトリシアを追い抜いていく。
 そして、言葉通りに早押しボタンを吹っ飛ばす花鳥。
「また、今日も生き残ってしまった‥‥」
 急に戦場帰りの死神のような顔になる花鳥。どうも打たれすぎで記憶が羽根のように飛んでいってしまっているようなので、あまり話しかけないであげた方がよさそうだ。
 そして、その横をなにやらわめくがすべてピー音で消されてしまっている常盤が、地獄へと一直線に落ちていく。
 対するパトリシアは早押しボタンを完膚なきまでに破壊しつつも、早押し台にぶつかって止まっていただけに、日ごろの行いがいかに重要かが分かるというものだろう。
「ああん、女の子と‥‥せめて生物と出会いたいぃ〜‥‥」
 だが、常盤のソリは森里を弾き飛ばして止まった。最終的に、森里ただ一人が谷底に消えていく。やはり、持って生まれた運だけは、日ごろの行いだけではカバーできないようだ。
 つづいての登場は、バナナの着ぐるみ姿のグリモア(fa4713)だった。
「滑ると言えばバナナ! おや、バナナで釘が打てるぞ?」
 シンプルにしてディープ。それがバナナも凍る極寒のダジャレ世界なのである。
「先生、バナナはおやつに入るんですか!?」
 またもやベタなバナナネタに走るグリモア。阿野次ですら、関わったら凍傷するとばかりに、ただ様子を見守るしかない。
「答えは、No! No! No! Noだ!」
 誰も答えないので、自分で力強く答えるグリモア。
「味よし、栄養価よし、女の子が食べてるの眺めてよし!」
 だが、そこまで言ったところで、ついに絡んでくる強者が!
「違うだろ! 口は口でも、下の‥‥のわっ!」
 いつの間にか戻ってきていた常盤だったが、またも天罰が当たったか、転倒してしまう。そのまま、グリモアを巻き込んで今度こそ地獄へと一直線である。
 そして、ついにディフェンディングチャンピオン、マリアーノ・ファリアス(fa2539)の登場である。前回は1億1ポイントのぶっちぎりで優勝を果たしたマリアーノだが、そんな前の話を誰が覚えているというのか?
 マリアーノ本人が覚えているのである。しかも、屈辱の気持ちと共に。
「クイズに勝って番組的に負けタ‥‥ウケをとれなかったカラ‥‥」
 そんな今回は大トリで登場なわけで、大分ハードルが上がっている気がしなくもないが、そんなコト知ったことではない阿野次は構わず進行する。
『それでは最後の問題です☆ 曲当てクイズで超イントロずどーん!!』
 人数の割りに2問目で最終問題なのが気になるが、肝心のイントロ自体がまったく流れていないので、気にするだけ損というものである。
 ふわふわふわ、ぱやぱやぱや〜♪ ついに曲が流れはじめる。が、マリアーノはピクリとも動けない。
「えッ!? 『世界一長い地名は?』で発注したハズなのニ‥‥」
『問題を簡単にしてあげたのだよ! さあ、この超有名曲は何?』
「えート‥‥ああ、もういいヤ!」
 意を決して、とにかく滑るだけは滑ろう。その後滑ったら、そのときはそのときと、滑り出そうとするマリアーノの横で、なぜか阿野次が物スゴい勢いで滑りはじめてしまう。
 すでに壊れている早押しボタンを一応押すと、カメラ位置を確認し、マイクを握る阿野次。
『はばたいて☆垂直落下! なお、この曲はいっちゃん会心のファースト☆アルバム『僕達の夏にポツダム宣言』に収録。みんな買ってね☆』
 マリアーノに答えられるハズがなかったのだ。見事なまでの阿野次の宣伝だったのだから。
『では、この曲でお別れしましょう。
  舞い降りた天使たち〜
  望めばかなう 天に望め宙に舞え (地獄の断頭台♪ 地獄の断頭台♪) 』
 勝手にエンディングテーマに突入した阿野次に対し、すべてを食われてしまったマリアーノはガックリとうなだれていた。
 ポン‥‥そのマリアーノの肩が叩かれた。見れば、ついに蘇った森里がいたではないか。
「それでも俺は行くのです。これを使って‥‥」
 森里が取り出したるは、ジャンピングシューズ‥‥脳に振動を与えない、打たれすぎ芸人御用達のシューズである。
「これなら滑ってません! 走るだけです!」
 今さらなコトを言いつつも、大跳躍を見せる森里。その姿が、マリアーノの目にはキラキラ輝いて見えた。
 といっても、森里が変なフラグを立ててしまったわけではない、多分。
「よーし、マリスもやっちゃうヨ!」
 普通にスキーで滑るマリアーノ。だが、前方伸身で1回転半し、セントーンの体勢で落ちていくド派手な技をかましてみせる。
 そして、着地点のダミー人形が森里に代わっているのは、もはやお約束である。その衝撃に、両者KO決着である。
 二人のハートもノックアウトがどうかまでは、神のみぞ知るであるが、パトリシアの腐女子フィルタを通して見ると、もはやそれは既成事実であった。
 もっとも、画面は阿野次の歌メインで、一連の二人のパフォーマンスはワイプで小さく抜かれていただけであったが。
 なお肝心の優勝者であるが、極寒の地で果敢に寒いダジャレを体現したグリモアが選出され、賞金10万円が贈られた。