鳥になれ3アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
牛山ひろかず
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芸能 |
フリー
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獣人 |
フリー
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難度 |
普通
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報酬 |
0.8万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
12/27〜12/29
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●本文
TOMITVの自称スポーツイベント便乗チーム。その中核は先輩と後輩だけのわずかに二人だが、競馬場疾走企画の『走れ!』シリーズやKKコンビの番長をリスペクトする『番長』シリーズ、そして数々の芸人を打たれすぎにしていった『ムチャキング』シリーズを作るなど、まさに少数精鋭のチームであった。
そんな彼らが次にシリーズ化を成し遂げようとしているのが、この『鳥になれ』シリーズである。日常的にありふれる様々な場所で、棒高跳びで鳥人になろうというこの企画。現在までに商店街とアミューズメントパークで行われ、早くも多数の鳥人を輩出している。
鳥になれないで、天高くお星さまになってしまっているという話もあるが、企画意図はむしろそっちなので、小さいことを気にしてはいけない。
「ところで、日本の国鳥ってなんだか知っているか?」
「えーっと‥‥キジでしたっけ?」
突然の先輩の出題に、やや考え込みながらも正解を答える後輩。ボケ系のクイズではないので、おもしろ回答じゃないからと怒られることはない。
「お、よくそんなコト知っていたな。というわけで、キジも鳴かずば撃たれまいということで、キジに扮した鳥人たちを撃ち殺‥‥いや、射殺‥‥むしろ、見殺しにする企画を‥‥」
「できるわけないでしょ!」
「しかし、来たるべき酉年に向けて‥‥」
「酉年は去年です! すでに過ぎ去ってますよ」
すぐさま否定してかかる後輩。当然のツッコミとはいえ、これで先輩に火が点いた。
「よし! じゃあ、今回はキジ狩り──ん? キジ狩られか? まあいい──を、とにかくやるぞ! 棒高跳びなんかより、ずっとスリリングだぜ!」
「撃っちゃう時点で、飛ばす気ゼロな気がしますけど‥‥」
後輩がやんわり言うが、『飛べ』ではなくあくまでも『鳥になれ』なので、もはや止めようとはしない。
「じゃ、さっそくリアクション芸人どもを低木林に放し飼いにせねばな!」
こうして、過去2回の棒高跳びのことはキレイサッパリ忘れ、キジに扮して撃たれるという企画がスタートすることとなった。
※マスター注
シリーズと書いていますがシリーズシナリオのことではなく、一連のショートシナリオ群のことを指します。
『キジも鳴かずば撃たれまいに‥‥くっくっく』
ルール
・低木林でキジになり、撃たれぬように(最終的には撃たれる前提で)逃げ惑ってください。
・なんらかの鳥の扮装をしてください。鳥から連想できれば、鳥類である必要はありません。特に指定のない場合は、キジの着ぐるみを着せられます。
・ハンターの側での参加も可能です。ただしハンター側が多すぎる場合、キジ側に回されることもあります。
・日本国内のロケですので、実弾ではなくペイント弾を使用します。
・最後まで生き残った人が優勝。特に賞金、賞品はありません。
・一番おもしろ映像になった人に、賞金10万円が授与されます。
・その他細かいルールは、俺がルールブックだ! と先輩が申しております。
注意点
・番組は安全には細心の注意を払いますが、ケガに対する責任は一切負いませんので、ご了承ください。
過去の放送
・第1回 05月14日 07:00〜
・第2回 10月13日 07:00〜
●リプレイ本文
鳥になれシリーズも、気づけば狩る側と狩られる側に分かれての一大バトルと、荒々しくなってきた。もっとも、棒高跳びがおとなしかったかというと甚だ疑問なので、これ以上の追求は許されない。
そんなことを言っている間にも、早速狩られる側、つまりキジ側が放たれていった。色々と目立つキジばかりなので、順を追って紹介しよう。
「たくましいボディ! 長い首ッ! つぶらな瞳ッ! 鳥として飛べないけど、気にしませーん!」
まずは鳥類つながりで、ダチョウの着ぐるみを着たZebra(fa3503)だ。って、いきなり飛べない鳥だが、まだまだれっきとした鳥類である。
「俺の名はバイオレットバイオレンス、覆面レスラー志望のスタントマンだ。パンダの覆面をかぶっているが、パンダは鳥でないぞ!」
つづく常盤躑躅(fa2529)から、早くも鳥類ではなくなる。ただのパンダの覆面をかぶったマッチョなオッサンである。
「だから、パンダではない! 何を隠そう‥‥いや、ナニも隠さない!」
だからといって、顔に覆面している以外は素っ裸とかいう変質者ではない。単に、着ぐるみを着ていないだけである。
ならば、どこがキジなのか? そう、手にした裁ちバサミを見れば分かるとおり、常盤は(布の)生地職人だったのである。
そして犬神一子(fa4044)あたりになってくると、視聴者側にもかなりの想像力が必要になってくる。
「キジの鳴き声は? そう、ケーンだ。ケーン→ケン→犬と来れば、その神たる犬神が参加せぬわけにはいくまい?」
といっても、犬として参加なわけではない。単に、苗字で一ネタ入れてきただけの話である。3つの顔を持つキジの着ぐるみを取り出すと、それを普通に装着してしまっている。
一瞬犬と思わせておいてのスカシネタか? と思いきや、そうではない。
「この3つの顔をよく見ると‥‥それぞれ、笑い、怒り、泣きの顔をしているだろう? つまり、これは3面記事を表しているということなんだッ!」
くわっと力説する犬神。ようやく本題に来たが、記事なキジというわけだ。
とりあえず、犬神自身に首が3つあるわけではないので、まずは怒りの顔に首を通す。
「‥‥鳥は、飛ぶために身体のほとんどが筋肉だという。キジになるためには、この程度の筋肉ではまだまだ足りない。怒りの鬼軍曹となり、自らの肉体をいじめ抜く! プッシュアップ、プッシュアップ!」
突然、腕立て伏せをはじめる犬神。脳がSで身体がMのキケンな状態である。
そこへキューレ・クリーク(fa4729)がやってくると、犬神のプロテインを取り上げ、麻薬捜査かのように小指で一舐めする。
「主を呼べい!」
次の瞬間、怒りのあまりプロテインをぶちまけるキューレ。
別に、プロテインにバニラ味がついてたのが気に食わなかったわけではない。ましてや、メイドは猫と決めているから犬は許せんというわけでもない。頭が悪キューレなので、プロテインとソバ粉の区別がつかなかっただけである。
そう、キューレはソバの生地を打つというわけだ。常盤の生地とは、また別の生地で攻めてきた。
そして最後に忘れてはならないのが、そのものズバリの鳥のキジである。エキドナ(fa4716)だ。彼女は行動を決めるに際し、4枚のカードをシャッフルして出たカードで決めていた。
その4枚のカードを順にめくったところ、『万年アシスタントから脱出するために』『TOMITVで』『鳥になれ3に』『キジで出演する』と出たのだ‥‥って、4枚しかカードがないんだったら、順番はどうあれそれしか出ない気がするが、残念なコトに彼女は気づいていない。
しかし、エキドナもただキジの着ぐるみを着ているわけではない。テニスラケットやバット、卓球のラケットなどを用意して、『球が打ち返せるなら、弾も打ち返せばいいのじゃ!』という意気込みである。
そして、今度は狩る側を紹介しよう。以上のような怪鳥を相手にするのであるから、もちろんみんな順調に色々と間違えた人ばかりである。
まずは、魔物を狩る魔界のハンターという設定で、コウモリ耳とコウモリ尻尾を生やした湯ノ花ゆくる(fa0640)だ。魔物を狩るどころか、自分がエロい悪魔というか、むしろ淫魔という風貌であるが、本人はすでに殺し屋のオーラを発している。
「ゆくるの‥‥後ろに‥‥立つな‥‥です」
油断なくトンプソンM1を構えている。どう考えてもキジに対して威力過多としか思えないが、本人が勝手に仮想NW狩りと思い込んでしまっているので、止めようがない。
「日本じゃなかったら、実弾を使う気だったんだろうか‥‥」
その様子を遠巻きに眺めていたZebraがボヤくが、慌てて『本物っぽく見えますが、モデルガンです』のスーパーが入ったので問題はない。
一方対照的なのが、尚武(fa4035)である。化粧まわしをつけ、四股を踏んでいる。普通のまわしをつけた方が動きやすい気がしてならないが、その意味のなさこそ元力士の美学らしい。
「どすこーい!」
すり足で巨木の前に立ったかと思うと、それを柱に見立てて、鉄砲の稽古をはじめる。そう、尚武は相撲の鉄砲で勝負しようというのだ。力の武士たるもの、銃火器を使ったりはしない。
そして最後に登場は、きっちり猟銃を持ったパトリシア(fa3800)である。ならば服装も伝統的またぎスタイルでと思いきや、スーツにロングコート、サングラスにシガレットチョコと、むしろマフィアンな感じである。
「猟友会の名にかけて、キジンヘンジ‥‥もとい、キジどもの命(タマ)、きっちり殺(と)らせていただきます!」
そこまではよかったが、パトリシアが突然突拍子もないコトを言い出す。
「ところで‥‥5人に対して3人では、ハンターが多すぎる気がしませんか?」
次の瞬間、振り向きざまに湯ノ花を撃つパトリシア。だが、五感を研ぎ澄ましていた湯ノ花はとっくにその行動を読んでおり、木陰に隠れて反撃の機会をうかがっている。
「やりますね‥‥では、無難なところから減らしていきますか‥‥」
今度は、相変わらず稽古に精を出す尚武を撃ちにかかるパトリシア。湯ノ花のことがあったので、さすがに避けにかかっていた。体格を活かし、ゴロゴロと転がって逃げ惑う。
「背後に‥‥立っちゃい‥‥ましたね‥‥」
しかし、逃げ着いた先が悪かった。湯ノ花の背後だったのである。銃口を突きつけられ、絶体絶命の尚武。そこへ、パトリシアもやって来る。
「くっ、もはや出すしかないのか、殺人鯖折りを‥‥いわゆる鯖折りではなく、某格ゲーのピストンタイプのヤツを!」
どう考えても相手が女性だからの技を変形させたとしか思えないが、そのセリフがパトリシアと湯ノ花の逆鱗に触れる。二人がかりで蜂の巣とされた。
別に実弾ではないので、実際に死ぬこともケガすることもないのだが、尚武はすでに役に入り込みすぎているので、死体役として微動だにしなくなる。
「後一人‥‥でも、やはり競い合う相手がいないと燃えないですものね」
「獲物の‥‥数で‥‥勝負‥‥なのです‥‥」
握手をかわすと、無慈悲な女神となったパトリシアと湯ノ花が散っていく。
「まったく、とんでもない連中だな‥‥しかし! 俺はしゃがみこんで茂みに隠れているので問題ない。ダチョウだけに、キジのように頭隠して尻隠さずということもない」
その様子を見ていたZebraが呟く。きっちり尻は隠していたものの、高すぎる頭がそもそも隠れてはいなかった。ましてや、大柄なZebraが中身なのである。普通にいい的であった。
「見敵‥‥必殺‥‥なのです‥‥」
果たして、あっさり湯ノ花に見つかるZebra。ズドンと一撃である。
「ぎゃー!」
大仰に悲鳴を上げ、Zebraがオーバーリアクションで逃げていく。致命傷には至らなかったようだ。まあ、どの段階で死ぬかは演者のサジ加減一つであるが。
一方の湯ノ花も色々と使いたいお年ごろなのか、わざわざGlockenspiel17を抜くと、それで撃つ。
「ぎゃー‥‥って、あーれー!」
飛び上がって悲鳴を上げたZebraだが、今度はクルリと振り返る。クチバシと足のダチョウアタックで反撃に転じようというのだ。
しかし、体勢を崩して脇の崖から落ちてしまう。期せずして、飛べないダチョウがついに最期に飛んだ瞬間となった。着ぐるみの鳥で飛んでしまったら、色々と問題になってしまうところだが、飛ぶという名の墜落なら問題はない。
「これぞ‥‥本当の‥‥撃墜マーク‥‥ゲット‥‥なのです‥‥」
一方、パトリシアの方は未だ索敵の段階にあった。そして、そんな自分を追跡している影があることに、気づいてもいなかった。
「逃げ回るのにも、もう飽きた‥‥まだ5分と経ってないけどな! っつーか、俺様の愚息が『一人でも多く道連れに、このハサミで着ている服の生地を切り刻み、開放感溢れる素敵ファッションを見せてくれ』と囁きかけてくるのよ!」
色々な意味で辛抱たまらなくなった常盤だった。もはや爆発寸前、ならば暴発しかない。
「獲物が黙って狩られるだけだと思ったら、大間違いだぞ! ぐひひひひ‥‥」
下卑た笑いを浮かべて飛び出した常盤が、撃たれるよりも早くパトリシアの服の胸元を切り裂いていく。常盤は職人の腕を遺憾なく発揮し、肌を一切傷つけることなく服の生地だけを切り‥‥って、違う種の職人の気がしてならないが。
だが、狩るか狩られるかの真剣勝負に、パトリシアは戦女神となっている。まったく気にすることなく、すれ違いざま常盤の股間を打ち抜く。
「俺の愚息も大満足ー‥‥ガクッ!」
そして、常盤は果てた。
「‥‥まあ、直接触ったわけではないですしね‥‥」
そのころ、すっかりバンプアップしたことに満足した犬神が、今度は笑いの顔に頭を通していた。
「うわっ!」
「‥‥‥‥」
と、その犬神の目の前でキューレと湯ノ花がバッタリ鉢合わせになる。思わず声を上げてしまうキューレに対し、湯ノ花は機械的に銃を構える。しかし、キューレも咄嗟に飛びずさり、犬神との距離は大差ない。湯ノ花はどちらを撃つのか?
答えは、とりあえず的の大きい犬神だった。しかし、ここで犬神のおそるべき笑いの記事が炸裂する。
キューレを引っ張り込むと、平然と盾にしてしまったのだ。
「生地も伸びねば打たれまいに‥‥」
断末魔の叫びを残し、キューレが倒れる。
「はっはっは、惜しかったな。さらばだ!」
そして、笑いながら去っていく犬神。先程の常盤とはまた違った、最悪の笑い声である。
「追いつめられた‥‥魔物は‥‥何をしてくるか‥‥本当に‥‥分からない‥‥ですね‥‥」
相変わらず魔界ハンターキャラ継続中の湯ノ花だったが、犬神こそまさに現代社会の魔物であった。まあ、だからこそ記事になるのだろうが。
湯ノ花が決意も新たに、湯ノ花が犬神を追う。だが、すぐにムクっと起き上がるキューレ。
「‥‥あれ? なんで生きてるんだろ? そうか、生地が守ってくれたんだな! よーし、ここはちゃんとソバにして食って、供養してあげねば!」
思いを新たにするキューレ。しばらく歩いていくと、Zebraのダチョウが不自然な角度で倒れていた。どうやらここは、あの崖の下だったようである。
「鳥南蛮ね、じゅるり‥‥」
思わずヨダレが出てきてしまうキューレ。しかし、それをキッカケに何かを思いついたようだ。
「‥‥ソバを打つ前に鳥を撃たねば、鳥南蛮にたどり着けないってわけか!」
狩られる側から狩る側へ。ヴァルハラのキューレ、勝手に出陣である。
「バッチコーイ!」
そのころ、エキドナはホームラン宣言をしていた。ピッチャーのパトリシアが現れたからである。
いや、パトリシアは乗る気はまったくなかったのだが、異常なテンションのエキドナにすっかり流されてしまったのだ。
「白球よ、天高く飛んでいくのじゃ‥‥って、白くないのじゃ?」
ホームラン以前に、見事なビーンボールを食らうエキドナ。ペイント弾が白いハズもない。
デッドボールに倒れたエキドナに、銃口を突きつけるパトリシア。
「死ぬ前に、何か言い残すことは?」
「‥‥やらせはせん、やらせはせんぞえ!」
エキドナが言い終わるかどうかのところで、あっさり撃つパトリシア。非情キャラにすっかりノリノリである。
「なっ!」
「ふふふ‥‥どんな球技でも、来るなら来いじゃ! どーんと跳ね返してくれたわ」
だが、エキドナは死ななかった。咄嗟に口にくわえた卓球ラケットで、弾を防いでみせたのだ。おそるべきは、脱万年アシスタントへの執念。少しでも長く映っておきたいのである。
が、そんなコトが長々とつづくハズもない。バッターだったハズのエキドナが、結局パトリシアに滅多撃ちにされて大炎上降板である。
一方、猟銃を持ったキューレは、ついに犬神を追い詰めていた。対する犬神は、泣きの顔に首を通している。
「おい、そんな危ないもの、こっちによこしな‥‥」
なんとか猟銃をしまわせようとする犬神だが、そんな言葉でキューレの食欲が引っ込むハズもなかった。
「鳥ー南ー蛮ー!」
チャーシューメンとでも言うかのように、引き金を引くキューレ。
「なんじゃこりゃあ! まだ死にたくねぇよ!」
ペイント弾の跡なので死ぬことはないが、腹を押さえながらきっちり息絶える犬神。
こうして、戦いは終わった。戦果は、パトリシア2匹、湯ノ花1匹、キューレ1匹、尚武0匹でパトリシアの勝利である‥‥が、それで賞金が決まるわけではない。
結局、優勝は鳥南蛮にありつけたキューレとなり、賞金10万円が贈られた。