ムチャキング10アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
牛山ひろかず
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芸能 |
フリー
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獣人 |
フリー
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難度 |
普通
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報酬 |
0.8万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
02/07〜02/09
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●本文
TOMITVのスタッフルーム。その中の自称スポーツイベント便乗チームで、二人の男がボンヤリと会話をしていた。
「休止状態にあったムチャキングだが、そろそろ復活させようと思う」
「えっ!」
「それでだな。スポーツに便乗するのはやめようと思う!」
「ええっ!?」
先輩の宣言に、後輩が驚くのはムリもない。
ムチャキング‥‥その名のとおり、ムチャの王様。
最初は火薬で発射するピッチングマシンに挑むという企画だった。
だが、回を重ねるごとにキケン度が高くなりすぎ、それを危惧して方向性をシフトしてからは、今度はスポーツから遠くなってしまった。
やがて収録は見送られ、気づけばそのまま忘れ去られようとしていた。
だが! ここでついに復活宣言が飛び出したのである。
「ついに‥‥やるんですか? で、何を?」
「‥‥熱湯風呂だッ!」
「へ? 熱湯風呂?」
「そうだ。微笑ましいムチャの伝統芸といえば、熱湯風呂! 今の我々に大切なのは、ムチャっぷりに引かれてしまうのではなく、ムチャっぷりに笑ってもらえることだと思う」
「それはそうですが‥‥またベタな‥‥」
「こういうときこそ基本に立ち返って、ベタなモノの方がいいんだよ!」
先輩のムチャキングにかける気迫に、後輩もまた失われていた何かが蘇るのを感じていた。
「だったら、現在空位のムチャジャックを決めるコトからはじめてはどうです?」
「お、いいな! それで行こう!」
こうして、熱湯風呂に挑むという、ベタなムチャキングがはじまることとなった。
『ムチャジャック決定戦! ムチャキング10』
熱湯風呂でムチャ度を競い合います。
浴槽に入りさえすれば、中は熱湯以外の何が入っていようと構いません。
浴槽の中身のムチャ度、そのガマン具合を競うのではなく、それらを踏まえたリアクションのよしあしを競い合います。
基本的にスタジオで収録しますが、ロケのVをスタジオで流すことも可能です。
事前に用意される小道具
・大概のものは用意されます。持ち込みも可です。
注意点
・死んではいけません、殺してもいけません、法は守りましょう。
・それ以外はご自由にどうぞ。でも、スタッフがルールブックです。
ムチャジャックの選出について
・優勝者には、職業としてムチャジャックを名乗る権利が与えられます。
・ムチャジャック選出は、スタッフの独断と偏見による判定で決まります。
・女性でもムチャジャックです。
・万が一、ムチャキング、ムチャ女王様が優勝した場合は、おもしろくなる方向で新たな職業が決まります。
現在の格付け
・ムチャキング :チェダー千田(fa0427)
・ムチャクイーン:草壁蛍(fa3072)(現ムチャ女王様)
・ムチャジャック:空位
過去の結果
・第1回 七枷伏姫(fa2830)が優勝(ノンタイトル戦)。
・第2回 夏姫・シュトラウス(fa0761)が優勝(ノンタイトル戦)。
・第3回 朱凰夜魅子(fa2609)が優勝(ノンタイトル戦)。
・第4回 佐渡川ススム(fa3134)が優勝(ノンタイトル戦)。
・第5回 Tyrantess(fa3596)が優勝(ノンタイトル戦)。
・第6回 チェダー千田(fa0427)がムチャジャック、草壁蛍(fa3072)がムチャクイーンを獲得。
・第7回 チェダー千田がムチャキングを獲得。
・第8回 チェダー千田がムチャキングを引き分け防衛。
・(【AoS】海プロごっこにて、草壁蛍がムチャプリンセスに降格)
・第9回 チェダー千田がムチャキングを防衛。
・(プロレスごっこ新春SPにて、草壁蛍がムチャ女王様に昇格)
過去の放送スケジュール(最近5回分)
・ムチャキング5 06月12日 22:00〜
・ムチャキング6 06月18日 22:30〜
・ムチャキング7 07月17日 08:00〜
・ムチャキング8 08月08日 07:00〜
・ムチャキング9 10月07日 07:00〜
●リプレイ本文
本番収録前の控え室の様子からはじまる、本日のムチャジャック争奪ムチャキング10。
まずは無論、女子更衣室の映像である。朝っぱらからムダにお色気で釣ろうという、大変すばらしい構成である。
「ハォ! こういうのは、やっぱりインパクトで勝負よね。でも、いいチャイナドレスがないなぁ‥‥」
しっかりカメラ目線で挨拶してしまっていたが、竜華(fa1294)が鏡の前で衣装を合わせては、決めかねていた。
「人生、生きているうちが華! 死んじゃったら、はいそれまで〜よ〜宣言ッ☆」
一方、阿野次のもじ(fa3092)は熱湯風呂に入らない盛り上げ役での出演だったので、まったりくつろいでいた。
「ただ、サービスで水着にならんこともない! だって、アイドルだもの☆」
そう言って、竜華に用意された水着の一つに手を伸ばす阿野次。
「〜ッ!?」
だが、次の瞬間に映されたものは、バスタオルを巻いて水着を床に叩きつける阿野次の画だった。
「すかすか? しゃらーぷー!」
竜華とは立端が全然違うこともあるが、それを差し引いてもなお余りあるほどブカブカで、もはや逆ギレして竜華の水着に当たるしかなかった。
「風呂番組、これで何度目じゃろか‥‥」
そして、顔では遠い目をしつつも、下は素っ裸のせいで全身モザイクなのがDarkUnicorn(fa3622)である。
身体に何かを貼っているようだが、モザイクだけによく分からない。まあ、現在準備中なだけで、無論そのまま本番を迎えるわけではないが。
このような女子三者三様の出番待ちの様子をお送りした後、いよいよ待ってましたの男子更衣室編である。
が、実際には誰も待っちゃあいないので、海パン姿のウィン・フレシェット(fa2029)、Zebra(fa3503)、片倉神無(fa3678)、バッカス和木田(fa5256)が年齢順にサブリミナル並みに一瞬だけ映って、終わりである。
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ〜」
Zebraがベタに待ったをかけているが、ザックリカットで本番スタートである。
一応、全員がひな壇で待ち構える中、トップバッターとしてそのZebraが入場してくる。
そこへ、透明の浴槽に湯気の立ち上る熱湯の張られた、オーソドックスな熱湯風呂も運び込まれてくる。
「最初にやっちゃうぞ。そのままジャックを獲っちゃうぞ。え、いいの?」
Zebraが煽るが、誰一人としてひな壇から腰を浮かせてもいない。
「みんな、素直じゃないな! さてはツンデレか!?」
が、今度はリアクションを待たず、早くも浴槽の縁に手足をかけるZebra。
「‥‥いいか、押すなよ、絶対に押すなよ!」
ベタに振り返って確認をとるが、肝心の押す人物が、押せる範囲内に一人としていない。
「押せよ!」
ついにZebraがキレ芸に走ったところで、盛り上げ役の阿野次が飛び込んでくる。
「キングになりたければ、なりたいときに勝手に入ってキングになるがいい。さすれば、直訳で歌えもしよう! が、一人で入れないお子ちゃまには、いっちゃんが背中を押してあげようぞ☆」
キングじゃなくてジャックだろうがとか、直訳ロックなんて誰も覚えてねーよとか、そんな外野の声は一切無視し、飛び蹴り一閃でZebraを突き落とす阿野次。
「あちーっ!」
一しきりお湯を撒き散らして暴れた後、なんとか生還するZebra。とはいえ、まだ床の上でのた打ち回っているが。
「ハァハァ‥‥ありがとう‥‥」
ビッと阿野次に親指を突き立てると、なぜか頬を赤らめるZebra。やり遂げた男の照れが、そこにはあった。
「なっちゃねーな‥‥」
だが、それに異を唱える男が一人。片倉だった。
「なにぃっ!?」
「熱湯風呂といえばやせガマン、やせガマンといえばハードボイルド、ハードボイルドといえばこの俺だ。固ゆで卵をどう作るのか、本当のハードボイルドを見せてやろう‥‥が、まずはお嬢さんたちの番だ‥‥」
竜華の水槽が運び込まれてきたので、あっさり引き下がる片倉。対するZebraも、海パンで水浸しのまま、ひな壇に着席する。
やはり透明な浴槽に、乳白色の液体の入った熱湯風呂。それに対し、素っ裸の竜華。
って、素っ裸? モザイクもなしに? いや、ニプレスをしている。
って、それだけ? 下はなし? いや、一瞬まぎらわしいが、肌色のピッチリしたスイムスーツである。
CETなら抗議殺到なのかもしれないが、TOMITVではこの程度日常茶飯事なので、むしろもっと激しく! という抗議しかかかってこないくらいである。
早速、そのままの格好で入る竜華。持っていたブラシで身体を洗うと、どんどん泡立っていく。そう、乳白色の正体は、石けん水であった。
そのまま、両手で泡をすくって吹いたり、お風呂のCM狙ってるのか? というような体である。
「心頭滅却すれば‥‥って、やっぱり熱いわねぇ」
が、いかにさわやかに演じてみせたところで、熱湯風呂に変わりはない。ちょっと上気して色っぽい程度で上がらなくちゃ、と竜華が思いかけたところへ、今度はDarkUnicornが飛び込んでくる。
「そんなデザインの水着の上、白く濁って見えないとはナニゴトじゃ! わしなら、見せる! むしろ見てください! なのじゃ」
そう言って、透明な浴槽に透明なお湯の張られた熱湯風呂を運び込ませる。
「わしなぞ、ちゃんとウサミミにタオルなのじゃ。下はカラーストッキングしか履いておらんのじゃ」
控え室のまま素っ裸ということはなく、胸にはタオルを巻き、下半身はカラーストッキングでガードしているDarkUnicorn。無論、ストッキング越しにも透けてはいけないモノは、すでに処理済みである。
「真のB級ヨゴレアイドルの生き様とはこういうものだと、その目に焼きつけておけい!」
「普通にグラビアでいたいんだけど‥‥ね」
目指す方向性の意味不明さに竜華もあきれ気味だが、とにかくそのまま飛び込むDarkUnicorn。
「‥‥って、熱い! 熱すぎるのじゃ!」
慌てて湯船から飛び出してくるも、ストッキングがお湯を逃がさず、大惨事である。
「ハードボイルドといえば、か弱い女性を背中で守る漢なのじゃ!」
片倉たちに、ストッキングを脱ぐための壁になれと、暗に迫るDarkUnicorn。仕方なく、男性陣が壁になるべく集まってくる。
そんな男性陣に囲まれた中、ストッキングを脱ぎはじめるDarkUnicorn。ストッキングの下にパンツなどはいていないが、今はそれどころではない。
もっとも、まだ幼いウィンはそもそもマトモに見てられないし、Zebraと和木田は大人のエチケットとして目をそらしている。
が、片倉はハードボイルドなので、目をそらしたりはしない。真正面からガン見である。むしろ、その視線で濡れさせるくらいでなくては、ハードボイルドは名乗れないのである。
もっとも、DarkUnicornは大切な部分に絆創膏を貼っておいたので、なんとかモロは避けられていたが。
「ハードボイルドだけあって、情け容赦なさすぎなのじゃ‥‥」
そして、真っ赤になったDarkUnicornが逃げるように去っていく。
「じゃあ、今度こそ見せてもらおうか。ハードボイルドってヤツをよ‥‥」
「‥‥いいだろう。ちょっと待ってろ」
そして、竜華がその格好のままひな壇に戻ると、Zebraが片倉に促す。
すると、片倉はなぜか舞台袖に行き、釣鐘を転がしながら入ってくる。
「こいつを吊るして、頭で突く‥‥なんてことはしねえ。まず、下から火であぶるんだよ」
普通の浴槽ではない、巨大なプールのセットへと移動しながら、淡々とムチャな解説をする片倉。
早速、釣鐘が熱せられていく。熱し切るまでを利用して、次のウィンと和木田が先に行われることになった。
「美少年柳川鍋にチャレンジ〜! ワ〜、パフパフ〜!」
自分で美少年と言うのもどうかと思うが、用意された巨大鍋の中に入っていくウィン。柳川鍋といっても、ドジョウの代わりにウィンが入れられるわけではない。柳川の食材の中に、さらにウィンが入るだけのコトである。
というわけで、早速ヌルヌルのドジョウに群がられる美少年の画。DarkUnicornと大差ないエロ画面なので、サクっと和木田の方にカメラが寄る。
「熱湯に浸かるといえば江戸っ子。つまり、ハマっ子がシュウマイ湯に入るなら、江戸っ子はソバをツユに浸けずに食す! むしろ、そば湯に浸かる! ということでございます」
江戸っ子でもなんでもない和木田だったが、とんでも理論の前では瑣末なコトに過ぎない。なので、そば湯の満たされた鍋が運び込まれている。
「細く長く末永く、それがそばの心意気。一説に‥‥」
和木田のそば講釈が長くなっているが、それよりも問題は目の前のそば湯である。ゆず湯とそば湯では湯の意味がまったく違うが、今この場ではまったく同じ意味で使われてしまっている。
「‥‥ですので、江戸っ子の誇るそばっ喰いを極めたいと思います」
そう言って、そば湯に浸かりながらそばを食べはじめる和木田。
「山葵を擂って、むしろ山椒は小粒でもピリリと辛いというコトで、山芋を擂って入れるとろろそば!」
和木田が、巨大おろし金代わりの洗濯板で山芋を擂りはじめる。こちらも、順調にヌルヌル系になりそうである。
一方、ウィンの鍋はグラグラと煮立っており、すでにウィン本人は上がってしまっている。そこへ、ゴボウが投入され、卵が投入されようとしていた。
「おいしいよ!」
巨大鍋の前で、笑顔で決めるウィン。しかし、同時に『この柳川鍋は、これから全部おいしくいただきます』とも表示されている。
ということで、たった今からウィンが全部食べて処理しなくてはならなくなった。
その光景を目の当たりにした和木田が、あっさりそば湯から上がる。
「僕、一介の漫談師ですし。ムチャしません‥‥」
あっさり番組タイトルを否定する和木田。これが売れないながらも50近くまで漫談師をつづけてこれた保身テクである。
「ヤツは退いたか。だが、ハードボイルドには許されん。倒れるときは前のめりだ」
その様子に、片倉が燃えた。すき焼きの卵すらも固ゆでといわれるほどのハードボイルドっぷりである。
「太く短く前のめり、片倉さんの心意気に乾杯です」
和木田はすでにひな壇で冷たいドリンクをもらい、竜華と談笑までしてしまっている。だが、片倉は気にもせずに精神集中に忙しい。
「このキンキンに熱された釣鐘を‥‥プールに落とし、茹でた上に蒸し焼く!」
が、肝心の見せ場は再登場のDarkUnicornに奪われた。世の中、オッサンよりも、若いお姉ちゃんなのである。
「先程のは手違いじゃ! このうさにゃん風呂こそが本当なのじゃよ!」
ウサギと猫が入れられた浴槽が運び込まれてくる。その中へDarkUnicornが入るが、身体にエサが塗ってあったので、舐められてまたも大惨事に。
特殊なフェチの人向けAVのようになってしまっているが、それを平然と垂れ流すのがTOMITVクォリティ。
その後、腰の立たなくなってしまったDarkUnicornが、そのまま浴槽ごとガラガラと下げられていく。
「何しに出てきたんだ?」
そのころ、片倉は耐え切ってしまっていた。画的におもしろい頂点を過ぎていたので、竜華と和木田が手伝いにひな壇から下りてくる。
「カプサイシン、健康にいいのよ」
苦しみながらも巨大柳川鍋に苦戦するウィンの横で、さらに巨大な鍋を作るべく、唐辛子を投入してしまう竜華。
「そうだ! キムチ鍋にしよう」
これまで黙って見届けていたZebraだったが、悪乗りしてキムチを投入してしまう。
「辛味の次は絡み、つまりトロミね!」
ならば負けじと、竜華の指示で和木田がこれでもかと片栗粉を投入している。すでに、闇鍋以下である。
「バカヤロウ! 片栗粉を直接投入するとは何ゴトだ! ちゃんと水で溶いてから、少しずつ入れていくものだぞ!」
こんなときでも、料理にはうるさい片倉であった。たとえ、自分自身が調理される食材であったとしてもだ。
「でも、これ片栗粉じゃなくて片倉粉だから、直接投入で問題ないのよ〜」
ナゾの白い粉に早変わり。そこへ、阿野次が飛んでくる。
「ボス、こりゃヤクですぜ!」
阿野次が勝手に小指につけて一舐めするが、実際の片倉粉の正体は水酸化ナトリウムである。水に溶かす際に発熱するのでちょうどいいと思ったようだが、アルカリ性なコトはまったくの考慮外である。
もっとも、リトマス試験紙が赤から青に変わろうとも、ハードボイルドは逃げたりしない。
その間に、ウィンが食べきれなくなった自分のダシたっぷりの柳川鍋を、密かにプールに流し込んでいる。
「さあ、熱いうちに食ってくれ!」
そこへ、ハードボイルドっぷりを見せつけられたZebraがムチャブリをする。
が、気づけば早くもED曲『黄色い潜水艦』が流れはじめてきた。歌うは、無論阿野次である。
『 いえのーりびんぐに いるぞサブごにん!
いえにサブごにん♪ いるぞサブごにん♪ 』
別にサブだけに同性愛者というわけではないが、マッチョなエキストラの兄貴たちが出現する。そして、屈強にやさしく、片倉を鍋の中により深く沈めてくれる。
「さあ、16数えるのが江戸っ子のたしなみです。‥‥13、14、今なんどきだい?」
和木田も他人事だけに、勝手にボケて乗っかってしまう。
結局、ムチャジャックは誕生しなかった。その代わり、ハードボイルドすぎる片倉がハードボイラーに就任したという。