番長の自主トレアジア・オセアニア

種類 ショート
担当 牛山ひろかず
芸能 フリー
獣人 フリー
難度 やや易
報酬 0.7万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 02/08〜02/10

●本文

 TOMITVのスタッフルーム。その中の自称スポーツイベント便乗チームで、二人の男がボンヤリと会話をしていた。
「シーズンオフとはいえ、2007年に入ったわけだし、そろそろ番長シリーズも始動しようかと思うんだが‥‥」
「もうそんな季節ですか。そんな間にも、KKの片割れはマイナーに、番長と同時に入った元メジャーリーガーは野良にと、いろいろありましたねぇ‥‥」
「そうだなぁ‥‥」
 わずか数ヶ月間のできごととはいえ、遥か昔を懐かしむように遠い目をする先輩と後輩。だが無論、ただ遠い目をしたままフェードアウトできないのが便乗チームの宿命。
「でだ。自主トレっていっても、番長的には鋼の肉体をムダに鍛える時期であるわけだが‥‥我々が何をするのか、それが問題だ」
「そこで、我々がその肉体美を披露する場を用意するわけですよ!」
「なるほど! やはり、見られる悦びがないと、鍛える甲斐がないというものだな!」
「そうですよ。番長は競技のために鍛えてるんじゃなくて、見せるために鍛えてるんですから!」
 相変わらず、リスペクトじゃなくて小バカにしてねえか? という外野の意見も聞こえてきそうだが、気にせずに肉体美を見せつけるだけの番長リスペクト企画の第10弾が問答無用でスタートするのであった。

『デカーい! バリバリ! キレてる編』

ルール
・全員が番長とかに扮して、肉体美を披露します。別にマッチョである必要はありません。
・場所は野球場ではなく、スタジオ収録となります。
・戦い方ですが、ボディービル大会風に行います。あくまでも『風』ですので、採点したりはしませんし、勝者も決めません。
・撮りたいものは、おもしろ番長映像です。観客の声援が大きかった番長が優勝となり、賞金10万円が授与されます。声援の質は問いません。
・その他細かいルールは特にありません。が、番長でも法律は守る必要があります。

過去の放送スケジュール(最近5回分)
・番長だらけの水泳大会 7月17日 9:00〜
・【AoS】スケ番Bサッカー 7月30日 07:00〜
・番長の千本ノック 8月17日 7:00〜
・【PSF】番長だらけ野球 9月19日 07:00〜
・番長のストーブリーグ 10月21日 7:00〜

●今回の参加者

 fa0295 MAKOTO(17歳・♀・虎)
 fa1790 タケシ本郷(40歳・♂・虎)
 fa2850 琥竜(26歳・♂・トカゲ)
 fa3072 草壁 蛍(25歳・♀・狐)
 fa4120 白海龍(32歳・♂・竜)
 fa4878 ドワーフ太田(30歳・♂・犬)
 fa5394 高柳 徹平(20歳・♂・犬)
 fa5423 藤間 煉(24歳・♂・蝙蝠)

●リプレイ本文

 番長といえば肉体美。そこで世に星の数ほどある様々な筋肉フェチを満たすべく、なぜか『自主トレ』と銘打たれたこの番組ができたわけである。
 そして、肉体に審判を下すのが観客の声援ということで、めずらしく観客席がぎっしりと詰まっている。観客席の最前には高柳徹平(fa5394)が座っていたが、あくまでも観客の一人という扱いなので、一切いじったりはしない。
 そんな中、会場の空気が一気に切り替わる。トップバッターとして、格闘家のMAKOTO(fa0295)登場である。
 番長は筋肉に妥協を許さないので、MAKOTOも本物のボディビル大会風に登場である。筋肉を誇示する部分を広くとるために、極力面積の少ないビキニ。肌は無論、ワセリンでテカテカに光らせている。
 鍛え上げると胸囲こそ大きくなるものの、トップとアンダーの差が縮まってカップは小さくなるのが普通である。しかし、MAKOTOは鍛え上げられた肉体ながらもJを維持するという、女性羨望の稀有な肉体を有するセクシャルモンスターなのである。
 まずはダブルバイセップス・フロントで、上腕二頭筋の強調からである。番長らしさを出すためにビキニの上に極小短ランを着ていたのだが、その上からも力こぶをアピールする。
「デカーイ! サイコー!」
 高柳がエールを送っている。どうやら、本日は声のみの出演となりそうな気配である。
 MAKOTOはそのままラットスプレッド・フロントへと移行し‥‥と、普通にボディビルのポージングを次々に披露していく。
 そして、モスト・マスキュラーでシメる。
「よ、日本一! もっと脱げ!」
 その勢いにまかせて、勝手なコトを言い出す高柳。MAKOTOもそれに応えて、短ランを脱ぎ捨てて、今一度ダブルバイセップス・フロントから‥‥と思いきや、ガウンを脱ぎ捨てるのと勘違いしたタケシ本郷(fa1790)が、プロレスの試合がはじまるのだと思って走り込んでくる。
「肉体美は、戦い合ってこそ映えるもの。互いに切磋琢磨し合い、プロテインとか卵白を一杯とるものなり‥‥」
 意味不明のコトを言いつつも、試合開始前の握手をかわそうと手を差し出す本郷。突然のコトに、MAKOTOもついつい手を差し出してしまう。
「すでに試合ははじまっているッ!」
 MAKOTOの手をたぐり寄せると、背後から腰を抱え込む本郷。後は、そのままへそで投げるのみである。
「行ったぁ! デインジャラスバックドロップだぁ〜ッ!」
 なぜか実況に早変わりの高柳。一応、観客の体で足を踏み鳴らしたりもしている。
 筋肉がつけばつくほどブリッジはしづらくなるものだが、そこをキレイな弧を描いて腹筋を見せつけるのが本郷クォリティ。突然の不意打ちにより卑怯さ加減も、割れに割れた腹筋で押し黙らせるのである。
「いてて‥‥って、そういうこと!?」
 頭を叩きながらMAKOTOが起き上がると、本郷は餓えた狼界に伝わるシュートの合図を出していた。
 こうして打撃戦主体の戦いがはじまるが、そうはいっても本郷は生まれついてのプロレスラーである。きっちり打撃を受け切り、最終的にやられてみせる。
「‥‥MAKOTOよ。今から、お前こそ真のバンチョウ・オブ・ハート‥‥ガクッ!」
 最後まで意味不明のコトを吐きながら、ついに息絶える本郷。MAKOTOはただポカーンとするしかできない。
「キレてる、頭の線がキレてる!」
 高柳が本郷に賛辞を送る中、本郷とMAKOTOが引き上げていく。とはいえ、観客は歓声とブーイングが渦巻く微妙な空気である。
 そこへ、突然の試合の合間を埋めるラウンドガールよろしく、藤間煉(fa5423)が会場に上がってくる。
「本格的なバラエティ番組って、これが初めてだったりするから、出来ればお手柔らかに‥‥俺を見てくれーッ!」
 謙虚に登場かと思いきや、多数の観客に変なスイッチが入ってしまったか、突然Tシャツをビリビリ破って上半身を露出しはじめる。
「ブー! ブー!」
 しかし、藤間は長身ながらも痩身で、ビジュアル系バンドとしてならアリなのだろうが、ここにいる観客は筋肉を見に来ているのである。よって、大ブーイングとなるのはまぬかれない。
「いいぞ! もっと脱げ!」
 ただ一人、高柳だけが男女区別なく脱がそうとしているのを除いて。
 しかし、この声援に藤間は勇気づけられてしまった。ただでさえ、浴びるブーイングに失禁しそうなほどの快感を感じてしまっていたのである。
「こんな自分‥‥結構好きよ」
 藤間が脳内で確実に変な物質垂れ流し状態の中、琥竜(fa2850)が負けじと乱入してくる。何が負けじとなのか? 貧弱な肉体がである。
「いえーぃ、おいらは琥竜! やっぱし番長な話ってんだったら、ハマっ子はだまっちゃいられねーよな!」
 ハマの番長らしくリーゼント、今どきありえない裏地に刺繍の洋ランにフォータックのドカン‥‥旧き良きヨコハマがそこにはあった。
 が、そこからのぞく肉体は貧弱そのもの。
「肉体美を晒すってんだから、それなりの身体を作っておかねーとな」
 身体作りに筋トレをすればいいものを、ボディビルダーは試合で筋肉を浮き立たせるために極限まで脂肪を削るというところだけ鵜呑みにしていたので、筋肉も脂肪もなく余計にガリガリになってしまっている。
「へっぷしん! あー、さみーよ」
 よって、豪快な格好とは裏腹に、冬の気候に対する抵抗力がまるでなかった。
「ナイスですね〜! ちょっと絡んでみましょうか‥‥」
 琥竜登場でブーイングが余計にヒドくなる中、高柳だけがぶっ飛んだ声援を送りつづける。
 しかし、藤間は脳内麻薬大量分泌中で、琥竜は逆に脳に糖分が回っていない。二人ともそんな状態に大ブーイングを浴びてトランス状態にあるので、ついつい高柳の言葉に従ってしまう。
「最近男同士の絡みとか人気だったりって聞くし、性別気にせず行ってみよっか!」
「どMのおいらを、弄り倒してくれじゃん!」
 半裸のガリガリ男たちが抱き合う光景。それに耐えられなかった草壁蛍(fa3072)が、ついに飛び出してくる。
「そんなものが見たいんじゃないわよ!」
 ムチでツッコミを入れると、すかさず鉄下駄で蹴り飛ばす。
「ピンヒールがよかったー‥‥」
 ドM魂の断末魔を残しつつ、軽いのであっという間に舞台袖まで吹き飛ばされる藤間と琥竜。
 こうして草壁が会場を占拠した瞬間、照明が落ちた。そして、ピンク色のスポットライトに、流れるはタブー。
 となれば、やることは一つしかない。たとえ、今の草壁の格好が長ランにボンタン、中は赤シャツ、足は下駄、そして割れた学帽にクローバーをくわえた番長ルックであったとしてもだ。
「ちょっとだけよ〜ん」
 とろけるような甘い声になる草壁。そして、誘うように脱ぎ出す。
「いいぞ〜! もっと脱げ〜!」
「あんたも好きね〜」
 熱狂する高柳に、脱ぎながら草壁が近寄っていくと、その頬から顎にかけて、そっと指でなぞる大サービスである。
 が、甘美な時間もそこまで。草壁が脱ぎ終わってしまったのだ。つまり、下着姿‥‥といっても、草壁はムチャ女王様である。
 セパレートのレザーボンデージの上から毛皮のコート。おみ足にはエナメルのハイヒール。どう考えても脱ぐ前よりゴテゴテ着ている気がするが、脱いだ結果の格好である。
「いい声でお鳴き!」
「ああっ! もっと!」
 観客席は、局所的に阿鼻叫喚の地獄絵図である。
 ここで照明が元に戻る。未だに高柳の悲鳴は聞こえていたものの、観客席の声援の一つに過ぎん! ということで、構わず続行である。
 そしていよいよ、かぶり物系の世界へようこそである。といっても、番長は宇宙人ではないので、着ぐるみなど言語道断である。
 まずは、水もしたたるドワーフ太田(fa4878)が入ってきた。いや、水ではない。酒、アルコールである。
「番長といえば、古傷に酒を塗り込んで快癒を祈願したそうではないか!」
 ノムさんなど目じゃないほどの老齢バッターが、バットのグリップに酒を吹きつけたりするが、それにちなんで酒の種類はアブサン‥‥とはいかないのが太田。
 アブサンのアルコール度数も半端ではないが、酒といえばポーランドの最終兵器、スピリタスと相場が決まっている。これに火をつければ新聞の三面に載れ、一躍ダークヒーローとなれるのだが、TVの放送自体はなくなってしまう諸刃の剣。というか、どう考えても呪われた刀なので、やったりはしない。
 まあ、番長的には泡盛を古傷に塗るのが正しいのだが、ここはアルコール度数重視の世の中なのである。というわけで、悪いところ‥‥つまり太田が自らの頭から酒をかぶっての登場と相成った。
 だったら、他の全出演者の頭にもかけるべきでは? もはや悪いのではなく、すでに壊れているので修復不能と判断したようだ。
 しかし、そうとまで言い切られて黙ってはいられない男が一人。白海龍(fa4120)である。こちらは油をかぶっての登場である。
「関取番長デース! スモウで鍛えたこのガチムチボディと、出島バリの美肌ををとくと見ヨー!」
 ワセリン含有のスキンクリームどころか、サラダオイルを体中にかぶり、ただでせさえ脂の乗った肉体をテッカテカに光らせている。一応、特保の脂肪のつきにくい油を使用しているが、まさに焼け石に水である。
 アルコールと油。まさにいつ発火してもおかしくない熱闘が、ここに繰り広げられようとしていた。
「まだ手遅れではないぞい! これを頭にかけて、祈願するのじゃ!」
 まずは、太田が白海龍の頭にスピリタスをかけようとする。
 皮膚のアルコールが気化→急速に体温を奪う→高熱源体の力士がガクガクブルブル→番長のおもしろ映像になるという、金粉ショーの皮膚呼吸的理論である。さらにエロゲなら、アルコールの粘膜吸収で大変なコトになっているトコである。
「オー、脂ギッシュが流れてしまいマース!」
 必死の抵抗を試みる白海龍。というか、必死にならずとも身長差がありすぎて、太田の手が白海龍の頭に届かない。
 おかげで余計にカチーンで、いきなりぶつかり稽古を挑む太田。
「なんか、ヘンな気分になってキタ‥‥組んずほぐれつの‥‥ハァハァ」
 こぼれたスピリタスのアルコールを吸い込んで、白海龍が変なコトになりはじめている。まあ、ぶつかり稽古に挑む太田からして、すでにおかしくなっていたのだが。
 一方、観客席では草壁が高柳をイスにし、シガーをふかしていた。
「‥‥だから、そんなものが見たいんじゃないわよ!」
 ピンっと火のついた葉巻を、床に撒かれたスピリタスと油の中へ放り投げる草壁。そうなったら、あっという間に大炎上である。
 だが、炎上するだけでは飽き足らず、なぜか爆発までしてしまうのが番長魂。
 やがて、太田と白海龍がこんがり黒コゲアフロで現れ、見事な爆発オチで幕を閉じるのであった。
 そして表彰であるが、肉体美を競う番組なのに最虚弱の藤間と琥竜だったが、ブーイングが一番大きかったので、声援の質は問わないとの規定により優勝となってしまい、賞金10万円を分け合うこととなった。
 また、その声援を常に送りつづけた高柳には敢闘賞1万円が贈られることとなった。