番長のバレンタインデーアジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
牛山ひろかず
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芸能 |
フリー
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獣人 |
フリー
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難度 |
やや易
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報酬 |
0.7万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
02/14〜02/16
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●本文
TOMITVのスタッフルーム。その中の自称スポーツイベント便乗チームで、二人の男がボンヤリと会話をしていた。
「バレンタインデーなわけだが‥‥番長的には、チョコレートではなくボビーだと思うわけだが‥‥」
「まあ、同じリーグの人なワケですし、シンジラレナ〜イというわけですよ!」
「え? それは北のドームの人で別人だよな?」
「番長的には、外人はみんな一緒ですよ? 自分のチームの監督も含めて」
後輩のその言葉に必要以上に納得してしまって、遠い目をする先輩と後輩。
「それもそうだったな‥‥で、番長とバレンタインと来たら何よ?」
「そりゃ、筋肉に塗りたくって黒光りさせるんじゃないんですかね?」
後輩の言い分に危うく納得しかける先輩だったが、さすがに前回の放送内容を思い出す。
「でも、前回が肉体美披露だったからな‥‥かぶるな‥‥」
「だったら、泥レスの泥をチョコレートにしてみてはどうでしょうか? 幸い、番長は格闘技界からラブコールを受けまくっているわけですし」
「それはいいな! ヌルヌルの人のセコンドもしていたことだし」
こうして、リスペクトという言葉の意味を考えさせられながらも、番長リスペクト企画の第11弾がスタートするのであった。
『チョコレートは塗ってもスキンクリームは塗るな編』
ルール
・全員が番長とかに扮して、チョコレートとかの張られたマットで泥レスをします。
・場所は野球場ではなく、スタジオ収録となります。
・泥レス自体の勝敗を競ったりはしません。チョコレート以外の番長的液体も、随時投入可能です。
・撮りたいものは、おもしろ番長映像です。観客の声援が一番大きかったリアクションの番長が優勝となり、賞金10万円が授与されます。
・その他細かいルールは特にありません。が、番長でも法律は守る必要があります。
過去の放送スケジュール(最近5回分)
・【AoS】スケ番Bサッカー 7月30日 07:00〜
・番長の千本ノック 8月17日 7:00〜
・【PSF】番長だらけ野球 9月19日 07:00〜
・番長のストーブリーグ 10月21日 7:00〜
・番長の自主トレ 2月08日 7:00〜
●リプレイ本文
ただ静かに待っている四角いジャングル。その実はまだ何も投入されていないプールだが、とにかく選手入場である。
最初の登場は、どこかおどろおどろしくもある和装に、Kカップバストを包み込んだ甲斐大地(fa3635)だった。手にはバット、頭にはテンガロンハットという、むしろ滑稽な格好ではあるが。
「1まーい、2まーい‥‥後75本も足りなーい‥‥」
番町皿屋敷ならぬ、バットで皿を砕く番長皿屋敷である。枚数というか本数も、まだ二人しか到達していない夢の600本超えをベースに算出したようである。
よって、着物だろうと背中には3の文字が縫い付けられている。バットももちろん木製‥‥ではなく、巨大なチョコバットのチョコをコーティングする前のアイスクリームの芯だったが。
「ボクが好きなのは、やっぱり西部時代の番長だよね♪」
そして、『武』ではなく『部』なので、獅子の描かれたベースボールキャップではなく、テンガロンハットをかぶっていたというわけだ。
こうしてすべてのナゾが解かれた今、そんなコトとはまったく関係なく、とてもいやらしい手つきをしたミゲール・イグレシアス(fa2671)登場である。
「むぁいど、おおきに。試合に先立ち、こちらでチョコを塗っていただくコトになっておりまーす♪」
甲斐の肌に、直接手もみで塗り込もうとするミゲール。これには、会場大ブーイングである。
「ゴートゥーDMC! わいが、でんじゃらす・みげーるや!」
ミゲールが客席を一喝すると、ブーイングがピタリと止んだ。といっても、ミゲールに気圧されたわけではない。DMと来て、残るCを待っているだけである。
だが、全開GOよりも全壊GOと勢いだけのミゲールは、そこまで考えていなかった。
「‥‥ちょっぷ? 略してDMCのミゲさんや。よろしゅうに」
ちょっとかわいい風に小首を傾げてみせるミゲール。そのせいで、暴動寸前の大ブーイングとなってしまう。
その隙に、甲斐はプールまで到達していた。用意されていた巨大タンクから、チョコレートらしく普通の黒茶色い液体をドバドバと放出する。
「さあ、ぼくをお食べ! 一ヶ月早いけど」
つづいて登場したのは、ウィン・フレシェット(fa2029)だった。
ホワイトデーにはホワイトチョコと、まるで全身に蝋をかけられたかのようにホワイトチョコでコーティングされていたが、塗り込み役であるハズのミゲールはまったく興味を示さない。
ミゲールは都合よく女子専門だったのである。たとえウィンが美少年だろうと、その思いは揺るがない。
ウィンは甲斐がチョコを入れている隣のプールに行くと、今度は白いトロリとした液体、ホワイトチョコを投入していく。
そしてミゲールお待ちかね、再び女性の登場である。ボンデージのリングコスチュームに身を包んだ女王様、草壁蛍(fa3072)の登場である。
「では、お塗りいたしまーす♪」
なぜか一昔前のホスト口調で、草壁の身体をきっちりねっとりと触りまくるミゲール。
「そうそう。女王様よりも番長だったものね‥‥」
大人の女性の余裕か、それでも落ち着き払った様子の草壁。だが、次の瞬間に見せたのは電光石火の動きだった。
「‥‥番長なら、細かいコトは考えるな! とにかく組み合いに持ち込んで、バックを取って色々仕かけろ!」
ミゲールの懐に潜り込むと、そのまま裏投げで黒い方のプールへと叩き込む草壁。さらに倒れたままのミゲールの足をとると、電気アンマをお見舞いする。
「ホワイトチョコになってまうで‥‥あっ!」
最後の『あっ』という呻きが不気味であったものの、とりあえずなかったことにしようと、ミゲールをホワイトチョコの方のリングへ放り投げる草壁。
「チョコレートは、溶かすと甘さが増すな! 飲むと喉が焼けるな! 俺には飲み干せない! 飲んでやれない!」
そんな直後に登場のおかしなテンションの上野公八(fa3871)が、よりにもよってそんなコトを言い出す。
だが、草壁はそんな上野は一切気にかけず、琥珀色の液体を黒い方のプールにトボドボと注ぎ込んでいた。
「大人には、ホットチョコレートだけじゃ寂しいのよ‥‥だから、ホットブランデーも追加で注ぐッ!」
レミーマルタンにヘネシーと、惜しげもなく高級ブランデーを注ぎ込む。無論、自腹ではなく番組の予算であるのは言うまでもない。女王様は孤高にして、公費を平然と使い込まねばならないのだ。
「固まる前に、ホワイトチョコの中で泳いでおくっきゃないでしょ☆」
そしてもう一方の白い方のプールでは、犬神家状態のミゲールも気にせずに、ウィンが早くも豪快にバタフライで泳いでいる。
「そうでした‥‥番長的液体を投入可能だったんですよね?」
冷静になった上野が、早くもカオスな白い方のプールへと向かう。
「ここは‥‥そう、より白さを際立たせるためにミルクとかですかね?」
その上野だが、言葉とは裏腹に別のミルクを入れている。
といっても、ミゲール的ミルクではない。海のミルク、牡蠣を入れているだけの話である。もちろん、火を通すような軟弱なマネはしないので、生牡蠣であるのは言うまでもない。
「‥‥ん? だって、食べられないものを混ぜたら、せっかくのチョコが食べられないチョコになってしまいますよ?」
カメラに気づいて、言い訳をする上野。すでにミゲールが浸かっている時点で普通は食べたくないと思うものだが、上野的には全然OKのようだ。
「そして、クマさんも大好き、奥さんの蜜壷‥‥じゃない、蜂蜜とか‥‥ぐはっ!」
上野が蜂蜜に移行したところで、武越ゆか(fa3306)が飛び込んできた。押される形で、ミゲールの隣に上野というオブジェも飾られることとなってしまった。
「製菓会社の陰謀渦巻く今日この日! 朝も早よから陰謀に踊らされっぱなしな庶民と違い、番長はむしろ躍らせる! そんなヌルヌルと番長を愛するよい子のみんなに、うれしいスペシャルプレゼント☆」
上野がどうなったかなど気にするコトもなく、武越はカメラを独り占めで延々としゃべりつづけている。
「今なら間に合う! 番長からのチョコの贈り物♪ これでチョコは0個じゃない! プレゼントガ〜ルは、この武越ゆかが務めますっ! 最後のお知らせまで、絶対に見逃さないでねっ☆」
今目の前にあるこのチョコレートを、視聴者プレゼントにしようということらしい。上野は全然食べられると言っていたが、よほどの変態的趣味の持ち主でない限り、口にするのははばかれる。
とそこへ、ようやく女性陣が近づいてきたことに気づいたウィンが、平泳ぎになってすっと近づいていく。
「チョコちょうだい! うるうる‥‥」
目に涙を溜め、切願するウィン。となれば、それを無下に断れる武越ではない。
「はいっ☆」
そのウィンも浸かっているホワイトチョコを柄杓ですくうと、ぐいと突き出す武越。
「えー、うるうる‥‥」
ついに、ウィンの瞳から涙がこぼれてしまった。切願の涙だったハズが、本物の涙に早変わりである。
「え? なんで泣くの? そんなにうれしいの? そうだよね。だって、いろんなエキスを抽出したそれは、まさに漢方! しかも、男子がくんずほぐれつした、複雑に絡み合った男汁! 私たちなら飲めるわ! ね?」
力説する武越に対し、『えっ? 私に振るの?』という微妙な顔をする甲斐。
「いや、飲めないよ! 飲めないけど、飲めるようにするには‥‥えいっ!」
武越に鋭くタックルを決める甲斐。男どもの入っている白い方ではなく、黒い方に武越共々転落していく。
「ほら。これで飲めるようになったね☆」
薔薇汁は飲めなくても、百合汁なら飲める甲斐。
ということで、すでに半ば溶けかけていたいたアイスのバットをチョコにつけ、武越と舐めはじめる。最初の最初に草壁がミゲールに電気アンマを仕かけていたプールであることなど、すでに忘却の彼方である。
「はっ! そうだった。早くフランベして、アルコール分を飛ばさないと‥‥」
下々の戯れる様子を高みの見物と決め込んでいた草壁だが、ふと余計なコトを思い出して黒い方のプールに向かいはじめる。
ビシャ! だが、キャッキャと戯れる甲斐と武越の撒き散らしたチョコが、草壁の顔面にかかってしまう。
「フフフ‥‥私を本気にさせてしまったようね!」
プールに飛び込むと、甲斐と武越のコスチュームを剥ぎにかかる草壁。
両者とも必死に抵抗するが、武越が本気で脱がされまいとしているのに対し、甲斐は草壁に脱がされるシチュエーションプレイの一貫くらいでの抵抗である。
そんな桃色の黒い方とは対照的に、白い方のプールはチョコの色とはまるで違い、むしろどす黒い瘴気すらも漂わせていた。
「ぷはっ‥‥はぁはぁ、死ぬかと思いましたよ‥‥」
上野がようやく頭を出す。さすがに息苦しくなって、やっとの思いで浮上してきたというわけだ。
だが、ミゲールは未だに頭を水没させたまま、見事な倒立を見せている。
大丈夫なのだろうか? すでに白目をむいて真っ白になっていて、これがホントのDMCホワイトチョコとかやってるんじゃないだろうか? と、心配になってくる上野。
しかし、ミゲールは本当に大丈夫だった。シュノーケル装備で、きっちり呼吸していたのである。
もちろん、ゴーグルも装着しているのは言うまでもない。これで、間近で女子を観察というわけだ。もっとも、肝心の女子がこちらにはまったく入ってこないでいたが。さらに言えば、視界0でまったく何も見えないから、入ってきたところで意味はないのだが。
そしてウィンはといえば、未だにしくしく泣いていた。さすがにもう泣き止んでもいいころなのに、なぜか?
「少年のほろ苦くもしょっぱい涙で、隠し味は万全! とくれば‥‥パンチを効かせるねりワサビッ! さらには、ねりカラシッ!」
それは、料理人でもないのに血の騒いでしまった上野が、涙つながりでワサビとカラシの投入を開始してしまっていたからである。
「‥‥ふぅ、大分いいヌチャヌチャ感になってきましたね」
さらには大量のケチャップやソースといった調味料が加えられ、まったくホワイトではなくなってきたころに、ようやく満足する上野。
「あとは、この中でくんずほぐれつできれば‥‥」
ふと黒い方のプールに目をやれば、女性陣が楽しそうに揉みくちゃになっている。素人目には一方的な草壁の蹂躙のようにも見えたが、上野の目には微笑ましく興じる姿にしか見えない。
「男女は問わない、問わないけど‥‥女の子相手にそんなコトやあんなコトをしたら‥‥干されそうでコワい! くそう、番長なのになんてヘタレなんだ‥‥」
うらやましそうに見つめる上野だったが、鋭く近場のウィンにターゲットを定める。ヘタレて男子になったわけであるが、世間的には挑戦的すぎてヘタレの真逆の行動である。
「うわーん! あんな仕打ちの上にこんな仕打ち、あんまりだーッ!」
抱きつかれたウィンが悲鳴を上げるが、暴走機関車上野号はもはや止まらない。
「‥‥わっ! いつの間に!?」
が、あっさり止まってしまった。驚いて飛び上がる上野。見れば、恐るべき腐女子センサーで駆けつけてきた武越が、かぶりつきで観察していた。
「ああ、気にしないで! もっと自然な感じでやってくんなきゃ、参考にならないでしょ!」
「何の参考だよー!」
ウィンが文句を言うが、煽られてすっかりノッてしまった上野号は再始動である。世間話をするかのように、ヌルヌルを堪能中である。
「でも、向こうのチョコ作成はいいんですか?」
「向こうはもはや入り込む余地がないみたいなんで、ね」
武越が指し示した先では、甲斐が草壁と互角の戦いを繰り広げてしまっていた。甲斐、末恐ろしい子である。
こうして、番長のバレンタインデーはやっぱりうやむやのうちに幕を閉じるのであった。
そして、こうして完成したチョコが視聴者プレゼントに出されるハズがないのは、言うまでもない。