ムチャキング12アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
牛山ひろかず
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芸能 |
フリー
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獣人 |
フリー
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難度 |
やや易
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報酬 |
0.7万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
04/12〜04/14
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●本文
TOMITVのスタッフルーム。その中の自称スポーツイベント便乗チームで、二人の男がボンヤリと会話をしていた。話の内容は、スポーツイベント便乗チームにあって唯一スポーツと関係のなくなった企画、ムチャキングについてである。
「また間が空いてしまったなぁ。まあ、前回ほどではないが‥‥ないんだが、そんな間に本物のホワイトデーをスルーしてしまったわけで。バレンタイン翌日には、勝手なホワイトデーをでっち上げたのに‥‥」
「その翌日に勝手にやった分だけで、ムチャ的なホワイトデーはいいんじゃないですかね?」
「‥‥それもそうだな!」
すっかり落ち込んでいた先輩だったが、後輩の一言で簡単に復活である。
「じゃあ、今度こそどうしようか? ホワイトデーの1ヶ月後ってコトで、何かやるかね?」
「それじゃあ、毎月14日には何かしなくちゃいけなくなりますよ。大体、放送日が12日じゃないですか」
「まあ、そうなんだが‥‥4月12日って何があるよ?」
「友引じゃないですか、友引ッ!」
「いや、友引なんてもっとしょっちゅうあるもんだし‥‥大体、何をする気なんだよ?」
「ですから、友引に葬式をやれば、ムチャになるじゃないですか!」
「えーっと、葬式をやるためには、ムチャして誰かを殺さないとダメなのかな? やっぱ、その前の7人で墓穴を掘るところからやらないとダメかね?」
「何がその前なんだか分からないですが‥‥普通に葬式コントのセットで、そこでムチャなアドリブをしてもらえばいいじゃないですか」
「なるほど。本物の葬式じゃないだけに、あんまりムチャではない気もするが‥‥そんなもんだろう」
「ええ、たまにはほのぼのとしたのもいいもんですよ」
こうして、いかに葬式の場でムチャをするかという、おとなしめのムチャキングがはじまることとなった。
『今度はムチャ何になるんだ? の、ムチャキング12』
葬式セットで、ムチャっぷりを披露してください。そのムチャ度を、出演者で競い合います。
エキストラは用意されません。出演者だけで必要そうな役をすべてまかなってください。一人何役だろうと、途中で入れ替わろうと、全員ゾンビだろうと、その辺は何をしようと構いません。というか、そういうところでもムチャしてください。
求められるのは、笑えるムチャです。ハードなだけのムチャではいけません。
事前に用意される小道具
・大概のものは用意されます。持ち込みも可です。
注意点
・死体役の人でも、本当に死んではいけません。
・無論、殺してもいけません。法はすべて守りましょう。
・でも、それ以外はご自由にどうぞ。でも、スタッフがルールブックです。
職業『ムチャ○○』の選出について
・優勝者には、職業としてムチャ○○を名乗る権利が与えられます。
・ムチャ○○選出は、スタッフの独断と偏見による判定で決まります。
・○○に何が入るかも、スタッフの思いつきで決まります。指定できません。
・すでにムチャ○○になっている場合、陥落することもあり得ます。
現在の格付け
・ムチャキング :羽曳野ハツ子(fa1032)
・ムチャクイーン:草壁蛍(fa3072)(現ムチャ女王様)
・ムチャジャック:キューレ・クリーク(fa4729)
現在の格付け(神の領域)
・ムチャジャッカー:チェダー千田(fa0427)
(ジャッカーとは、ジャック+ジョーカーであり、ジャックの比較級でもあります)
・ハードボイラー :片倉神無(fa3678)
(ハードボイラーとは、ハードボイルドな人です。厳密には、二級ハードボイラー技士であり、上には一級、特級があります)
過去の結果
・第1回 七枷伏姫(fa2830)が優勝(ノンタイトル戦)。
・第2回 夏姫・シュトラウス(fa0761)が優勝(ノンタイトル戦)。
・第3回 朱凰夜魅子(fa2609)が優勝(ノンタイトル戦)。
・第4回 佐渡川ススム(fa3134)が優勝(ノンタイトル戦)。
・第5回 Tyrantess(fa3596)が優勝(ノンタイトル戦)。
・第6回 チェダー千田がムチャジャック、草壁蛍がムチャクイーンを獲得。
・第7回 チェダー千田がムチャキングを獲得。
・第8回 チェダー千田がムチャキングを引き分け防衛。
・(【AoS】海プロごっこにて、草壁蛍がムチャプリンセスに降格)
・第9回 チェダー千田がムチャキングを防衛。
・(プロレスごっこ新春SPにて、草壁蛍がムチャ女王様に昇格)
・第10回 片倉神無がハードボイラーを獲得。
・第11回 羽曳野ハツ子がムチャキング、キューレ・クリークがムチャジャック、チェダー千田がムチャジャッカーを獲得。
過去の放送スケジュール(最近5回分)
・ムチャキング7 07月17日 08:00〜
・ムチャキング8 08月08日 07:00〜
・ムチャキング9 10月07日 07:00〜
・ムチャキング10 02月07日 08:00〜
・ムチャキング11 02月15日 07:00〜
●リプレイ本文
スタジオ内に組まれた葬式セット。そこへ、まずは我らが国民的ムチャキング、羽曳野ハツ子(fa1032)の入場である。髪を結い上げ、一部の隙もない喪服姿から分かるとおり、喪主がいなければ葬式は進行しない。
いや、もっと重要な役があるではないか。そもそも、死んだ人がいなければ、葬式などしなくて済むのである。
というわけで、素っ裸のZebra(fa3503)が死体役としてベッドに横たわっている。棺桶ではない、堂々とクイーンサイズのベッドである。股間に置かれた榊の葉が、唯一の良心だろうか。
しかし、なぜベッドなのか? 答えは簡単、鶸檜皮(fa2614)が添い寝をするためである。
カメラマンである鶸は考えた。葬式の主役は何であるか、と。そして、たどり着いた答えが死体役であった。主役であるZebraを一番よく撮る方法を考え抜いた結果、添い寝という結論が出たのである。
「言ったろ‥‥俺はどこまでもオマエと一緒だと。死が二人を別つまで、この絆は‥‥」
耳元で囁きながら、Zebraを激撮する鶸。もはや、男同士の変態映像にならないコトを祈るしかできない。
だが、棺桶ではなくベッドでなくてはならない理由は、まだあった。それは、羽曳野がどうしても鳥葬をやりたかったため、鳥の群がりやすいモノである必要があったためだ。
「4月12日はパンの記念日です。だから、このパンくずで鳥を呼びましょー」
パンを使っては鳥葬じゃない気もするが、パンの記念日ならばしょうがない。羽曳野がZebraの股間を中心にパンくずをばら撒いていく。
すると、用意されていた鳥たちが一斉にZebraに群がり、ついばみはじめる。
「ご覧ください。見事についばんでいます。これが鳥葬、これこそが鳥葬!」
ときたまビクンビクンとZebraの身体が反応してしまうが、その度に羽曳野が顔面パンチで鎮まらせているので問題はない。
「いいよー、もっと耐えて‥‥って、こんな画を撮っていても華やかさがないな」
調子に乗って撮っていた鶸だが、すぐに冷静になってしまう。一方、羽曳野も飽きたのか、ようやく放送席に腰を下ろす。
傍らでは、同じく和服の喪服姿の甲斐大地(fa3635)が解説役としてすでに座っていたが、目の前の汚らしい光景の解説を頑なに拒んでいた。
だが、羽曳野が来たことでようやく口を開く甲斐。
「下着メーカー調べでは、日本人の平均的カップはC〜Dになってるらしいですね♪ でも、和服に下着はいけませんよね! ということで、早速確認してみたいと思います」
これまでの流れを一切無視し、羽曳野の和服にのみ食いつく甲斐。羽曳野の衿の隙間から手を滑り込ませると、吟味を開始する。
「こ、これは‥‥Dより上の、3割の中の一員と見ました!」
下着のあるなしを通り越し、サイズの解説をはじめてしまう甲斐。おかげで、鶸は早くも鳥のフンまみれになったZebraを完全放置し、放送席の様子ばかりを撮影している。
もちろん、羽曳野も黙って身を任せているわけではない。
「人の肉体もまた自然の一部であり、それをまた他の生物へと施すことで魂が生まれ変わると信じる。それが鳥葬なのです‥‥が、それはもう終わりました。ならば、生まれ変わるための、誕生するための行為が必要となるのです!」
対抗して、甲斐の帯をほどきにかかる。だが、帯に短したすきに長しとはいえ、お代官様プレイをするにはそれ用の帯でなければ短すぎる。
ということで、さっくりとはだけてしまった甲斐だが、自ら言うだけあってノーブラだったので、ここぞとばかりに鶸が寄る。
おかげで、羽曳野の手を用いた手ブラでカバーである。
よく分からない体勢の放送席はさておき、映像が葬式の外の様子へと切り替わる。
トレンチコートを着たハードボイラー、片倉神無(fa3678)が電柱の陰に立っていた。足下にはかなりの数の吸殻が落ちていたが、別に張り込みをしているわけではない。
「葬式、それは人生との別れ。だけど、別れの後には新たな出会いのフラグが! というわけで、曲がり角で美少女入りの霊柩車と鉢合せするために、曲がりまくってたら遅くなりました♪」
単に、この遅刻した新人刑事役の森里時雨(fa2002)を待っていただけである。
だが、片倉はハードボイルドなので、新人刑事の遅刻くらいで騒いだりはしない。
「さて、この葬式だが‥‥これは事件だ。この死には何か裏がある‥‥」
「はい、アンパンのアンは裏ごししたものですね!」
森里があさっての方向に向かいつづけるが、それで片倉のハードボイルドがぶれたりはしない。
「‥‥ってなわけで、葬式の場に乗り込んで捜査開始だ。行くぞ、留年!」
「いやだなぁ、俺の名前は除籍って決めたばかりじゃないっスか」
よく分からないやりとりをしながらも、片倉と森里が葬式に乗り込んでいく。
「ここは葬式会場なんかじゃない、現場なんだよ! 至急、葬式会場を封鎖しろ!」
勝手にドカドカと入っていくと、誰にもリアクションできる間も与えずに指示を出していく片倉。
「はい‥‥ぐぼはっ!」
ガッシャーン! 森里が玄関を封鎖しようとしたと同時に、外から突き破られる。ジョニー・マッスルマン(fa3014)が大型バイクに乗って突っ込んできたのだ。
イカレた神父の格好をしたジョニーが、倒れた森里の上に降り立つ。肩にはラジカセを担ぎ、大音量でデスメタルアレンジされたモーツァルトのレクイエムを流している。
「HAHAHA〜! 邪なる異教徒どもが、悪魔の使いはGO TO HELL!」
別に葬式が仏教式というだけで仏教徒というわけではないのだが、宗教紛争にそんなコトは関係ない。
「消毒DEATH!」
火炎放射器で周囲をなぎ払うジョニー
「OH! 死者を操るとは、おそるべき邪教だZE!」
そう、熱さに耐え切れずにZebraがむっくり起き上がってしまっていたのだ。
そこへ、甲斐にようやくブラをはめてあげた羽曳野が駆け込んでくる。
「生き返ったら、保険金が入らないでしょ!」
Zebraに消火器を吹きかけ、問答無用で寝かしつける羽曳野。Zebraが程よく真っ白になり、より死体役っぽくなる。
「この白さ‥‥消毒完了だZE! HAHAHA〜!」
何に納得したのかよく分からないが、笑いながら嵐のように去っていくジョニー。バイクにまたがり、しっかり森里を轢いて去っていく。
この惨事にあって、一応刑事役であるところの片倉はどうしていたのか? ハードボイルドは決して慌てないと、むしろ食事をしようとしている始末であった。
「ほい、ファンからの差し入れだって」
鶸から手渡されたゆで卵を、食べようとしていた。
「剥かないとダメなんて、ボイラーとしてどうなんだろうな?」
それを、変な煽り方をする鶸。無論、男性自身とかけることで、退くに退けなくする作戦であるのは、言うまでもない。
「‥‥いいだろう」
殻ごと豪快にガブリといく片倉。だが、それは鶸の仕組んだワナだった。もっとも、単に半熟卵だっただけであるが。
別に、片倉が半熟だと暗に言っているわけではない。単に、口元からドロリとした黄色い液体の流れる画が欲しかっただけである。
そしてもちろん、片倉はその程度で取り乱したりはしない。ただ、あっさり蘇生した森里がすっかり取り乱していた。
「ダメだ! 黄身じゃダメだ! ここは、たんぱく質の豊富な白身を!」
だが、もう卵はない。卵を生むのはメスだが、森里にはオスのモノがある。というわけで、ズボンのベルトをガチャガチャし出す。
「さあ、ハードコアに‥‥ぐぼはっ!」
ドンガラガッシャーン! 今度は霊柩車が突っ込んできた。先程以上の衝撃で吹っ飛ばされる森里。
節々が変な角度に曲がっている森里はどうでもいいとして、霊柩車をよく見ればどう見ても運転手がジョニーだった。が、助手席からパトリシア(fa3800)が降りてくる。
「友轢ですから、轢いても死なない大丈夫な日です」
そうとだけ言って引き上げようとするパトリシアだったが、友轢の魔力か森里が先程以上の奇跡をもって蘇生する。
「曲がり角じゃないけど、美少女入りの霊柩車と鉢合せ〜♪ よーし、死せる美少女の謎を解明するぜ!」
どう考えても死んでいたのは森里だった気もするが、ピンピンしている以上はどうにもならない。パトリシアを死せる美少女に見立て、検死をはじめようとする。
「これは‥‥仮死状態っスね。今すぐ心臓マッサージと人工呼吸で‥‥ぐぼはっ!」
あまりに卑猥な森里の手と唇の動きに、乙女のピンチを救わんと、甲斐が砂のギッチリ詰まった靴下で森里の後頭部をフルスイングしていたのだ。
「‥‥うむ、迷宮入りだな」
靴下の砂を抜きながら、片倉が堂々と言い放つ。さすがはハードボイルド‥‥と言いたい所だが、先の一連の鶏卵のやりとりのせいで、ハードブロイラーに昇格してしまっていた。
証拠隠滅はさておき、怯えるパトリシアの肩に甲斐が手をかける。
「もう大丈夫、Cカップ以下は全体の4割も占めるのだから、気にするコトはないよ」
大丈夫の方向性が違っていたが、甲斐はカップの解説をしに来ていたのだから、しょうがない。
「邪教の即身仏は回収していくZE! HAHAHA〜!」
その隙に鳥のフンと消火剤でミイラ化したZebraが、ジョニーの霊柩車に運ばれて退場していく。
だが、景観がよくなったとかえって好評である。というわけで、新たな森里の死体で葬式再開である。
「乙女のキスで、王子様な俺は目覚め‥‥ぐぼはっ!」
死体役ながらも堂々としゃべる森里だったが、今度は馬に蹴飛ばされてしまう。
「そうです。私が白馬の王子様なのです!」
見れば、いつの間にか白馬にまたがったパトリシアが、王子様コスで登場である。
「死体があればキスをする、それが白雪姫シンドローム。屍体性愛者って言われても気にしない鋼鉄の心!」
攻守入れ替わり、今度はパトリシアが森里にキスしようと迫っている。
「え? 原作では背中を殴って蘇生? ま、とりあえず無視です」
だが、いつまで経っても唇が触れ合うことはなかった。羽曳野がパトリシアをガッと肩をつかみ、遮っていたのだ。
「違うでしょ。ここはチベットなのよ。だったら、鳥葬でしょ!」
確実にチベットではないのだが、堂々と言い放つキング羽曳野に対し、屍体性愛王子なパトリシアが抵抗し切れるハズもない。
「何かと環境問題が取り上げられる今だからこそ、霊柩車をやめて馬にするのは正解。だけど、ここで鳥葬しなかったら元の木阿弥だわ」
ドッカーン! またもジョニーがバイクで突っ込んでくる。その腕には、コンドルが留まっていた。
「GO TO HELL! というコトで、ヘルコンドルを連れてきたZE!」
こうして、猛禽にガツガツついばまれることとなった森里。その様子を、鶸が必死にカメラに収めている。
「マニアには堪らない映像‥‥なのか? 俺自身、どこが萌えポイントなのかサッパリだが‥‥」
一方、森里の上司役である片倉はといえば、落ち着いてタバコを燻らせるだけだった。
「不意の殉職も慌てず騒がず‥‥ん?」
「実は‥‥私が殺りました!」
そこへ再生Zebraが戻ってきて、両手を突き出す。
「そうか‥‥また後味の悪いヤマになっちまったなぁ」
Zebraに手錠をかけ、引き上げていく片倉。意味が分からないが、この葬式自体にそもそも意味などないので、問題はない。
「ではまた、次回のムチャキングをお楽しみに〜」
事件も解決したところで、にこやかに手を振ってシメにかかる羽曳野。その後ろでは、森里がついばまれつづけていたが、もはや何もかも解決してしまったので終わりである。
というわけで、新たなるムチャキングが誕生しなかったため、引きつづき羽曳野がムチャキングというコトになった。
また、ハードブロイラーになった片倉だが、番組終了直前の逮捕劇で一級ハードボイラー技士に合格したため、ハードボイラーが上書きされて、結局元のハードボイラーの肩書きに戻るのであった。