リフォームで入学式アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
牛山ひろかず
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芸能 |
フリー
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獣人 |
フリー
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難度 |
やや易
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報酬 |
0.7万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
04/13〜04/15
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●本文
登場人物
・ディレクターに昇進したばかりの男(以下、ディレクター)
・ディレクターの上司(以下、上司A)
・上司Aのさらに上司(以下、上司B)
TOMITVのこのディレクターは、最近マイホームを建てたばかりだった。しかし、上司Aの提案によってメチャクチャなリフォームをされてしまう。それが、すべての発端であった。
その後、上司Aの屋敷にメチャクチャなリフォームをしたり、上司Bの愛車を改造してみたり、ディレクター宅でフットサルをしてみたり、上司Aの屋敷で三角ベースをしてみたり、再びディレクター宅にメチャクチャなリフォームをしてみたり、そのディレクター宅を海に沈めて人工漁礁としてみたり、新たなディレクター宅で全裸だるまさんがころんだをしてみたり、PSF連動でラグビーをしてみたり、上司Aの屋敷に雪を撒いて遊んだり、またまたディレクター宅で長距離走をしてみたり。
そんなわけで、すでに11回も無意味なだけの破壊工作をしてきているのであった。
それでも、12回目がはじまる──
上司Aがディレクターに近づいていく。当然、ディレクターは逃げていく。
「なぜ逃げる!?」
「そりゃ、逃げるでしょ! せっかく手に入れた久々の平穏な日々。それが崩れ落ちようとしているんですからっ!」
今年になってから一度も収録がなかったので、正直油断していたディレクターである。だが、自然と身についた逃げ足の速さは錆びついていなかった。
しかし、上司Aは錆びつくどころか、むしろより鍛え上げられていた。あっさりとディレクターに追いつくと、満面の笑みで羽交い絞めにする。
「はぁはぁ‥‥で、なんなんですか?」
観念したディレクターが、ついに上司Aに尋ねてしまう。
「うむ、新年一発目というにはあまりに遅すぎるが、幸いにもちょうど新年度一発目になったわけだ。入学式シーズンにやることといえば?」
「たくさんありすぎて、見当もつきませんが。卒業シーズンなら、確実にお礼参りにうかがっているところですが」
「あー、そういうコト言っちゃうんだ。せっかく入学祝いを贈ろうと思っていたのに、残念だな。制服を買い揃えるように、スーツを買ってやろうかと思っていたのに、これで『リフォームでヤンキー高校入学式』に決定だ!」
「いや、確実にプレゼントする気なんかなかったですよね!?」
「ああ、本来はヤンキー高校入学式の自宅開催権を贈るというオチの予定だったんだがな!」
あっさり言い放つ上司A。どちらにしろ、ディレクターにはうなだれることしかできない。
こうして、ディレクター宅で時代錯誤的な荒れた入学式が行われることとなった。何に入学するのかも分からないまま。
企画内容:
8名までの精鋭が、ディレクター宅でなぜか行われる入学式に出席します。いきなりバイクで乗り込もうと、在校生で風紀委員役をやろうと、校長や教頭になろうと、それは勝手というものであります。
何かセットや道具が必要であれば、番組で用意されます。無論、持ち込みも可能です。
何に入学し、卒業しようというのだろう? 各自、勝手に考えたり、考えなかったりしてください。
欲しいのは、ヤンキー高校入学式のおもしろ映像です。そのおもしろさを上司Aが判定し、優勝者を決定します。
優勝者には、賞金10万円が授与されます。
それ以外のルールは、上司Aが適宜ルールブックとなります。
ケガ、病気は自己責任で(治療費は出ません)。
過去の放送スケジュール(最近5回分):
・リフォームで新築が水没 7月17日 09:30〜
・リフォームでトイレ使用 8月10日 07:00〜
・【PSF】リフォーム闘球 9月17日 07:00〜
・リフォームでウィンター 10月17日 07:00〜
・リフォームでランナー 12月21日 07:30〜
●リプレイ本文
入学式をあえて13日の金曜日に行うだけあって、不穏な空気が渦巻いているディレクター宅。まあ、不穏さでいうなら、13金よりもあえてディレクター宅で行うコトなのだが、そんなことよりも新入生入場である。
ディレクター宅が過疎地なのか、あるいはヤンキー校過ぎて敬遠されたのか、とにかく一人ずつ入場できるほど時間的ゆとりがあった。
まず、場内にワイルドシングが流れる。となれば、入ってくるのはメジャーリーガーしかいない。ヤンキーをアメリカ人と、より本来の意味に近い方へ勘違いしてしまった白海龍(fa4120)の登場だ。
「ヤンキー息子の僕が来ましたヨ! いやあ、クニでは色々とヤンチャをしたものデス」
だったら、そのまま出て来いという話だが、ついつい複数形にしてしまったのである。単数と複数の区別をあまりしない日本っぽさを、変なところでだけ発揮だ。
「メジャーリーグ番長ことダッペ番長、登場デェス!」
それを合図に、コナンのテーマに切り替わる。ピッチャーの設定なのに、そのまま柱をベースに見立てて殺人スライディングを敢行するが、逆に吹き飛ばされていく白海龍。
「オウ! ユニフォームを間違えてました!」
見れば、赤いソックスを履いていた。しかも、スパイクではなく、赤つながりでキック力増強シューズまで履いてしまったのだ。となれば、白海龍の巨体も吹き飛ばされていくというものである。
早くも一人目の犠牲者を出しながらも、式ははじまってもいない。入場がつづくのみである。
ドーン! 何かが墜落してきた。軍用機だ!
いや、本物だったらこの放送自体がされていないので、もちろんハリボテであるのは言うまでもない。どちらにしろ、ディレクター宅の壁が破壊されたコトには変わりはないが。
というわけで、GHQ番長の月詠月夜(fa5662)が降り立ってきた。
パイプをくわえながら‥‥とはいかず、パイプを用意できずにシケモクを火もつけずにくわえていたのだが、それが理事長番長の犬神一子(fa4044)の逆鱗に触れる。
「ファーック! そんなチープでファッキンなタバコを吸うくらいなら、キューバ産のファッキンなシガーを吹かさんかい!」
海兵隊バリに文句を言うが、階級が圧倒的に上なので、月詠はまったく気にも留めない。
「ギブミーチョコ?」
日本語ワカリマセーンとばかりに犬神にシガレットチョコを渡して、ただ着席するのみである。
これはイカン、このままでは理事長番長の威厳が‥‥と、壇上に上がってどうにかしようとする犬神だったが、その背中に飛び蹴りが炸裂する。
「貴様のような理事長がいるかーッ! かはーッ!」
世紀末覇王にしてプロレスごっこ王たる番長という長たらしい名前の番長となったマリアーノ・ファリアス(fa2539)が、早くも入場してきたのである。
「フッ‥‥ファっキンな貴様らの入学を歓迎しよう!」
どんなときも慌てず騒がず、余裕をもって理事長番長らしい受け答えをしようとした犬神だったが、マリアーノはさらに畳みかけてくる。
「化けるなら、用務員のおじさん番長にでも化けるんだったな!」
理事長番長の名を騙ったことは死よりも重いとばかりに、犬神をジャイアントスイングで放り投げる。無論、先程の月詠とは違う壁を破壊するためである。
ドカーン! 果たして、壁はまたも破壊された。犬神も破壊された。
「やるじゃない‥‥」
いや、不屈の闘志で立ち上がる犬神。マリアーノが世紀末覇王ならば、アメリカ国旗を模した服のケンカ屋番長になってやろうというのだ。必死に立ち上がりつつも膝が完全に笑っていたので、むしろ用務員回収番長であったが。
入学式のつかみに一片の悔いなしと、イス代わりに用意してあった黒く巨大な軍馬にどっかとまたがるマリアーノ。
だが、本物の馬が出てきたならば、鋼鉄の馬も登場しないわけにはいかない。
ブオーン! ドッカーン! いくつ壁があるのかよく分からないが、雨宮慶(fa3658)のバイクが壁を突き破って現れる。
そのままの勢いで走りつづけると、犬神を突き飛ばして止まる。
「この学校を仕切るのを邪魔する者は、叩きつぶしてしまいますよ?」
本来ならばディレクター宅に破壊の限りを尽くすべきなのだが、このシチュ的には理事長番長こそが敵である。
とにかく、ようやく普通の番長登場である。いや、長ラン、ボンタン、サラシの三点セットで固めてはいるが、スケ番の登場である。
コレでマトモなレベルになってしまうあたり、この学校のレベルをよく表していたが。
「ちーす、世露死苦ー」
最後にのっしのっしと、やけに長いスカートに木刀を担いだオーソドックスなクラシカルスタイルスケ番の因幡眠兎(fa4300)が入ってきて、全員が揃う。
これで、ようやく式がはじまるわけだ。すでに、風通しがよすぎて、寒いくらいでもあったが。
『理事長挨拶に先立ち、PTA会長挨拶!』
理事長挨拶は犬神の回復待ちなので、この隙にPTA会長挨拶である。一番若いし、高校生よりも若いが、それでもPTA会長番長となったパイロ・シルヴァン(fa1772)が壇上に上がる。
「ただのヨゴレには興味ありません。この中にプロレスごっこ王、ムチャキング、実況芸人、ハードボイラーがいたら、名乗り出なさい。以上」
パイロはそうとだけ言うと、そのまま下りていこうとする。
どうリアクションをしていいか分からず、全員ポカーンで思わず視線を釘づけ‥‥というコトには一切ならない。
普通にマリアーノが上がってきたからだ。マリアーノはプロレスごっこ王であり、何もおかしなコトはしていない。
が、パイロとしては本当に来られると困ってしまうもので、仕方なくようやく復活して戻ってきた犬神にトドメを刺してごまかしてみせる。
「やれやれ、最近のファッキンな‥‥ぐはっ!」
「な、なんてヒドいコトをするんだ、チミは!」
自分で手にかけておきながら、必死に犬神を介抱するフリをするパイロ。これには、マリアーノも肩をすくめるしかない。
「なぜ自分で抵抗をせヌ?」
覇王キャラ継続中のマリアーノが、パイロを問い詰める。
「このプロレスごっこ王に無抵抗は武器にならヌ‥‥目からビーム!」
なぜここで目からビームを出すコトになるのか不明だが、本当に目からビームを出せたりはしないので、レーザーポインタで代用するマリアーノ。
「うぎゃーす!」
だが、向きを間違えて一人悶絶である。
「目が、目がァ‥‥美しいものを見ないト‥‥」
他の番長たちを見やるマリアーノ。
まずは月詠を見る。相変わらずGHQ番長で、ガムをクチャクチャ噛んでいたが、それはいい。
つづいて雨宮を見る。服装が長ランにボンタンというのがアレだが、サラシでハァハァできるので、それもいい。
さらに因幡を見る。スカートは長いよりも短い方がうれしかったが、それでもスカートに変わりはないので、これもいい。
だが、これで女性陣は終わりのトコを、ついさらに目を移してしまったのがいけなかった。
ちょうど入ってきたのは、黒のストレートロングヘア、セーラー服、物怖じしないちょっと気の強そうな表情。番長モノには欠かせない、それは学校のマドンナ。
だが、その中身が白海龍だったら?
「やっぱり、目が、目がァ‥‥」
白海龍のショッキング映像に、マリアーノはたまらずリバースである。
「もう、いい加減にしなさぁーいっ☆ でも、今日だけだよ‥‥」
が、それを吐き気を催すほどに好きになってしまったと勘違いした白海龍は、そのままマリアーノを小脇に抱えて暗がりに消えていってしまう。
彼らの末路は不明なものの、ヤンキー高校で早退など日常茶飯事。むしろ、登校しただけえらいとスルーである。
『校歌、斉唱』
そして校歌斉唱であるが、そんなものは存在しない。が、月詠が進み出てくる。
「‥‥もうお別れの曲になってしまいましたが、聞いてください‥‥なんでも屋さんの歌♪」
どう考えても校歌じゃないだろというツッコミは一切無視し、勝手に歌いだす月詠。
「 なにがでっきるとッ♪ (自信を持って〜♪)
言えないけれど〜♪
なんでもやっるのっが♪
なぁ〜んでも屋〜♪ 」
「センキュー!」
アンコールも起きずに、そのまま引っ込んでいく月詠。
こうして、入学式はナニゴトもなく終わった‥‥かに見えた。
だが、ヤンキー高校はここからが本番とも言える。
そう、呼び出しである。雨宮がラブレターに偽って、ライバルを体育館裏に呼び出しである。
ディレクター宅裏手に体育館裏といえるほどのスペースはないので、例によって壁をぶち抜いて確保してある。
「あたい、こんなのはじめてで‥‥ちくしょう、どうすればいいんだよ!?」
が、呼び出された因幡はピュアなスケ番だったせいか、本気にしてしまっている。
こうして、今さら闇討ちですとは言えなくなってしまった雨宮と、晴れて百合番長2名の誕生となってしまった。
そういえば、同じく誕生した薔薇番長2人はどうしてるんだろう? とか考えることは一切ないまま、終わりを迎えるのであった。
なお、一番ボコボコにされた犬神が、現在の満身創痍の番長の姿とかぶるというコトで、優勝賞金10万円が授与された。