芸人プロレスごっこ王8アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
牛山ひろかず
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芸能 |
フリー
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獣人 |
フリー
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難度 |
やや易
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報酬 |
0.7万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
04/18〜04/20
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●本文
プロレスごっこ──それは、素人によるプロレスの真似事でしかないが、ここにはそれを魅せる域にまで昇華した番組があった。基本レスラーに扮する芸人が、様々な物や者を相手にプロレスをしているかのように見せて笑いを誘う。ただそれだけのことなのだが、小モノを使ったボケをベースとする、一人芝居に一発芸、リアクション芸にヨゴレと、お笑いの基本要素の散りばめられた、芸人のワンダーランドなのである。もはやプロレスどころか、本来の意味でのプロレスごっこからも遠くなっているが、それはそれなのである。
TOMITVのある会議室に、芸人プロレスごっこ王選手権のスタッフが集められていた。そこへプロレスごっこの一番えらい人が姿を現す。
「よーし、地図を出せー!」
「はいっ!」
前回に引きつづき、東京都の地図が運び込まれる。特にダーツを投げるでもなく、どこにするかえらい人の独断で吟味するのみである。
「んー、昨日が中央区だったから‥‥今日は北上して千代田区にするか!」
「サー、イエッサー!」
都内ロケに戻った途端に2日間連続だったが、スタッフには肯定の返事しか許されていない。
こうして、第二期芸人プロレスごっこ王選手権ランキング戦の第8戦がスタートするのであった。
参考例:
・軟体レスラーvsボストンバッグ:身体の柔らかい芸人が、固め技という設定でボストンバッグの中に入っていき、ファスナーを内から閉めたところで、レフェリーストップ、ボストンバッグの勝ち。
注意:
・東京都千代田区で収録を行います。皇居や国会議事堂等、シャレにならない場所は使用できません。
・『千代田』をテーマに試合をしなくてはなりません。『千代田』から連想できないこともないものであれば、どんなに遠くても構いません。
・ポイントはプロレスごっこの一番えらい人の独断と偏見によってのみ与えられます。すばらしい、おもしろい、えろい、えらい人に媚びる、視聴率が取れる等、一切関係ありません。
・ランキングによる2代目プロレスごっこ王が決まるのは、しばらく先のコトとなります。
・とりあえず現在はポイントのインフレにはなってませんが、最終的には一発逆転のバラエティのノリになるので、そういうのに怒らない人募集です。
・プロレスごっこは安全第一です。死亡、怪我、流血は避けて通る道でしょう。
ランキング(第5回分まで)
1位 百鬼レイ(fa4361) 10pt
2位 DarkUnicorn(fa3622) 8pt
3位 白海龍(fa4120) 7pt
3位 阿野次のもじ(fa3092) 7pt
(第3回は、諸般の事情により全員0ptとなっております)
過去の放送のスケジュール(最近5回分)
・第3回 02月16日 07:00〜
・第4回 02月19日 07:00〜
・第5回 02月22日 07:00〜
・第6回 04月11日 08:00〜
・第7回 04月17日 07:00〜
●リプレイ本文
「千代田、いいデスヨネ。一日じゃ巡り切れまセーン! ガ、まずは『桜田門外の変』と戦いマース!」
番組スタートと同時に、白海龍(fa4120)がドドドと駆けていく。
無論、カメラは追っていかない。警視庁がなぜ桜田門といわれるかといえば、桜田門の正面に警視庁があるからであり、白海龍の行く末が分かりやすすぎる気がしてならないからだ。ましてや、桜田門とは江戸城の門、すなわち現在の‥‥。
尊くない犠牲は無視して、リングの設置された場所に鋭くカメラが移る。
『はい。俺の名はバイオレットバイオレンス。パンダ覆面をかぶっているが、かぶり芸人ではない、覆面レスラー志望のスタントマンなのだぞ!』
常盤躑躅(fa2529)が編集点を作った上で実況を開始する。
『が、ただの実況と思ったら大間違いだ! というわけで、まずは突撃リポーターとして臨んだこちらのVを見てほしい』
映像が切り替わり、素顔の常盤が現れる。いや、米屋の御用聞きの格好をしている。
「というわけで、俺は千代田区にある千代さん若妻21歳ボイン宅に来ている。魚をゲットで魚拓なら、千代さんをゲットで千代拓だゼ!」
ピンポーン。やや大きめの古風な民家の前で、ドアホンを鳴らす常盤。
「はーい!」
中から、Tyrantess(fa3596)演じるところの千代が出てくる。役名や家の雰囲気とはまるで違い、普段どおりのエロカッコイイを目指した露出度の高い衣装を着ている。
「‥‥奥さん、やわらかいですね。指に吸いついてきますよ‥‥ぐはっ!」
パイ拓をとろうとTyrantessの胸をいきなり鷲づかみにしたはいいが、当然ながら鉄拳制裁である。Tyrantessの右フックが、見事なまでに常盤の右目に炸裂した。
「奥さん、千代田区にお住まいの千代さんですよね? でしたら、千代拓の提出が義務づけられてまして‥‥ぐはっ!」
なんとか説得しようとする常盤だったが、今度は左目に左のロシアンフックを食らう。
「ったく、大体米屋ってのはなんだ!? ケンちゃんっていったら、洗濯屋と相場が決まっているだろーが!」
「いや、ケンちゃんじゃなくて躑躅のツーちゃんでして‥‥ぐはっ!」
ボコボコにされ、結局命からがら逃げ出す常盤。しかも、Vはそこで終わりだった。
放送席に映像が戻ると、常盤の横の解説席にはいつの間にかTyrantessが座っていた。
「ああ、目のトコにアザだからパンダの覆面で、アザの色でバイオレットってコトか! なるほどね〜」
『いや、前々からこのキャラでやってるんだが‥‥そんなコトより! 千代田区だけに、チン拓をとってきたで!』
どう考えても千代田区→チン拓ありきで、ムリヤリ千代拓が割り込んできた感が否めない。大体、千代のパイ拓かマン拓って言わね? という話だが、もはや遠い昔の出来事である。
Tyrantessは手渡されたチン拓を汚らしそうに端の部分をつまみながらも、注意深く観察している。その結果、ある結論に達するのだった。
「どう見てもかぶり芸人に見えるんだが‥‥」
『‥‥うわーん!』
巨体を揺すって、泣きながら飛び出していってしまう常磐。だが、Tyrantessが追っているヒマはない。
「殿中でゴザル! 殿中でゴザルよ!」
何やら意味不明のコトを叫ぶ白海龍が、皇宮警察官に連れられて戻ってきたからだ。
「まったく、だからあれほど靖国神社にしておけと‥‥」
Tyrantessが勝手な解説を言っているが、とにかく白海龍はプロレスごっことは一切関係ないと切り捨てられ、どこかへと連行されていく。
「そうです。現実世界でやるからいけないのです。というワケで、ジオラマを作ってそこを蹂躙しますね」
雨宮慶(fa3658)がそう言うと、巨大ジオラマセットが運び込まれてくる。無論、千代田区を模った物である。
「国会議事堂といえば、怪獣に蹂躙される場所ランキングの上位に位置する場所です!」
怪獣の着ぐるみに入りながら、最初の目標地点を設定すると、ためらいもなくジオラマの中に突っ込んでいく雨宮。
ギャオー! ドカーン! さっそく、ジオラマの国会議事堂が破壊される。
「ええい、正義の味方はまだか? ヒーローはまだか? っつーか、早くしないと俺が満員にする予定の武道館がアブないッ!」
Tyrantessが悲鳴を上げるが、ミゲール・イグレシアス(fa2671)は逡巡していた。
「‥‥まいど、ミゲールやで!」
一応、カメラを向けられたら自己紹介するくらいには余裕があったが、タッグパートナーの高価な等身大フィギュアを持って飛び込む根性まではなかったのだ。
「なんやろか。やはりアキバいうたら、全国のゲーム販売数の内、1〜2割を一店舗で売ってしまえるお店があるんやよね。一部特典の付く成年向けゲーム限定やけど。そこさえ無事なら‥‥ま、ええか!」」
そう、雨宮に破壊されたのは国会議事堂周辺のみ。秋葉原さえ無事ならば、ミゲールにとってはいつでも再起できるのである。
「ええと、国会議事堂につづくランキング上位は、っと‥‥」
ミゲールが完全に見捨てた中、怪獣雨宮は蹂躙をつづける。
もう、どうにもならないのか? 誰もがあきらめる中、胸を強調したアンミラ風コスのMAKOTO(fa0295)が颯爽と現れたのだ!
そんな隙に、常磐までなんとか復活して戻ってくる。
『よっしゃ、マジメに実況すっぞ! 揺れるボインの動きについて実況する。それこそ、気づいたらボインに俺のマイクを押し当ててたぐれぇの勢いで実況するぞ! 過保護過ぎると、強い息子は育たないからな!』
「なんか、かぶり矯正パンツの売り文句みたいだな‥‥」
だが、Tyrantessの何気ない一言によって、常磐はまたも真っ白な灰のごとく使い物にならなくなってしまう。
放送席の攻防はさておき、MAKOTOはミゲールの等身大フィギュアにメイドコスチュームを着せると、一緒になって出陣していく。
「よし、行くぞ!」
「ちょ、ちょ‥‥50万円や、50万なんやで!」
慌てて手を伸ばすミゲールだったが、その前で等身大フィギュアは人間ロケットとして雨宮目がけて飛んでいき、砕け散った。
「ハハ‥‥50万‥‥が‥‥ブクブク‥‥」
その光景を目の当たりにし、等身大フィギュアが番組制作費から出ているとは知らされていないミゲールは、口から泡を吹いて失神してしまう。
「原点回帰! さらなるキャットファイトを! くんずほぐれつのキャットファイトを! 潮の吹くようなキャットファイトを!」
だが、MAKOTOは気にすることなく、雨宮にのしかかる。それはまさに、キャットファイトの先の何かを目指して突き進むダークヒーローであった。
「きゃ、ちょ、ちょっと‥‥」
「怪獣はしゃべらない!」
さすがに文句を言う雨宮だったが、MAKOTOがピシャリと黙らせる。そのわりには、怪獣の着ぐるみのチャックを平然と開けにいってしまうMAKOTOであったが。
さらには、その隙間から手を滑り込ませていく。
「‥‥奥さん、やわらかいですね。指に吸いついてきますよ!」
「こんな若奥様、いません!」
つい先程誰かが言っていたようなセリフを吐いているが、こちらは鉄拳制裁とはならず、雨宮の幼い外見とは裏腹の豊満な胸を堪能してしまっている。
そして、その光景を優雅に見つめるお嬢様の姿があった。そんなイベントを開催中のメイドカフェの支配人、竜華(fa1294)である。併設する執事喫茶から執事の藤拓人(fa3354)を呼び寄せ、紅茶を嗜んでいる。
ふと何を思ったのか、スプーンを放り投げる竜華。
「スプーンが落ちたわ。拾ってきなさい」
「はい、お嬢様」
千代田区→アキバ→執事喫茶→執事→お嬢様の無理難題を聞くということで、女性選手の無体な要求を放映時間内に全部クリアすることができれば自分の勝利、できなければ敗北と、藤は自ら課していたので、文句の一つも言わずに、拾いに行くのみである。
「お嬢様、持ってまいりました‥‥ぐぼはっ!」
ひざまずいてスプーンを差し出す藤だったが、竜華に蹴り飛ばされてしまう。
「あなたがナメてキレイにするのよ!」
「は‥‥はい‥‥」
竜華の差し出すスプーンに、ベロを伸ばしてキレイにする藤。
「ショタ執事の唾液つきスプーン‥‥2,000円ってトコね」
「あ、あの、お嬢様?」
「あなたには関係のない、ビジネスの話よ。そんなコトよりも、当メイド喫茶名物のこのイベント、あなたの目にはどう映るのかしら?」
「どう‥‥と言われましても」
MAKOTOと雨宮の織りなす光景に、思わずもじもじしてしまう藤。だが、竜華はまたしても商売を閃いたようだった。
「何かが足りないと思ったら、コレが足りないのよ。コレ役で行ってきなさい」
常盤のチン拓を広げて、藤に差し出す竜華。
「‥‥お嬢様、僕まだ12歳で、そのようなコトは犯罪行為と申しますか、ごっこ的には反則となるのではないかと‥‥」
「反則じゃないの。このメイド喫茶の販促なのよ! 分かる?」
さっぱり分からない藤だったが、執事には肯定の返事以外許されない。
「うう‥‥うぉーッ!」
こうして、MAKOTOの思惑通り夜のプロレスごっこになってしまいそうなところへ、えらい人が割って入ってくる。
「I’m えらい人ーッ! 今回も独断と偏見でポイントによるランキングがつくゼ!」
1位 白海龍 7
2位 ミゲール・イグレシアス 3
3位 常盤躑躅 1
「目指せ、プロレスごっこ王! 以上だ‥‥」
えらい人は去っていったが、ジオラマ上ではローションも投入され、ドロドロのキャットファイト、ショタ付きが繰り広げられている。
「これなら、30分5,000円はいけるかしら、ね?」
竜華が相変わらずそろばんを弾いていたが、30分が過ぎたので番組終了となるのであった。