芸人プロレスごっこ王11アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 牛山ひろかず
芸能 フリー
獣人 フリー
難度 やや易
報酬 0.7万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 04/26〜04/28

●本文

 プロレスごっこ──それは、素人によるプロレスの真似事でしかないが、ここにはそれを魅せる域にまで昇華した番組があった。基本レスラーに扮する芸人が、様々な物や者を相手にプロレスをしているかのように見せて笑いを誘う。ただそれだけのことなのだが、小モノを使ったボケをベースとする、一人芝居に一発芸、リアクション芸にヨゴレと、お笑いの基本要素の散りばめられた、芸人のワンダーランドなのである。もはやプロレスどころか、本来の意味でのプロレスごっこからも遠くなっているが、それはそれなのである。

 TOMITVのある会議室に、芸人プロレスごっこ王選手権のスタッフが集められていた。そこへプロレスごっこの一番えらい人が姿を現す。
「俺の海が待っている! というわけで、地図を出せー、錨を上げろー、ようそろー!」
「はい‥‥ぐぼはっ!」
 スタッフが伊豆諸島や小笠原諸島も入った東京都の地図を運び込んだのだが、待っていたのは鉄拳制裁だった。
「はぁ!?」
「バカヤロウ! 俺の海って言ったろうが! 俺様の、えらい人の海は、東京都に収まるぐらいかって言ってるんだよ!」
「失礼しました‥‥こちらでよろしいのですね?」
 半ギレのスタッフが、ヤケになって太陽系の星図を持ってくる。
「太陽系か‥‥ちょっと狭いが、まあ許してやるか」
 だが、そのまま受け入れてしまうえらい人。そして、しばらく封印していたダーツを取り出しはじめる。
 スタッフ一同、地球以外の部分に刺さったらどうする気なんだろうとドキドキする中、ダーツは無事地球以外に刺さってくれた。
「よし、木星だな。木星ロケを行うぞ!」
「サー、イエッサー!」
 こうして、絶対に木星ではやれないコトは分かっている中、第二期芸人プロレスごっこ王選手権ランキング戦の第11戦目は平然とスタートするのであった。

参考例:
・軟体レスラーvsボストンバッグ:身体の柔らかい芸人が、固め技という設定でボストンバッグの中に入っていき、ファスナーを内から閉めたところで、レフェリーストップ、ボストンバッグの勝ち。

注意:
・木星で収録を行っているという体で、ごく普通のスタジオにセットもなくリングだけ置かれた状態で収録を行います。
・『木星』をテーマに試合をしなくてはなりません。『木星』から連想できないこともないものであれば、どんなに遠くても構いません。
・ポイントはプロレスごっこの一番えらい人の独断と偏見によってのみ与えられます。すばらしい、おもしろい、えろい、えらい人に媚びる、視聴率が取れる等、一切関係ありません。
・ランキングによる2代目プロレスごっこ王は唐突に決まりますので、気長にそのときを待ちましょう。
・とりあえず現在はポイントのインフレにはなってませんが、最終的には一発逆転のバラエティのノリになるので、そういうのに怒らない人募集です。
・プロレスごっこは安全第一です。死亡、怪我、流血、漂流はやっちゃダメでしょ。

ランキング(第6回分まで)
 1位 百鬼レイ(fa4361) 10pt
 2位 DarkUnicorn(fa3622) 8pt
 3位 白海龍(fa4120) 7pt
 3位 阿野次のもじ(fa3092) 7pt

過去の放送のスケジュール(最近5回分)
・第6回 04月11日 08:00〜
・第7回 04月17日 07:00〜
・第8回 04月18日 07:00〜
・第9回 04月19日 07:00〜
・第10回 04月24日 07:00〜

●今回の参加者

 fa0640 湯ノ花 ゆくる(14歳・♀・蝙蝠)
 fa1294 竜華(21歳・♀・虎)
 fa2539 マリアーノ・ファリアス(11歳・♂・猿)
 fa3635 甲斐・大地(19歳・♀・一角獣)
 fa3800 パトリシア(14歳・♀・狼)
 fa4287 帯刀橘(8歳・♂・蝙蝠)
 fa5412 姫川ミュウ(16歳・♀・猫)
 fa5602 樋口 愛(26歳・♂・竜)

●リプレイ本文

「はーっはっハっハ! 11回目にして、今シーズン初参戦! 日本には偉い人ほど遅れてくるという重役出勤制度があるのデ、10回遅れという超重役出勤ニ!」
 シリーズに遅れてきたわりには、今回の放送には真っ先にリングに上がって高笑いを上げるマリアーノ・ファリアス(fa2539)。言わずと知れた、初代プロレスごっこ王である。
「そんなことよりモ、今回のテーマは木星! Jupiter、それはローマ神話の主神にして、ギリシャ神話におけるゼウスなのダ! ゼウスといえバ、神々の王にして種付けの王! さテ‥‥?」
 5人もいる女性陣の吟味を開始するマリアーノ。吟味といっても、ゼウスとなったマリアーノにとっては、全員食べてしまうのは大前提。もはや、順番をどうするかくらいの問題でしかない。
『今回は司会というコトで、がんばりまっす♪ 木の机に木の椅子でも、木星だから気にしません!』
 そんなマリアーノの視線をものともせず、甲斐大地(fa3635)が放送席で進行を務めている。
「さすがは初代プロレスごっこ王、王者の驕り‥‥もとい貫禄を示していますね」
 マリアーノにとられてなるものかというつもりかどうかは不明だが、帯刀橘(fa4287)が甲斐に寄り添うようにして解説をしている。お子ちゃまであることを最大限に利用し、すでに甲斐と腕まで組んでしまっている。
「ゼウスの伝説に挑戦! あらゆる女性を孕ませるのダ。そして、その辺のツケも全部自分一人で受け止めて、男としての器でゼウスを超えてしまうのダ!」
 もちろん、マリアーノの視線は今回レフェリーを務める竜華(fa1294)にも絡みつく。そして、タイトミニなボディコンスーツとくれば、なめ回すように見るのは当然のことだ。
「承認!」
 だが、突如として竜華が動いた。
「ザ・パワーと無限を越えた絶対勝利の力が、何をもたらすのか? さあ、キミもプロレスごっこを見てヨゴレにファイナルフュージョン!」
 帯刀が淡々と解説する中、マリアーノをハンマーで吹っ飛ばす竜華。行動的には確実に否認と思われるが、Gハンマーというコトで許して欲しいといったところか。
 だが、問題は吹き飛ばされたマリアーノである。身体を支えてくれるハズのトップロープがなく、場外へそのまま転落である。
 ロープが2本しか張られていない? 1本増えてボクシング仕様の4本になるなら分かるが、なぜ2本なのか?
 答えは簡単で、湯ノ花ゆくる(fa0640)がトップロープを取り外し、それで電車ごっこをしていたからだ。
「宇宙と‥‥書いて‥‥そらと‥‥読む。メロンパンの‥‥身体を求めて‥‥ガタンゴトン♪ シュッポッポー♪」
 メロンパンの身体にしてくれる星へ旅立つためには、銀河鉄道に乗る必要がある。そして、湯ノ花は自らの手で建造してしまったというわけだ。
 ポクポクポク‥‥そこへ、突然木魚の音が響き渡る。早くもマリアーノの葬式か? と思いきや、単に甲斐がゴングを打ち鳴らしているだけである。木星ということで、ゴングも木魚にしておいたのだ。
 ちなみに、徹底した木星つながりで、甲斐はキンモクセイのドレスを着ていた。若干金星混じりの気がしないでもないが、小さなコトを気にしてはいけない。
「‥‥艱難辛苦を乗り越えて、男の夢とロマンに生きるのダ!」
 ムダに不屈の闘志で、マリアーノがリングに這い上がってくる。
「姫川ミュウ(fa5412)選手、これは美少女戦士のコスプレでしょうか? ジュピターだけに、ほれっぽいのでしょうか?」
 帯刀の解説どおり、リング上にはすでに姫川が立っていた。
 だが、マリアーノはこれ幸いと、その体勢を活かしてスカートの中をのぞき込む。
 そう、元はセーラー服なのだからセパレートなのか、戦闘での動きを考えてレオタードのように一体型なのか。それは、王者にとっては大変重要な問題であった。
「答えは‥‥コレだよ!」
 姫川がスカートをまくり上げると‥‥正解は、はいてない、であった。
 カメラには入らなかったものの、マリアーノは神々しい光景の直撃を受けた。古典的手法で鼻血を噴き出したいところではあるのだが、すでに血液の大半は下半身の一部に絶賛集結中なので、ただ見つめつづけるのみである。
「そんなに見つめられると、じゅんと‥‥ぐはっ!」
 エンジンのかかってくる姫川だったが、そこは竜華の教育的指導で、ハンマーで吹っ飛ばされてしまう。もちろん、マリアーノも巻き添えを食って、再びリング下である。
「ふぅ‥‥いつから、ジュピターはエロスの星になったのかしら?」
「まったくその通り! 木星はもっと医学的な問題なのだよ!」
 タメ息を吐く竜華のところへ、樋口愛(fa5602)が颯爽と現れる。
「木星、それは太陽に成り損なった星。木星、それは分厚く冷たい皮‥‥いや、川が流れる星‥‥」
 早くもイヤな予感プンプンのセリフを吐く樋口。もっとも、よく分からないヒーロー風の格好で、下半身は丸出しという外見を見れば、イヤな予感しかしないのだが。
「あれ? 突然真っ暗になりましたよ?」
『しっ! 見ちゃいけません!』
 放送席では、甲斐が帯刀の目を手で覆っている。無論、甲斐も目を背けて進行どころではないのは、言うまでもない。
 だが、樋口はむしろそれすらも心地よいかのように、セリフをつづけていく。
「その凍てついた大気が熱を帯びるとき、この星は瞬時に燃え上がり、巨大な太陽となるのだ! 衛生‥‥じゃない衛星から硬性‥‥もとい恒星へ。赤色巨星が爆発するとき、なんでもバキュームする神秘のブラックホールが発生し、やがてそのブラックなホールから超シンセイが誕生するのだ! そういうわけで、俺は木星こと超シンセイとなり、さしあたって隣のカセイと闘ってみようと思う」
 ようやく下半身丸出しに納得のいく一同。納得できたからといって、許せるかどうかは別問題であるが。
「超シンセイとカセイ、まずは大きさだ‥‥いてっ!」
 ボカっと竜華のハンマー一叩きで、早くも風向きが変わる。
「‥‥すいません。地球は中国のカントン省でした‥‥」
 泣いて詫びる樋口。そこへ、マリアーノと姫川も復帰してくる。
「木星の重力は、なんと地球の2.37倍なんです。みんなとっても体が重そうですねー。ねー?」
 だが、さらにパトリシア(fa3800)も登場だ。しかも、帰って来たばかりの宇宙飛行士のように、重々しく必死に歩いている。ここに来て、ようやくリアル木星志向の登場である。
 しかし、パトリシアのセリフとは裏腹に、周りは1倍の重力下でピンピンしている。自分の身体だけ重いのは不公平だと思うのは、至極当然の流れであった。
「‥‥はい、これでOKね?」
 まずは竜華に鉛のリストバンドとアンクルバンドを装着させ、満足顔のパトリシア。
 さらに、パトリシアは鉄アレイも取り出す。重力が2.37倍なのだから、本人の体重以上の重さにしないといけないという使命感、それがリアル志向!
「カントン省となった木星には、土星ほどではないにせよリングが填まっているのだ!」
 だが、その鉄アレイをひょいと樋口が取り上げてしまう。そして、なぜか下半身にリングと称してヒモを結んであったところへ、その鉄アレイをぶら下げてしまう。
「伸びる! 皮がもっと伸びちゃうよ!」
 一人勝手に悶絶する樋口に、竜華の重みを増したハンマーが炸裂する。といっても、鉄アレイにであるが。
 だが、それに引っ張られるように、悲鳴を上げた樋口が飛んでいってしまう。
「‥‥はっ! このままじゃ負けちゃうよ?」
「えッ? 何の勝ち負ケ?」
 その様子を、黙って見ていられる姫川ではなかった。マリアーノを下半身丸出しにすると、こちらはダンベルを装着である。
 マリアーノが王なのがいけなかったか、中国の特殊な気功使いのように玉の根元を縛られて、そこにダンベルをぶら下げる姫川。
「勝ち負け以前に‥‥場外になーれー」
 だが、当然ながら樋口同様にマリアーノも竜華のハンマーに飛ばされてしまう。
 こうして、残るは姫川ただ一人となったのだが、こうなったら自分の身体を使うしかなくなる。
「それじゃ、私がこのピアシングしたクリト‥‥ぐはっ!」
 さらに危険領域に突入しようとした姫川だが、達する前に竜華のハンマーの前に沈黙である。
 狂乱のリング上にはついていけないと、パトリシアは早々にリングを下りて、放送席前まで来ていた。
「みなさん、おはようございます。私たちは今、木星に来ています。キンモクセイはトイレの香り。木星といえばガス惑星、そしてアンモニアの海ですものね。とってもヨゴレな星みたいですね‥‥ん?」
 甲斐のキンモクセイのドレスを利用して、新たな切り口で攻めていこうとするパトリシア。だが、吹っ飛ばされてリング下にいたのをいいことに、姫川がそのまま放送席にやって来ていた。
「そして、アンモニアといえば聖水プレ‥‥ぐはっ!」
 姫川が現れて余計なちゃちゃを入れるが、今度は湯ノ花のメロンパン砲によって一網打尽である。
「‥‥メロンパン砲‥‥エネルギー充填‥‥120%‥‥」
 そう、湯ノ花はこれまでの時間を利用して、ついにメロンパンの身体を手に入れていたのだ。そして、メロンパン砲は自らの身体であるメロンパンをむしって飛ばす‥‥まさに、アンパンマン並みの自己犠牲のワザであった。
 というわけで、替えのメロンパンが飛んでくるとかはないので、このまま湯ノ花が息絶えてエンディングである。
「I’m えらい人ーッ! 今回も独断と偏見で、ポイントによるランキングがつくゼ!」
 1位 パトリシア 7
 2位 甲斐大地 3
 3位 湯ノ花ゆくる 1
「目指せ、プロレスごっこ王! 以上だ!」
 えらい人が颯爽と去っていく。
 こうして、約3名ほどがポイントとは無関係にムダに下半身を痛めて悶絶するのをバックに、番組は終了していくのであった。