リフォームで番長アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 牛山ひろかず
芸能 フリー
獣人 フリー
難度 やや易
報酬 0.7万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 04/28〜04/30

●本文

登場人物
・ディレクターに昇進したばかりの男(以下、ディレクター)
・ディレクターの上司(以下、上司A)
・上司Aのさらに上司(以下、上司B)

 TOMITVのこのディレクターは、最近(でもなくなったが)マイホームを建てたばかりだった。しかし、上司Aの提案によってメチャクチャなリフォームをされてしまう。それが、すべての発端であった。
 その後、上司Aの屋敷にメチャクチャなリフォームをしたり、上司Bの愛車を改造してみたり、ディレクター宅でフットサルをしてみたり、上司Aの屋敷で三角ベースをしてみたり、再びディレクター宅にメチャクチャなリフォームをしてみたり、そのディレクター宅を海に沈めて人工漁礁としてみたり、新たなディレクター宅で全裸だるまさんがころんだをしてみたり、PSF連動でラグビーをしてみたり、上司Aの屋敷に雪を撒いて遊んだり、またまたディレクター宅で長距離走をしてみたり、ディレクター宅をヤンキー高校に見立てて入学式をしてみたり。
 そんなわけで、すでに12回も無意味なだけの破壊工作をしてきているのであった。

 そしてまた、縁起のいい第13回目がはじまる──

 上司Aがディレクターに近づいていく。
「おう、今日は逃げないんだな?」
「まあ、風通しがいいのも、壁をふさいで直しましたし‥‥今までに比べたら、マシでしたからね」
「そのことなんだが‥‥」
 比較的笑顔なディレクターに対し、上司Aが深刻な顔をする。
「前回、ヤンキー高校入学式をやったじゃないか。そのわりには、被害が少なかったよな? おかしいと思い、よくよく精査してみたところ、途中から番長シリーズとゴッチャになっていたコトが判明した。このパクり疑惑に関し、スポーツイベント便乗チームから強いクレームが‥‥」
「え、マジっスか!?」
「ウソだ!」
 慌てて立ち上がるディレクターに対し、うれしそうに手のひらを返す上司A。ディレクターはズッコケるのも忘れ、殺人犯の目になって上司Aを睨む。
 だが、上司Aは気にせずつづける。
「‥‥むしろ、番長をドンドン使って欲しいというコトになった。というわけで、今回は番長シリーズの番宣も兼ねてタイトルを『リフォームで番長』とし、入学式明けのホームルームの時間とする。文句はないな?」
「あっても、やるでしょ?」
「そりゃ、入学式をやった以上、授業をやらなきゃサギだからな」
「変なトコでこだわるんですね‥‥」
 こうして、ディレクター宅でヤンキー高校の番長たち勢ぞろいのホームルームという、実際にあるのかよく分からないシチュエーションで収録が行われることとなった。相変わらず、何に入学したのかも分からないまま。

企画内容:
 8名までの精鋭が、ディレクター宅でなぜか行われるホームルームに出席します。いきなり早退しようと、ケンカランキングを決めようと、飼育委員になって捨て犬を拾おうと、保健の実技授業をしようと、それは勝手というものであります。
 何かセットや道具が必要であれば、番組で用意されます。無論、持ち込みも可能です。
 一体何に入学し、ホームルームを受けようというのだろう? 各自、勝手に考えたり、考えなかったりしてください。
 欲しいのは、ヤンキー高校ホームルームのおもしろ映像です。そのおもしろさと番長度合いを上司Aが判定し、優勝者を決定します。
 優勝者には、賞金10万円が授与されます。
 それ以外のルールは、上司Aが適宜ルールブックとなります。
 ケガ、病気は自己責任で(治療費は出ません)。

過去の放送スケジュール(最近5回分):
・リフォームでトイレ使用 8月10日 07:00〜
・【PSF】リフォーム闘球 9月17日 07:00〜
・リフォームでウィンター 10月17日 07:00〜
・リフォームでランナー 12月21日 07:30〜
・リフォームで新築が水没 4月13日 07:00〜

●今回の参加者

 fa0750 鬼王丸・征國(34歳・♂・亀)
 fa0761 夏姫・シュトラウス(16歳・♀・虎)
 fa1772 パイロ・シルヴァン(11歳・♂・竜)
 fa3092 阿野次 のもじ(15歳・♀・猫)
 fa3134 佐渡川ススム(26歳・♂・猿)
 fa3251 ティタネス(20歳・♀・熊)
 fa3622 DarkUnicorn(16歳・♀・一角獣)
 fa4729 キューレ・クリーク(25歳・♀・豹)

●リプレイ本文

 ガラッ! 教室にリフォームされたリビングに、羽織袴に長ドスを差した鬼王丸征國(fa0750)が入ってくる。
「わしが今日からこのクラス担任を務める、鬼王丸征國じゃあ!」
 ドーン! とムダにSEを背負って自己紹介を開始する鬼王丸。番長先生を通り越して組長先生となっているが、問題とすべきはそこではない。
 真に問題にすべきは、教室に誰もいなかったことである。番長ともあろうものが、始業ベルと同時に教室にいるわけがないのである。
「わしがこのクラスの組長じゃーい。みなさん、よろしゅうのゥ」
 そして、誰もいない教室に向かって延々と自己紹介をつづける鬼王丸である。
 ガラッ! だが、ようやくティタネス(fa3251)が入ってくる。知的さを強調したというサングラスからはさっぱり分からないが、学級委員番長なのである。
 それに加え、今日のティタネスは日直番長でもあるので、Wの効果でこの程度の遅刻で済んだというわけだ。
 ガラッ! ティタネスが座ったところで、今度は巨大なブリキ缶が入ってくる。いや、ガシャーン、ガシャーンという耳障りな音を立てて歩いていることから分かるように、ロボ沢萌美だ。決して阿野次のもじ(fa3092)ではない。中の人などいないのである。
 ドーン! そして、ついにドアが吹き飛んだ。入ってきたのは、巨大な黒い馬である。
 いや、漆黒の馬体とは対照的に、白い虎の覆面に白のタキシードに身を包んだ覇者が乗っている。夏姫・シュトラウス(fa0761)だ。肩に装着したプロテクターとマスクの上からさらにかぶった兜から分かるように、世紀末覇王番長である。
「では、みなさんに新しい友だちを紹介したいと思いまーす! 入ってきなさーい!」
 ようやくクラスメイト番長がそろったところで、鬼王丸が暑苦しい顔に精一杯の笑顔を作って廊下に声をかける。
 ドアの外では、佐渡川ススム(fa3134)を中心に、パイロ・シルヴァン(fa1772)、DarkUnicorn(fa3622)、キューレ・クリーク(fa4729)が円陣を組んでいた。
 パイロは入学式ではPTA会長番長だった気もするが、それ以前に前回に引きつづき登場というのは、皆勤賞番長ってどうよ? って話ではある。どう考えたって、ナゾの転校生番長の方が、少なくとも響きだけはカッコイイのである。
 というわけで、転校してきた四天王のみなさんの入場である。が、入ってくる気配がまるでない。
「いいか? 番長たちの頂点には、4人の番長が存在する。彼らは四天王を名乗り、ディレクター宅にある4つの門の守護者として、そこを守護しているという。そこで、その四天王を決めてみたいと思う」
 3人が見守る中、サイコロを掲げる佐渡川。ドアが吹き飛んでいるので、教室から打ち合わせしている様子が丸見えであるが、本人たちはまるで気にしていない。
「まず東‥‥はパイロ。次に西‥‥はDarkUnicorn。そして南‥‥はキューレ。最後に北‥‥はDarkUnicorn。よし、これで東西南北の門番がそろったぞ!」
「東、東だね」
 パイロがポマードを取り出すと、オールバックに固める。さらに昇り龍を背負った青ランを羽織った。
「南? 南の反対は北、来た、KITA‥‥」
 一方、キューレは紙に何やら書きながら、ずっと思案顔である。
 そんなことよりも、ウサミミ番長のDarkUnicornである。思わぬ事態に、ウサミミが元気なく垂れ下がってしまっている。
「なんで、わしだけ北と西なのじゃ!? 北西じゃ中途半端でイヤなのじゃ!」
「かぶってる番長がいるが、気にしない‥‥」
「そうじゃったの‥‥もっと深刻なかぶりがおったのじゃ‥‥」
 佐渡川の言葉に、思わず納得してほろりとしてしまうDarkUnicorn。だが、DarkUnicornは大きな勘違いをしていた。佐渡川の言葉には、まだつづきがあったのだ。
「なぜなら、番長は一度振ったサイコロの目をごまかすような真似はしないからだ! ヒメさんには、北と西の門番番長として、二穴を同時に守護してもらう!」
 佐渡川は壁の穴という意味で言ったのだが、先程勘違い番長になったばかりのDarkUnicornはそういう風には捉えていない。人体の二穴に目を向けてしまった。
「分かったのじゃ! まずは尿道なのじゃな? カテーテルを入れるのじゃな?」
「ちょ!」
 平然と佐渡川のパンツを下ろし、ひょいと持ち上げるDarkUnicorn。
「うむむ‥‥相変わらずコドモじゃな。まぁ、その方がカワイイのじゃが‥‥少し不憫でもあるのッ!」
「‥‥‥‥」
 佐渡川が、すっかり無口な人と化している。まあ、下半身丸出しでうるさくてもたまらないが。
「しかし、この皮がジャマじゃのう‥‥ハッ! リフォームで番長とは、番長自身をリフォームするコトじゃったのじゃな!」
「‥‥こまいのぅ」
 中々出てこない転校生たちの様子を見に来た鬼王丸がボソリと呟いてしまったものだから、余計に萎縮してしまう。
「いくらなんでも、小さすぎるのじゃ! これじゃ、カテーテルを入れられないのじゃ!」
「だったら、大きくすればいいんだよ!」
 すっかり番長に着替え終わって佐渡川待ちになっていたパイロが、余計なコトを言い出す。おかげで、先程の円陣のメンツで好き勝手いじり放題である。
「違うモノが出ちゃう、違うモノが出ちゃうよ!」
 シーン。佐渡川が悲鳴を上げていたが、急に場が静まり返る。全員が凍りつき、ナニゴトもなかったかのように着席する。
「えー、それではホームルームをはじめたいと思います。では、学級委員‥‥」
 不自然なまでに、急に流暢な標準語になる鬼王丸。廊下に打ち捨てられてシクシク泣く佐渡川を放置して、ティタネスが号令をかける。
「起立、着席、礼!」
 ゴツ! 頭が悪キューレな人の例を出すまでもなく、全員が番長なので、バカ丁寧に従うのみである。よって、立って座って頭突き。全員の机が試し割りの板状態である。
「おどりゃー、なんなんなら!」
 鬼王丸の広島弁が復活したところで、再びティタネスが号令をかける。
「起立、礼、着陸!」
 お約束に従い、全員ズッコケる。無論、鬼王丸は跳ね上がった教卓の板に激しく額を打ちすえていた。
「た、大変なコトに気づいてしまった!」
 しかし怪我の功名なのか、何やらずっと考え込んでいたキューレが、頭に衝撃を受けて何かを閃いてしまったようだ。
「私の名前を英語で書くと、KYURE KURIIKU‥‥つまり、番長たちを表すKKというのは、私の名前のアナグラムだったんだよ!」
「英語ならCreek、せめてドイツ語ならKrieckなんじゃ‥‥げふっ!」
 鬼王丸が『な、なんだってー!?』と言うのも忘れ、『アナグラムだと何か?』という細かいツッコミも一切無視して教師っぽく助言するが、次の瞬間にはキューレのジャイロアッパーが鬼王丸のレバーにめり込んでいた。
「なに、意味不明の宇宙語しゃべってんだよ!」
 頭が悪キューレなので、横文字はローマ字までが限界だったのである。
 そして、それを合図に番長たちの自己紹介がはじまった。きっかけの意味が分からないが、それが番長流である。
 まずは、ロボ沢が進み出ると、パッカーと割れて中から阿野次が出てくる。そして、教卓の上に仁王立ちした。
「好きな言葉は成り上がり! だから、ただの金将に興味はなし! 歩、香車、桂馬、銀が成ったのだけ、私のところに来なさい」
 再びロボ沢の中に戻って引き上げていこうとする阿野次だったが、慌てて飛び出してくる。
「‥‥って、将棋の話をさせて引き下がらせるとは、大宇宙の大いなる意志の仕業だね!? というわけで、この中に宇宙番長、未来番長、超能力番長その他諸々番長がいたら、私のところに来なさい‥‥これが正しい。ん?」
 早速、DarkUnicornが阿野次の前に立っていた。
「ウムッ。佐渡川とわしのどちらが脱がされランキングNo.1かを決しようと思っておったのじゃが‥‥やはり、のもじに勝負を申し込むのじゃ! 野球拳番長としてのッ!」
「なんだってタイマン張ってみせる☆」
 野球拳番長がその他諸々番長に引っかかったのか、なぜか受けて立つ阿野次。
 そして、阿野次は負けつづけた。といっても、一枚一枚板金をはがしていったので、ようやく中の人が出てきただけではあったが。
「いつもわしだけ脱がされるというのは、不公平じゃからのッ!」
 だが、DarkUnicornの快進撃もここまでだった。今度は、逆にあっという間に身ぐるみをはがれてしまう。
「くっ‥‥備えあれば憂いなしとはいえ‥‥」
 わずか3枚の絆創膏に守られるだけになる
「まだ脱ぐものが残ってるよ! 大丈夫、TVの前のPTAのみなさんも分かってくれるさ!」
「今はリハビリ中での‥‥これは名誉の負傷の証なのじゃ。剥がせんのじゃ!」
 パイロがエロガキ番長となって試合続行を強硬に主張するが、もちろん受け入れられるハズもない。DarkUnicornが廊下に出て逃げていく。
 問題の脱がされランキングだが、佐渡川も見せてはいけないものを放出済みだったので、完全に勝者なき戦いであった。
 こうして、映してはいけない番長が2人になったが、阿野次の前に立ちはだかるその他諸々の番長はまだまだいる。
「北斗は一子相伝、北の名を騙ったニセモノは去ったか‥‥」
 今度は、相変わらず馬に乗ったままの夏姫である。
「お前、北斗七星の横にある星を見た事があるか?」
 阿野次に問う夏姫。だが、阿野次をもってしても答えられない勢いで、言葉をつづけていく。
「やはり、神はこの俺と戦いたがっている。天に滅せい!」
 無意味に、馬に床を踏み抜かせる夏姫。
「わが生涯に一片の悔いなし」
 それに満足したのか、拳を高々と挙げて夏姫も去っていく。
 だが、そこで事件は起こった。佐渡川の脇を通り過ぎた際に、映してはいけない体液に蹄鉄を滑らせ、落馬してしまったのだ。
 ちょうど落ちた先が、まさにそれが散らばっていたところだったが、夏姫の全身が白い衣装だったことが幸いし、映像上はよく分からないので問題はない。
「たいぎいのぅ‥‥」
 ようやく鬼王丸が起き上がってきたが、阿野次の戦いはつづく。
「オラ、席つけやコラぁ!」
 学級委員番長だったことを思い出したティタネスが、急に一喝したのである。
「だったら、私のところに来なさい」
「普通の高校では生徒が椅子に座る。ヤンキー高校では椅子が生徒に座る!」
 阿野次の前まで行くと、パイロの上に座るティタネス。生徒が生徒に座っているだけの気がしないでもないが、パイロが喜んでいるので止めようがない。
「イスカンダル‥‥イス噛む、ダル? 札幌ドームのイスだろうと、何でもかかって来ーい。噛んだるでー!」
 それに、あれからさらに考え込んでいたキューレが、またも余計なコトを閃いてしまう。
 イスとなったパイロを噛みまくるキューレ。ますます喜ぶ‥‥いや、悦ぶパイロ。若い身空でありながら、佐渡川やDarkUnicornのように、映せなくなってしまう一歩手前の領域に達してしまっている。
 こうして、ディレクター宅がほとんど被害を受けないまま、ホームルームは終わっていくのであった。
 結局、ディレクター宅以上に破壊された佐渡川に──まあ、元から壊れていただけという話もあるが──優勝賞金10万円が贈られた。