暑さ寒さもみどりの日アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
牛山ひろかず
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芸能 |
フリー
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獣人 |
フリー
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難度 |
やや易
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報酬 |
0.7万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
05/04〜05/06
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●本文
「いや〜、今年から5月4日がみどりの日ですね〜」
GW進行の中、外出先から戻ってきた後輩がスタッフルームに入ってきた。そこへ、先輩が口を開く。
「あのな、暑さ寒さもみどりの日といってだな‥‥」
「えっと‥‥タイトルからついに彼岸が抜けちゃいましたね‥‥ぐはっ!」
ボカッ! 普通に気づいた点を指摘する後輩を、先輩が鉄拳制裁で黙らせた。
「うるせー、このヤロウ! みどりの日が暑くて寒いんだから、しょうがねーだろ!」
「‥‥でも、暑くて寒いってなんなんですか?」
「いいコトを聞いてくれたな。つまり、緑色の液体の入った熱湯風呂と氷風呂に入るという企画なわけだな!」
「緑色って‥‥ムリにみどりの日に合わせた感たっぷりですけど‥‥」
こうして、ムリヤリこじつけただけのみどりの日企画がスタートするのであった。
企画内容:
熱湯風呂と氷風呂を堪能します。その際のリアクションのおもしろさを競い合います。
緑色さえしていれば、浴槽の中身が何でも構いません。
ポロリ等は放送できる範囲内で。ある程度はモザイクで対処しますが、あまり見苦しいと全面カットになるかもしれません。
必要な物、装置、設備等は、指示があればすべて番組で用意します(現実的な範囲内であれば)。
いかにみどりの日のさわやかさを演出できたか等のリアクションを総合的に見て、一番おもしろく説得力があったと判断された人が優勝となり、優勝賞金10万円が贈られます。
なお、さわやかさはこの先輩が判断するので、普通の人が感じるさわやかさではないと思われます。
その他細かいルールは、スタッフがルールブックです。
過去の放送スケジュール:
・辛さ臭さも彼岸まで 08月14日 7:00〜
・暑さ熱さも彼岸まで 09月23日 7:00〜
・冬至だろうと彼岸まで 12月22日 7:00〜
・寒さ冷たさも彼岸まで 02月04日 7:00〜
●リプレイ本文
まだ透明の浴槽を前にして、男性出場者たちがひな壇に並べられている。ということで、まずは女性陣のお披露目からである。
「裸なんて、恥ずかしいですし‥‥」
ビキニの水着の上からチャイナドレスという、重装なのか軽装なのかよく分からない格好で月詠月夜(fa5662)が入ってくる。
つづいて、姫川ミュウ(fa5412)が風呂に水着などありえないッ! バスタオル一枚を巻いてという、入浴スタイルでの登場である。
「サービス料は、自由恋愛の対価でしかないんですよ」
自分で目の部分に指を揺らしてモザイクをかけているが、セリフと合わせてこれは一体何の前フリか?
そして最後にカメラがひな壇の横の、特設されたジャグジーを映し出す。そこにはただ一人ランディ・ランドルフ(fa4558)だけが、アスリート仕様のワンピースの水着を着て優雅に浸かっていた。
ジャグジーの中ではヨモギが踊っていた。これで緑のノルマは達成したとばかりに、スコッチをあおっている。
「うむ、早くはじめるがよい」
さらにシャム猫でもなで出したりしたら、悪の組織の黒幕っぽくなるところだが、出場者のやる内容がそもそも悪の組織のお仕置きのようなものである。
ランディ様の御指示が下ったこともあり、お約束で男性5名の紹介はごっそり省略だ。海パンがいようと、金太郎のカッコしたのがいようと、問答無用で競技に移る。
「しゃーっ! 俺から行くぜ!」
先陣を切って、競泳用の海パン一丁で待機していた九条運(fa0378)が飛び出してくる。
浴槽に緑色の液体が注ぎ込まれるが、ただ単に緑色に着色しただけの湯だ。ただし、湯自体に捻りがない分、より高温に設定されている。
「湯が噛みつくくらいが、ちょうどいいんだーッ!」
江戸っ子っぽくキメてみせる九条だったが、噛みつくとの形容も生ぬるいくらいだったので、すでに汗が噴き出るとかのレベルではない。
「こう汗をたっぷりと流し‥‥」
「たっぷり汗かいちゃうんですか? やっぱり、著名なアクション俳優さんともなると、ギンギンに元気なんですね〜」
必死に強がる九条の浴槽の隣に、姫川がマットを運び込んでくる。しかも、その上に大量のローションを垂らしている。どう考えても、ツルツル滑って楽しむとは思えない。
思えないので、慌てて月詠が飛び込んでくる。
「ダメですよ、男の人と同じお風呂に入っては! 大体、男湯、女湯で別々ではないのですか!?」
「んー? 特殊な個室って設定だよ?」
平然と答える姫川だったが、九条の方がすでに限界に達している。浴槽から飛び出すと、氷風呂に飛び込んで冷やしている。
「‥‥ふぅ。では、このよく冷えたコーヒー牛乳1リットルを一気に飲み干‥‥がはーっ!?」
突然、ノドを押さえながら床の上を転げ回り、ヨダレを垂れ流して悶絶する九条。
「まあ、60度以上あるからな」
当たり前のように呟くランディ。もちろん、温度のことではない。アルコール度数のことだ。ランディが、コーヒー牛乳ではなくスコッチにすり替えていたのである。
九条が熱湯に焼かれることはなかったが、無事ノドが灼けたようで何よりである。
「こうなっちゃったら、使いモノにならないよね。じゃ、次のお客さん、どうぞ〜」
あっさりと九条を見限り、次の犠牲者を呼び込む姫川。
「HAHAHA〜! みどりの日なので緑の液体! すなわち、着色料バリバリのメロンソーダのプールにダイブしてやるZE!」
ジョニー・マッスルマン(fa3014)がムキムキの身体にブーメランパンツ一丁で、ポージングしながら登場である。その間に、宣言どおりに無果汁のメロンソーダが注がれていく。
「Bull shit! 何をのぞき込んでいるんだYO!?」
突然、悲鳴を上げるジョニー。見れば、さらにその隙に、姫川がジョニーのパンツをひょいとめくってのぞき込んでいたのである。
「えーと、外人さんのサイズの確認と、巌岩要塞の様な筋肉に反して、こっちはやっぱりふにゃふにゃなのかな〜? と思って」
「このSlutが、MeのDickはWoodyだZE‥‥っと、ソーダを飲み干すのにチャレンジDA!」
ムダにさわやかな笑顔で、ムダにスラング連発のジョニーだったが、浴槽の方の準備が整ったので、さらっとそっちへ向かう。
「随分強力そうな炭酸ですNE‥‥!」
血の池地獄を緑色に変えたかのように、ボコボコと泡立っている。が、気にせず顔を突っ込むジョニー。
「〜ッ!?」
次の瞬間、悲鳴が声にすらならず、悶絶するジョニー。泡は炭酸などではなく、沸騰していただけの話なのである。
「また使いモノにならなくなっちゃった。じゃ、次のお客さん、どうぞ〜」
ジョニーもあっさりと見捨て、さらなる生け贄を呼び込む姫川。
「5月4日、ただの祝日に挟まれた日から、国民の休日、そしてみどりの日へ。そりゃ5月4日は大したものですが、間に挟まったままの1日と2日の肩身がますます狭くならないかが気がかりです‥‥」
茶人の格好をしたバッカス和木田(fa5256)が、長々としゃべりながら入ってくる。だが、それも序の口にすぎなかった。
「端午の節句の前日ならば、ここは菖蒲で勝負するのが王道。ですが、ヨモギと大分かぶってしまいます」
ランディをちらりと見やる和木田。ランディは相変わらずジャグジーに浸かり、のんびりと成り行きを眺めている。
「だから、僕はメーデーという肩書きのある1日からも差をつけられた2日の立場に同情し、夏も近づく八十八夜ということで、茶席を一席設けてみたいと思いますよ。お茶請けは夏餅家族八十八夜で、季節の柏餅とチマキでございます。お茶請けがチマキでございますから、屈原に倣いまして古代中国の茶人や詩人の格好をいたした次第です。さて、中国のお茶といいますと、半発酵茶である烏龍茶を連想しますが、緑茶の方が普及しているので‥‥」
「長いわ! お腹が減ってしまうでしょーが!」
延々と説明しつづける和木田に、ガマンならなくなった月詠が飛び蹴りをかましてしまう。
「あ、月夜ったらハシタナイ‥‥」
急に我に返って、頬を赤らめる月詠。それだけに留まらず、そのまま姿が消えていく。
獣人なら簡単に気づくことであるが、光学迷彩が発動したのである。が、そのまま電波で垂れ流すわけにはいかないので、慌てて『クロマキーです。ブルーバックではなく、グリーンバックなのが本日のこだわりです』とのスーパーが入る。もちろん、大ウソであるが。
そんなことよりも、和木田である。緑茶で満たされた浴槽に、頭から突き刺さっているのだから。
「あー、また使いモノにならないよ。じゃ、次のお客さん、どうぞ〜」
あっさりサジを投げると、新たなる人柱を呼び込む姫川。
「端午の節句とやらも近いコトだし、男の子の元気な成長を祈っていたぜ‥‥ずっとな」
赤い前かけで金太郎コスをしていながらも、一切いじられずにポツンと座っていたZebra(fa3503)だったが、ようやくの登場である。
「緑色の液体っつったら、当然スライムだよな? 粘度高いけど。で、洗濯のりにホウ砂とかいう薬を入れて練るとスライムが作れる、ってのは割と有名な話だから、とりあえず大量に作ってみようか」
「あ、できあがったものがコチラになりま〜す」
材料が運び込まれるよりも早く、マットの上に大量のスライムを載せて姫川が入ってくる。理科実験のスライムではなく、ただの緑色のローションだろというツッコミ待ち状態であったが、とりあえずはスルーのZebra。
「お客さーん、ひょっとしてはじめてですか〜?」
「いや、俺にはマイスウィートダーリンというものが‥‥しかし、スライムのこの卑猥な感触に‥‥落ちてしまいそうだ‥‥」
「心と身体は別ですよ〜?」
Zebraが陥落寸前のところへ、ぐぅ〜という音が響き渡った。
「‥‥お腹、空きますね?」
再び姿を現した月詠のお腹が鳴ってしまっていたのである。またも消え入りたい事態の月詠だったが、そこへすかさずウィン・フレシェット(fa2029)が飛び込んでくる。
「だったら、俺におまかせさッ☆」
少年シェフの格好をしたウィンが、月詠にウインクしてみせる。
「今回は、グリーンポタージュにチャレンジしようと思うんだ☆」
理科の授業は保健体育に乗っ取られてしまったが、家庭科の授業は順調に行われるようだ。
「ようは、普通のペシャメルスープにすりつぶしたほうれんそうを混ぜるだけさ! お好みで、生クリームを少量垂らすんだ。ホイップクリームは厳禁だぞ☆」
「えー! まだ生クリーム絞る段階に行ってませんよ?」
ウィンの生とクリームという単語に敏感に反応して、姫川が割って入ってくるが、確実に違うクリームとしか思えなかったので、ウィンも月詠スルーである。
「さあ、召し上がれ! おいしいよ☆」
ウィンがこれに入るハズだったのだが、やっぱりおいしく食べてもらってこそと料理人魂が目覚めてしまったので、月詠にふるまってしまう。
「あ、おいしいです。あれ? ウィンナーなんて誰が入れたんでしょうか?」
「え?」
視聴者に勘違いされてしまっては困ると、『月詠さんが口にしているのは、本当にウィンナーです。その証拠に、今から切り分けます』のテロップが流れる。
しかし、切られるたび、食べられるたびに、どこか恐怖を感じて前かがみにモジモジしてしまうウィン。これが、男の習性というものだろうか。
こうして、すべての競技が終了したところで、姫川が入浴料とサービス料との名目で、賞金10万円をふんだくってしまう。が、全部持っていってしまうほどの鬼でもない。
「はい、月詠さんの取り分ね」
「なんで、月夜にまで取り分があるんですか!?」
「もー、分かってるクセにー」
月詠のわき腹を、軽く小突く姫川。だが、月詠はあくまでも分かっていないようだった。