ダジャレに命を懸け軸アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
牛山ひろかず
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芸能 |
フリー
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獣人 |
フリー
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難度 |
やや易
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報酬 |
0.7万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
05/15〜05/17
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●本文
TOMITVの廊下。ムダにアツい上司が、すれ違った部下に声をかけた。
「よ、久しぶり!」
「‥‥はい」
だが、なぜか部下に筆を持たされる上司。
「‥‥?」
なんのことだか分からないまま、上司の前に半紙やら硯やら墨汁やら、ようするに習字セット一式が並べられていく。
「‥‥ふむふむ、分かってきたぞ」
「本当に分かってますかね? フフフ‥‥では、書いてください」
部下が意味ありげに笑う中、上司が書をしたためていく。
「『命を書ける』と来ると思っているのかもしれんが‥‥それには引っかからんわ!」
「〜ッ!」
上司が半紙を持ち上げると、そこには『命を懸け軸』と書いてあった。
「『懸ける』と『書ける』は引っかけで、この書を掛け軸にしようってことくらい、お見通しなのだよ!」
「くっ‥‥参りましてござる‥‥」
平伏する部下。どこで勝ち負けが決まるのか、余人にはまったく理解できない。
ともあれ、こうしてダジャレを使ったおもしろVTRを競い合う企画の第10弾がスタートするのであった。
『命を懸けずに、筆で字を書きましょう』
ダジャレを実際に収録してきたVTRのおもしろさを競い合います。撮ってこないで、スタジオ収録中にその場でやることも可能です。
優勝者には賞金10万円が授与されます。
例:『布団が吹っ飛んだ』
干してある布団が風で吹き飛ばされるだけだと点は低く、寝ているところに爆破で布団ごと吹き飛ばされれば点が高い。
例:『リスとトラをリストラする』
イラストがその収録例。ムダにアツい上司でなくとも、部下をリストラしたくなるコト間違いなしです。
その他注意点
・今回はダジャレを毛筆で書いて掲示しながら、ダジャレを言わなければなりません。
・全文を書く、元の単語だけ書く、ダジャレになっている部分だけ書く、まったく無関係の言葉を書く等、何を書いてもかまいません。
・字を懸(書)ければいいので、特に命を懸ける必要はありません。
・血で朱書きとかはNGです。
過去の放送(最近5回分)
・ダジャレに命をぶっ懸け 07月17日 08:30〜
・ダジャレに命をふり懸け 08月09日 07:00〜
・ダジャレに命を懸けない 09月30日 07:00〜
・ダジャレに命を懸け落ち 12月08日 07:00〜
・ダジャレに命を懸け足 01月31日 07:00〜
●リプレイ本文
紋付袴という妙にかしこまった姿のグライス・シュタイン(fa4616)が、正座をして半紙に向き合っていた。それはまさに、サムライが死地に赴く前の精神統一にも似て。
「‥‥時は満ちました。いざッ!」
カッ! と目を見開くと、おもむろに黄色の絵の具を半紙の上にぶちまけるグライス。初っ端から墨汁を使っていない気がするが、こんな番組に書道の定番を求めてはいけない。
「ほっ! はっ!」
気づけば、着ぐるみという名の半獣化猿となり、何かを書くとか描くとかではなく、ただ全身を絵の具まみれにしているだけにしか見えない状態となるグライス。
「これだ‥‥これでこそ、芸術は爆発だってもんだな!」
その様子を見ていたTyrantess(fa3596)が感動し、よせばいいのに創作意欲が湧いてきてしまう。
Tyrantessは隣に突っ立っていたナゾのマスクマン──って、常盤躑躅(fa2529)がパンダの覆面をしていただけだが──を引っ張ってくると、クルリと後ろ向きにさせる。
「隣に女がおんなー」
常盤が鋭くダジャレをかますが、まったく気にすることなく常盤の背中に『発』という文字を書くTyrantess。
「そうだ。背中は英語でBack。つまり、芸術はBack発だ、ってことだよ!」
「え? Backは後背‥‥ぐごっ!」
背中の文字はさっぱり見えなかったものの、とりあえずは分かる言葉を拾ってみた常盤だったが、Tyrantessツッコミの殴りギターが顔面に炸裂するだけであった。
そんな間に、グライスも芸術作品を完成させる。黄色くなった半紙なのか、黄色くなった自分自身なのか、どっちが作品なのか素人目には分からない。
「猿の着た紋付が黄色で‥‥紋黄ー蝶です!」
紋付のイエロー部分を見せつけるグライス。それに、高白百合(fa2431)がキラーンと目が輝かせた。
「紋黄ー‥‥モンキー‥‥猿!?」
何かに重要なコトに気づいてしまった高白。グライスの黄色の絵の具を利用しておもむろに半紙にバナナの絵を描くと、それをヒラヒラさせてグライスを誘い込もうとする。
「ウキっ?」
馬の鼻面にニンジンのように、食欲を抑えきれずに飛びかかっていくグライス。高白がセットの木の上に誘い込んでいるとも知らずに。
気づけば、高白は安全第一と書かれたヘルメットと救命胴衣を着ていた。そして、『猿も木から落ち』まで書かれた半紙を掲げる。無論、スペースの配分を誤って『る』が入らなかったわけではない。
闘牛士が赤い布をさっと引くように、バナナの書かれた半紙を引く高白。
果たして、グライスは木のセットから落ちていった。おかげで、お尻を痛打である。
さらに、そこへ高白が降りてくると、グライスの袴を脱がして、パンツも後ろ半分をずり下ろし、そのお尻をカメラの前にさらした。
「猿も木から落ちり‥‥ご覧のとおり、お猿のお尻は真っ赤っかです!」
「‥‥ひっく、うわーん!」
なんとか振りほどいてすぐにパンツをずり上げると、泣きながら去っていくグライス。四十男を泣かせてしまったが、高白はすでにやり遂げた顔をしてしまっている。
だが、グライスと入れ替わるように河辺野一(fa0892)が『呪』と書かれた半紙を持って、ドドドと駆け込んでくるホラー。
「ひっ!?」
「‥‥あまり辛気臭いコト、しないでくださいよ。今回は、湯ノ花ゆくる(fa0640)さんのめでたき出演100回記念パーティーなんですから」
高白が思わず悲鳴を上げてしまったが、別に猿仲間のグライスの復讐に来たわけではない。
「それを宴会部長、もとい感じのいい幹事として‥‥」
延々と説明をつづける河辺野だったが、誰もが『呪』の字の方が気になってしょうがない。
そこへ、その疑問に答えるべく樋口愛(fa5602)が登場する。
「書道といえば毛筆。毛筆というのは、毛の生えた筆のコトか? 中坊でもいいような気もするが、ここは万全を期して高坊は筆を選ばずだな! いや、その手には乗らないぞ! 漢なら道具にこだわるべきだ‥‥が、もはや乗りかかった船だ。攻防は船を選ばずだな!」
一同余計にポカーンとする中、ようやくその視線に気づいてゴホンと咳払いをする樋口。
「祝と呪‥‥つまり、弘法にも筆の誤りというコトだな!」
結局、本来の弘法に戻る樋口。途中の回り道の意味が分からないが。
「半分合ってますけど、違います!」
しかも、樋口の長々とした説明を半分合っているからと流せずに、河辺野がきっぱり否定してしまう。
「幹事はッ、漢字をッ、知らないッ!!」
ドギャーンとよく分からないポーズを取って、河辺野が陶酔する。そのせいかどうかは分からないが、高白がまたも余計なコトを閃いてしまう。
「弘法にも筆の誤り‥‥河童の川流れ‥‥猿も木から落ちる、じゃない、落ちり‥‥」
そう、河辺野もまた猿獣人である。というわけで、先程のグライスと同じコトがはじまる。
が、あまりにも同じなので、早送りでさっくり飛ばされる。通常の速さに戻ったときには、お尻をさする河辺野にグライスが笑顔で握手を求めてくる画となっていた。
「メロンパンを‥‥崇めろん‥‥です‥‥」
そこへ、本日の主賓であるハズの湯ノ花が、ようやく出てくる。
「いい‥‥とっても‥‥いい‥‥です‥‥」
しかも、すでに自分で書いた字に酔ってしまっている。無論、字の美しさにではない。
「いい臭い‥‥なのです‥‥」
字を書くのに使われた墨汁代わりの緑色のメロンパン汁に、すっかり虜なだけである。
「思ったとおりだ。このままではいけない! 武道家がぶっ飛んだ!」
湯ノ花の様子に、シトリー幽華(fa4555)がぶ飛んでくる。手にした半紙には、紫で『布団が吹っ飛んだ』と書かれているのに、自らぶっ飛んだ展開に持ち込んでしまっている。
「案の定、メロンパン一色! ここは、武道の達人が作ったブドウで彩りを!」
そう、紫色の字はシトリーが葡萄酒で書いたものだったのだ。
とはいえ、未成年にアルコールは厳禁である。そこで、脳震盪から立ち直ったばかりの常盤が、用意していた大量の半紙の束を差し出す。
「さあ、これを今すぐ嗅ぐのだ!」
「馬券は金には‥‥化けんデス‥‥ガクッ」
だが、その臭いを嗅いだ湯ノ花が、意味不明のダジャレを口走って失神してしまう。
「いか臭いのは、いかんかね?」
常盤が満足気にうなずく。半紙の束には、マツタケの絵が描かれていた‥‥というコトにしておこう。
「傘が開きすぎてないか? 広東省からの輸入だと‥‥」
そこへさらに樋口が余計なコトを言い出すが、すかさず河辺野が割って入ってくる。
「宴会をもうはじめてもえーんかい? うん、鯛が食べたいというコトで、高い席で食べた懐石という思い出を持ち帰ってはいかがでしょうか?」
「ほほう、ずいきの煮物か。随意筋から随喜の涙が滴るに違いない。なるほど‥‥それこそが漢の持ち物に相応しい仕様だな!」
湯ノ花が失神している間に、サプライズで祝宴に持ち込もうとする河辺野だったが、あくまでも常盤のマツタケ拓にこだわる。
「回復したんなら、戻ってこんかい!」
とそこへ、Tyrantessがやって来て常盤をひょいとつまみ上げる。
「背中でBack発の次が待っているんだからな。で、腹はBellyだから‥‥もう分かってるよな?」
ブルーベリー果汁たっぷりの巨大な青いハケとも言うべき筆を持ったTyrantessが待ち構えていた。
「そんなニラをにらむような目でにらむなよ‥‥ぬおっ!」
常盤のダジャレには耳を貸さず、塗りたくりまくるTyrantess。
「こんなもんか? ブルーBerryでブルーBelly‥‥おっと、ベリーブルーまでもっていくゼ!」
結局、腹だけでなく全身真っ青に染められる常磐。
その様子を見てか、シトリーが浴槽を運び込んでくる。と言っても、青く染められた常盤のために用意したわけではない。
「プロレスラーは風呂ですわ」
というわけで、この場にレスラーはシトリーしかいないので、自分で入るのみである。
そこへ、樋口が風呂を沸かすための薪を拾ってやって来た。手には『雁風呂』と書かれた半紙を持っている。
「浜辺に落ちている木で風呂を沸かすこと。それを‥‥」
「むずかしくてよく分かんないけど、その教訓を考えた奴が今日来んの?」
漢字で書かれている時点で、シトリーは興味を失っている。だが、それに樋口が激高した。
「教訓じゃない! 雁がくわえてきた木を、帰るときにもくわえていくから、残った木はその間に死んだ雁のもの。つまり、カントン省で壊死したカリを‥‥と思わせておきながら、雁の読みはガンで、カリ風呂ではない。カリ振ろうでもない‥‥悲しいね」
遠い目をする樋口を相手にせず、普通に風呂に入ってしまうシトリー。自称サービスシーンであるが、筋肉マニア限定の映像である。
一方、本当に風呂に入るべき真っ青になった常盤は、今度はTyrantessに筆を渡されていた。
「俺ばっか書いてるってのもなんだし、最後は俺がキャンバスをやってやる。ヘソの下辺りに『賽子』って書いて丸で囲んで、下向きの矢印を書いてくれ」
「ふっ、ダテにお医者さんごっこの躑躅ちゃんと呼ばれてるわけじゃねぇ。俺の医師になろうとする意志をみせてやる!」
なぜそんなコトをしないといけないかはまったく疑問に思わず、ただ欲望のままに言われたとおりにする常盤。しょうがないので、Tyrantessが解説をはじめる。
「意味か? 『腹』に半濁点の『○』で『パラ』ときて、賽子は英語で『ダイス』だろ? で『↓』が至る道ってコトで、この俺がのあそこがパラダイスへ至る道ってコトだよ!」
それを聞いた常磐が、完全におかしくなってしまった。
「板前はそこにいたまえ! ここは俺がイク!」
別に懐石料理を運ばせただけで板前というわけではないのだが、なにやら河辺野にきつく言い渡すと高らかに宣言をはじめる。
「バチカンの痴漢と噂された俺にとって、楽園へ行かぬわけには行かぬ。そこで、俺の亀の頭を噛め、噛み切ってくれぇ!」
「‥‥このバカチンが!」
Tyrantessに飛びつくと同時に、またもギターで殴られて失神KOである。
「‥‥けったいな接待になってしまい、すみません‥‥」
河辺野が湯ノ花に謝るが、湯ノ花は未だ失神したままだった。
「いっぱい‥‥食った‥‥くったくた‥‥デス‥‥」
いや、失神していたハズなのだが、いつの間にか熟睡に変わっていたようだ。夢の中では豪勢な料理が振る舞われているらしい。
じゃあこの隙にってコトで、主賓からのプレゼントという体で、湯ノ花以外の7人に賞金から14,300円が配られることとなった。そして、鋭く収録は終了し、解散となるのであった。