芸人プロレスごっこ王15アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 牛山ひろかず
芸能 フリー
獣人 フリー
難度 やや易
報酬 0.7万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 05/17〜05/19

●本文

 プロレスごっこ──それは、素人によるプロレスの真似事でしかないが、ここにはそれを魅せる域にまで昇華した番組があった。基本レスラーに扮する芸人が、様々な物や者を相手にプロレスをしているかのように見せて笑いを誘う。ただそれだけのことなのだが、小モノを使ったボケをベースとする、一人芝居に一発芸、リアクション芸にヨゴレと、お笑いの基本要素の散りばめられた、芸人のワンダーランドなのである。もはやプロレスどころか、本来の意味でのプロレスごっこからも遠くなっているが、それはそれなのである。

 TOMITVのある会議室に、芸人プロレスごっこ王選手権のスタッフが集められていた。そこへプロレスごっこの一番えらい人が姿を現す。
「ちょっと腹減ったなぁ‥‥よし、中華街まで食いに行くぞ!」
「え! だったら、この前の山下公園ロケのときに寄っておけばいいのに‥‥ぐぼはっ!」
 えらい人に意見したため、鉄拳制裁を食らうスタッフ。
「今食いてぇんだよ! 食いたいときに食いたいものを食うのが、一番うめえんじゃねーか!」
「いや、それはそうですけど、何もほぼ同じ場所でつづけてやる必要は‥‥サー、イエッサー!」
 なおも食い下がるスタッフだったが、えらい人が鉄パイプをちらつかせたので、一瞬で直立不動になる。
 こうして、第二期芸人プロレスごっこ王選手権ランキング戦の15戦目がスタートするのであった。

参考例:
・軟体レスラーvsボストンバッグ:身体の柔らかい芸人が、固め技という設定でボストンバッグの中に入っていき、ファスナーを内から閉めたところで、レフェリーストップ、ボストンバッグの勝ち。

注意:
・横浜中華街周辺で収録を行います。
・『横浜中華街』をテーマに試合をしなくてはなりません。『横浜中華街』から連想できないこともないものであれば、どんなに遠くても構いません。
・ポイントはプロレスごっこの一番えらい人の独断と偏見によってのみ与えられます。すばらしい、おもしろい、えろい、えらい人に媚びる、視聴率が取れる等、一切関係ありません。
・ランキングによる2代目プロレスごっこ王の決定は、気長に待ってください。
・とりあえず現在はポイントのインフレにはなってませんが、最終的には一発逆転のバラエティのノリになるので、そういうのに怒らない人募集です。
・プロレスごっこは安全第一です。死亡、怪我、流血はやめとくに限るネ☆

ランキング(第12回分まで)
 1位 白海龍(fa4120) 14pt
 1位 パトリシア(fa3800) 14pt
 3位 DarkUnicorn(fa3622) 13pt
 4位 百鬼レイ(fa4361) 10pt
 4位 伊藤達朗(fa5367) 10pt

過去の放送のスケジュール(最近5回分)
・第10回 04月24日 07:00〜 伊豆諸島
・第11回 04月26日 08:00〜 木星(のつもりなスタジオ)
・第12回 05月03日 07:00〜 中国(のつもりなパンダ前)
・第13回 05月09日 08:00〜 東京都文京区
・第14回 04月19日 07:00〜 山下公園

●今回の参加者

 fa0203 ミカエラ・バラン・瀬田(35歳・♀・蝙蝠)
 fa0868 槇島色(17歳・♀・猫)
 fa1032 羽曳野ハツ子(26歳・♀・パンダ)
 fa2539 マリアーノ・ファリアス(11歳・♂・猿)
 fa2824 サトル・エンフィールド(12歳・♂・狐)
 fa3072 草壁 蛍(25歳・♀・狐)
 fa4044 犬神 一子(39歳・♂・犬)
 fa4361 百鬼 レイ(16歳・♂・蛇)

●リプレイ本文

『解説もゲストもなく、実況一人の放送席はさみしいです。さみしいですが‥‥』
 実況をはじめるサトル・エンフィールド(fa2824)が口ではそう言っていたものの、かぶりつきの特等席を独り占めできる幸せを噛み締めてしまっていた。
 まず出てきたのが、スケスケのネグリジェ姿という、中華街のどこを意図しての格好なのかさっぱり分からないミカエラ・バラン・瀬田(fa0203)だったからだ。
『しかし‥‥ハァハァ‥‥プロレスごっこは‥‥非情に‥‥つづいていきます‥‥ガクッ』
 突如として、サトルが落ちた。準備運動と称して、瀬田が密着した柔軟を仕かけてきたからだ。男子校通いの中坊にとって、瀬田の熟れた身体は猛毒ですらあった。
 それが準備運動として正しいかどうかはさておき、準備運動をしているヒマもなく、いきなり激しい運動をしている者もあった。犬神一子(fa4044)である。
 瀬田の遥か後方の背景を、迷彩服を着た犬神が青龍刀を持った料理人の軍団に追われているではないか。
 フカヒレや干しアワビ、ツバメの巣といった高級食材を、仕入れと称して勝手にその辺の店から調達してきたものだから、至極当然の結果であった。
「食うか、食われるかッ! それが、戦場の掟‥‥うごっ!」
 戦場並みの極度の緊張感に激しい高揚を覚えずにはいられない犬神だったが、あっさり石につまづいて転んでしまう。
「足があれば、イスでも食べるという中華料理‥‥ぬおーっ!」
 ついに青龍刀軍団に捕らえられ、いずこかへと連れ去られていく犬神。そのまま見えなくなっていくが、犬神は犬獣人だけに、今後犬肉の料理が出てきたら要注意である。
 その様子に、マリアーノ・ファリアス(fa2539)が肩をすくめていた。
「まったク、フカヒレ泥棒で私刑? それなら、日本の科学力の結晶、人工フカヒレを使えばいいのにネ! 豚ゼラチン使用で、値段はホンモノの数分の一というすぐれモノですヨ? 日本の技術力は世界一ィィ! おっと、もちろんホンモノとも人工とも明言せずに出すのが、ここでのたしなみダヨ!」
 散々説明したのだからバレバレな気がしないでもないが、それ以前に身体の温まった瀬田によってカメラを塞がれる。
「チャーハン作るアルよ!」
 相変わらずネグリジェ姿に一切の言及のない瀬田だが、これでも中華料理人である。オーソドックスに外見から入らず、口調でだけ中華なキャラ作りをしている。そう、あくまでも味覚で勝負というわけだ。ネグリジェゆえに、視覚の方が強烈なインパクトを与えていたが。
『‥‥瀬田選手の試合に言葉は不要! 今はただ、じっくりと観戦しましょう‥‥』
「そうだネ。フカヒレはパチモノでよくてモ、おっぱいはホンモノの方がイイ‥‥」
 復活したサトルに、マリアーノがガッチリと握手をかわす。そして、そのまま体育座りで仲良く観覧というか、凝視中となる。
 言うまでもないが、二人してなぜ体育座りかといえば、目立ってはいけない部分を隠すためである。
 二回り下のアツい視線に逆にジュンとしてしまいそうな瀬田だったが、無意味に燃えたぎる料理人の血がそれを許さない。
「ニポン人の文化米食と、チュー華の味付けアル。油と卵とご飯の融合、シンプルにしてディープ!」
 ムダに中華鍋を振り回し、その度にネグリジェの下の肢体も踊る。そして、その度にサトルとマリアーノの体育座りが縮こまっていく。
「中華なべにテフロン加工など邪道アル、ご飯に卵を絡めてから炒めるのも邪道アルよ!」
 瀬田の料理にはまったく役に立っていないオーバーアクションも終わり、ようやく中華なべをコンロの上に置いたところで、今度はボンデージのお姉さまが乱入である。
 瀬田が透明のスケスケならば、漆黒で光を通してなるものかという革である。すなわち、ムチャクイーン草壁蛍(fa3072)の登場だ。
「中華料理の基本は火力! そんなフニャコンロでは、使いモノにならないわ!」
『あーっと、横浜中華街のミニチュアセットが運び込まれてきましたが‥‥炎上!?』
 瀬田と草壁をじっくりと見比べていて、セットを見ているヒマなどないサトルなので、うろ覚えの台本を頼りに実況をしている。だから、まだセットは燃える前である。
「確かに中華で火力は命‥‥その火力、見せてもらうアルよ!」
 ガソリンをドボドボとまいていく草壁。そして点火、爆発炎上。
 黒煙がもうもうと立ちこめる中、炎上する横浜中華街のミニチュアセットの上で鍋を振るいはじめる草壁。
「確かに業火アルけど‥‥それでは、ガソリンの臭みが料理に染みついてしまうアル!」
 変なところでキッチリこだわりの料理人の瀬田。見た目からは、どう考えても料理人という発想にはならないが、普通にコンロを使い出す。
「ほーっほっほっほ! ホイコーローを作るわ!」
 一向に気にせず、高笑いを上げて鍋を振る草壁。そこへ、見るに見かねた槇島色(fa0868)が飛び込んでくる。なぜかブレイクダンスのヘッドスピンをしながら。
 しかも、開脚しているものだから、そのおみ足に吹き飛ばされるサトルとマリアーノ。避けようと思えば簡単に避けられるのだが、格ゲー仕様なチャイナドレスで大股開きの槇島を避けるという発想が、エロスで埋まった脳に生まれる余地がなかったのだ。
「男性陣にフカヒレ料理をおごってもらえるハズなのに、なんでそんなのを作ってんのよ!」
 が、槇島の文句の矛先は瀬田と草壁に向かっていた。別に料理方法に文句を言っているわけではない。チャーハンにホイコーローと、お手軽な食材で作られていることに文句を言っているのである。
「あー、あれね? 見返りもなしにおごるか! ってコトね? 分かったわ。早口言葉で対決して、私が勝ったらフカヒレ料理をおごって。私が負けたら? 1枚ずつ脱いでいくわ!」
 誰に向かって言ってるのかよく分からなかったが、勝手に宣言してしまう槇島。これには、サトルが鋭く食いついた。
『槇島選手は野球拳での試合ですッ! 対戦相手は‥‥草壁選手はなんだかんだでパーツが多そうですが、対する瀬田選手はネグリジェ1枚なので、負けた瞬間に一発退場だぁ!』
 きっちり男がおごる部分を削除し、野球拳の部分だけを抽出するサトル。隣でマリアーノが、グッジョブとばかりにサトルの肩を抱きしめていた。
「自分はこう見えて、Cカップ以上じゃないと女性と認めない最悪な人ですが、全員基準を満たしていて何よりですよ‥‥」
 そこへ、百鬼レイ(fa4361)がやって来てしまう。せっかく女性だけの戦いが見れると思っていたサトルとマリアーノは、早くも暴動寸前である。
「おっと、自己紹介が遅れました。中華街→中華ガイ→Chinese Gay! というわけで、雑技団の少年‥‥はい?」
「Gayだとゲイだヨ。ガイはGuyだヨ!」
 暴動一転、マリアーノが冷静にツッコミを入れたところへ、都合よく同性の犬神が飛び込んでくる。命からがら逃げ延びてきた犬神だが、野球拳と聞いてすぐに飛びついたのだ。
 あまりに急だったので、犬神は尻から青龍刀を生やしていたが、尻尾だと言い張っているので問題はない。抜かない限りは、映してはいけない赤い液体は流れないのだから。
「ムムム‥‥今さら退けんのです。せっかく肉まん、あんまん、ピザまん等、サイズもXL、L、Mと選りどり見どりなステキ展開となっているのに‥‥その据え膳を食わぬ暴挙!」
 百鬼が苦悩する。その百鬼に犬神が暴挙を超えないかとばかりに、不自然な体勢で足を組んでベンチから合図を送っていたが、そこはきっちりスルーする百鬼。
「ツバメの巣にカレーをかけるがごとき暴挙ッ!」
「ごときって、ホントにかけちゃってるじゃないか!」
 そこへ、さらに屋台を引いた羽曳野ハツ子(fa1032)がやって来る。犬神が命懸けで強奪してきたツバメの巣に、すでに何の躊躇もなくカレーをかけた後だった。
「やっぱり、カレーは病院じゃないと売れないものなのかしらね? ということで、カレーで横浜中華街に真っ向から勝負を挑んで敗れたので、むしろ中華料理に便乗することにしたのよ!」
 犬神の言い分にはまったく耳を貸さず、自分の言い分だけを押し通す羽曳野。その横で、犬神の矛先が変わってホッとしている百鬼がいたが、気にもしない。
 今日の羽曳野は通常のパンダとは白い部分と黒い部分が逆になったマスクをしているが、これこそヒールであることの証。だから、地味に迷惑な行為をするのである。
「おいしーヨ?」
「えっ!?」
 だから、マリアーノにおいしいとか言われては、困ってしまうのである。
「カレーにしては食感が独特デ‥‥でも飽きたカナ? このフカヒレで、ちょっと変えようカナ」
「ちょ、フカヒレあるじゃない!」
 槇島が飛び込んでくる。まだ人工フカヒレであることに気づいていないので、カレー味でもありがたそうに食している。
 すでに野球拳だの脱衣早口言葉だのは忘却の彼方である。なぜなら、サトルの目の前にも料理が運び込まれてきたからだ。
「パラパラでおいしいチャーハン‥‥ちゃんとご飯粒の数を数えながら、食べるアルよ!」
 パラパラというよりは、瀬田の豪腕でコナゴナといった方が正しい、粉末状の何かが出てくる。
『こういうときに食べさせる、虐待しても構わない相手が‥‥今日はいない。おお、神よ‥‥』
 思わず天を仰ぐが、神はいたのだ。羽曳野がやって来ると、カレーをかけてしまったのだから。
 そこへ、さらに救いの手が差し伸べられる。番組終了を知らせる、えらい人登場だ。
「I’m えらい人ーッ! 今回も独断と偏見で、ポイントによるランキングがつくゼ!」
 1位 百鬼レイ 7
 2位 槇島色 3
 3位 羽曳野ハツ子 1
「目指せ、プロレスごっこ王! 以上だ!」
 そしてえらい人が去っていくと、やっぱり悪魔登場である。草壁がガソリンたっぷりのホイコーローを運び込んできたからだ。こればっかりは、羽曳野のカレーの力でどうこうなるものではない。
 瀬田、羽曳野、草壁と女体に囲まれながらも、確実にここは地獄だと思うサトル。
「ほーら、Chinese Guyだよ〜」
 そして百鬼はといえば、一人さみしくジャグリングを披露していたという。