ムチャキング14アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
牛山ひろかず
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芸能 |
フリー
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獣人 |
フリー
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難度 |
普通
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報酬 |
0.8万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
05/21〜05/23
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●本文
TOMITVのスタッフルーム。その中の自称スポーツイベント便乗チームで、二人の男がボンヤリと会話をしていた。話の内容は、スポーツイベント便乗チームにあって唯一スポーツと関係のなくなった企画、ムチャキングについてである。
「今度のムチャキングなんだが‥‥ムチャだけに、無着陸飛行を行いたいと思う」
「ダジャレに命を懸けたくなったんですか? パクリですか?」
「いやいや、放送日である5月20日は、昭和53年に成田空港が開港した日!」
「だったら、むしろ着陸しろって気がしますが‥‥そこはムチャを通すわけですね?」
「そうだ。だから、ダジャレだけじゃないんで、大義名分は我らにあり!」
「全然大義名分が成立していない気がしますが‥‥そこもムチャを通すわけですね?」
「そうだ。ムチャキングだからな」
「ところで、そんな無着陸飛行をやる予算、どこにあるんですか?」
「ない。ないから、ないなりのやり方をするわけだ」
「なるほど。そのへんも、微妙にムチャなわけですね?」
「そうだ。体育館を借りて、そこでいかに床に足をつけないかを競い合う!」
「また、急にスケールが小さくなりましたね」
「だって、ムチャキングだもの‥‥」
「そうでしたね‥‥」
こうして、ムチャキングの第14弾がスタートすることとなった。
『ムチャく陸飛行なムチャキング14』
体育館で収録を行います。そこで、宙吊りになる、ガスを使って浮く等で床に触れないようにし、無着陸時間を競い合います。
身体のどこかが床に触れてしまった時点で、負けとなります。
互いに妨害しても構いませんが、最後まで勝ち残ったところで、得るものは何もありません。どうやったらおいしい映像になるか、そちらの方を考えましょう。
求められるのは、笑えるムチャです。ハードなだけのムチャではいけません。
事前に用意される小道具
・大概のものは用意されます。持ち込みも可です。
注意点
・獣化して飛ぶ場合は、なぜ飛べているのか? 一般視聴者向けの言い訳を考えておいてください。CGとかワイヤーアクションとかでは通りません。
・各種最終的な判断は、スタッフがルールブックです。
職業『ムチャ○○』の選出について
・リアクション優秀者には、職業としてムチャ○○を名乗る権利が与えられます。
・ムチャ○○選出は、スタッフの独断と偏見による判定で決まります。
・○○に何が入るかも、スタッフの思いつきで決まります。指定できません。
・すでにムチャ○○になっている場合、陥落することもあり得ます。
現在の格付け
・ムチャキング:羽曳野ハツ子(fa1032)
・ムチャクイーン:草壁蛍(fa3072)
・ムチャジャック:キューレ・クリーク(fa4729)
・ムチャジョーカー:チェダー千田(fa0427)
現在の格付け(神の領域)
・ハードボイラー:片倉神無(fa3678)
(ハードボイラーとは、ハードボイルドな人です。厳密には、一級ハードボイラー技士であり、下には二級、上には特級があります)
過去の結果
・第1回 七枷伏姫(fa2830)が優勝(ノンタイトル戦)。
・第2回 夏姫・シュトラウス(fa0761)が優勝(ノンタイトル戦)。
・第3回 朱凰夜魅子(fa2609)が優勝(ノンタイトル戦)。
・第4回 佐渡川ススム(fa3134)が優勝(ノンタイトル戦)。
・第5回 Tyrantess(fa3596)が優勝(ノンタイトル戦)。
・第6回 チェダー千田がムチャジャック、草壁蛍がムチャクイーンを獲得。
・第7回 チェダー千田がムチャキングを獲得。
・第8回 チェダー千田がムチャキングを引き分け防衛。
・(【AoS】海プロごっこにて、草壁蛍がムチャプリンセスに降格)
・第9回 チェダー千田がムチャキングを防衛。
・(プロレスごっこ新春SPにて、草壁蛍がムチャ女王様に昇格)
・第10回 片倉神無がハードボイラー(二級)を獲得。
・第11回 羽曳野ハツ子がムチャキング、キューレ・クリークがムチャジャック、チェダー千田がムチャジャッカーを獲得。
・第12回 羽曳野ハツ子がムチャキングを引き分け防衛。片倉神無がハードブロイラーを獲得後、ハードボイラー(一級)を獲得。
・第13回 草壁蛍がムチャクイーンに復帰、チェダー千田がムチャジョーカーに降格。
過去の放送スケジュール(最近5回分)
・ムチャキング9 10月07日 07:00〜
・ムチャキング10 02月07日 08:00〜
・ムチャキング11 02月15日 07:00〜
・ムチャキング12 04月14日 07:00〜
・ムチャキング13 05月05日 07:00〜
●リプレイ本文
「人は‥‥どうすれば‥‥メロンパンで‥‥飛ぶことが‥‥できるので‥‥しょうか‥‥?」
メロンパンによる気球、翼、飛び込み台等、湯ノ花ゆくる(fa0640)の苦心の様子がダイジェストで紹介されるも、すべて失敗に終わっていた。
これだけ大量に積まれたメロンパンなのだから、そんなことをせずともただ単にメロンパンの山に乗っかていればいいのではないかという話もあるが、湯ノ花にとってメロンパンは身体の一部なので、立っているのと同じと扱われてしまうのである。
なので、メロンパンのバイクでメロンパンのジャンプ台をメロンパンのダイナマイトの爆発力で吹き飛んでみようと考えたが、メロンパンのエンジンが火を噴くことはない。ダイナマイトならニトロだが、メロンパンダイナマイトはニトロの代わりに緑色メロンパンエキスを染み込ませたものなので、やっぱり爆発しない。
「人は‥‥メロンパンでは‥‥飛ぶことが‥‥できません‥‥」
『‥‥なので‥‥たった今から‥‥ゆくるは実況に‥‥なったのです‥‥』
スタート前からさっくりあきらめるムチャをして、マイク片手に実況に回る湯ノ花。
ガチャーン! そこへ、体育館の窓がぶち破られた。白のタキシードにホワイトタイガーの覆面をかぶった夏姫・シュトラウス(fa0761)が、飛び込んできたのである。
一面にガラスの雨が降り注ぐが、その程度のアクシデントならフライト中にはつきものなのでスルーである。問題なのは、夏姫がしっかり両の足で着地してしまっていることだ。それはもう、堂々とした着陸であった。
「紳士たるもの、いかなることがあっても冷静に物事を成し遂げるものよ! 行くぞ、小僧!」
『せめて‥‥小娘って‥‥言ってください‥‥』
湯ノ花の非難の声は一切無視し、そのまま各選手紹介へと移る夏姫。どうも、自分は解説だから着陸しようが関係ないということのようだ。
『‥‥では‥‥まず‥‥Zebra(fa3503)さん‥‥から‥‥』
すでに各自思い思いにフライトしている中、まずはZebraを選ぶ湯ノ花。夏姫はガラスの破片も気にせず、スタスタとZebraのところへと進んでいく。
「飛ぶって人類の夢だよな‥‥だから気球、体育館内だろうと気球ッ!」
Zebraが力説していたが、どう見てもセットっぽい熱気球であった。だが、そこは奇術師Zebraなので、気球で飛んでいる体で見てあげるのが紳士のたしなみというものである。
そんなことよりも奇術師なので、気球のゴンドラからのパフォーマンスを見てあげるべきである。片足だけ気球に縛られた状態で、バーナーを抱えて逆さ吊りとなっているのだから。
「足がつかなければいいのなら、逆さ吊りになれば『床に最初に付くのは頭とか』なので、有利じゃない! 俺、頭イイじゃない!」
先輩の『床に足をつけないかを競い合う』という言葉だけを忠実に守り、ルールブックの『身体のどこかが床に触れてしまったら負け』という部分はスルーのZebra。
「‥‥って誰だ!? 足を体の一部に変更したヤツは! 出てこい!」
いや、気づいていた。気づいていた上での、軽いボケのつもりであった。それがまさか、あんなことになるなんて‥‥。
逆さ吊りになるZebraの画に、『キケンですので、絶対マネをしないでください』のスーパーが入る。
だが、これに夏姫が紳士的勘違いをしてしまう。すなわち、この程度ではキケンではないので、マネできないくらいにキケンにしなくてはならないのだ、と。
「紳士の熱気球たるもの、むしろ火の玉くらいでなくてどうする!」
『ああ‥‥夏姫さんが‥‥季節はずれの焚き火を‥‥』
「うろたえるな、小僧! 紳士たるもの、何があってもエレガントに振る舞うものよ!」
『ああ‥‥Zebraさんに‥‥燃え移って‥‥』
「だから、うろたえるな、小僧! 紳士たるもの、何があっても‥‥ん?」
「うぎゃーッ!」
なんとも間の抜けた湯ノ花の実況と、唯我独尊な紳士論による夏姫の解説が繰り広げられるが、Zebraはそれどころではない。そのまま水を求め、体育館の外へ飛び出していってしまう。
「ふっ‥‥所詮ヤツは一番の小者、紳士の器ではなかったか。だが、次の紳士候補ならどうかな? フフフ‥‥」
『‥‥えーと‥‥じゃあ‥‥紳士を超えて‥‥神になってしまった人で‥‥』
過去は振り帰らず、そのまま次を目指す紳士な女性二人。つづいては、フンド神こと犬神一子(fa4044)であった。
フンドシをつなげて作った紐を天井から吊るし、Zebra同様に片足を結んで逆さ吊りになっていた。熱気球のようなセットはないが、すでにフンドシに飛び火してしていた。
「時代を飛んだ非行に走る‥‥そうだ、俺でも飛べるんだ!」
だが、犬神は長ランにボンタン、日の丸に『なめんなお』と書かれた猫っぽいハチマキとシャツという旧時代の遺産によるアツい格好をしているので、その程度では動じない。
「日ごろ奥さんに頭が上がらなくても、今日は自由に飛んで誰彼構わず妨害していいんだ! よーし‥‥スピニングアターック!」
Zebraが調子に乗って回転攻撃で他者を妨害しようとしたものの、目が回るとか以前に、ただでさえフンドシが燃えて弱っているところを回転したものだから、ブツっと切れて落下する。
「ほあつつっ‥‥!」
「ふっ‥‥所詮コヤツも一番の小者、紳士の器ではなかっただけよ。だが、次の紳士候補ならどうかな? フフフ‥‥」
『全員小者の‥‥パターンに‥‥なりそう‥‥です‥‥』
残り少ないフンドシも延焼をつづけ、股間直撃目前でドキドキの中、水を求めて飛び出していってしまう犬神。
そんな後姿は振り帰らず、そのまま次を目指す紳士な女性二人。つづいては小柄なマッチョ、ドワーフ太田(fa4878)である。
「見よ、この上腕二頭筋と三頭筋のハーモニーを!」
透明な板二枚を平行に立てて、その中を両の腕力でつっかえ棒のように浮いている。
一応、退避用の鉄棒も用意されていたが、そこに座るではなく足でぶら下がると、今度は腹筋をはじめる。
「腕は休憩中でも、どこかしら違う部分の筋肉は動かしておかんとな! これで、わしのスタミナとパワーのすごさが、少しは分かってもらえようというものじゃ!」
しかし、滝のような汗のせいで滑ってしまい、あやうく落ちかけてしまう。実際に落ちることはなかったが、肝を冷やした瞬間であった。
「おっと! すまんが、下にマットか何かを敷いておいてもらえんかの? 落ちるときは一気じゃろうし、一応な」
だが、番組上の安全対策に気を配った太田の発言が、夏姫の逆鱗に触れてしまった。
「紳士たる者が、逃げ道を用意するとは笑止! これでも敷いておくがよい!」
なにやらドクロマークと核マークの入ったボックスを、太田の真下に置く夏姫。それはまるで、映画に出てくる核ミサイルの発射ボタンのような、何かありそうな赤いボタンがついた金属製の小箱であった。
「すごい‥‥のです‥‥」
それに、メロンパンエキスの摂取しすぎで判断力の鈍ってきた湯ノ花が、無遠慮にペタペタ触りだす。
「ホントに‥‥発射されるの‥‥ですか‥‥は‥‥はっくしょん!」
ベタにくしゃみをする湯ノ花。近くで、ドカーンという爆発が起こった。
紹介される前に失格という形になってしまったが、タケシ本郷(fa1790)が吹き飛んでいた。
「ちょ、わしはこのままか!?」
太田が呼び止めるが、だが夏姫も湯ノ花もやはり振り返らず、本郷のところに行ってしまう。
「ば、ばかな‥‥ガクッ」
登場即失神で、崩れ落ちる本郷。このままではただのダイナマンなので、VTRで少し巻き戻ってみよう。
「ふふふ‥‥要は地面に身体が着かなければよかろうなのだ。ならば、この天蓋つきベッドで眠っていれば、とりあえず地面に身体が着くコトはない‥‥」
お姫様のような天蓋つきベッドに、ネグリジェ越しにマッチョな身体を浮き立たせた本郷が横たわっている。しかも、何かを抱いてなでているではないか。
「だがしかし、それではおもしろくない。ベッドの中にダイナマイトを仕かけておいて、自分もろとも爆散するつもりでプレッシャーをかけるのだ! 無論、布団の中に飛び込んでくる愚か者もいるだろう。そんな相手には‥‥ぐぼはっ!」
ここで爆発が起こり、映像が途絶えている。どうも、緊張感を高めるために抱いたダイナマイトが、本当に爆発してしまっただけのようだ。
「残るはキングとクイーンだけか‥‥彼らが真の紳士であることを祈るしかないな」
『枕に‥‥ムチャってつきますから‥‥紳士淑女ではないと‥‥思いますけど‥‥』
あっさりと本郷には見切りをつけ、まずは羽曳野ハツ子(fa1032)のところへと向かう夏姫と湯ノ花。
「アイキャンフラーイ♪ 眼鏡キラーン☆」
おかしなテンションの羽曳野が、ヘリウムガスの入った巨大風船からぶら下がっていた。
白衣を着て科学者を気取ってはいたが、顔は真っ赤である。なぜか? 草壁蛍(fa3072)に飲まされて、すっかりでき上がっていたからである。
見れば、隣で同じくヘリウムガスの入った大量の風船で浮いていた草壁の下には、大量の空のミニボトルが転がっていた。
「ウィスキーのミニボトルをかっくらって、飛翔感を高めといたわ。クイーン一人でもなんだから、キングにもさらなる飛翔を楽しんでもらおうと思って」
「きゃはは‥‥アイキャンフラーイ♪」
飲みつづける草壁の横で、急に甲高い声で笑い出す羽曳野。もはや自分の身体をバルーン化するしかないと、ヘリウムガスを吸っていたのだ。
「アイキャンフラーイ♪ 私は鳥、鳥になるのよ!」
千鳥足で2階へと向かっていく羽曳野。思いっきり床に立っているが、何分酔っ払いのやること、気にしてはいけない。
「身体に飛べる準備が整った以上、あとはその身を宙へと舞い躍らせればよいだけの話。華麗に飛び出し、私は天空の覇者となる!」
グチャ! 羽曳野が2階から飛び出した瞬間、1階の床に叩きつけられる。
『‥‥あの‥‥今‥‥グチャって』
「うろたえるな、小僧! 羽曳野‥‥キングはやっぱり紳士だった!」
メロンパンエキスでトリップしている湯ノ花ですら心配する中、平然とそれを制す夏姫。ナニゴトもなかったかのように、草壁と話しはじめる。
「となれば、クイーンも紳士だよな!?」
「紳士って‥‥特にこの風船に仕かけはないけどねぇ。風船から蜘蛛の糸は垂れてるけど」
『蜘蛛の‥‥糸‥‥?』
「蜘蛛は殺さないよう、常に気をつけているのよ。だって、地獄に落ちたときに天から蜘蛛の糸が垂れ下がってこないじゃない!」
『地獄に‥‥落ちる‥‥前提なんですね‥‥』
「ふ‥‥それでこそ紳士よ!」
噛み合ってるんだかないんだかさっぱり分からない会話が繰り広げられるが、ここで草壁が二人にも飛翔感を体感してもらおうと、飲ませるために降りてきてしまう。
「‥‥って、どっちも未成年じゃない。それじゃ、これは私が飲むしかないわね‥‥ゴキュゴキュ‥‥」
未成年には決して飲酒を強要しない。ムチャでも、そこは厳守である草壁。決して、自分が飲みたかったからではない。
『そんなことより‥‥紹介が‥‥やっと終わったと‥‥思ったら‥‥もう一人に‥‥なって‥‥しまったのです‥‥』
「うろたえるな、小僧! 紳士の道とは、かくも厳しいというだけの話よ!」
最後の一人になったにも関わらず、太田に降りてくることを許さない夏姫。
「私は帰るが、永久に落ちてこないか、ちゃんと見張っておくのだぞ!」
『ふぁい‥‥』
やり遂げた夏姫は去っていくが、メロンパンエキスの吸いすぎでトロンとした目の湯ノ花が太田を厳しく監視している。
こうして、まだ戦いは(太田の孤独な戦いという形で)つづいていたが、シメの称号発表のコーナーである。
まず、羽曳野が引き分け防衛でキングのままということになったが、次も引き分けの場合は降格してしまうというカド番の扱いとなった。
それは草壁も同様だったが、過去にプリンセスへの降格経験があることが考慮され、プリンセスかぶりはよくないと、王妃となった。っつーか、誰の妃なのかという話であるが、やっぱキングが羽曳野だから、羽曳野の嫁ということになるのだろうか? 二人とも女性だけど。
そんな感じで発表が済んでしまったので、太田は一向に降りれないままだったが、収録はそこでブツっと切られるのであった。