第1回全日本銃道選手権アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 牛山ひろかず
芸能 フリー
獣人 フリー
難度 普通
報酬 0.8万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 07/05〜07/07

●本文

 柔道が柔よく剛を制す柔の道ならば、銃道は剛よく剛を粉砕する銃の道である。

大前提
・お笑い系番組なので勝ち負けにこだわらず、大らかな気持ちでおもしろおかしく楽しみましょう。

銃道のルール
・柔道の試合を、銃で戦うようなものです。大まかなルールは、柔道に準じます。
・5分一本勝負で、延長はありません。
・実弾であったら致命傷を与えたと考えられる場合、一本となります。
・実弾でも死に至らないと判断された場合、技ありとなります。技あり2回で一本となります。
・一本、技ありよりも当たりが浅い場合、有効や効果となります。判定の際に考慮されます。
・弾数は無限とします。ただし、弾倉による弾数制限は発生します(交換のタイムラグが発生します)。
・その他細かいルールなど戦場には無用‥‥とはいえ、最終的にはスタッフのその場での判断がルールブックとなります。

銃道選手権のルール
・銃は持ち込み可能です。法的に問題あるので、モデルガンと言い張りましょう。
・持ち込めない場合、番組で用意する三八式歩兵銃か九四式拳銃のどちらかを選んでください(注:持ち逃げ不可)。
・番組用意のペイント弾を使用します。法的に問題あるので、実弾は使用できません。
・銃道なのに柔道衣を着ます。帯の色は自由です。
・安全のため、ゴーグル必須です。ゴーグル外すことは、参ったをしたことと扱います。
・白と青(柔道衣の色にもなる)に分かれ、先鋒、次鋒中堅、副将、大将戦の4試合を行います。トーナメントでも勝ち抜き戦でもなく、一人一試合するだけです。
・開始後は、武道館内なら場外となりません。建物の外に出た場合は、敵前逃亡とみなしされ、銃殺されても文句は言えません。

賞金について
・勝者には、それぞれ1万円が勝利者賞として授与されます。
・万が一乱戦になった場合は、勝者チームの面々にそれぞれ1万円が授与されます。引き分けの場合は、何もありません。
・一番盛り上がった試合の勝者、敗者に2万円がさらに授与されます。
・参加者が偶数人でない場合は、一人で二試合する場合があります。その場合、勝利者賞のみ2つもらえる可能性があります。

●今回の参加者

 fa0190 ベルシード(15歳・♀・狐)
 fa0640 湯ノ花 ゆくる(14歳・♀・蝙蝠)
 fa1889 青雷(17歳・♂・竜)
 fa3014 ジョニー・マッスルマン(26歳・♂・一角獣)
 fa3134 佐渡川ススム(26歳・♂・猿)
 fa3503 Zebra(28歳・♂・パンダ)
 fa4558 ランディ・ランドルフ(33歳・♀・豹)
 fa4611 ブラウネ・スターン(24歳・♀・豹)

●リプレイ本文

 試合自体の開始時間はまだでも、すでに戦いははじまっている。それまでの準備の積み重ねが、一瞬ともいえる試合を決めてしまうのだから、最終チェックともいうべき控え室には、どこか緊迫した空気が漂うものである。
 というわけで、まずは女性側控え室、白組の様子から。そこへ、男なのにもかかわらず佐渡川ススム(fa3134)が平然と入ってくる。
「おいーッス! え、何? 白組だからって、そんな白い目で見て‥‥大丈夫。今日の俺は女とゆー設定だから! このあえて白く染め直したセクシー褌がナニよりの証拠‥‥ぐぼはっ!」
 緊迫した空気が、一瞬にして殺意に染まる。湯ノ花ゆくる(fa0640)のアンパンチならぬメロンパンチを食らい、ウェスタンなベルシード(fa0190)の投げ縄で締め上げられ、ランディ・ランドルフ(fa4558)に物干し竿のように長い銃で殴られる佐渡川だったが、あまりにありきたりな光景ということで、白組メンバーの紹介を兼ねたダイジェストでおしまいである。
 そして、佐渡川がモザイクのかかった赤い液体のプールに沈んだところで、女性陣はすぐに持ち場に戻っていく。仕込みに忙しいので、あまり相手にしている場合ではないのだ。というか、下手に絡んでヨゴレたくない。
「ふぅ‥‥それはそうと、ブラウネ様。例の物、仕上がっております」
 普通に瞬間復活した佐渡川が、ブラウネ・スターン(fa4611)のところへと進んでいく。唯一ボコりに加わらなかったブラウネだが、どうやら佐渡川を待っていたようだ。
「ほう、見せてくれ」
「今、お届けしようと思っておりましたが‥‥」
 ゴトッ! 重々しくケースを置く佐渡川。カパンと開くと、中には骨董ともいうべき軍用ライフルが姿を現す。
「はは‥‥これは‥‥」
「対化物戦闘用6.5mm小銃『三八式歩兵銃』。今までの弓矢ではなく、初のレンタル銃です。全長127.6cm、重量3.73kg、装弾数5発‥‥もはや現代人では扱えないシロモノです」
 佐渡川の説明をBGMに、うっとりとした視線で、満足気に銃を取り出すブラウネ。
「弾丸はマンチェスターにある大聖堂っぽいCGの銀十字錫溶かして作った6.5mm‥‥ぐぼはっ!」
 そこまで言ったところで、佐渡川が蹴り飛ばされる。ブラウネがお怒りの様子だ。
「CGで実弾が作れるわけなかろうが!」
「福音弾は、錬金で合成した希少銀に極小単位の呪文を転写した魔法弾です。転写元がCGなくらい、等価交換の範疇内ですよ」
「銃道をちょっとだけ英語っぽく読むとガン道‥‥なんか、作画が崩壊しそうな気がしないか? そんなCGを弾に使って、大丈夫かね?」
 さらにランディまで割って入ってくるが、佐渡川が怯む様子はない。
「大丈夫です。この股間にぶら下がっているマグナムに誓って」
「そういうものなのか‥‥ふむ」
「陰陽弾の方がいいと思うがな‥‥」
 ランディはまだブツクサ言っていたが、ブラウネはあっさり納得してしまっている。
「パーフェクトだ、佐渡川」
「感謝の極み‥‥え!?」
 他にもツッコミどころは無限にあったが、とりあえず感謝の言葉と同時に控え室の外に放り出される佐渡川。
 つづいては男性側控え室の様子となるところだが、需要がないのでさっくりスルーして、早くも青組選手入場である。
 まず入ってきたのは、青雷(fa1889)だった。青い柔道着にゴーグルをつけ、三八式歩兵銃を担いでの登場であるが、なかなか様になっていた。
 それもそのはずで、青雷はバイアスロンの選手だ。素人目には、一番有利に見えなくもない。もっとも、それは獣人事情の分からない一般視聴者から見ればの話ではあるが。
「HAHAHA! 見敵必殺でウージーの三点バーストを見舞ってやるZE〜!」
 つづいて登場したのは、ジョニー・マッスルマン(fa3014)だ。青雷同様に青い柔道着を羽織ってはいるものの、下に着込んだ星条旗の柔道着がやけに鮮やかである。
 そして、佐渡川が自称白組なのでラストとなるZebra(fa3503)が入ってくる。こちらも青い柔道着に、九四式拳銃を下げた格好である。
「フッ‥‥男女4名ずつに分かれてのバトルロイヤル‥‥白が女で青が男。これが意味するところは何か? そのあまりの深遠なる智略に、世の男子はひれ伏すであろう!」
 高々と宣言するZebra。男子が青い柔道着で、女子が白い柔道着であるが、これには深くも浅はかな事情があった。
 颯爽と白組が登場するが、全員がナース服に身を包んでいた。つまりは、そういう事情での色分けである。
 まずは、鍛え上げられた肉体をナース服に包み、ランディが入ってくる。手にした銃は38口径。見る人が見れば、というか見る獣人が見れば、それがフェンリルだと分かるだろう。
 だが、普通の人にはよく分からないおもちゃの銃程度にしか見えない。まあ、別に現物を模したモデルガンを使う必要はないので、モデルガンにしては重厚感たっぷりだなぁくらいの認識である。
 つづいて、ナース服の上に大量のマガジンを収めた黒革の帯といういでたちのベルシードが入ってくる。ナース服のせいで荒野のガンマンというイメージからは遠くなってしまったが、どこか淫靡な雰囲気がしないのは、ひとえに体型のおかげであろうか。
 それはともかく、M92を油断なく構え、さらには、トカレフをカウボーイハットの中に忍ばせ、全身凶器状態である。
 そして、メロンパンをくわえた湯ノ花が、ボロボロになったナース服姿で入ってくる‥‥といっても、エッチな病院モノではない。
「山ごもりで‥‥銃道の‥‥修行‥‥してきました」
 ということである。もっとも、修行といっても来る途中にあった公園の砂山で10分だけしただけで、演出過剰ではあったが。ちなみに、くわえているメロンパンはそのせいでゆっくり食べている時間がなくなっただけの話である。
 さらにいえば、三八式歩兵銃の銃剣にもメロンパンが刺してあったが、こちらは食料ではないようだ。
 最後に、三八式歩兵銃を抱えたブラウネが、佐渡川を従えて入ってくる。が、問題は佐渡川の格好である。唯一のセクシー褌を、あろうことか頭に巻いて入ってきたのである。つまりは、現在身体はモザイクである。
「‥‥え? 何もおかしなトコはないですよ? これはビッグマグナムですから。時にはゴムのように柔らかく、ちょっとした刺激で鉄のように硬く。なんなら触って確かめてみるかい? もちろんチームメイト限定な! このビッグマグナム、暴れん坊だけど、意外とナイーブではにかみ屋さんだったりするんだゼ‥‥ぐぼはうあっ!」
 下半身を指差してもっともらしい解説をする佐渡川だったが、もちろん触られるまでもなく、一斉射撃を受ける。
 こうして佐渡川が試合開始前にきっちり退場になったところで、試合開始である。
「白組のみなさーん! お仲間のZebraですよー!」
「ミーは総てを裏切った独立軍なのSAaaaa!!」
 白組がまずは遮蔽物の陰に隠れる中、飛び出したのがZebraとジョニーだった。
「えー!」
 いきなり青組1人にされてしまった青雷が非難の声を上げるが、聞く耳を持つ相手ではない。
 Zebraは男と馴れ合うよりは女の子の方がいいにしても、佐渡川のように最初から白組に潜り込むのではなく、はじまってから白組と仲良くしようという魂胆のようだ。
 そしてジョニーは、青組所属は仮であり、実在の人物、団体、事件には関係ないという、よく分からない姿勢を崩さない。
 こうして飛び出した二人だが、やや遅れて飛び出したジョニーが、Zebraの背中に銃口を突きつける形になっていた。
「三点バーストを背後から見舞ってやるZE!」
 だからといって、ホールドアップしたりするZebraではない。ただ、振り返りざま銃を抜き放つのみである。
「ならば、振り返りざまのゼロ距離バーストだ!」
 銃声が一つ。だが、それは二つの銃声が同時にしたからであった。
 ドサリと崩れ落ちるジョニーとZebra。裏切りの代償は、結局双方の死でしかなかった。
「ちょ、まだ開始10秒なんだけど!」
 早くも完全に1人になってしまった青雷だが、ここからフランスのレジスタンス並みの抵抗の歴史がはじまることとなる。
「こんなときだからこそ、射撃は冷静さが大事‥‥って、なれるかー!」
 とはいえ、多勢に無勢とはよくいったもので、四方八方から滅多打ちにされてはどうにもならない。文字通りの秒殺で、白組の完勝であった。
「欲しがりません‥‥勝つまでは‥‥ってコトは‥‥もう‥‥欲しがっても‥‥いいのですか?」
 湯ノ花がそう言って、刺してあったメロンパンを食べはじめるが、本当にこのまま終わっては尺的に大問題である。
「はーい、集合ー!」
 仕方なく、白組の4人が集まって、協議がはじまる。
 まず、白組の勝利で1万円ずつを手に入れることは確実なのだが、一番盛り上がった試合の勝者、敗者に2万円というルールが問題である。
 あっという間に敗北した青組に、敗者として2万円を持っていかれるのもしゃくなので、とりあえず白組だけで試合は続行するけれども、計4万円を4人で割って1万円ずつということになった。
「はーい、解散ー!」
 こうして、今度は敵同士として散る乙女4人。
「ふー、事前にそこかしこにマガジンを隠しておいたのが、危うくムダになるトコだったよ‥‥」
「一人だけフェンリルなんて重装備、空気が読めてないみたいじゃないか」
 思わずベルシードとランディがボヤくが、湯ノ花だけ空気が変わっていた。
「鬼畜‥‥米英‥‥ヤンキー‥‥ゴー‥‥ホーム‥‥はっ‥‥小隊長殿!」
 そのおかしなキャラ作りのせいか、三八式歩兵銃を持っているだけの理由で、ブラウネのところへと報告に向かう湯ノ花。場所は全体の一番のど真ん中、畳の上である。
「悪いけど‥‥先に消えてもらうね!」
 遠巻きにその様子を観察していたベルシードだが、ついにM92の出番である。
 発射されたペイント弾は、寸分違わず湯ノ花の頭に命中するハズであった。
「はっ‥‥なのです‥‥」
 だが、見事な畳返しで、弾丸を防いでみせる湯ノ花。音速を超える弾丸を、空気の振動も感じずに気づけるのかという話であるが、メロンパン神のお告げとでもしておこうか。
「そんなバカな‥‥えいっ!」
 呆然とするベルシードだったが、すぐに2発、3発と撃ち込んでいく。
 しかし、湯ノ花とブラウネはそのまますべての畳を立てて、徹底抗戦の構えである。
 だがその隙を突くべく、狙撃ポイントを探してランディがどんどん上へと駆け上がっていく。ようやく、見ごたえのある銃道になりそうだった。
 とはいえ、すでに賞金の分配も済んでいるので、エキシビジョンのようなものである。というわけで、女性陣が試合に興じる姿が段々と遠景になっていき、そのまま終了するのであった。