芸人プロレスごっこ王20アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
牛山ひろかず
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芸能 |
フリー
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獣人 |
フリー
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難度 |
やや易
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報酬 |
0.7万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
07/10〜07/12
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●本文
プロレスごっこ──それは、素人によるプロレスの真似事でしかないが、ここにはそれを魅せる域にまで昇華した番組があった。
基本レスラーに扮する芸人が、様々な物や者を相手にプロレスをしているかのように見せて笑いを誘う。ただそれだけのことなのだが、小モノを使ったボケをベースとする、一人芝居に一発芸、リアクション芸にヨゴレと、お笑いの基本要素の散りばめられた、芸人のワンダーランドなのである。
もはやプロレスどころか、本来の意味でのプロレスごっこからも遠くなっているが、それはそれなのである。
TOMITVのある会議室に、芸人プロレスごっこ王選手権のスタッフが集められていた。そこへプロレスごっこの一番えらい人が姿を現す。
「納豆の季節じゃのう‥‥」
「はい? 別に納豆の季節ではないような気がしますが‥‥? 大体、賞品が納豆一年分ではない納豆早食い世界大会も3月10日ですし‥‥ぐぼはっ!」
余計なコトを言ったスタッフが、案の定鉄パイプで制裁を食らう。
「バカヤロウ! それは、単に水戸→3月10日じゃねーか! えらい人様が言っているのは、納豆→7月10日の方だ!」
「サ、サー、イエッサー!」
鉄パイプを恐れ、イエスマンと化すスタッフ。だが、えらい人の次の言葉は予想外のものであった。
「だが、えらい人様は納豆のにおいがダメな人なのだ!」
「えー!?」
ここまで振っておいて、今さらそれはないだろと思わずにはいられないスタッフだったが、無論文句は言えない。
「サー、イエッサー!」
何がイエッサーなのか分からないが、とにかくイエッサーで流してしまおうとするスタッフ。
こうして、納豆がテーマなのに納豆が使えない中、第二期芸人プロレスごっこ王選手権ランキング戦の第20戦目は平然とスタートするのであった。
参考例:
・軟体レスラーvsボストンバッグ:身体の柔らかい芸人が、固め技という設定でボストンバッグの中に入っていき、ファスナーを内から閉めたところで、レフェリーストップ、ボストンバッグの勝ち。
注意:
・茨城県水戸市で収録を行いますが、重要なのはロケ場所ではなく、ネバネバを利用するということです。
・『納豆』をテーマに試合をしてはいけません。『納豆』から連想される『ネバネバ』から、さらに連想できるモノで試合さえすれば、それでよいのです。
・ポイントはプロレスごっこの一番えらい人の独断と偏見によってのみ与えられます。すばらしい、おもしろい、えろい、えらい人に媚びる、視聴率が取れる等、一切関係ありません。
・ランキングによる2代目プロレスごっこ王の決定の時は7月末、というのが現在の一番人気となっているようです。
・とりあえず現在はポイントのインフレにはなってませんが、最終的には一発逆転のバラエティのノリになるので、そういうのに怒らない人募集です。
・プロレスごっこは安全第一です。いくらナットウキナーゼでも、死亡、怪我、流血がたちどころに治るということはありませんよ?
ランキング(第17回分まで)
1位 百鬼レイ(fa4361) 25pt
2位 白海龍(fa4120) 21pt
3位 伊藤達朗(fa5367) 20pt
4位 DarkUnicorn(fa3622) 16pt
5位 パトリシア(fa3800) 14pt
過去の放送のスケジュール(最近5回分)
・第15回 05月17日 07:00〜 横浜中華街
・第16回 05月20日 07:00〜 東京都新宿区
・第17回 05月23日 07:00〜 東京都港区
・第18回 07月04日 07:00〜 美しい国
・第19回 07月07日 07:00〜 天の川
●リプレイ本文
『えらいー人はとてもつよーい♪ なっとうはとてもくさーい♪ さあ、ついにおそれる時が来ました。えらい人が納豆をネタにしています‥‥腐った豆が大好き→腐れが好き→腐女子というコトが判明したのです。考えてみれば、今までえらい人が男だという描写があったでしょうか? いや、ない!』
サトル・エンフィールド(fa2824)が超理論による実況をはじめるが、それを解説のヨシュア・ルーン(fa3577)が鼻で笑う。
「ふふん、何を言ってるんだい、サトルくん。えらい人が女性だったら、僕たちはとっくにM奴隷になっているハズじゃないか‥‥ん?」
そう言いながら納豆をかき混ぜ、生卵を投入したところで何かに気づくヨシュア。ドドドと何かが向かってきているようだ。
ズシャー! 次の瞬間、ヨシュアの身体が宙を舞い、床に叩きつけられていた。見れば、大熊猫昇龍覇をかけたままの拳を突き上げたまま立つ羽曳野ハツ子(fa1032)の姿があった。
「‥‥ネバネバ‥‥Never−Never、あやうくかぶり芸の分割払いをさせられるトコだったわ」
一仕事終えたとばかりに、さわやかに額の汗を拭う羽曳野。だが、ヨシュアの持っていた納豆を見てあるコトに気づく。
「はっ! これはネバネバ除去済みの加工納豆!? ま、でも納豆は納豆よね」
「まったく、おっしゃるとおりで‥‥勝者、羽曳野選手!」
レフェリーの帯刀橘(fa4287)が駆け寄ってくると、羽曳野手を掲げる。
帯刀は『女性にやさしく、男性に厳しく』をモットーにレフェリングしているので、死亡確認もとらずにそのままヨシュアを退場させていく。せっかく法の網をかいくぐるべくネバネバではない納豆を用意したヨシュアだが、まったくの徒労に終わった。
「では、私の本当の試合でお会いしましょう!」
『ありがとう、ハツ子さん。おかげで悪魔は去りました‥‥』
納豆恐怖症のサトルが、思わず去っていく羽曳野の背中を拝む。納豆のついでに口答えしたヨシュアも抹殺され、一石二鳥である。
『放送席の見晴らしもよくなったところで、第一試合にまいりましょう! あずさ&お兄さん(fa2132)が‥‥』
「この人外魔境において、人間審査を通過したわずか2/9のうちの一人ですからね。あ、お兄さんは7/9の方ですよ? 僕とあずささんだけが‥‥ぐぼはっ!」
早くもナニゴトもなかったかのように平然と解説に戻ってきたヨシュアだが、サトルに鋭くブローパイプで黙らされる。
「え? 茨城県ミット市でネバネバ!? 粘っこい粘りの打撃で勝負ってことだね! ミットじゃなくて、バットな気もするけど‥‥」
「いえ、気のせいですよ。さあ、思いっ切り打ってください。むしろ、僕をぶってください!」
自分で言っていて思わず悩みかけるあずさだったが、帯刀がすかさずバットを手渡す。
そして、ピッチングマシンがリングに運び上げられる。納豆禁止にならい、納豆嫌いのメジャー投手仕様コナン風味のマシンである。
「粘りの打撃なので、ひたすらカット。球数を増やして、スタミナを奪うよ!」
生身の投手じゃなくてピッチングマシンなので、スタミナも何もないのだが、初球からきっちりカットしていくあずさ。
「ファウルボールには、くれぐれもご注意ください!」
あずさが叫ぶが、鋭いファールボールが放送席脇へと飛んでいく。硬球は倒れているヨシュアのすぐ横に直撃し、転々としていく。ヨシュアに直撃せず、チッと舌打ちするサトル。
『おっと、今日の僕は天使モードでした。あやうく堕天使になりかけちゃいましたよ‥‥さあ、ドンドンまいりましょう!』
「ファウルバットやファウルお兄さんにも、くれぐれもご注意ください!」
ピッチングマシンから飛んできたお兄さんを、平然とフルスイングでカットするあずさ。鋭いお兄さんが、レフェリーなのにリングサイドにいる帯刀目指して飛んでいく。
「ぐはっ!」
顔面キャッチをみせる帯刀。だが、女性にやさしくの帯刀なので、文句は言わない。それに、あずさが介抱に駆けつけてくれるからだ。
「大丈夫?」
「ダメです‥‥膝枕で介抱してくらはい‥‥」
調子に乗って甘える帯刀を、ちゃんと膝枕してあげるあずさ。
『くっ‥‥あーっと、伊藤達朗(fa5367)選手が入って来ました。なにやら自然薯を挿したカゴを背負ってますが‥‥?』
ドス黒い何かが湧き上がってくるのを必死に抑えるサトルだったが、伊藤が入場してくるのが見えたので、なんとかそちらへ気を向ける。
「まいど、伊藤達朗や。茨城県ミット市でネバネバはないやろ。ネバネバといえば、やっぱ山芋やからな!」
まさか山芋をバットに? と思う人は少数だと思うが、無論食べ物を粗末にする伊藤ではない。
「戦う相手は、麦トロ飯やな! 麦飯に、ほどよく伸ばしたとろろを掛けた麦トロ飯。暑くて食欲が落ちがち夏にピッタリな食事や」
山芋をすりおろすのかと思いきや、すでにバケツいっぱいのとろろを用意してしまっている。料理番組並みの手際のよさである。
「自分一人で食ってもしょうがあらへんから、みなはんにもふるまいますわ。わいが配膳するのが早いか、相手が食い切るのが早いか‥‥勝負や!」
『誰と勝負する気なのでしょうか? あーっと、ハツ子さんが出てきましたが‥‥ハツ子さんが対戦者なのでしょうか?』
羽曳野が、納豆パックの積まれたリアカーを引いて入ってくる。
「かぶりこそしなかったものの‥‥Never−Neverで、分割払いで大量の水戸納豆を買いすぎてしまったわ。しかも、規定違反だというし‥‥」
そこで、ボヤく羽曳野と伊藤の視線が交錯する。
「おもろい‥‥ならば、わいがその関西人の大敵、納豆を食してやろうやないか!」
勝手に羽曳野を好敵手と認め、納豆を食べはじめる伊藤。対して、羽曳野はとろろに手もつけない。
「さて、どうしたものかしらね。ネバネバ‥‥そうね、オクラに真っ向から挑みましょう」
だが、つい無意識にオクラ納豆にしてしまう羽曳野。必然的に伊藤の食べる量が増えるだけだが、伊藤はすでにゾーンに入ってしまっているので気づけない。
『くっ、ハツ子さんの手料理を‥‥けど、納豆だしなぁ。あーっと、つづいてリング上にはMAKOTO(fa0295)さんだーッ! Jカップ、ワショーイ!』
勝手にドス黒い何かを湧き上がらせては勝手に萎め、サトルに残ったのはエロスだけだった。
「シンプルイズベスト! トリモチと戦うよ!」
リング下ではあずさが帯刀を膝枕しつづけ、羽曳野が作るオクラ納豆を伊藤が食べつづけるという光景の中、リング上にトリモチを敷き詰めていくMAKOTO。
「極め様にも極められない相手に、極められないように抗い悶え、脱出して極めにかかるッ!」
MAKOTOがおもむろにトリモチにダイブする。だが、言葉どおりに軽快に動けるほどトリモチは甘くない。ヌトーっとまったりとした動きである。
『ねっとり地を這うようなグラウンドの攻防が見たいんじゃない! いや、寝技自体は好きですけど‥‥ああ、救世主はいないのでしょうか?』
サトルが天を仰ぐが、救世主はいたのである。我らがグラビア芸人、DarkUnicorn(fa3622)である。
「納豆→ネバネバ→ヨゴレ→打たれすぎ→胸が腫れる→巨乳→打倒パインボインという訳じゃ! 見MAKOTO必殺、見ムチャキング必殺というわけじゃな。のう、あずさ?」
貧乳同盟のあずさに同意を求めるDarkUnicornだったが、
「どう? 痛み、治まってきた?」
「うーん、まだらめぇ‥‥」
などと帯刀と甘ったるいコトをやっていやがったので、余計にMAKOTOと羽曳野への怒りに燃えるだけであった。
が、まずは目の前のMAKOTOを見てしまったので、こちらから必殺である。
「MAKOTOよ、ネバネバグラビア早着替え勝負じゃ‥‥って、もうはじめておるな。そのトリモチの粘着力を利用して、服を脱ごうというのじゃな? ズルい、フライングなのじゃ!」
「いや、そういうわけじゃ‥‥」
MAKOTOが困惑気味に否定するが、DarkUnicornは聞く耳持たない。
「じゃが、わしをナメとったらあかんぜよ! 浴槽、入ってくるのじゃ」
DarkUnicornが合図すると、熱湯風呂用の透明な浴槽が入ってくる。
『‥‥これは、どういうことなのでしょうか? 期待どおり、エロいコトになってくれるのでしょうか?』
もはや着替えとどう関係があるのか分からない領域に到達してしまっているDarkUnicorn。そんな周囲の視線を気にせず、熱湯代わりに入れるものを取り出す。
「モロヘイヤ、ナメクジ、クモの巣、スライム等々、これらを惜し気もなく投入なのじゃ‥‥おっと、こんなところに山芋が‥‥これも入れておくかのう」
勝手に伊藤のとろろのバケツを持ち上げると、それも浴槽の中にぶち込んでしまう。
「この中で、スク水に着替え‥‥のわーっ、かゆい! かゆいのじゃ!」
勢いよく飛び込んだはいいものの、すぐさま大惨事になるDarkUnicorn。服を必死に脱ぎ捨てていき、下に着ていたスクール水着姿になる。
が、かゆみ成分はそのスク水にも浸透してしまっているから、脱がないことにはどうにもならない。
「う‥‥ネバネバーギブアップ!」
『そうだ、僕らはこれを待っていたんだ! あ‥‥』
意を決してスク水を脱ぎ捨てるDarkUnicornに、サトルが興奮の声を上げるが、肝心な部分が見えないうちに浴槽の中に飛び込んで逃げてしまう。
「どうじゃ、これでわしの勝ちじゃろう!」
「着替えっていうより、脱いだだけじゃん!」
それでも、誇らしげにMAKOTOを見下すDarkUnicorn。これには、勝負に乗る気のまったくなかったMAKOTOだが、さすがにツッコミを入れずにはいられなかった。
その微妙な空気の中、えらい人が飛び出してくる。
「I’m えらい人ーッ! 今回も独断と偏見で、ポイントによるランキングがつくゼ!」
1位 MAKOTO 7
2位 伊藤達朗 3
3位 羽曳野ハツ子 1
「目指せ、プロレスごっこ王! 以上だ!」
『待ってください、えらい人! ホントは女性なんでしょ‥‥ぐぼはっ!』
去っていくえらい人を追いかけるサトルだったが、鉄パイプの一振りで終わりである。ヨシュアの横に倒され、兄弟仲良くおねんねである。
さて、まだ試合のつづいている伊藤であるが、自分のとろろの末路を知ることもなく、羽曳野の納豆の前に敗れ去っていた。とはいえ、羽曳野も凶器の納豆を持ち込んで反則負けではあるが。勝者なき戦いは、いつの世も不毛なものである。
そして、帯刀とあずさであるが、相変わらず膝枕をつづけていた。
「うーん、うーん‥‥」
「もう、足が痺れてきちゃったよ‥‥ま、橘くんかわいいからいいけど」
そして何よりもMAKOTOとDarkUnicornであるが、この後の洗浄が大変そうなので、そ知らぬ振りしてこのままフェードアウトしていくのであった。