地獄の沙汰も蜘蛛の糸アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
牛山ひろかず
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芸能 |
フリー
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獣人 |
フリー
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難度 |
普通
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報酬 |
0.8万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
07/20〜07/22
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●本文
地獄に落ちてもいいじゃないか、敗者復活戦があるのだから。さあ、地獄に垂らされた蜘蛛の糸を上り、天界に到達しよう!
大前提
・お笑い系番組なので勝ち負けにこだわらず、大らかな気持ちでおもしろおかしく楽しみましょう。
手順、ルール
・まず、地獄に落ちた理由を全員で述べます。その理由の変態度合いにより、順番が決まります。
・蜘蛛の糸が垂らされます。決められた順番に従い、時差式でスタートします。
・上ったり、落ちたり、妨害したり、巻き込まれたり、勝手に蜘蛛の糸が切れたりします。
・成功者0の場合、尺によっては複数回行います。そのつど、蜘蛛の糸の材質や太さ等は変わります。
・ずっと地獄にいても構いません。血の池が好きとか、いろんな性癖があるでしょうから。
注意事項
・獣化は禁止です。浮いたり、飛んだりといった、人間としてありえない動きはしないでください。
・死亡、ケガは自己責任で。地獄に落ちてるのに、また死なれても困ってしまいます。
・その他細かいルールはお釈迦様にうかがってください。
賞金について
・番組を一番盛り上げた人に、MVPとして賞金10万円が授与されます。
・天界に到達しても、特に賞金はありません。というか、成功者が出ない前提です。
●リプレイ本文
「やってる?」
のれんを開けて入ってくるかのように、まずはMAKOTO(fa0295)がやって来る。
「やってます‥‥」
それを出迎えたのは閻魔大王ではなく、湯ノ花ゆくる(fa0640)であった。一応、半獣化して蝙蝠の耳、羽、尻尾を生やし、頭にはゴートホーンを装着して魔界の住人ぽさを出してはいるが。
「えーと、いきなり地獄なの?」
MAKOTOが首を傾げるが、それもそのはず。湯ノ花のバックには『‥‥メロンパン‥‥地獄へ‥‥ようこそ〜‥‥デス♪』と書かれた横断幕が貼ってあるが、まだどっちに行くかは決まっていないハズである。全員地獄行きの決まっているデキレースとはいえ。
「そんなことより‥‥なぜ‥‥地獄に落とされるか‥‥分かってますね‥‥?」
「うーん、海水浴シーズン目前だというのに、ベストから5kg太ってたからかなぁ? 減量地獄に叩き落される気がするんだよね」
ブチッ! 湯ノ花のゆるゆるの笑顔のこめかみに血管が浮かぶ。そのけしからんJカップのせいだろが! と殺意を抱かずにはいられなかったが、すでに死んでいる前提なので殺すことはできない。
「減量地獄‥‥決定です‥‥その胸を‥‥メロンパンサイズまで‥‥落とすのです‥‥」
MAKOTOの地獄行きが決まると、つづいても湯ノ花の敵が入ってくる。小柄で細身ながらも、胸だけはFカップときっちりすぎるほどある水無月鈴(fa3502)である。
「なぜ‥‥地獄に落とされるか‥‥分かってますね‥‥?」
「えと‥‥閻魔様がその‥‥ペタン娘が好きらしくて、私を見るなり『あー、おまえのその胸が気に食わん。地獄行きな。はい次‥‥』って‥‥」
ブチッ! 湯ノ花のゆるゆるの笑顔のこめかみに血管が浮かぶ。ペタン娘の私に、そのトランジスタグラマーなFカップでケンカ売ってんのか! と殺意を抱かずにはいられなかったが、ここでその閻魔様どおりの反応をしてしまっては負けも同然である。必死に耐える湯ノ花。
「え? トランジスタグラマーってなんですか、それ。聞いたことないですよ?」
ブチブチッ! 湯ノ花のゆるゆるの笑顔の血管が切れて、緑色のメロンパン汁が流れ出す。湯ノ花は古風な口調の姉の影響とでも言いわけしたいところだが、今どきそんな言葉は使わない的なコトを言ったのがいけないとは気づかない水無月は、ただキョトンとしている。
「ルームランナー地獄‥‥決定です‥‥安産型の下半身を‥‥手に入れるまで‥‥走りつづけるのです‥‥」
水無月の地獄行きが決まると、ようやく安心できるランディ・ランドルフ(fa4558)が入ってくる。もっとも湯ノ花と違い、鍛え抜かれた筋肉がトップとアンダーの差を消失させていただけではあるが。
「本物のパルマのプロシュートの味を知らなかったので、地獄に落ちた。だが、それで構わないと思っている。プロシュートの味など、知らない方がいいのだ‥‥」
まんじゅうこわいみたいなコトを言い出すランディ。
「プロシュート地獄‥‥決定です‥‥生ハムを‥‥永劫に‥‥食べつづける‥‥のです‥‥」
だが、湯ノ花は気づかずに乗っかってしまう。ランディが思わずニヤリとしたことにも気づかない。
こうして女性陣が無事地獄に落とされたところで、問題の飢えた狼ども、というか地獄に落とされてしかるべき男どもの番である。
「ふははは‥‥俺の名はバイオレットバイオレンス、覆面レスラー志望のスタントマンだ! 地獄に落ちた理由だぁ!? 女子校の更衣室! ナース寮! 女湯! 公園の女子トイレ! 心当たりがありすぎて、どれがどれだか分かんねぇゼ!!」
常盤躑躅(fa2529)が、女性モノの下着のあふれる風呂敷包みを背負うという典型的下着ドロ姿でありながら、颯爽と現れる。覆面といっても、無論パンツをかぶっているだけである。
「‥‥‥‥」
湯ノ花が汚らわしいモノを見るような目をしているが、まったく気にならない剛の者、それが常盤。のっしのっしと地獄へと自ら進んでいった。
「美しい、美しすぎるッ! 俺の美しさが罪だからといって、地獄に落とすのかーッ!?」
つづいても、イカレた感じのグリモア(fa4713)が入ってくる。と、急にマジメな顔になる。
「‥‥ごめん、ウソ。一度言ってみたかっただけ、すいません‥‥」
土下座して謝るグリモア。湯ノ花もようやく一息つけるかと思いきや、それで済むグリモアではない。
「ホントは‥‥えーと、全部言い出すと番組終わっちゃいそうだから、一番最近のだけ。いやー、トイレが混んでてさ。つい、隣の女性トイレでこっそりやっちゃって、ドキドキシマシタ。あ、やっちゃってって、小を足しただけよ? 決して、ホントはガラガラだったとか、三角コーナーをあさったとか、辛抱たまらず‥‥ぐへっ!」
シュルシュルとガムテープが伸びてきたかと思うと、グリモアの首を締め上げる。ガムテの先には、古河甚五郎(fa3135)が立っていた。
「すぐ地獄へ行く人は、打たれすぎです。すぐには地獄へ行かない人は、よく調教された打たれすぎです。自分、特に調教済ではございませんが、打たれすぎの保守をせねばと、すぐに地獄へ行かずにここに潜んでおりました」
そのままグリモアをガムテで梱包すると、担ぎ上げる古河。グリモアがもがくが、気にもしない。
「はい、コワくないですからね。おとなしく地獄へ行きましょうね、ガムテで!」
グリモアが古河に連れられて地獄へ行く中、最後に神妙な顔のドワーフ太田(fa4878)が入ってくる。
「トンネルを抜けたら、地獄じゃった‥‥しかし、なぜわしが地獄に堕ちねばならん? わしには心当たりなど、微塵もないぞ?」
「もぐもぐ‥‥ホントに‥‥心当たりが‥‥ないんですか‥‥もぎゅもぎゅ‥‥」
思い悩む太田に、すっかりくつろいでメロンパンを食べながらの湯ノ花が問いただす。
「わしがやった悪事といえば、お隣の娘さんに一目惚れして、一瞬で玉砕して、腹立ちまぎれにお隣さんが引っ越すまで大音量でラップを流したり、暴走族みたいなバイクで近所を走り回ったりしたくらいではないか!」
湯ノ花がやれやれという顔をしているが、太田は未だに分からないという風である。
「え!? まさかその程度のコトで‥‥む、それを5セットも繰り返したのが悪かったのかの? せめて4セットにしておくべきじゃったか。よくよく思い出してみると、5セット目の途中にバイクで事故って死んだ気もするしの‥‥」
納得したのか、自分から地獄へとトボトボ歩いていく太田。こうして、地獄に7人が集結することとなった。
まずは、地獄とは関係なく地獄絵図が繰り広げられる。グリモア一人にとっての。
「自分は剥がすとき快感を覚えてきたのですが‥‥グリモアさんはどうでしょうか? 自分だけがおかしいんじゃないですよね?」
「‥‥うぎゃー! 地獄サイコー!」
体中の毛を引っ剥がされ、悲鳴を上げながらも悦ぶグリモア。確実に古河同様のよくない兆候が表れている。
「おかしくないようですね。当然の反応のようですね、ガムテは!」
さて、この地獄界は様々な種類の地獄が一緒くたになっているので、ランディ・ランドルフが優雅にプロシュートとワインを堪能しているプロシュート地獄があるかと思えば、MAKOTOと水無月がムダに胸を揺らして走っている減量ルームランナー地獄があったりする。
さらには、それを平然とかぶりつきで眺め、地獄の中に脳内天国を築き上げる常盤のような輩も。
「俺のボインレーダーに反応したのは、ランディとMAKOTOと水無月の3人だが‥‥食事の様子を眺めて楽しめるフェチはないので、MAKOTOを軽く見て楽しむだけにするか。え? 水無月はどうしたのかって? グフフ‥‥」
さらにガムテから解放されたグリモアに至っては、自分で穴を掘って血の池地獄を拡張している始末である。
「地獄は血の池地獄に限るね。落ちたら、いろいろ透けるから‥‥ひょーッ!」
奇声を発しているグリモアはさておき、職人芸に励む者は少なくなかった。
「ロープの方じゃが、やはり蜘蛛の糸と言うからには粘り気のあるものでなくてはなるまい。そして長さじゃが、明らかに『長っ!』というくらい‥‥」
太田はロープの製作に余念がなかった。天から垂れてくるのを待つではなく、もっとアグレッシブに自分から投げて上っていくというのか?
「粘り気があって、十二分に長さに余裕のあるロープでなくては、下からぶんぶん振り回して上の人間を絡めとることができんからの。蜘蛛の糸という以上は、やはり絡まってナンボじゃ! 今回もそれなりに女性参加者も多いコトじゃし、サービスシーンも撮れそうじゃからの、クク‥‥」
残念ながら、太田もグリモアと同じ口であった。ならば最後の砦、ガムテープ職人と職業に職人と入る古河なら、大丈夫だろうか?
「横を見ると、大人ののぼり棒にひたっている煩悩な打たれすぎが‥‥って、鏡に映った自分ですが、気にしません! それよりも、大変です! 大事なところを皮製鎧の重装備で護っている方はともかく、ひのきの棒オンリーの自分は蜘蛛の糸を使わずに昇天してしまいそうです! ああ、ひょっとして蜘蛛の糸で縛ってガマンしろという、お釈迦様でも思い浮かばない最後の手に‥‥」
大丈夫ではなかった。蜘蛛の糸以前に、自分一人のセルフパラダイスへと旅立ってしまっている。
そんな中、ようやく湯ノ花がやってくる。
「‥‥えっと‥‥天国に‥‥行きたい‥‥ですか? ‥‥それなら‥‥この蜘蛛の糸を‥‥上れば‥‥行けますよ♪」
天から蜘蛛の糸が垂れてくる。
「俺は紳士なんでな。レディーファーストだ!」
「俺もモチロン、レディーファースト!」
「レディーファーストじゃ!」
常盤、グリモア、太田が、そろいもそろってMAKOTOと水無月に順番を譲る。無論、理由は言うまでもない。
「スカート着用は当然、アンスコ禁止は言うまでもなく、無論何もはかないと言うなら止めるわけもなく、むしろ全裸よりは靴下を‥‥ぐぼはっ!」
常盤がアツい思いのたけをぶつけていたが、MAKOTOと水無月のクロスボンバーに沈められる。クロスボンバーなのでマスクは剥がれていたが、パンツなのでどうでもいい。
ドンガラガッシャーン! 全員が一斉に蜘蛛の糸に殺到していたのかと思いきや、地獄で轟音がする。
「主を呼べい! 生ハムにメロンはギリOKとしても、生ハムにメロンパンとはナニゴトじゃあ!」
ランディはまんじゅうこわい戦法が成功していたにもかかわらず、結局は湯ノ花好みの地獄なので、そのメロンパン地獄にブチギレてちゃぶ台返しをしていた。
「はい‥‥今‥‥新しい‥‥メロンパンを‥‥」
掃除をしながら、新しいメロンパンを運ぶ湯ノ花。地獄の主も大変である。
「‥‥とにかく、このままじゃ必要以上に体重を落とされちゃうよ。先に脱出するね!」
そんな様子を眺めながらも、まずはMAKOTOが上がっていく。
「体操服のサイズは合わないままですが‥‥がんばります!」
パッツンパッツンの体操服に紺ブルマという水無月も、つづいて上がっていく。
「ぬお、ムリして上る気は特にないが、追いかけてみるかの‥‥」
やや間を置いて、ずっと見上げたままの太田も上っていく。
「さーて、持ち場に戻るかな‥‥フフフ」
だが、グリモアは不敵な笑みを浮かべて池の拡張工事現場へと戻っていった。
さて、筋力に優るMAKOTOは快調に飛ばしていたが、水無月は苦しい。
「んー‥‥あっ!」
ついに手が離れ、落下していく水無月。
ザボーン! 水柱が上がる。そう、グリモアの突貫工事が間に合ったのである。とはいえ、これは安全性のためになされた工事ではない。
「お嬢さん、お手を‥‥」
「あ、どーもすみません」
そして、これも親切心で手を差し出しているのではない。水無月の濡れた体操服が肌に張り付く様、そして透けて見えるブラを間近で堪能するためである。
こうして、蜘蛛の糸を利用せずにグリモアが昇天したところで、再び蜘蛛の糸である。太田だが、煩悩の力も加わってMAKOTOに追いついていた。
「んっ! 下から押すと、重いのう‥‥」
「なにぃ!」
太田の余計な一言に、激怒したMAKOTOが足4の字をかける。
「ああ‥‥もう天国に着いたのかのう?」
MAKOTOの太ももを堪能しようと手を離してしまい、プラーンと宙吊り状態になる太田。ほどよい酸欠もあって、太田も自分勝手に昇天してしまう。
「はっ! ‥‥自分が‥‥悪魔である‥‥コトを‥‥忘れてました‥‥」
一方地獄では、ランディのためにプロシュートをメロンパン包丁で切り分けているところで、ようやく妨害しなきゃいけない立場なのにお手伝いしかしていないことに気づく湯ノ花。
「メロンパン‥‥ダンク‥‥シュート‥‥です‥‥!」
湯ノ花が突然宙を舞うと、泡を吹く太田の口にメロンパンを叩き込む。その衝撃で、ブチっと蜘蛛の糸が切れてしまい、MAKOTO共々地獄に逆戻りである。
「はっ!」
そこで、倒れていた常盤が目を覚ます。
「蜘蛛の糸が切れている‥‥が、心配無用! こんなこともあろうかと、荒縄に細紐の縛り玉を巻きつけた、気持ちのいいやつを発注しといたぞ! 秘裂が深くなるコト間違いなしだゼ‥‥って、お前かよ!」
すぐさま常盤が横に張られた蜘蛛の糸を披露するが、その上をまたいで渡っているのは古河だった。
「ああ、早くガムテで防護しないと‥‥でも、できません!」
無事に最悪の地獄絵図になったので、そんな古河に10万円を渡してお引取りを願うのであった。