ムチャキング15アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
牛山ひろかず
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芸能 |
フリー
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獣人 |
フリー
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難度 |
普通
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報酬 |
0.8万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
07/26〜07/28
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●本文
TOMITVのスタッフルーム。その中の自称スポーツイベント便乗チームで、二人の男がボンヤリと会話をしていた。話の内容は、スポーツイベント便乗チームにあって唯一スポーツと関係のなくなった企画、ムチャキングについてである。
「今度のムチャキングなんだが‥‥7月26日が何の日か分かってるか?」
「プロレスごっこ同様、日付ネタっスか? まー、ウチも前回は日付ネタで無着陸でしたけども。で、なんだっていうんです?」
「2年前の2005年7月26日、スペースシャトルはコロンビアの事故後ついに飛行を再開した。そのときのシャトルがディスカバリー! あ、もう分かっちゃった?」
「さっぱり分かりませんよ。だから、なんだっていうんですか?」
「察しの悪いヤツだなぁ。だから、ディスカバリー=発見。つまり、各自新たなムチャを発見して欲しい、というコトじゃないか!」
「‥‥えーと、ようするに7月26日に枠が取れてしまったけど、そこでやるムチャキングの内容が思い浮かばない‥‥というコトでよろしいのでしょうか?」
「そうなんだよ‥‥うぁーん!」
なんだかんだあって、結局後輩に泣きつく先輩。
「もう先輩、泣かないでくださいよ。だったら、何もない状態からムチャを発見してもらえばいいじゃないですか。ムチャ探しもまたムチャですよ」
「‥‥そうか?」
「そうですよ!」
「そうだな‥‥ムチャキングだもんな‥‥」
「ええ、ムチャキングですから」
よく分からないやりとりのまま、ムチャキングの第15弾がスタートすることとなった。
『ノープランなムチャキング15』
特に何のシチュエーションも用意されていない中、何かムチャをしてください。誰が一番変わったムチャを発見するか、出演者で競い合います。
一応収録スタジオは用意しますが、場所は自由です。
求められるのは、笑えるムチャです。ハードなだけのムチャではいけません。
事前に用意される小道具
・大概のものは用意されます。持ち込みも可です。
注意点
・ムチャ=なんでもありではありますが、それでもスタッフがルールブックです。
職業『ムチャ○○』の選出について
・リアクション優秀者には、職業としてムチャ○○を名乗る権利が与えられます。
・ムチャ○○選出は、スタッフの独断と偏見による判定で決まります。
・○○に何が入るかも、スタッフの思いつきで決まります。指定できません。
・すでにムチャ○○になっている場合、陥落することもあり得ます。
現在の格付け
・ムチャキング:羽曳野ハツ子(fa1032)
・ムチャクイーン:草壁蛍(fa3072)(現ムチャ王妃)
・ムチャジャック:キューレ・クリーク(fa4729)
・ムチャジョーカー:チェダー千田(fa0427)
現在の格付け(神の領域)
・ハードボイラー:片倉神無(fa3678)
(ハードボイラーとは、ハードボイルドな人です。厳密には、一級ハードボイラー技士であり、下には二級、上には特級があります)
過去の結果
・第1回 七枷伏姫(fa2830)が優勝(ノンタイトル戦)。
・第2回 夏姫・シュトラウス(fa0761)が優勝(ノンタイトル戦)。
・第3回 朱凰夜魅子(fa2609)が優勝(ノンタイトル戦)。
・第4回 佐渡川ススム(fa3134)が優勝(ノンタイトル戦)。
・第5回 Tyrantess(fa3596)が優勝(ノンタイトル戦)。
・第6回 チェダー千田がムチャジャック、草壁蛍がムチャクイーンを獲得。
・第7回 チェダー千田がムチャキングを獲得。
・第8回 チェダー千田がムチャキングを引き分け防衛。
・(【AoS】海プロごっこにて、草壁蛍がムチャプリンセスに降格)
・第9回 チェダー千田がムチャキングを防衛。
・(プロレスごっこ新春SPにて、草壁蛍がムチャ女王様に昇格)
・第10回 片倉神無がハードボイラー(二級)を獲得。
・第11回 羽曳野ハツ子がムチャキング、キューレ・クリークがムチャジャック、チェダー千田がムチャジャッカーを獲得。
・第12回 羽曳野ハツ子がムチャキングを引き分け防衛。片倉神無がハードブロイラーを獲得後、ハードボイラー(一級)を獲得。
・第13回 草壁蛍がムチャクイーンに復帰、チェダー千田がムチャジョーカーに降格。
・第14回 羽曳野ハツ子がムチャキングを引き分け防衛もカド番扱い。草壁蛍がムチャ王妃に降格。
過去の放送スケジュール(最近5回分)
・ムチャキング10 2月07日 08:00〜
・ムチャキング11 2月15日 07:00〜
・ムチャキング12 4月12日 07:00〜
・ムチャキング13 5月05日 07:00〜
・ムチャキング14 5月21日 07:00〜
●リプレイ本文
スタジオではなく、局の前の様子からはじまる本日の放送。そこには、番組名でもあるムチャキングの称号を持つ女、羽曳野ハツ子(fa1032)がポツンと立っているだけである。
「収録スタジオになんかに、おとなしくこもっている場合か? ムチャキングともあろう者が、井の中の蛙でいいのか? いや、よくない。というわけで、TOMITVを飛び出し、外の世界に打って出るわよ!」
外の世界はいいとして、局の前といってもTOMITVの前ではない。なんの関係があるのか分からないが、CETの前である。
「本能のおもむくままに。裏番組でCETが7時のCETニュースやっているのなら、そっちに出ちゃえばいいじゃない!」
ドーンと天を指差す羽曳野。そこにあるのは、朝の太陽であった。
「そうね。太陽があんなに輝いているんだから、自分も輝かなくちゃね。太陽が黄色くなると人を殺したくなるっていうし、朝日のウチが勝負だわ」
物騒なコトを言っている羽曳野だが、周りのスタッフたちはすでに撤収の準備をしている。だが、構わずCETに入っていこうとする羽曳野。その背中が、やけに頼もしかった。
とはいえ、カメラがついていくのもここまでである。TOMITVには一切関係のないことと切り捨てられるよう、当然ながらカメラやスタッフがついていくコトはないのだ。
だから、以降ワイプで小さくということもなく、ここからは真に孤独な戦いである。
が、羽曳野は怯まない。王者が孤独であるというコトを誰よりも分かっているから。
ということで、放送できない人はさておき、スタジオに戻ってのちゃんと放送される分についでである。
「みんなー、初心に帰ろー! というわけで、人間大砲だぞー! 弾はどこかな〜?」
持ち込んだ大砲の横で、MAKOTO(fa0295)がみんなに呼びかけている。
「人間大砲ではなく、ピッ‥‥投球機械だったと思うんだけどな?」
それに応えてチェダー千田(fa0427)が入ってくる。なぜかピッチングマシンと言わないのが、若干ウザい。
「え? だって俺、ムチャ切り札だから!」
やはりムチャジョーカーとは言わないチェダー。
「なんなんだよー? ま、弾になるだけだからいっか」
だが、MAKOTOにとってはウザいウザくないは関係ない。むしろ、しゃべらない弾など人間大砲にとってはなんの面白みもない。
ということで、チェダーににじり寄るMAKOTO。チェダーが勝手に貞操の危機を覚えているが、そこはスルーである。
「あー、じゃあ発射される前に一応聞いとこうかな? そのキャラ設定、ナニ?」
「よくぞ聞いてくれた。ムチャその1『外来語を使わないムチャ』を絶賛実施中だからだッ! そして、その2『10文字以内で喋るムチャ』も‥‥ハッ! さっきから10文字以上しゃべりまくっている!? でも、人間大砲で発射されたらその3の『モザイクをかけないムチャ』に引っかかるしなー‥‥ハッ! モザイクがそもそも外来語なんじゃ‥‥ハッ!」
チェダーが勝手に無限ループに陥ったのでそれは放置するとして、どうも人間大砲で赤い花火を打ち上げる気は満々のようだ。
「まー、いいや。では、発射! そして、回り込んで打ーつッ!」
ドーン! MAKOTOがチェダーを発射すると同時に、ものすごい勢いで走り出す。先回りしてバッターボックスに立ち、打ち返すためだ。人間大砲だが、初心どおりにピッチングマシンの設定は生きているらしい。
「ぎゃっ!」
「ぐぼはっ!」
だが、MAKOTOがチェダーに先回りすることはなかった。狭いスタジオ内でやったものだから、チェダーは壁に着弾。それを追ったMAKOTOも壁に激突したのである。
こうして、赤いペンキを2回ぶっかけたような壁画が完成するのであった。もちろん、モザイクはかかっているが。
「人の身でありながら、ムチャをしおって‥‥」
そこへ、悟り切った顔の犬神一子(fa4044)が入ってくる。もちろん、悟っていようがフンドシ一丁の姿であるのは言うまでもない。
「そう、人の身でできるムチャなど限られている。だから、無限の可能性を得るために‥‥俺は神になる!」
ムチャキングの収録スタジオでなければ、確実におかしい人の犬神。だが、そこへパトカーのサイレンが鳴り響いてしまう。
「7月26日って何があったのか? うかな、調べましたっ! なんと、あのFBIが設立された日なのだそうです!」
FBIと言いつつ、思いっ切りミニスカポリスな格好で出てくる角倉雨神名(fa2640)。
「合衆国連邦捜査局だと!? ぬお、10文字に収まらん‥‥ガクッ」
チェダーがムクっと起き上がったかと思うと、また息絶える。角倉はそれをまったく相手にせず、犬神に銃口を向ける。
「ムチャは犯罪なのです! いけないムチャする人は、全員捕まえます!」
だったらMAKOTOとチェダーこそ先に捕まえろという話であるが、死人にくちなしである。さっきしゃべったが、それでも死人にくちなしなのである。
だが、犬神はまったく気にせずに、悠然とあぐらを組む。そして目をつむり、瞑想をはじめる。神になるために。
「ムチャな抵抗はやめてください! でないと撃ちますっ!」
今度はMAKOTOがムクっと起き上がり、のそのそと人間大砲に角倉を装填してしまう。
「撃ちます、ホントに撃ちますよ‥‥って、うかなが撃ち出されちゃうじゃないですかっ!」
角倉とMAKOTOがそんなコトをやっている間に、ついに犬神の目がカッと見開かれる。
「頭から七つのチャクラ‥‥『サハスラーラ』『アジーナ』『ヴィシュッダ』『アナハタ』『マニプーラ』『スワディスターナ』‥‥そして肝心要の『ムーラダーラ』」
ムーラダーラ‥‥分かりやすくいえば、フンドシが隠している部分に力を込めると、何かが出てきた。いや、犬神のそこからナニかが出てきたわけではない。単に、パンダのブリーフをかぶった男が出てきただけである。
「俺の名はバイオレットバイオレンス、ムチャキング志望のスタントマンだ!」
パンダのブリーフをかぶった常盤躑躅(fa2529)が出てきたのだ。角倉的には、逮捕すべき変質者が二人になっただけの話であるが。
だが、犬神と常盤にとっては大問題である。フンドシとブリーフ、和と洋、まさに一触即発である。
「グフフフフ‥‥だが、俺には考案したエクササイズがある。ブリーフブートキャンプがな! 48の体位! 覗きの心得! 一人ブリーフの擦り方! 気持ちのいい‥‥」
「よくやるなぁ‥‥だが、俺はムチャしたら負けかなと思っている‥‥」
ずっとその様子を見守っていたのは、Zebra(fa3503)である。が、満を持して登場‥‥などということはない。
なぜなら、何もせずにギャラだけもらうという、大変効率のいいムチャを実行中だからである。
カメラに映ってしまったら出演していることになってしまうので、ずっとカメラの後ろでゴロゴロしながら眺めているだけだ。
いや、ちゃんと眺めていたら観覧客として働いていることになってしまう。だから、携帯ゲームで遊んだりしながらと、やりたい放題である。
そんなZebraは放っておいて、カメラ前にはさらに高柳徹平(fa5394)が登場である。それも、すべての原点ともいうべき、何もはかないでの登場だ。
「モザイクは‥‥日本語でなんと言うんだ? ガクッ」
再びチェダーが起き上がるが、やはりすぐに息絶える。そんなチェダーは放っておいて、股間にモザイクのかかった高柳が口を開く。
「俺はただ裸なんじゃない。鞭を使うムチャをするために、やむをえずなのだ。だから、そもそもあんたらとは立ち位置が違う‥‥」
えらそうなコトを言う高柳だが、全裸で鞭を持っていては説得力がない。だが、気にせずに鞭を振り回しはじめる。それも、一本や二本ではない。
「まずは右手で1本、つづいて左手で2本、さらに口にくわえての3本、次は足の指もプラスして5本、さらにもう片方の足もプラスして6本‥‥まあ、ここまでは普通の状態だ。多少練習すれば、誰でもできる。だが!」
順調に鞭を振り回す高柳だったが、ついに全裸であることを活かすときがやって来た。
「禁断の7本目に突入! 尻で挟んで7本! 決して挿入してはいけない。あくまでもエレガントに挟むだけだ。そして、神の領域! 前から股間に装着して8本‥‥ぐぎゃーっ!」
そこまで来たところで、高柳が泡を吹いて倒れてしまう。必死に腰を振って動かしていた8本目の鞭を、常盤が踏んでいたのだ。
「あっ! ビリーバンド‥‥じゃない、ブリーフバンドと思って引っ張っちまったじゃねーか! でも、関係ねぇ! レッツ、ブリーフブートキャンプだ! 俺と一緒にテントを張ろうぜ! 見てるだけじゃイかせられねぇぞ!!」
ナニゴトもなかったかのように、エクササイズに戻る高柳。哀れ引き抜かれた8本目の鞭を、犬神が拾い上げる。
「ふっ、ムーラダーラのチャクラがなってないようだな‥‥こうやるのだ!」
フンドシの隙間から鞭を装着すると、振り回しはじめる犬神。人が使った後で気にならないものかと思うが、犬神はすでに神になっているので人智の及ばないところにいる。
順調に地獄絵図になってきたところだが、Zebraはといえば普通に楽屋弁当を食べていた。
「 きっとみんなは、がんばってネタをやっているに違いないのに
まるでひとりだけニートのように何もしない
東にブリーフブートキャンプをしている常盤がいれば
行って何もせずに食後の茶を飲み
南に死にかけのチェダーと高柳があれば
トドメも刺さずに見てるだけ
西に人間大砲に入る角倉とMAKOTOがいれば
エロ心を内に秘めてみて受け流し
北にフンド神があれば
特に拝んだりもしてみない
そういうムチャに、私はなりたい 」
そんなZebraだが、働かないハズが最後のシメをしゃべってしまっていた。
とはいえ、このまま終わるわけにはいかない。放送しないとはいえ、羽曳野の安否が気にかかるところである。
「リポーターの後ろでピースサインをする程度のチャチな映り方じゃ、まったくもって納得できないものね。堂々と正面から入って、普通にニュースを読めばいいじゃない。世界のムチャキング様にわざわざご足労願えて、CETもさぞかし光栄に思っているコトに違い‥‥むぎゃ!」
CETの正面突破をはかったものの、受付にすらたどり着けずにあっさり警備員に組み伏せられる羽曳野。
「お勤め、ご苦労様です。このFBIムチャ捜査官が責任をもって護送しますので‥‥」
なぜかやって来た角倉に手錠をかけられ、羽曳野がトボトボと引き上げていく。こうして、そのムチャゆえに出番こそ少なかったものの、羽曳野がムチャキングの防衛を飾ったのだった。
そして、チェダーはムチャさんとなった。この『さん』だが、無論敬称ではない。チェダーに敬称など似合わないのだから。
ようは数字の3のことである。K、Q、J、10、9‥‥で3まで来たということだ。これだけ聞くと凄まじい転落人生のようだが、単に自分に課したムチャその1〜3がすべて×だったので、3になっただけの話である。むしろ、浮ついたジョブチェンジこそチェダーの本領発揮というものだ。
最後に、ムチャ○○とは関係ないが、犬神がこれまでの功績からもはや裏方ではないと、フンドシ芸人へと転身するハメになった。犬神ならざるフンド神の誕生である。