スノボハーフパイプQアジア・オセアニア

種類 ショート
担当 牛山ひろかず
芸能 フリー
獣人 フリー
難度 普通
報酬 0.7万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 02/20〜02/22

●本文

 TOMITVの会議室の一室。そこで、2人の男が企画を練っていた。
「ウインタースポーツのシーズンやな」
「はぁ、そうですね‥‥」
 上司とおぼしき男はすでに頭の中では案を完成させているらしく、部下の男にそう切り出した。一方、部下の方はそれだけではさっぱり分からない。
「しかも、今年は冬季オリンピックイヤーや! もう、分かるな?」
「‥‥? 何がですか?」
「かーっ、まだ分からんのか。銭の臭いがプンプンしとるやないか!」
「はぁ‥‥」
 勝手にヒートアップする上司に、部下は生返事しかない。
「クイズにウインタースポーツを融合させるんや。スノボのハーフパイプあるやろ。あれを芸人に滑らすんや。滑った先に早押しボタン。滑っとるのに滑り知らずっつーヤツや!」
 部下はこんな人についていって大丈夫なのだろうか? と思わないでもなかったが、上司がここまで自信を持って推すからには、やる以外の選択肢などはなからない。
「一応、優勝賞金として10万用意しておいたが、滑っている間に恐怖で問題を忘れてしまって誰も答えられないという寸法や! 経費削減も兼ねとるっちゅーわけや」
 番組制作費の10万は誤差レベルだろうがとツッコミたかったが、ぐっと堪える部下。
 なにはともあれ、こうしてトリノ便乗企画がスタートした。

●今回の参加者

 fa0892 河辺野・一(20歳・♂・猿)
 fa0917 郭蘭花(23歳・♀・アライグマ)
 fa2132 あずさ&お兄さん(14歳・♂・ハムスター)
 fa2539 マリアーノ・ファリアス(11歳・♂・猿)
 fa2599 若宮久屋(35歳・♂・狸)
 fa2618 天羽司(27歳・♂・蝙蝠)
 fa2860 静琉(16歳・♂・兎)
 fa2944 モヒカン(55歳・♂・熊)

●リプレイ本文

『トリノ応援という名の便乗企画、スノーボードハーフパイプクイズの時間がやって参りました。深さは3mと中々の本格仕様のパイプに、命知らずの芸能人7名が挑みます。早速、最初の挑戦者に参りたいと思います』
 最初に現れたのは、モヒカン(fa2944)であった。上はアロハシャツに、下は黒のブーメランパンツに腰蓑、フラワーレイにサングラス、そしてウクレレを手にしているという、これでサーフボードを持っていれば、真っ白なハワイの砂浜にいると勘違いしたかもしれない。
『問題、日本の首都はどこ?』
 さすがにここまで簡単だと、考える間もなく滑りはじめる。もっとも、超難問でも考える間はなかったかもしれないが。
『まずは最初のエアー‥‥いきなり3Dで行った〜、アホだーっ! コークスクリューの‥‥転倒ーッ! やっぱり転倒ッ! いや、転倒どころじゃなーい! 頭から落ちたー! いきなり放送中止かーッ!』
 参加者でもあるカメラマンの郭蘭花(fa0917)がぐっと寄る。すると、ちょうどアップになったのを見計らって、モヒカンがむくっと起き上がる。
「HAHAHA〜、この程度のダメージではビクともしませんNE〜」
 モヒカンは無傷でピンピンしているが、コースは無傷では済まされなかった。モヒカンの頭型に開いた穴に、早速補修が入る。
『さあ、つづいては河辺野一(fa0892)こと自称謎の超人・炒飯男であります。右手に中華鍋、左手におかもちと、すでにグラブができない状況となっておりますが‥‥問題、アフリカのルワンダ共和国の首都はどこ?』
 同じ手の問題だが一気に難易度は上がった。しかし、河辺野はまったく気にも留めずキャラ作りに専念している。
「おっし、あのインターホンまでチャーハンを届ければいいんですね?」
 インターホンと言って指差したのは、もちろん早押しボタンである。
『行った〜、本当に答えが分かっているのか? さあ、最初のトリック。あー、これは高い、高いっ! しかし、バランスは取れているのか!?』
 案の定、リップに激しく激突し、ボトムまで転げ落ちてくる。丈夫なハズのおかもちがひしゃげ、中の五目あんかけチャーハンと中華スープがぶちまけられる。一応、ちゃんとラップはしてあったが、このクラッシュではラップなんぞ意味はない。
 郭蘭花のカメラが再び寄るが、河辺野もまたピンピンしていた。
「五目あんかけチャーハン、1つ750円になりますが‥‥これではお代はいただけませんね‥‥」
 しっかり、キャラ作りも継続している。
『ちなみに正解はキガリです。さあ、早くも二度目のコース補修が入りましたが、気を取り直して。つづいては静琉(fa2860)です』
 きちんと普通のウェアを着こなした、最初の挑戦者がこの静琉である。
『問題、スノーボードハーフパイプが冬季オリンピックの正式種目となったのは、日本のどこで開催されたオリンピックから?』
 知らなくても答えられそうな、かなりヒント満載の問題。静琉が颯爽と滑り出す。
『さあ、バランスをしっかりとって入ります。グラブもしっかり入れる! そして、ワンエイティ! つづいて、スリーシックス!』
 ダンサーの血が騒いだのか、思いのほか滑れたことに興奮したのか、段々とノッてきてしまう静琉。
『セブントゥエンティ‥‥段々と回転数が上がっていきます。さあ、そしてコークスクリューのセブンツー! ここで3Dを入れてきた‥‥あーっと、若干体勢が崩れたか!? 持ち直します。そして、フィニッシュ! 思わずガッツポーズ! 両手を高々と何度も突き上げます。そのまま早押し台の横を滑り抜け‥‥もはやクイズのことを忘れています!』
 しかし、静琉には何かをやり遂げた男の顔があった。
『つづいてはペアでの登場、あずさ&お兄さん(fa2132)です。お兄さんが背中に縛り付けられてぐったりしているようにも見えますが、大丈夫なんでしょうか?』
 お兄さんが人形であることには故意に触れないようにして、問題が流れる。
『問題、故ジャイアント馬場選手がこの技を使うと32文ロケット砲と呼ばれる、ジャンプして相手を蹴るプロレスの基本的な技は何?』
「精一杯がんばりまーすっ♪」
 掛け声こそ元気よかったものの、その後はボトムをゆるゆると、蛇行しながら下ってゆく。
『しかし、まったく問題ありません。トリックなど、そもそも誰も採点していないッ!』
 しかしそれでも、早押し台前では若干スピードに乗ってしまっている。止まり方もよく分からないので、そのまま転倒。勢い余って早押し台に飛び蹴りをかまし、吹き飛ばしてしまった。
『あーっと、早押し台にドロップキックだーっ! 惜しい! ある意味正解だったのですが‥‥』
「ふえぇ‥‥怖かったよぉ‥‥」
 スタッフに抱き起こされるあずさ。しっかりカメラを上目遣いで追うのはさすがである。しかし、早押しボタンを押して答えたわけではなかったので、正解とはならなかった。
『さあ、若宮久屋(fa2599)の登場です。ライダースーツの上にプロテクター、そしてヘルメット着用と、どんな転倒にも対応できる姿での登場であります』
 ムチャをしろというフリのような実況につづき、問題が流れる。
『問題‥‥あーっと、もう滑り出してしまった!』
 寒さに負けたか、プロテクターが動きづらかったか、単に足を滑らせたか、問題が読み上げられる前に滑りはじめてしまった若宮。
『あーっと、いきなりコースアウトだーっ! 重装備の意味、まるでなしーっ!』
「あ〜れ〜」
 しかも、最初のトリックでも身体を思うように捻れず、リップの向こうへと飛んでいってしまう。
『最初の遭難者が出てしまいましたが‥‥気にせず次に参ります。本番組のカメラ担当の郭蘭花が、CCDを付けての登場であります。問題、ところで今何人目』
 郭蘭花はエアーを披露とまではいかないが、先程のあずさよりはパイプを広く使って、滑り降りてくる。
 そして、ついに早押しボタンが押される。思えば、早押し台が本日初めてまともに機能したところである。
「6人目!」
『残念! 6組目ですが、あずさ&お兄さんがいたので7人目です』
「お兄さんって、人形じゃん!」
「お兄さんのこと、悪く言わないでください!」
 郭蘭花が抗議するが、あずさに涙目で抵抗されては、判定を覆すことはできなかった。
『いよいよ最後の選手となりました。今大会最年少、マリアーノ・ファリアス(fa2539)です』
 大トリでの登場だけあって、ウェアを着こなして滑れますオーラが出ている。
『問題、1+1は?』
 頭の中でボケを必死に考えるが、問題がナメ過ぎていてそうそう浮かぶものでもない。とにかく、まずはカッコよく滑り切ろうとスタートを切る。
『さあ、どう入るか。これは高さ十分、しっかりグラブを入れる! そして、ワンエイティ! つづいて、バックワン!』
 安定性重視だが、きちんとエアーをこなしてくる。
『最後はエアーはせずに、仕込んでいたクラッカーを鳴らしてきました‥‥おーっと、ガッツポーズで早押し台の横を通過‥‥』
 静琉と同じオチか? と一瞬緊張が走る。
『いや、押しました。ギリギリのところで、振り向きざま押しました。魅せてくれます』
「2!」
『正解! さすがに不正解だと不自然であります‥‥そして、早くも最終問題です。この最終問題は全員で一斉に滑ってもらいます。やっと早押しの意味が出てくるこの問題、最終なので1億ポイントです!』
「2ポイントで全員逆転できるっつーの!」
 唯一ポイントを獲得しているマリアーノがツッコミを入れるが、まったく聞き入れられない。まあ、どちらにしろこの最終問題に正解した者が優勝である。
『問題、野球はベースボール、庭球はテニス、では蹴球は何?』
 問題を受けて、分かっている、分からないに関わらず、一斉にスタートを切る7人。
『各自、思い思いの方法で滑りはじめました。若宮選手、先程の反省を活かし、ボードを使わずにプロテクターに任せて転がっています‥‥しかし、雪飛沫は派手だが、若干遅いか?』
 必死に転げ落ちてゆく若宮の横を、恐ろしく速い物体が通過していった。
『これは河辺野選手だ! 先程は手に持っていた中華鍋で滑っているようですが、速い速い。トリックは一切なしだが、そもそも誰も採点などしていないのは先程も申し上げたとおりッ!』
 ボトムを、中華鍋で疾走する河辺野。それは恐ろしいほどスピードが上がり、そして悲しいかな、止まる手段がなかった。早押し台をスルーして、なおも麓へと疾走していく。
『あー、消えていった〜。早くも一人脱落! 一方、静琉選手、なんとテンエイティだ! さらに回転数が上がっている〜! しかし、早押しボタンへは遠ざかっている〜!』
 そして、普通に滑り降りてきただけの郭蘭花が一番速かった。
「蹴球よね? えっと、セパタクロー?」
『残念! 最初に正解した人が優勝だ! さあ、さあ!』
 とろいすべりが逆に一直線で、次にあずさがボタンを押す。
「蹴る球‥‥金的蹴り!」
『不正解、下ネタで来てしまった! さあ!』
 ついで河辺野がボタンを押す。
「チャーハン!」
『キャラは固まっているが、どんどん遠くなる一方だ!』
 ついに4人目、モヒカンにまで回った。
「ハワイのスポーツといえばサーフィン、WOHOO!」
『こっちもハワイキャラで固め過ぎだ!』
 普通に気持ちよくエアーを決めてきたマリアーノが追いついてしまう。
「えっと‥‥サッカー‥‥」
『正解! 1億1ポイントでぶっちぎり! 優勝はマリアーノ選手!』