番長のストレートアジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
牛山ひろかず
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芸能 |
フリー
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獣人 |
フリー
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難度 |
普通
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報酬 |
0.7万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
1人
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期間 |
06/06〜06/08
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●本文
TOMITVのスタッフルーム。その中の自称スポーツイベント便乗チームで、二人の男がボンヤリと会話をしていた。
「打点も順調に1,500点を超えて‥‥無冠の帝王ぶりにますます磨きがかかってきたなぁ」
「まぁ、そこが番長の憎めないキャラになるわけじゃないですか」
「それもそうなんだろうけどさ‥‥」
思わずしんみりとしてしまう二人。だが、そのまま終わらせるようなスポーツイベント便乗チームでは、やはりない。
「そんなことよりも、前回は賞金で90万も持っていかれて‥‥って、よく考えたら先輩まで賞金もらってたじゃないですかっ!?」
「いや、あれはプロデューサー番長としてだな‥‥」
「そんなこといったら、私はいくらでもAP番長になりますよ!」
「じゃあ、どうすればいいというんだ?」
思わず考え込んでしまう先輩。素直に賞金の10万を返せという話だが、それとこれとは話が別のようだ。
「よし! 番長の中の番長に賞金10万って感じでどうかな?」
「それって結局、番長は番長の中の番長だからこそ番長なんだ、ってコトになりませんか?」
「そうだな。うーん‥‥じゃあ、俺が持っている賞金を奪い取った番長に、そのまま賞金が送られるっていうのはどうだ?」
「死んでも知りませんよ‥‥というか、もはや野球でもなんでもないような‥‥」
「じゃあ、乱闘中限定にするか‥‥さっさと奪われて、他の番長たちで奪い合うがいいさ」
こうして、どんどん野球から遠ざかっている気がしてならないものの、番長リスペクト企画の第3弾がスタートした。
『番長なら、拳で賞金をもっていかんかい。バットでじゃないのかよ編』
ルール
・全員が番長に扮して、野球の試合をします。基本はただの野球ですが、散発的に起こる乱闘中に賞金獲得を狙わなくてはなりません。
・あくまでもおもしろ番長映像を撮るのであって、乱闘時に必要以上に加害してはいけません。
・乱闘中にプロデューサー番長から賞金を奪った番長に、10万円が授与されます。但し、番組終了まで油断してはなりません。他の番長たちが常に狙っています。
・その他細かいルールは、俺がルールブックだ! とプロデューサー番長が申しております。
過去の放送スケジュール
・番長のジャンピングニー 4月30日 7:00〜
・番長のロシアンフック 5月18日 7:00〜
●リプレイ本文
6月初旬、スケ番日和な今日このごろ、例によって関西にあるドーム球場に番長だけが勢ぞろいである。
ベンチ前では、早くも番長たちが円陣を組んでいる。その円の中心にいるのは、ピー番長のパトリシア(fa3800)だ。ピーといっても、淫語でも下痢ピーでもなく、ただ単に今は諸般の事情により電子音で伏せられているだけである。
「‥‥という作戦でいきましょう。いいですね?」
なにやら作戦が伝えられると、『おう!』と全員が声を上げて散っていく。今日はプロデューサー番長から10万円を強奪する日、各番長とも気合い十分である。
なので、まずはマウンド上にプロデューサー番長である。その懐には、奪われるための10万の入ったのし袋がしまわれている。
「橘組系若獅子会所属、パイロ・シルヴァン(fa1772)見参じゃい!」
任侠番長のパイロが、そのプロデューサー番長の身を守るように立ちはだかる。幼い少年の身でありながら、和服姿で鉄火場の壺振りに扮して、すっかり姐さん気分も盛り上がっている。
「タマ取ろうとしても、それはさせん! なぜなら、それはあちきが任侠番長じゃきに」
長ドスを振り回すパイロ。だが、ここでいうタマとは、もちろん命ではなく金である。任侠の世界もすっかり世知辛くなっているのである。
そんなプロデューサー番長を応援しているのかどうかは分からないが、一塁側ベンチ前では、ライオンのマスコット人形に入ったマスコット番長の美角やよい(fa0791)が、早くも踊り狂っている。
対する三塁側ベンチには、チア番長の甲斐大地(fa3635)がチアリーディングで巨乳を揺らしながらの応援だ。
そして、満を持して軽自動車のi−Gにハコ乗ってMAKOTO(fa0295)が現れる。そして、悠然とグラウンドの周回をはじめる。
番長が軽とは何事だという話ではあるのだが、壊れないようにもっとダイエットしろというメッセージが込められているとかいないとか。本当は、番長たるもの新車の愛車を見せびらかしたいだけだったが。
そして、降りるとホームベース後方に控えるMAKOTO。リリーフでもバッターでもなく、ただの審判番長でありながらこの登場である。
といっても、ただの審判番長ではない。ジャッジメント番長である。なので、野球以外でもなんでも裁いてみせるのである。
ということで、最初の対戦者として野球拳番長の真神薫夜(fa0047)が入ってくる。野球拳だからということか、セーラー服というキャッチーな姿で登場である。
対するはプロデューサー番長‥‥といくのが流れ的に普通であるが、画的に何もおもしろくないので、代わりに竜華(fa1294)がチャイナドレス姿で入ってくる。チャイナ‥‥中華‥‥中の字つながりで俺竜番長である。多少ムリがあるのは、番長だからゴリ押しである。
番長二人による野球拳対決。捌くはジャッジメント番長MAKOTO。これで普通の野球拳になるはずもない。竜華がグーで、真神がチョキ。なのだが、それは竜華がグーパンチ、真神がチョキでサミング攻撃ということである。
真神がすんでのところで竜華のグーパンチをかわす。そして、竜華も真神のサミングをかわす。だが、真神のチョキが竜華のチャイナドレスを引き裂いてしまう。
「きゃ!」
一瞬悲鳴を上げた竜華だったが、なにやら様子がおかしい。自らチャイナドレスを引きちぎると、虎耳に尻尾、そして縞のユニフォームというかピチTという、幻の猛虎番長に変身である。
「おおーっと、大虎が出てきました」
自ら実況すると、早速乱闘に突入する竜華。
「ふふっ‥‥」
だが、余裕で対峙する真神。気づけば、その手にはヨーヨーが握られている。
「この紋所が目に入らぬか‥‥って、一回やってみたかったのよね〜♪」
刑事番長のキメポーズに、ジーンと感動している真神だが、猛虎番長である竜華がひるむはずもない。そこにマスコット番長の美角が飛び込んできて、早速ぐちゃぐちゃの大乱闘になってしまう。
「番長は男気、漢気、侠気、そして熱血! まだ足りないよ、もっとやらんかい!」
MAKOTOはジャッジメント番長の番長色が濃いので、ただひたすらに煽るだけである。
「オジキはあちきが守るけんのう!」
相変わらずプロデューサー番長を守っているパイロ。
「格闘家が、乱闘で車を壊すのはお約束よね!?」
そんな中、竜華が狙いをMAKOTOのi−Gに定める。それまで散々煽ってたMAKOTOだが、番長のステータスである愛車が狙われては、ただ黙っているハズもない。
突然素早く踏み込むと、パイロをタコ殴り番長である。パイロ? そう、パイロである。それに竜華も加わるので、結果として車は無事である。
ボロ布にされてドシャっと放り投げられたパイロを、チア番長改めナース番長になった甲斐が抱き起こす。ここでさらにトドメを刺すのが番長の心意気なのだが、
「痛いの痛いの、飛んでいけー♪」
ここはやさしく膝枕番長である。
一方、パイロという標的を失って、いよいよプロデューサー番長危うしである。だが、突然乱闘がピタリと止まる。
隠密番長らしく、それまでずっと影に生きてきたウィン・フレシェット(fa2029)であるが、ついに日の当たる表舞台に飛び出してきたのだ。
「闇に消え、闇に死す──隠密番長推参!」
ウィンの手には、賞金の入ったのし袋が握られている。中から1万円だけ抜き取ると、残りをMAKOTOに向かって放り投げる。
「後は好きにするがいい。今晩の主役は貴女たちだ。アデュー!」
いつの間に用意していたのか、大凧に乗って去ろうとするウィン。だが、なぜかベリっと黒装束が破れてしまい、あっという間にブリーフ番長である。
「うわーん、俺はリングタイツの下にブリーフをはく変態なんやろうか?」
大泣き番長のウィンであるが、そこは待ったなし番長。どんどん高度を上げていって天井近くにまで達してしまったので、もうどうにもならない。あとはブリーフ番長の晒し者番長である。
「えっと‥‥じゃ、今の野球拳をジャッジした結果で、分配しちゃおっか」
手にしたのし袋の中から1万円札を取り出すと、1枚ずつ配っていくMAKOTO。
「まずは、野球拳の二人に1万円ずつ‥‥っと」
真神と竜華に1枚ずつ渡す。そして、いつの間にかウサギのマスコットに変わっていた美角にも1枚。
「それと‥‥しょうがない、エロガキにも渡しておこうか」
気づけば、竜華も加わって巨乳にサンドイッチ番長となってしまっているパイロにも、1枚渡される。
「若頭〜、覚悟せ〜い〜」
一応役作り継続中のものの、すっかり骨抜き番長である。アイドル大好き大魔神とは違うとはいえ、こういうのがキライな番長ではない。
それから、甲斐にもパイロの治療費と称して1枚渡される。
「で、自分の分をもらって残り3万か‥‥はい」
そう言って、パトリシアにのし袋を手渡すMAKOTO。これで、パトリシアを除く全員に1万円ずつ手渡されたことになる。
「さて‥‥かかりましたね、プロデューサー番長!」
ビシっとプロデューサー番長を指差すパトリシア。なぜこいつらは分配しているのだろうと不思議そうに見ていたプロデューサー番長が、ようやく我に返る。
「は?」
怪訝な顔のプロデューサー番長に、1枚抜き取って2万円になったのし袋を返すパトリシア。
「『乱闘中にプロデューサー番長から賞金を奪った番長に、10万円が授与されます』ってルールにしっかり書いてあるじゃないですか。だから、これで全員にプラス10万円払ってもらいますよ!」
そう、パトリシアは策士番長だったのだ! どちらかというと、詐欺師番長だが。
「はあ? 『俺が持っている賞金を奪い取った番長に、そのまま賞金が送られる』ってなってるはずだぞ!」
「それは、あなたが後輩と話したときのセリフです。ルールブックには、そのようには明記されていません!」
「‥‥ちょっと待て! 『その他細かいルールは、俺がルールブックだ!』とも書いてあるはずだぞ!?」
「おっと待った。僕がジャッジメント番長だ。つまり、今この場では、僕がルールブックなんだよ!」
そこにMAKOTOが割って入る。
「な、なんだってー!?」
プロデューサー番長が怯むその隙に、全員がナワヤ番長に早変わりである。
「‥‥くっ! 泥棒に追い銭番長じゃあ!」
残った2万円をパトリシアに投げつけるプロデューサー番長。それは、彼が敗北を認めた瞬間であった。