ダジャレに命をぶっ懸けアジア・オセアニア

種類 ショート
担当 牛山ひろかず
芸能 フリー
獣人 フリー
難度 普通
報酬 0.8万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 07/17〜07/19

●本文

 TOMITVの会議室。ムダにアツい上司が、部下を呼びつけていた。
「おい、海の日だな。というわけで、なんか海の日にちなんだダジャレ言ってみろ!」
「え‥‥ぐはっ!」
 ムダにアツい上司なので、ちょっとでも間ができただけで鉄拳制裁である。
「ちょ、考える時間もくれないんですかっ!?」
「戦場では、何も待ってはくれない‥‥で、タイトルは決まったか?」
「本当に何も待たずに進めますね‥‥えーと、ダジャレに命をぶっ懸けってのはどうでしょう?」
「そんなタイトル、使えるかぁッ!」
 ムダにアツい上司なので、ぶっ懸けに過度に反応し鉄拳制裁である。
「なんで使えないんですか‥‥あ! ぶっ懸けで変な想像してませんか? 心が汚れているから、淫らな想像になるんですよ。私は波際で海水をぶっかけ合うと命を懸けるをかけただけですよ。ぶっかけ飯とかぶっかけそばとか、普通な言葉なんですよ!」
「やかましいわ、ボケぇ!」
 ムダにアツい上司なので、怒りの鉄拳制裁、連発である。要するに、ボコボコである。
「‥‥調子に乗りすぎてました。すみませんでした‥‥」
「分かればよろしい」
 結局、タイトルはそのままで、ダジャレを使ったおもしろVTRを競い合う企画の第5弾がスタートした。

『海の日なので、スタジオは浜辺にセットを組みます』

 ダジャレを実際に収録してきたVTRのおもしろさを競い合います。撮ってこないで、スタジオ収録中にその場でやることも可能です。
 各VTRごとに採点され、優勝者には賞金10万円が授与されます。
 例:『布団が吹っ飛んだ』
 干してある布団が風で吹き飛ばされるだけだと点は低く、寝ているところに爆破で布団ごと吹き飛ばされれば点が高い。
 例:『カメを噛め』
 イラストがその収録例。海の日なので、水関係は得点が高いかもしれませんし、まったくそんなことはないのかもしれません。

その他注意点
・命懸けとはいえ、死んだら負けです。というか、番組がお蔵入りです。
・もちろん、流血もNG。但し、流血を伴わない怪我はガマンすればOKです。

過去の放送
・ダジャレに命を懸けろ  4月21日 23:00〜
・ダジャレに命を懸ける  5月12日 07:00〜
・ダジャレに命を懸ければ 5月29日 07:00〜
・ダジャレに命を懸けそば 6月26日 07:00〜

●今回の参加者

 fa0748 ビスタ・メーベルナッハ(15歳・♀・狐)
 fa0824 ベクサー・マカンダル(13歳・♀・鴉)
 fa2396 海風 礼二郎(13歳・♂・蝙蝠)
 fa2599 若宮久屋(35歳・♂・狸)
 fa2657 DESPAIRER(24歳・♀・蝙蝠)
 fa3354 藤拓人(11歳・♂・兎)
 fa3578 星辰(11歳・♀・リス)
 fa3822 小峯吉淑(18歳・♂・豚)

●リプレイ本文

「おはようございます! 今日も朝から暑いですね! でもこんな日は、フットバスで暑さを吹っ飛ばすに限りますよね☆」
 夏の日差しが砂浜を焦がす中、小峯吉淑(fa3822)がムダに元気なテンションで、足湯に浸かっている。フットバスといっても、ドラム缶の下に薪をくべて、それに足を放り込むという、浜辺でバーベキューなノリである。
 とはいえ、日差しとドラム缶風呂のWパンチで、すでに小峯の顔は真っ赤である。
「ぶっ懸けって言うから、もっと卑猥なモノを期待してたのに‥‥まさかダジャレとはね! ネットでBukkakeって検索したら、もっとこう‥‥ブツブツ。せっかくTsunamiみたいなワールドワイドな言葉なのに‥‥ブツブツ」
 その様子を、ビスタ・メーベルナッハ(fa0748)がブツブツ文句を言いながら見ている。こちらも、黒マントで全身を覆っていて、暑苦しいことこの上なかったが。
「フットバスで夏バテの危険も吹っ飛ばす勢いですが、まだまだ勢いが足りません。現在僕は助走中ですので、その間にVTRの方をご覧ください!」
 小峯が振ると、藤拓人(fa3354)と星辰(fa3578)の二人が映る画面に切り替わる。
 場所はサスペンスにありがちな岸壁、そして星辰はなぜか老婆の格好をしている。
「ねえねえ、星辰さん。僕たち、今回の最年少コンビですね。なのに、どうして星辰さんはお婆さんのコスプレをしているんですか?」
 当たり前の質問をする藤だったが、怒った星辰のビンタを食らうだけだった。
「お婆さんではないアル。ひいばあちゃんアル!」
「星辰さん、違いが分かんないですよ! 分かるわけないですよ!」
「中国4千年の歴史にかかれば、簡単に見極められるアルよ!」
「4千年だから、祖母か曾祖母かは誤差のようなものだ‥‥っていうんだったら、分かるんですけど‥‥それより、今日はなんですか?」
 まだ納得のいかない藤だったが、話が進まないので無理に納得するしかなかった。そんな間にも、星辰は藤の身体になにやらロープをくくりつけている。
「ちょ、なんなんですか、これは?」
「今回のお題は『ひーばーちゃんが海に落ちた、ひーばっちゃーん』アル! ひーばーちゃんがこれから飛び込むから、拓人くんがこのダジャレを言いながら、一緒に飛び降りてカメラを回すアル!」
「ああ、そのための命綱だったんですね‥‥って、星辰さんはつけないんですか?」
「中国4千年だから、大丈夫アル!」
 意味もなく自信満々の星辰を見ては、藤も黙って従うしかない。なんといっても、自分には命綱があるのだ。
「では、行くアルよ。準備はいいアルか?」
「OK!」
 一緒に崖から飛び降りる藤と星辰。
「ひー!」
 ひーばっちゃーんのひーの部分を叫んでしまっているのは藤の方である。しかし、ばっちゃーんの方は星辰の担当だ。高飛び込みのように、キレイに着水する星辰。
 一方、藤は命綱で落下が止まる。しかし、ロープがピーンと張ったのは一瞬だけだった。あらかじめ星辰が切れ込みを入れておいたので、簡単にプッツリと切れてしまう。
「ひー!」
 ばっちゃーんと藤も着水である。
 星辰はほどけやすい衣装だった上、下にしっかり水着を着込んでいたので、今や悠然と泳いでいる。対して藤は、慣れない着衣水泳となるので、非常に危険な状態である。
 と、そこで映像は終わってしまう。切り替わった浜辺の画面には、藤の遺影が映し出される。
「拓人くんの遺影に供えようと思ったラーメンアル。でも、伸びるといけないので、食べてしまうアル。中国4千年の美味で、極楽に行くよろし」
 そう言いながら、熱々のラーメンを小峯に差し出す星辰。
「重い、重過ぎです! 命の重みの乗っかったラーメンって‥‥でも、いただきまーす!」
 あっさりとラーメンを受け取り、体内からも温めるべく食べはじめる小峯。
「あ、この間に次のVに行きましょう!」
 画面は再び切り替わり、またも少年少女の二人組みが映し出される。やみくもあんどんのベクサー・マカンダル(fa0824)と海風礼二郎(fa2396)の二人だった。
「ちゃんと寝ないで来たようね?」
「ベクちゃん、意味分かんないよ。眠くてしょうがないよ!」
 先程の藤と星辰同様、こちらも女性の方が主導権を握っているようだ。
「せっかくの海の日なんだから、夏らしいことを‥‥って言ったら、プールしかないでしょ!」
「ベクちゃん、夏にプールは短絡的過ぎるよ。それに、寝ないのと関係が分からないよ!」
「いい? これはダジャレの番組なのよ? だったら『睡眠不足のスイミング』しかないじゃない!?」
 ドーンと宣言するベクサーに、寝不足な海風が逆らえるハズもなかった。
「でも、ここ本当にプールなの? 随分山の中だけど‥‥」
「プールはなにも競技用のものばかりじゃない。これは、川をせき止めて作られた自然プールよ!」
 水着に着替えて、いよいよ睡眠不足のスイミングのスタートである。それに先立ち、なぜかベクサーが選手宣誓をはじめる。
「宣誓! 我々コンビ一同は、スポーツマンシップにのっとり、眠気に負けることなく、正々堂々とグー‥‥」
「えー! ベクちゃん、言い出しっぺがいきなり寝ないでよ‥‥うわっ!」
 眠って水面に崩れ落ちたかに見えたベクサーだったが、次の瞬間には海風の足を引っ張って水中に引きずり込んでいた。
「眠ったら、もう片方の相方が眠った方の足を引っ張って、無理矢理に起こすカッパ方式だね!」
「ベクちゃん、立場が逆だよ!」
 ニコやかに言うベクサーに、たまらず海風がツッコミを入れる。だが、それが寝不足のベクサーの逆鱗に触れてしまい、海風は首根っこを押さえつけられて水中に沈められてしまう。
「あ‥‥!」
 寝不足で手加減が分からず、気づいたら海風は土左衛門のようにプカーっと浮いていた。それに何かを閃いた様子で、ベクサーは川をせき止めていた石をどかすと、そのまま下流へと海風を放流してしまう。
 そして、手を振って見送るベクサー。やがて海風の姿は見えなくなっていった‥‥と、藤のとき同様、救いようのない場面で映像は終わってしまう。となれば、映し出されるのは海風の遺影しかない。
 ただし、今回は海風の遺影を抱えているのが海風本人だったが。というのも、肝心のベクサーが隅の方でうとうとしてしまっているので、海風が対応するしかなかったのだ。
「そろそろ、私の出番のようね?」
 その様子を見かねて、ビスタがなにやらお立ち台を運び込ませる。セッティングが済むと、そのお立ち台の上に乗り、ずっとしていた黒マントをバッと放り投げるビスタ。
「スク水は、すぐ見ずガマンなさい♪」
 出てきたのは、スクール水着に包まれた見事な肉体であった。
 しかしこのスクール水着、そんじょそこらにある代物ではない。肌の色が透けて分かるくらいまでに薄いのだ。ムダに最新テクノロジーをかき集めてみましたというくらいに生地が薄いのだ。
 さらには黒マントが日光の熱を吸収していて、汗ばんだ身体にピタっと貼りついてしまっている。おかげで、胸と股に見事なまでにモザイクがかかってしまっている。
 しかし、それすらもむしろ誇らしげな様子で、ビスタがお立ち台から降りてくる。
「ふっ‥‥諸般の事情により、僕は動けません」
 小峯がそんなことを言うが、それはフットバスに浸かっていなければならない使命感ではなく、単純に立ち上がると見苦しいものがカメラに収められてしまうからであった。
「あらあら‥‥お立ち台で、おっ勃ちだい♪」
 ビスタにそう言われて、思わず赤面してしまう小峯。が、すでに日光、フットバス、ラーメンと温めまくっているので、赤みの変化などさっぱり分からないが。
 そして、ビスタが次の標的を探し求めると、そこには海風が仁王立ちしていた。
「僕はお立ち台にはなりませんよ!」
 ビシっとビスタを指差す海風。思わず、ビスタが怯んでしまう。
「えっ! 私と大して歳も変わらないのに、もう‥‥」
「違います! なぜなら、あなたは大きな勘違いしているからです」
 海風はそう言うと、うとうとしているベクサーのところへ行き、おもむろにベクサーの服を引っぺがす。中から白いスクール水着に包まれた、ビスタよりは控えめな肉体が現れる。
「そこまで薄い素材を使って半ば全裸に近い状態よりも、白地にかすかに透けて見える方がクルんですよ!」
 ベクサーにやられてばかりの海風の、わずかばかりの反抗だったのだが、おかげでボコボコである。そう、さすがにここまでやられては、ベクサーも目を覚ますというものである。
「一体、いつの間に着せたのよ!?」
「それはさっき、寝ている隙に‥‥」
「いくら相方でも、やっていいことと悪いことがあるのよ! 大体、ヨゴレ仕事はあんたの担当だって、前にも言ったでしょ! だったら、あんたのお立ち台を見せればいいじゃない!」
 怒りにまかせ、海風のズボンとパンツをはぎ取るベクサー。
「あ、じゃあ私がTV映えするように大きくしてあげ‥‥」
 そこへ、ビスタが殺到してきたものだから、海風ピーンチである。
「モザイク越しにも放送できなくなりかけてきたので、Vの方にまいりましょう!」
 前かがみに座ったままの小峯が慌てて振ると、おどろおどろしいDESPAIRER(fa2657)の顔がアップで映し出される。
「‥‥私は今『出る』ということで有名な‥‥とある心霊スポットに‥‥来ています‥‥」
 一気にクールダウンの映像で、どんよりどよどよとしゃべるDESPAIRER。
「あ‥‥カメラさん‥‥もう少し‥‥下がってもらえると‥‥」
 DESPAIRERの言葉に従い、カメラマンも数歩下がる。
「‥‥はい‥‥多分‥‥そのくらいで‥‥心霊スポット全体が‥‥カメラにすぽっと収まる‥‥なんて‥‥」
 さらにクールダウンしたところで、映像は階段にさしかかる。
「階段、です‥‥。あ‥‥さすがに『階段で怪談』とかは‥‥しませんから‥‥」
 安堵の空気が流れたのも束の間、最上段にはなぜか矢が四本刺さっていた。
「ええと‥‥これが本当の四矢階段‥‥なんて‥‥」
 そんなDESPAIRERを軽く流して、なおもカメラは進んでいく。そこには、若宮久屋(fa2599)が待ち構えていた。
「遅いよ! というわけで、自分は『猫が寝込んだアナコンダ』ということで‥‥」
 若宮の指し示した先には、猫に巻きつく巨大なヘビがいた。もっとも猫はぬいぐるみだが、ヘビの方はちゃんと本物の活きのいいアナコンダである。
「オイオイ‥‥こんな大きなヘビと戦えって言うのかよ? あんな太いヘビ‥‥はじめて見るゼ‥‥」
 じっとアナコンダを見つめる若宮。段々、命をぶっ懸けどころの騒ぎではないことに気づく。
「あの猫を救出しろ? 無茶な話だな‥‥」
「ですよね?」
 そこへ突然、海に流されているはずの藤が現れる。なお、収録時間は若宮の方が後である。DESPAIRERがいるからといって、幽霊なわけでもない。
「そんなこともあろうと、小さなヘビもちゃんと用意しておきましたよ!」
「おお、そいつはありがたい!」
 藤の用意したカゴの中に、無造作に手を突っ込む若宮。
「いてっ!」
 若宮が慌てて手を引っ込めると、一緒になって見事な鎌首のヘビが姿を現す。
「アナコンダよりは小さいですよ‥‥ただ、キングコブラですけどね、てへっ」
 思わず舌を出す藤。散々ヒドい目に遭ってきただけに、他人にも容赦がない。
 が、若宮はそれどころではない。指を押さえながら、倒れ込んでしまう。
 そこへ、満を持してDESPAIRERが突撃インタビューを敢行する。
「‥‥恒例の‥‥降霊会って‥‥こーれーかい‥‥? ‥‥なんて‥‥」
「‥‥いや‥‥救急車を‥‥血清を‥‥ガク」
 ついに力尽きる若宮。そして、シャレにならないところで浜辺に映像を戻すのが流行りなのか、ここで浜辺に画面が戻る。当然、藤の遺影の横には若宮の遺影が加わっていた。
 その若宮の遺影を持っているのが、DESPAIRERである。
「成仏‥‥してしまったので‥‥降霊も交霊も‥‥無理でした‥‥なんて‥‥」
 しかし、そんなのを誰も聞いている余裕はない。
「ふ‥‥吹っ飛ば‥‥す‥‥」
 気づけば、小峯がドラム缶風呂のように、肩まで浸かって茹で上がろうとしていた。ビスタやベクサーの方を楽しく見ていたら、いつの間にかのぼせて転落してしまっただけの話である。
 だからといって、海風の方は不適切な映像しか撮れそうにないので、もはや一切スルーである。
 結局、そのまま全映像は終了し、一番多くのダジャレを繰り出したDESPAIRERが優勝となり、賞金10万円が送られた。
 また、アナコンダとの死闘を演じた若宮に敢闘賞5万円が、とことんお色気に徹したビスタに技能賞5万が送られた。