【AoS】スケ番Bサッカーアジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
牛山ひろかず
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芸能 |
フリー
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獣人 |
フリー
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難度 |
やや易
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報酬 |
0.7万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
07/30〜08/01
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●本文
『Athletic of Summer便乗:スケ番だらけのビーチサッカー大会』
TOMITVのスタッフルーム。その中の自称スポーツイベント便乗チームで、二人の男がボンヤリと会話をしていた。
「海の日も終わってしまったな‥‥」
「そうですね、もうAthletic of Summerの季節ですね‥‥」
ぼーっとしている先輩に後輩。とはいえ、頭の中ではどうAthletic of Summerに関わってくれようかと、いろいろな策略を練っているのはいうまでもない。
「思ったんだがな‥‥」
「はい?」
「番長だらけの水泳大会をやっておいて、スケ番だらけの大会をやらないのはイカンと思うのだが、どう思う?」
「スケ番だらけって‥‥もはや野球関係ないじゃないですか! 番長っていっても、元は汎用的な番長じゃなくて、背番号5の番長のことですよ?」
「それはそうなんだが‥‥どっちにしろ脱線しまくってんだから、この際ビーチサッカーでもやってやろうかと」
「んー、まーもうなんでもやったらいいんじゃないんですかね?」
結局、後輩もなんとなく折れてしまう。
こうして、もはや完全に背番号5の番長とは無関係になりながらも番長リスペクトを標榜する企画が、AoS便乗の名の下にスタートすることとなった。
『番長はお祭り男なので、ムリしてでもAoSに便乗する。スケ番になってまでしてもだ編』
ルール
・全員がスケ番に扮して、海辺で戯れます。ただそれだけです。
・スケ番のコスチュームも自由です。スケ番らしいカッコをするもよし、AoSらしいカッコをするもよし。
・一応ビーチサッカーをすることになっていますが、ビーチバレーをしようと、ビーチフットボールをしようと、砂で城を作ろうと、関東スケバン連合緊急集会をはじめようと、各人の勝手であります。
・そう、海辺でしたいことを、好きなようにするだけです。スケ番は何にも縛られないのです。
・その他細かいルールは特にありません。が、法律は守る必要があります。
注意
・Athletic of Summerの結果には一切関係しません。便乗企画ですから。
過去の放送スケジュール
・番長のジャンピングニー 4月30日 7:00〜
・番長のロシアンフック 5月18日 7:00〜
・番長のストレート 6月06日 7:00〜
・番長のマッハパンチ 6月29日 7:00〜
・番長だらけの水泳大会 7月17日 9:00〜
●リプレイ本文
番長シリーズのスケ番編で、スケ番が砂浜に大集結‥‥それだけ聞いたら決闘罪でしょっ引かれそうなシチュエーションであるが、行われるは海辺の決闘ではなくビーチサッカーと妙にさわやかである。
とはいえ、スケ番だろうとビーチサッカー選手であろうと、確実に様子がおかしいのが数名。
「あたし、草壁蛍(fa3072)、にじゅうピー歳。おとめ座で、誕生石はサファイア。性格は人よりちょ〜っとムチャで、ちょっと鞭を振り回しちゃうってトコかな? あるとき、ヘンテコなプロレスごっこの一番えらい人が現れて、ムチャプリンセスにさせられちゃったの♪」
見ればセーラー服に真紅のマントをなびかせて、ポップでキュートなナンバーを背に草壁が立っていた。
「でね、クイーンに戻るためには、たっくさーんのムチャ力を集めなくちゃいけないんだって。不安タラタラ〜なカンジだけど、ムチャのプリンセス、マジカルホタル。今日もガンバっちゃいまーす♪」
そう言って、よく分からないポーズをキメる草壁。鉄仮面のごとくホッケーマスクをしているから表情は読み取れないが、恥辱に歪んでいるかと思うとハァハァである。
しかしハァハァ以前に、魔女っ娘チックっておまえ何歳だよ? というツッコミを密かに今回の番組最年長の草壁に入れたくなってしかるべきなのだが、女性に年齢のことを聞かないのが礼儀であるし、危ない人を見かけたときのように、しっ! 見ちゃいけません! を通すのが、やはり礼儀というものなのである。
「超ウケるんですけどー。蛍だけに、土星の力で戦うなんて、ありえな〜い!」
だが、そんな礼儀もガン黒ヤマンバスケ番になった愛瀬りな(fa0244)は持ち合わせていない。勝手な設定を付け加えながら、カシャカシャと写メを撮っている。
「ホッケーマスクに顔を奪われ二十とピー、女王張ってたこのアタイが、何の因果か恥辱プレイ‥‥」
少しでも冷静になったら耐えられないとばかりに、あくまでもキャラを作って耐え忍ぶ草壁。しかし、ヤマンバスケ番の愛瀬は実に移り気で、すでに興味がカメラに移ってしまっている。
「あ、カメラ! 何? テレビ映ってんの? マジ? うっそー、ウケる、超ウケる〜」
その愛瀬の様子を見た草壁の、何かがプツンと切れた。無言で桜の代紋の入ったチェーンソーを始動する。そんなこととは知らず、愛瀬はカメラに手を振っている。
「あたし、りなぁ〜。趣味は日サロと切手収集〜。シクヨロォー! っていうかぁ、今日水着着てるわけぇ」
そう言いながら愛瀬がミニスカの制服やらルーズソックスやらを脱ぎ捨てると、ハイビスカス柄の派手なビキニが姿を現す。もちろん、顔だけでなく、身体中黒くメイクしてある。
「日サロ高いしぃ、本当は日焼けしに来たんだけどぉ、やっぱ海入るとテレビ的にイイカンジぃ?」
「マジカルホタル推参! 悪いヤツらは、海よりも血の海に沈んじゃえ☆」
笑いながらチェーンソーを振り回し、愛瀬を追いかける草壁。なぜか愛瀬もケタケタ笑いながら逃げ回る。ああ、波打ち際を走り回る百合ップルの微笑ましきことかな‥‥とは、どう色眼鏡で見ても思えない。
だが、それを確実に間違った目で見ていた伝統派のスケ番がいた。冬織(fa2993)である。
「スケ番も、今や一部地域を除いては絶滅危惧種じゃと聞いておったが‥‥最近のスケ番は随分バラエティに富んでおるんじゃの。これでは、わしが保護されてしまいそうじゃ」
セーラー服に引きずるほどのスカート。スカーフリボンは結ばずに垂らし、髪はもちろんアフロ。そして片手に木刀、片手にメリケンサック、クラシカル過ぎるスケ番である。
「現役には年齢的にちと厳しい? 何を言うか、スケ番はダブりもステータス、学ラン十ピー年組というヤツじゃな!」
草壁と同い年の冬織、やはり年齢関係には配慮のピー音が入る。
だが、冬織がそんなことを言っている間にも、波打ち際の愛瀬のメイクがどんどん流されていく。おかげで、草壁がお約束で愛瀬を見失ってしまう。
草壁が、ホッケーマスクからのぞく野獣の目で獲物を探す。しかし、そこへ本物の野獣が突っ込んできた。はるか沖合いから、ヨットが猛スピードで迫ってくる。甲板には、虎がいた。いや、ホワイトタイガーマスクだ!
「スケ番と言えば学校であり、学校に通っていないスケ番はただの不良! つまり、学校に通ってこそスケ番である! だから、我がヨットスクールで、男気を磨くがいい!」
ホワイトタイガーマスクとなった夏姫・シュトラウス(fa0761)が、ツッコミどころ満載の持論を展開しつつも、ヨットのスピードをさらに増していく。
スケ番に男気以前に、ホワイトタイガーの覆面に白のタキシードと、どこがスケ番なのかさっぱりだ。しかし、中身は極度に内気な夏姫、マスクとタキシードを着ると豹変するという戦闘服のようなものなのだから、文句はいえない。
誰も文句を言わなかったので、ついにドーンとヨットが砂浜に乗り上げてしまう。ポーンと夏姫が放り出されるが、見事に一回転してキレイに着地した。
「はっ、もしやあなたはホワイトタキシードマスク様!?」
そこへ、勝手にプリンセスの設定を増やした草壁が駆け寄っていく。
一方、武闘派の様子を海の家の前から眺めているのが、穏健派のスケ番たちである。
「スケ番って、何なの? 辞書で引いたけど、載ってないんだよね‥‥」
そう言って傍らの豊浦まつり(fa4123)に声をかけたのは、バーテンダーの格好をした小鳥遊真白(fa1170)である。何だか分からないだけに、けん玉、バケツ、水鉄砲、クーラーボックスと、海に必要そうな物をとりあえず持ってきている。けん玉が海に必要かどうかはナゾであるが。
「さぁ? 海といえば、スケ番以前に賭博だしねー」
対する豊浦もまったく負けていない。カジノのディーラーの格好をして、なぜか大量のサッカーボールを持ち込んでいる。いや、ビーチサッカーなのだからボールはおかしくないのだが、数が尋常ではない。
「スケ番のスケは‥‥スケスケのスケ‥‥です」
海の家から、湯ノ花ゆくる(fa0640)が本当にスケスケの水着で出てくる。思わず、ポーっとなって眺めてしまうのは、マリアーノ・ファリアス(fa2539)。現実にはありえないようなコスプレ風改造セーラー服を着てマリアンという女の子キャラを演じているが、れっきとした男の子である。
「すみません‥‥まちがいました‥‥です‥‥」
しかし、湯ノ花は恥ずかしさのあまり、あっという間に引っ込んでしまう。一瞬のできごとに、ポカーンと顔を見合わせる小鳥遊と豊浦。
しかしマリアーノは、オスとしての本能か思わず悔しがってしまう。だが、女性の中に男がポツンと一人がおそろしいのだとまだ分かっていないのは、幼ささえ残る若さゆえだろうか。
「今度こそ‥‥本当です‥‥スケ番はスケパンが訛ったものでした‥‥というわけで‥‥はい」
普通にメロンパン柄のスケ番仕様セーラー服で出てくる湯ノ花。しかし、手にしたスケスケのパンツをマリアーノに手渡す。
「え? マリアンがはくノ? それはマズいヨ‥‥」
思わず後ずさるマリアーノの肩を、豊浦がガシっとつかんで離さない。
「あんたは自分が女の子である方にベットしたんだ。あんたもギャンブラーなら、最後まで責任をもたなきゃね!」
「ギャンブラーなんかじゃないヨ!」
「なるほど、これがスケ番というものか‥‥私にはマネしようがないな」
小鳥遊が勝手にうんうん納得しているところへ、マリアーノの悲鳴がこだまする。そして、それ以上は映していられないので、再び波打ち際へとカメラが移る。
「ふぅ‥‥役に入り込みすぎると、チェーンソーで追いかけ回されたりして危険なのですね」
見当違いのコトを言いながらも、のんびりと浮き輪で揺られている愛瀬。ヤマンバどころかスケ番の呪縛からも解放されて、すでに気持ちはまったりリゾートである。試合ははじまってもいなかったが。
一方、追いかけ回していた側の草壁はキャラ継続中で、夏姫に付き従っている。
「我がスクールには校舎がない。ならば、己の手で作らんかい! 幸い、材料の砂ならたっぷりある」
夏姫がコートとしてとってある区画内で、砂の城ならぬ砂の校舎を作りはじめる。だが、ちょっとだけ砂を盛ったところで、草壁が猫かぶりに疲れたか、チェーンソーで蹴散らしてしまう。
「こんなんじゃ、ムチャ力は回収できないよ」
「その心意気やよし!」
夏姫もすっかり乗り気で、一緒になって砂山を蹴飛ばしている。
それを合図に冬織も木刀を振りかざしながらやって来て、ビーチサッカーの試合がようやくはじまる。
便乗しているAoSになぞらえれば、赤組が奇数月生まれで、愛瀬、湯ノ花、夏姫、草壁、白組が偶数月生まれで、小鳥遊、マリアーノ、冬織、豊浦と、都合のいいことに4vs4に分かれるのだが、そんなことは一切関係なく、ただ思い思いにボールを蹴って、好きな方のゴールを目指すのみである。
「グス‥‥試合がはじまっタ。行かなきャ‥‥」
海の家の前では、泣きながら体育座りをしているマリアーノの姿があった。スカートがあるのでよく分からないが、すでに変身後のようだ。
「そうみたいだね。でも、トトカルチョするにもチーム分けがないし、どうしたものかなぁ‥‥」
なんとはなしに上を向いた豊浦の目に、愛人茶と書かれた海の家の看板が飛び込んでくる。愛人の部分にはラマンとルビも振ってある。そう、ここはAoS期間限定集団らまんちゃ五円玉の臨時総本山だったのである。臨時だけあって、湯ノ花しかいなかったが。
対する豊浦もAoS期間限定集団うみんちゅ五尺玉の一員だったが、それで何が起こるわけではない。だがそこへ、今一度湯ノ花が出てくる。
「スケ番のスケは‥‥助っ人のスケです。このスケスケの水着で‥‥行くです」
湯ノ花の一言で、マリアーノに元気が蘇ってくる。水着ではない小鳥遊と豊浦へと、野獣を取り戻した目を向ける。
「そうだヨ、水着に着替えなきゃダメだヨ! このスケスケ水着ニ!」
「いやー、でも下に水着着てるしなぁ‥‥」
バーテンの服を脱ぎ捨てて、ビキニ姿になる小鳥遊。しかし、その上には男子の夢を何もかも奪う、ロングパレオを装着している。
ならばと豊浦にギロリと目を向けるが、
「残念ながら、私もなんだよね」
あっさり、下の水着をピラと見せる豊浦。完全に意気消沈に逆戻りのマリアーノだが、もはや収まりがつかないので、そのままうぉーっとコートに向かっていく。激しいプレーはスカートの下のパンツがスケスケなので厳禁なのだが、もはや忘れている。
「ムム‥‥ボール状のものはすべて蹴るのじゃ!」
冬織が、早速マリアーノの股間を蹴り上げる。さらに返す刀で、木刀で一突きである。
「ノーノー! 手は使うておらぬぞえ。使うたは木刀じゃ!」
ハンドよりも木刀一閃の方がより悪質な気がしないでもないが、そもそも審判がいないので、反則も何もない。
「ショルダーチャージたい!」
さらにそこへ、なぜか微妙に訛った草壁がサッカーマンガの世界以外では一発レッドになりそうなタックルをかまし、マリアーノを豪快に吹き飛ばす。もちろん、サッカーマンガ以上にゆるゆるの判定である。というか、判定自体がない。
「大丈夫‥‥ですか?」
気づけば海面にプカプカ浮かんでいたマリアーノに、浮き輪の愛瀬が心配そうに声をかけてくる。
「大丈夫じゃナイでース!」
調子に乗って愛瀬の胸に飛び込もうとするマリアーノ。だが、届く前に夏姫に頭を踏みつけられてしまった。
「小僧、甘ったれるな! スケ番が泣きついていいのは、戦に敗れたときのみ!」
「わーン‥‥」
夏姫に引きずられ、戦場のコートに逆戻りのマリアーノ。
「勝負ごとらしいが‥‥一体何で勝ちなのだろう?」
一方、外野組の小鳥遊が、至極もっともな疑問を口にしていた。
「ふふ‥‥そこで私の出番なワケよ!」
豊浦がそれに答えると、大量に運び込んでおいたボールを一気にコート内ばらまいてしまう。
「ボール一つでもキリキリ舞いなのに、こんなにあったら!」
「ボールはすべて蹴るのじゃ!」
草壁が思わずうろたえるが、冬織が蹴ると称して木刀で叩き斬ってしまう。ボールがパカっと割れ、中からメモが出てくる。
「えーと‥‥ロシアンカクテル!」
そのメモを拾った豊浦が、読み上げる。再びバーテンの格好に戻った小鳥遊が、人数分のカクテルを持って入ってくる。
「指定どおり、アルコール100%のも混ぜておいたぞ‥‥って、もはやカクテルっていわないよなぁ」
「さ、みんな飲んで! これで、最初の脱落者が決められるよ」
「誰が割ったとか、関係ないんですね‥‥」
愛瀬も海から上がってくると、グラスを手にする。
お酒なので、未成年のマリアーノと夏姫、湯ノ花は除外である。もっとも、マリアーノは夏姫の手によって頭だけ出して砂に埋められ、男気養成講座受講中なので、飲みようがなかったのだが。
「‥‥! ムチャ力がみなぎってきたわ!」
どうやら当たりは草壁のようだったが、まったく脱落する気配はない。が、さすがにちょっとよろめいて、近くにあったボールを割ってしまう。
「えーと‥‥ロシアンメロンパン!」
湯ノ花がメロンパンを運び込んでくるが、特に中に変なものが入っているとかはない。普通にお茶会状態である。
「さ、ゴミ拾いして撤収しよ!」
一通りまったりしてしまった後、小鳥遊の号令で砂浜のゴミ拾いがはじまる。
しかし、マリアーノはゴミではないので、埋められたまま放置されたという。