ダジャレに命をふり懸けアジア・オセアニア

種類 ショート
担当 牛山ひろかず
芸能 フリー
獣人 フリー
難度 普通
報酬 0.8万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 08/09〜08/11

●本文

 TOMITVの会議室。ムダにアツい上司が、部下を呼びつけていた。
「おい、海の日のダジャレ番組もよかったじゃねえか。というわけで、なんかダジャレ言ってみろ!」
「ぐはっ!」
 ムダにアツい上司なので、言ってみろと自分から言っておきながら、言えないようにみぞおちに鉄拳制裁である。
「ゲホゲホッ‥‥ちょ、言わせる気ないじゃないですかっ!?」
「拳を押しのけてしゃべらんかい!」
「格闘技のしごきじゃないんですから!」
「いいから、口答えしているヒマがあったら、さっさとダジャレ言えよ!」
「ぐはっ!」
 ムダにアツい上司なので、次の機会を与えようとも、しっかりみぞおちには鉄拳制裁である。
「ゲホゲホッ‥‥」
「で、タイトルは決まったか?」
「は? ダジャレ言えっていうのはどこに?」
「時は金なり、次の瞬間にはもう話題が変わってんだよ!」
 ムダにアツい上司なので、鉄拳制裁にはしっかり時間をかける。
「ゲホゲホッ‥‥えーっと、サイとパンダと海外旅行に行ってきました。どこでしょう‥‥ぐぼはっ!」
 ムダにアツい上司なので、なぞなぞなんか出してきやがった部下には鉄拳制裁やむなしである。
「くだらねえこと言ってんじゃねぇ! で、タイトルは?」
「ゲホゲホッ‥‥はい、ダジャレに命をふり懸けと言いまして、前回がぶっ懸けだったので、ご飯にかけるものつながりでふり懸けでしょう!」
「だから、くだらねえことばっか言ってんじゃねぇ!」
 ムダにアツい上司なので、つまらないことを連発した日には鉄拳制裁も連発である。
「まあいい。次回までにはダジャレの腕や、タイトルのネーミングセンスを磨いておくように!」
 こうして、ダジャレを使ったおもしろVTRを競い合う企画の第6弾がスタートした。

『浜辺のセットから、普通のスタジオ収録に戻りまーす』

 ダジャレを実際に収録してきたVTRのおもしろさを競い合います。撮ってこないで、スタジオ収録中にその場でやることも可能です。
 各VTRごとに採点され、優勝者には賞金10万円が授与されます。
 例:『布団が吹っ飛んだ』
 干してある布団が風で吹き飛ばされるだけだと点は低く、寝ているところに爆破で布団ごと吹き飛ばされれば点が高い。
 例:『サイとパンダと海外旅行に行ってきました。サイパンだ!』
 イラストがその収録例。ムダにアツい上司の部下だったら、ボコボコにされてしまいます。

その他注意点
・命懸けとはいえ、死んだら負けです。というか、番組がお蔵入りです。
・もちろん、流血もNG。但し、流血を伴わない怪我はガマンすればOKです。

過去の放送
・ダジャレに命を懸けろ  4月21日 23:00〜
・ダジャレに命を懸ける  5月12日 07:00〜
・ダジャレに命を懸ければ 5月29日 07:00〜
・ダジャレに命を懸けそば 6月26日 07:00〜
・ダジャレに命をぶっ懸け 7月17日 08:30〜

●今回の参加者

 fa0824 ベクサー・マカンダル(13歳・♀・鴉)
 fa2396 海風 礼二郎(13歳・♂・蝙蝠)
 fa2529 常盤 躑躅(37歳・♂・パンダ)
 fa2824 サトル・エンフィールド(12歳・♂・狐)
 fa3503 Zebra(28歳・♂・パンダ)
 fa3577 ヨシュア・ルーン(14歳・♂・小鳥)
 fa3578 星辰(11歳・♀・リス)
 fa3800 パトリシア(14歳・♀・狼)

●リプレイ本文

 なぜか煙のもうもうとたちこめるウナギ店の店先から、番組はスタートである。
「大将、いいウナギ入ってる?」
「嬢ちゃん、まかしとき!」
 海風礼二郎(fa2396)が店に入ってくるベクサー・マカンダル(fa0824)が出迎えるという、よく分からないコント仕立てではじまる。すぐさま、海風が席に着いたベクサーに丼を出す。
「ん? んん〜? うーん‥‥」
 ベクサーが蓋を開けてよく見てみるものの、どう見てもご飯だけである。ほじくり返してみても、中にウナギが隠されているということもない。
「大将、どうなってんの? これ」
 そこへ、タライに入ったウナギが運ばれる。そう、まずはウナギの捕獲からである。清流に天然モノを獲りに仕掛けを‥‥とかやっている時間はもちろんないので、手っ取り早く海風がこの場で捕まえるだけだ。
「そういうことですか‥‥」
 海風もここになってはじめて知らされたらしく、四苦八苦しつつもなんとかウナギをガッチリつかむ。
 もちろん、捕まえただけでは食べられない。だが、海風にウナギの調理をできるわけもない、なので、厨房の奥にいる本物の大将のところまで運んでいかなくてはならない。
「厨房、入りまーす」
 なので、厨房へと入っていく海風。が、なぜか厨房までの道のりが遠く、細長い廊下がつづいている。
 そしてなぜか、ウナギを模して全身ローションを塗りたくった力士軍団が向こうからやってくると、海風は揉みくちゃである。
 なんとか厨房に到着した海風を待ち受けていたのは、ベクサーであった。
「おはようございます。ずんぐりむっくりクッキングの時間です。本日作り方をご紹介する料理は、こちら!」
「ベ、ベクちゃん、いつの間に‥‥」
 海風の驚くとおり、いつの間にかグルメリポーターとしてベクサーが先回りしていたのである。
「さあ、第1ステップのウナギを捕まえて運ぶをクリアーした海風さん。この調子で第2ステップ以降もクリアーしていけるのでしょうか?」
「ちょ、僕がやるの!?」
「第2ステップはウナギをさばく。素人の海風さんに、はたしてウナギをさばくような高等技術ができるのでしょうか?」
 非難の声を上げる海風はさっくりスルーで、どんどん進行していってしまうベクサー。仕方なく、海風が調理していくことになった。
「はぁはぁ‥‥ウナ丼、お待ちー」
 なんとか完成させると、すぐさまベクサーに出す海風。
「では早速、海風さんに試食していただきましょう!」
「え? 僕が食べるの? まあ、食べますけども‥‥パリパリしてる‥‥」
 そう、素人の海風がさばいたので、ウナギは皮だけになってしまっていたのだ。
「これが本当のウナギの皮焼きだね。長かったわりに、身がないという‥‥」
「さすがベクちゃん、うまいこと言いますね〜」
 海風がベクサーにボカっとツッコミを入れられて、映像がスタジオに戻ってくる。そこでは、サトル・エンフィールド(fa2824)が元気に手を振っていた。
「じゃあ行くよ! サトルくんの、ダジャレ10連発〜!」
 サトルのかけ声とともに、画面が寺をバックにカステラを映し出す。
「カステラを貸す寺‥‥って、借り物じゃ食べられないでしょ!」
 画面が切り替わり、証券取引所をバックにケーキ。
「ケーキ食べて景気回復‥‥って、子どもに日本経済を託さないでください!」
 画面が切り替わり、空港でキョロキョロするサトル。
「あれ、みかんが見っかんない」
 そして、ミカンがアルミ缶の上に置かれた映像になる。
「あっ、アルミ缶の上にあるミカン」
 冷凍ミカンを発見し、サトルが食べはじめる。
「関空でみかん食う」
 しかし、空弁を買っていると搭乗を促すアナウンスが流れる。
「早く弁当食べんと〜」
 さらに、舞台は空港から変わるが、また違う弁当を食べているサトル。
「イベントで食べた、いい弁当」
 またまた画面が切り替わり、八百屋で店主のオヤジと値切り合戦中のサトル。
「このスイカ安いか?」
「メロンを舐めろん!」
 しかしなぜか、そう言ってメロンを投げつけてくるオヤジ。テンプルに食らい、サトルは昏倒してしまう。
 サトルが目を覚ますと、そこは病室のベッドの上であった。見れば、枕元にフルーツの盛り合わせが置いてある。サトルは、添えられたメッセージカードを読み上げる。
「えーっと、なになに‥‥西洋なし食って静養せ〜よ〜」
 あまりのくだらなさに、そのまま突っ伏すサトル。そして、画面は暗転する。
 正味一分程度の、一気の駆け足である。そのせいか、スタジオのサトルもなぜかゼーハー言っている。
「アイヤァー、星辰(fa3578)あるね。サトル君、違うよ、そうじゃないアルね。というわけで、中国四千年の奥の深さにひれ伏すがよいアルよ」
 なぜかギターをかき鳴らしながら、星辰が入ってくる。あまりの早弾きに、星辰の指の血豆が潰れるが、それでも弾くのをやめようとはしない。
「ギター弾きすぎたーアル。ガットが強いのは、わがっとるアルけど」
 言い切って満足したか、その後は素直にスタッフに連れ出されていく星辰。
 そして、病室の映像に切り替わる。見れば、隣のベッドには突っ伏したままのサトルがいる。時系列については、収録の順序の関係があるので細かくツッコミを入れてはいけない約束だ。
「病院から手がビョイ〜ン!」
 突然手をビョイ〜ンと伸ばす星辰だが、燃え尽きているサトルは無反応である。
 仕方なしに血染めのギターを手に取る星辰。ギターはエレキギターに変わっていたが、収録の順序の以下略。
「ああ、ハイテクの時代に入ってくアルね‥‥いいや、そんなコトはない。IT知ってる人に会いてぇ!」
 一通りやり終えると、病室を飛び出していく星辰。
 映像がスタジオに戻ると、しっかり星辰がいなくなっている。代わりにヨシュア・ルーン(fa3577)が立っていた。
「世界三大料理といえば、中国、フランス、トルコ。中華は今出ましたので、英語でダジャレをシマ〜ス」
 世界三大料理とはなんの関係もなく、英語ダジャレを宣言するヨシュア。それ以前にイギリスだと反対の方向に世界一大の気がしてならないが、そこはさらっとスルーである。
 しかし、一応料理関係で攻めるつもりなのか、画面がキッチンへと切り替わる。
 糠床をかき混ぜるべく、漬け物石を持ち上げようとするヨシュア。だが、重みに耐えられずに手をすべらせて足の上に落としてしまう。
「石がストーンと落ちましっタ」
 さらには、その衝撃で周囲の棚から皿が崩れ落ちたりと大惨事である。
「台所はキチンとしましょうデ〜ス」
 他人事のように言い放つヨシュア。しかし、確かにそんなことよりも気にしなくてはいけないことがある。
「オー、骨がボーン! と、飛び出てイマ〜ス」
 見れば、石を落とした足がものの見事に開放骨折である。もちろん、本当だったらこんなダジャレを言ってる場合ではないし、放送自体ができなくなってしまうので、特殊メイクである。
 しかし、なぜか這ってリビングのテレビに向かうヨシュア。
「この映画観るまで、シネマセ〜ン!!」
 次の瞬間、ヨシュアはサトルの隣の、先程まで星辰のいたベッドにくくりつけられていた。病院というよりは、危険人物の収容施設の様相を呈している。
 スタジオに映像が戻ると、今度はパンダの覆面をした大男が立っていた。
「俺の名はバイオレットバイオレンス、もちろん正体をバラすわけにはいかん!」
 正体は常盤躑躅(fa2529)であるのは言うまでもない。
「よし! 夢のネズミの国へ行き、ピーに噛みつっきー! って、なんだ、この電子音は!? うわ、バカ、ヤメろ!」
 一瞬、ザーっと画面が乱れたが、何事もなかったかのように常盤が消えていた。
「‥‥というわけで、俺はサハラ砂漠にロケに行ってきたゼ!」
 Zebra(fa3503)がすぐさまVTRに振る。なにがというわけでなのか分からないし、砂漠といったらいつも短絡的にサハラ砂漠か鳥取砂丘かよという話もあったが、常盤のこともあってスタジオから離れたいので、すぐさま映像は切り替わる。
「砂漠で裁く。証人喚問、証人カモン‥‥よし!」
 灼熱の日差しの中、脳の中も茹っているようなことを言いながら、Zebraが砂漠を進んでいく。
 だが、あっという間に熱さにやられて倒れてしまう。
「アチーッ!
 しかし、灼熱の大地。倒れることを許さない。仕方なく、すぐ近くにあったサハラのオアシス、草原部に避難である。
「あ、草原はくさはらって読んでくれよ!」
 なんだかんだで、まだ余裕がありそうである。
「ウチワイリマセンカー」
 Zebraが木陰で涼んでいると、現地の物売りが傍に歩み寄ってきます。
「ウチはいりません‥‥って、うちわ? いや、いる! くれー!」
 叫ぶが後の祭り、物売りは去った後である。
 そこへ、次の物売りがやってくる。
「くれ、全部くれー!」
「振りかけのふりかけ〜」
 しかし、来たのはパトリシア(fa3800)である。もちろん、うちわ売りではない。しかし、Zebraはすでにくれと言ってしまっている手前、引くに引けない。
 パトリシアの合図でなにやら重機が登場すると、巨大なふりかけ袋がクレーンで吊り上げられていく。ふりかけ袋には大人の事情のふりかけと書かれているが、どんな事情があるのかは分からない。
「えーっと、じゃあ、ここに立っててくださいね」
 パトリシアに言われるがままに、巨大ふりかけ袋の真下で直立不動のZebra。
「クールビズでクールビーズ!」
 巨大ふりかけ袋の封が切られ、クール‥‥つまり冷やされたビーズが振ってくる。
 砂漠でなんと涼しげな‥‥という甘いシロモノではない。クールというよりフローズンなので、ビーズを芯に水分が凍り、雹のようになってしまっている。なかなかに殺人的である。
「殺す気かーっ!?」
「チーターがおちーたー!!」
 Zebraが叫ぶが、パトリシアは聞く耳持たずで次の合図を出す。すると、チーターまでもが降ってくる。
「うう‥‥猛暑はもうしょーがない‥‥きっと残暑も厳しいざんしょ‥‥では、また次回〜」
 ムリに締めてでももう帰りたいZebraだったが、IT知ってる人に会いに病院を脱走してきた星辰が、なぜかオアシスに神社を築いていた。
「導火線をどうかせんと☆ 神社が木っ端微塵じゃアルね!」
 そのまま、爆破される神社。星辰は『よい子はマネしないようにアル』とマネしようもないことを言い残し、すでに逃げ去った後である。
「もうムリ、帰ろう‥‥」と
 もはやダジャレで言う気力もなく、涙目でスタッフに訴えかけるZebra。しかし、始末されたはずの常盤までもが、オアシス目がけて走り込んでくる。
「パンダの好物はパンだ! パン作ったぞ!」
 口にパンツをくわえながら、絶叫する常盤。パンツ食ったぞとかけているようだ。
 しかし、そこでやめておけばいいものを、常盤の暴走は止まらない。
「うん、この味だ!」
 究極の選択のようなことを言い出す始末。
「夏、まっさかり!!」
 そこへ、まさかりが振り下ろされる。パトリシアの鋭すぎるツッコミである。とはいえ、夏真っ二つといくわけにはいかないので、常盤は当然避けているが。
「‥‥帰る‥‥」
 呼びかけから断定へと変わり、砂漠を引き上げていくZebra。しかし、オアシスから砂漠に出た途端、熱にやられてまた倒れてしまう。
「よし、銭湯で戦闘だ! 先頭で入るぞ!」
 最後に確実に銭湯のないところでそんなことを言う常盤の言葉をバックに、画面はスタジオに切り替わる。
 こうして、優勝は一番ヒドい目に遭ったZebraとなり、賞金10万円が送られた。