リフォームでトイレ使用アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 牛山ひろかず
芸能 フリー
獣人 フリー
難度 やや易
報酬 0.7万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 08/10〜08/12

●本文

登場人物
・ディレクターに昇進したばかりの男(以下、ディレクター)
・ディレクターの上司(以下、上司A)
・上司Aのさらに上司(以下、上司B)

 TOMITVのこのディレクターは、最近マイホームを建てたばかりだった。しかし、上司Aの提案によってメチャクチャなリフォームをされてしまう。それが、リフォームで廃墟という番組だった。
 その恨みを晴らすべく、ディレクターは上司Bの許可をもらって、上司Aの屋敷にメチャクチャなリフォームを施してしまう。それが、リフォームで廃墟の逆襲という番組だった。
 ディレクターと上司Aは一連の恨みを晴らすべく、上司Bの愛車の数々にメチャクチャなリフォーム(改造)を施してしまう。それが、リフォーム廃車復活戦という番組だった。このときのショックで、上司AB共に病院送りとなってしまう。
 やがて退院してきた上司ABは、快気祝いと称してディレクター宅内でフットサルを行った。それが、リフォームフットサルという番組だった。結局、ロスタイムが2時間もとられ、家は全壊してしまう。
 さらにその報復として、ディレクターは上司Aの屋敷で三角ベースを決行。それが、リフォーム三角ベースという番組だった。番組終了時のガス爆発により、上司Aの屋敷は完全に吹き飛んでしまう。
 そして、上司Aは原点回帰としてディレクターの建て直していた家に、完成前にリフォームを敢行。上司Aにとってはすばらしい家が完成する。それが、リフォームで新築が廃墟という番組だった。
 しかし、そのロクでもない家は海に沈めてしまうこととなった。それが、リフォームで新築が水没という番組である。家は無事人工漁礁となり、ディレクターはまたも住む家を失ってしまう。
 こうして、次の問題はまたも建て直しとなったディレクターの家を、今度はどうしてくれようということに移った‥‥

 そして──

「よう! 何度目かの新しい家、もうすぐ完成するんだってな?」
 ディレクターに、上司Aが明るく声をかけてくる。明らかによくないことが起きそうなテンションである。
「え、ええ‥‥完成しますけども‥‥それが何か?」
 ディレクターも、探り探り答えるしかない。
「よく、新築の家のトイレは自分が一番最初に使いたい、って言うじゃないか。そこで、企画を考えたんだが‥‥」
 破壊工作ではなさそうだということで、ホッとするディレクター。
「だから、だるまさんがころんだをしようと思うんだ。風呂場からスタートして、トイレがゴール。もちろん、風呂には裸で入るものだから、そのままの姿でトイレへ突き進む、と」
「地味に水浸しになるじゃないですか!」
「じゃあ、家を破壊する方向で行くかね?」
「いえ‥‥だるまさんがころんだでお願いします‥‥」
 こうして、家の中でなつかしの遊びを楽しもうという、童心を忘れないほのぼの番組‥‥にはほど遠い企画がスタートするのであった。

企画内容:
 8名までの精鋭がディレクターの家のトイレ使用の一番乗りを目指し、だるまさんがころんだをします。
 スタート地点は風呂場の浴槽です。浴槽なので、服を着てはいけません。
 服を着てはいけませんが、見えてはいけない部分が映ってもいけません。
 希望者がいれば、その人が鬼。いなければディレクターが鬼になります。
 アウトの場合、風呂場からリスタートとなります。
 風呂場からトイレまでの順路は、収録開始直前に発表になります。
 最初にトイレの便座に座った人が優勝となります。優勝賞金10万円。
 壁をブチ抜いてショートカットしたり、泡だらけになって裸を隠したり、好きな戦略を立てて構いません。
 例によって、上司Aがルールブックです。

過去の放送スケジュール(最近5回分):
・リフォーム廃車復活戦 4月17日 23:00〜
・リフォームフットサル 5月16日 07:00〜
・リフォーム三角ベース 6月4日 07:00〜
・リフォームで新築が廃墟 7月5日 07:00〜
・リフォームで新築が水没 7月17日 09:30〜

●今回の参加者

 fa0892 河辺野・一(20歳・♂・猿)
 fa1136 竜之介(26歳・♂・一角獣)
 fa1294 竜華(21歳・♀・虎)
 fa2029 ウィン・フレシェット(11歳・♂・一角獣)
 fa2671 ミゲール・イグレシアス(23歳・♂・熊)
 fa3134 佐渡川ススム(26歳・♂・猿)
 fa3196 雪野 孝(48歳・♂・猿)
 fa3622 DarkUnicorn(16歳・♀・一角獣)

●リプレイ本文

 トイレへのだるまさんがころんだを目前に控え、浴槽には男5名、女2名からの参加者が、きゅうきゅうに詰め込まれている。ディレクターの家なので、もちろん普通の家庭用の浴槽だ。もっとも、すぐに家中に解き放たれるので、ここはガマンしてもらうしかない。
 さらには、河辺野一(fa0892)が引っ越しソバと称して湯船にソバも一緒に浮かべているが、すぐに家中に解き放たれるからといってガマンせず、ボコボコにしてもらいたい。
 しかし、真にボコられるべきは佐渡川ススム(fa3134)である。
「さすがの俺も、全裸は恥ずかしいような‥‥でも、この俺の粗末なモノを見て‥‥欲・し・い・か・も? キャッ☆」
 言葉遣いはさておき、なぜか両手を天に突き上げ、仁王立ちの佐渡川。そして、竜華(fa1294)とDarkUnicorn(fa3622)だけに的を絞ってガン見である。
「むぅ‥‥賞金欲しさに参加したのじゃが‥‥裸はダメじゃ‥‥見られておると思うと、恥ずかしくて自分がどんどん小さくなっていくようじゃ。うぅ‥‥佐渡川に威圧されてくじけそうじゃ‥‥というか、奴は被り芸人の分際で、なぜああも堂々と曝してられるのじゃ?」
 佐渡川の視線に気づいたDarkUnicornが、隅の方でますます小さく縮こまっている。
 すると、佐渡川があることに気づく。
「ぬぅ‥‥素肌かと思いきや、肌と同色の水着だと!? 言語道断、主を呼べい!」
 憤慨した佐渡川にディレクターが呼ばれ、竜華の水着に注意が出される。
「別に私はいいけど‥‥放送できなくなっても知らないよ?」
 一応念のためにと着た水着だったが、脱がされる竜華。一旦スタートしてしまえば何を着ても構わないが、スタート時は素っ裸でなくてはならないのだ。
 そこへ、ただ一人スーツ着用の雪野孝(fa3196)がやって来る。
「鬼やけど‥‥はじめちゃってええですか?」
 こうして、いよいよスタートである。
「だぁるぅまさぁんがぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーー‥‥」
 トイレに戻った雪野がたっぷりと時間をかける中、まず飛び出していったのは竜之介(fa1136)とウィン・フレシェット(fa2029)、ミゲール・イグレシアス(fa2671)の男性3人である。
 浴室を出てすぐのところで、まずは竜之介があらかじめ置いておいたバラの束を手にとって、身体をバラで覆い隠していく。
「ん、これかい? はっはっは、メガネが顔の一部であるように、僕にとってバラは身体の一部なのさ☆ だから、これはトゲが刺さっているんじゃなくて、僕の身体から生えてきた証なのさ☆」
 どう見ても痛そうなだけだが、竜之介は高笑いを上げるだけでまったく動じる気配はない。
「まいど! 誰が言ったか知らないが、正統派金隠し、宴会芸派、手桶流免許皆伝のミゲールとはわいのことや!」
 一方、ミゲールは浴室にあった手桶だけを頼りに、それ以上は気にすることなくずしずし進んでいく。
 そして、ウィンは海水パンツを仕込んでおいたタンスに到着していた。ウインは今回唯一のお子ちゃまなので、他の人にはかれないように子ども用の海パンを用意しておいたのだ。意外と芸が細かいのである。
 が、なぜかトイレとは反対の、キッチンの方へと向かっていくウィン。子どもの考えることは、よく分からない。
 そして、まだ男女2名ずつが残る浴室である。とはいえ、別に混浴を楽しんでいるわけではない。
「ソバを茹でてから行こうと思ったんですが‥‥このまま待っていてもアレですので、先に行きますね」
 水道の蛇口を全開にすると、そこに自らの口を押し当ててガブガブ飲み出す河辺野。
「ぷはーっ! これぞまさに背水の陣。これでトイレが取れなければ死あるのみです。最悪、そこがトイレです。デスマッチです!」
 勝手に自らを追い込むと、さらにガスの元栓も全開にし、ガス管を引き抜いた上で出ていってしまう。
「えーっと、カメラもついて行ったようだし、この隙に私も行くわね。ガス爆発に巻き込まれるの、イヤだし‥‥」
 佐渡川のガン見の中、竜華がなんとか手で隠しながら出ていく。なお、ガス漏れは誰もが気づいているが、気づかないフリをしてあげるやさしさを持ち合わせた人たちばかりであった。
 そんな中、何一つ隠そうとせず、立ち上がる佐渡川。一瞬だけ、DarkUnicornが狼狽する。
「ば、化け物じゃ‥‥って、なんじゃ、チャイルドなディックではないか。一瞬、驚いたぞえ」
 佐渡川は深刻なバラエティ脳なので、すべてフリにしか思えない。モロ出し禁止の番組と言われると、出せとしか思えないのである。なので出した、それだけのことである。
 しかし、DarkUnicornは子どもと称しているが、子どもがふさふさかという大問題がある。しかし、佐渡川はなぜか剃毛済みなので問題ない。むしろ、赤ちゃんのおちんちんはOKなわけだが、何歳からNGになるのか? を実験したい気分でさえある。
「フッ‥‥分かっちゃいないな。この黒ずみは‥‥ぐぼはっ!」
 股間を指差しながら解説をはじめる佐渡川に、DarkUnicornの一撃が炸裂する。もちろん、素手でなどする気も起きない、自分の仕込み日傘を使うのもイヤなので、手近にあった洗面器でだが。
 そして、DarkUnicornも出ていく。こうして、浴室にはうずくまる佐渡川一人だけとなった。
「えーっと、もう着てもいいのよね?」
 脱衣所で竜華が水着を着ると、その上からバスタオルを巻く。ようやく、戦闘準備完了である。
 一方、リビングでは早くも一人目の脱落者が出ようとしていた。
「う、美しい。美しすぎるものだらけだ!」
 リビングの壁という壁、天井から床にいたるまで、すべて竜之介のポスターだらけである。それに、感動の涙を禁じえない竜之介。もちろん、事前にリフォームと称して竜之介自身が貼ったものであるのは言うまでもない。
「ああ! なんて美しいんだ、なんて罪作りなんだ、僕はッ!?」
 さらに、唯一ポスターが貼ってない壁面に鏡があったからもういけない。食い入るように見つめると、そのまま遠くから聞こえてくる雪野のだるまさんがころんだの声に合わせて、次々とポージングを変えていく。
 こうして竜之介が鏡の前から動けなくなっている一方で、ウィンはキッチンから動けなくなっていた。
「フフフ‥‥なんとかぐわしい。このカレーで鬼の嗅覚、味覚は麻痺間違いなし!」
 ウィンがなぜキッチンに来ていたかといえば、カレーを作るためだったのだが、こだわり派なのでルーなど使わず、スパイスの調合の段階からはじめてしまっている。さすがに一晩寝かすとまでは言わないだろうが、とにかくこれで長時間の足止めである。
 そして、出遅れたDarkUnicornは、救急箱を取り出していた。さらに、その中から絆創膏を取り出す。
「念には念を‥‥と、余計卑猥な気がせんでもないが‥‥背に腹はかえられんしの」
 胸と股間の一番見られては困るところに絆創膏を貼って下着代わりにし、その上からカーテンをマントのように羽織るDarkUnicorn。こちらも、なんとか戦闘準備完了である。
 そして、未だに浴室にいるのが佐渡川だ。とはいえ、ガス漏れまでは計算していなかったものの、これは佐渡川の策略のうちである。
「バスタブの底に穴を開け、そこから足を出して行動すればモザイクいらず! 俺って天才じゃね?」
 何の迷いもなく、浴槽に穴を開けようとする佐渡川。と、思い出したかのようにカメラに向く。
「え?ドアにつかえて通れないじゃないかって? 大丈夫! こんなこともあろうかと、すでに全ドアをバスタブが通れるくらいの広さに破壊‥‥もとい、リフォームしておいたから! やっぱ、俺って天才じゃね?」
 今度こそ、何のためらいもなく浴槽の底を打ち抜く佐渡川。
「げ! 埋め込んであって、動かせないな‥‥」
 さんざん掘っておきながら、出てきたセリフはそれである。天才と打たれすぎは紙一重であった。
「こぉろぉぉぉーー‥‥」
 相変わらず雪野がたっぷりと時間をかける中、竜華は階段を上っていた。
 2階は鬼の雪野の視界の及ぶところではないので、完全に動きたい放題である。とはいえ、好き勝手に動き回れるという利点のみで、勝利へは結びつかない。そう、鬼のいない2階のトイレの便座に座ったところで勝ちとはならないのだ。
 が、竜華はその先を見すえていた。すなわち、2階のトイレの真下は1階のトイレというところに目をつけたのである。
「はーっ!」
 床を打ち破り、1階のトイレに着地する竜華。しかし、着地した床はウィンの仕かけた落とし穴となっていた。
 しかも、底にはステンレス製の物干し竿を斜めに切った槍状のものが、大量に突き出ていた。竜華はなんとか落とし穴の壁面に張り付いて難を逃れたものの、すぐには脱出できそうにもない。
「ん?」
 雪野のところへ、穴の開いた天井からバスタオルがヒラヒラと舞い降りてくる。
「こ、これは!?」
 なぜか、矢沢タオルのように肩にかけてしまう雪野。これで、竜華は肌と同じ色の水着を着て正解だったということになってしまった。
 そんな竜華がゴール間近に迫っていたころ、河辺野は庭にいた。しかも、水たまりの上に。
「ふっ‥‥この歳になってもやってしまうとは‥‥わたくしもまだまだです‥‥」
 あっさり一人きりのデスマッチに敗れ去る河辺野。成人男子の失禁映像など見苦しいだけなので、カメラはすぐに屋内に切り替わる。
 そこでは、DarkUnicornが床にヘキサグラムを書いて、なにやら呪文を唱えていた。
「ェロェロサドガーワ、ェロェロサドガーワ、我は求め訴えたり‥‥」
 番組放映上ではもちろん明かせないが、猿の力を3つ、一角獣の力を3つ集約するヘキサグラムという設定だ。
 しかし、一角獣の竜之介は鏡の前から動けず、ウィンはカレーの前から動けず、DarkUnicorn本人だけ。猿も河辺野はおもらし、佐渡川は浴室から動けず、なぜか雪野が鬼に構わず来ているだけである。
 しかも、鬼でないことを現すために、ムダに脱いでの登場である。とはいえ、女性の前に現れるのに素っ裸というわけにはいかないので、昔取った杵柄で前バリ装着済みである。
「はっ! 慌てるあまり、ガムテを直接貼ってもーた!」
 何しに来たんだとばかりに、一人悶絶する雪野。そんなことはお構いなしに、DarkUnicornの詠唱が完了する。
 ドーン! 浴室から爆発音が聞こえてくる。
「え!? そんな仕込みはした覚えがないのじゃが‥‥」
 DarkUnicornが当惑するが、すぐに河辺野のコトを思い出し、そのガス爆発かと合点がいく。
「美しい、生まれたままの僕は美しい‥‥」
 爆発に本気で気づかない竜之介は、気づけば鏡の前でバレエのように高く足を上げた難易度の高いポーズに移行していた。もちろん、大事な部分はバラが隠してくれるので、高く足を上げても問題はない。
「あ!」
 対するキッチンのウィンは、ちゃんと気づいたようである。
「ご飯、炊くの忘れてた。えーっと、炊飯ジャーは‥‥」
 とはいえ、爆発に気づいたのではなく、ご飯の炊き忘れに気づいただけであったが。
 と、ヘキサグラムのところに、序盤は先頭を突き進んでいたはずが、いつの間にか姿を消していたミゲールが現れる。
「めいど! ここは冥途の三丁目〜、まいどでめいど♪」
 そう、このダジャレを成立させるためだけに、メイド服に着替えるのに手間取っていたのである。
「出だしの挨拶がフリだったなんて、誰も覚えておらんのじゃ!」
 メイド姿の筋骨隆々の変態大男となったミゲールに、仕込み日傘を抜き身で振るうDarkUnicorn。
 そこへさらに遅れて、黒コゲアフロになった佐渡川が入ってくる。
「呼ばれて飛び出てェロェ〜ロ! っつーか、河辺野君はどこかね?」
 普段なら服まで黒コゲで登場のところだが、服は最初から着ていない。下は最初からアフロとか下ネタに走ろうにも、自らDarkUnicornに見せるためにお子ちゃま仕様にしてしまっている。
 そのやり場のない怒りをぶつけようと、河辺野を呼びつける佐渡川。そこへ、ようやく水たまり作りの止まった河辺野が戻ってくる。
「頭が、頭が痛いよ、兄さん!」
 意味不明の夜頭を演じながら、佐渡川に抱きつく河辺野。打たれすぎで頭の痛む、イヤな兄弟の出来上がりである。
「ふぅ‥‥死ぬかと思ったわ!」
 ちょうどそのとき、トイレでは落とし穴からようやく抜け出した竜華が、疲れ果てて深く考えずに便座の上に腰かけてしまう。その瞬間、竜華の優勝が決定した。
 一方そのころ、ウィンはようやくカレーを食べていた。
「うん、やっぱりスパイスから作るとコクが違うね!」
 確実に落とし穴のことなども忘れ、黄色い海パンがよく似合う子どもと化していた。