【PSF】走れ、人間どもアジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
牛山ひろかず
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芸能 |
フリー
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獣人 |
フリー
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難度 |
やや易
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報酬 |
0.7万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
09/15〜09/17
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●本文
『Powerful Sports Festival便乗:走れ、人間ども』
TOMITVのスタッフルーム。その中の、自称スポーツイベント便乗チームに、一人の男が駆け込んできた。
「Athletic of Summer便乗につづき、今回はPowerful Sports Festivalに便乗するわけですが‥‥今回はタダ乗りじゃなくて、ポイントも分配されるって大ゴトに‥‥どうしましょう?」
いつも以上にわたわたしている後輩。それもそのはず、PSFの競技として10点を任されてしまったのだから。
「どうしましょうも何も、いつもどおりやるだけだろ? 水泳バージョンとかSMバージョンとかいろいろやったけども、結局基本に忠実に競馬場を疾走してもらうしかあるまい」
「競馬場を人が疾走するのを基本に忠実って言っていいのか疑問ですけども‥‥そうですね、それしかないですもんね!」
こうして、競馬場疾走企画の第7弾が、PSF連動で繰り広げられることとなった。
使用コース
・競馬場の芝コースを使用。基本は直線のみ使用。
・ハンデが長い場合、左回り芝コースを使用。500m地点から200m地点にかけて高低差2.5mの坂あり。
・要するに、府中にある某競馬場です。
・スタッフの気分次第で、ダートコースに変更の場合あり。
事前に用意される物
・大抵のものは用意されますが、主動力が自分の力のものに限ります。
・番組用意のものでなく、持ち込みでももちろん構いません。
・実況は用意されません。自分で実況しながら走ることは可能です。実況・解説だけの参加も可能ですがポイントはあきらめてください。
ルール
・何を使っても構いませんが、自分の力を主として走らねばなりません。自転車(電動補助含む)や大八車はOK、自動車やバイクはNG。
・獣化は視聴者に気づかれない限りなら、いくらでも使って構いません。但し、その分ハンデ距離は長くなります。
・賞金はありませんが、PSFのポイントが所属する組に与えられます。
1着:3点
2着:2点
3着:1点
敢闘賞:4点
・敢闘賞は、もっとも番組を盛り上げた人に与えられます。出走取消でもない限り、失格でも対象となります。
・その他細かいルールは、俺がルールブックだ! とスタッフが申しております。
注意
・Powerful Sports Festivalの結果に、計10点分影響します。
過去の放送のスケジュール(最近5回分)
・走れ、人間ども2 5月01日 07:00〜
・走れ、マシンたち 5月25日 07:00〜
・走れ、人間ども3 6月11日 07:00〜
・叩かれろ、人間ども 7月02日 07:00〜
・【AoS】泳げ、人間くん 8月01日 07:00〜
●リプレイ本文
絶好のPSF日和な競馬場。そう、今回の走れ! で与えられるのは通常の賞金ではなく、PSFの得点である。赤組6名に対し、白組はわずかに2名。個人競技とはいえ3着までに得点が与えられるので、この時点で赤組が0点ということはない。
そんなコースを見渡せば障害レースの様相を呈しているが、そんなことは気にせずに、各人入れ込み気味にスタートを待っている。
では、順に出走各人を紹介していこう。なお、距離が短いほど内枠となっている。
赤組だけど白い帽子、1枠1番はわずかに30m、あずさ&お兄さん(fa2132)である。
「さーて、今回は秋の運動会ということで、一人体育祭だよ!」
体操服、もちろん下はブルマという姿のあずさ。コンビを組むお兄さんも、体育祭仕様なのか手がマジックテープになっている。
スタートはムカデ競争から入るということで、すでにお兄さんたちの足が連結されている。ん、複数形? そう、なぜかプチお兄さんズが約2名、参戦していたのだ。誰の子どもなの!? とか深刻に考えず、見てみぬフリをしてあげるのが大人の対応というものである。
つづく黒い帽子、2枠2番は20m後方の50m地点。赤組で、やはり体育祭仕様でパン食い競走の湯ノ花ゆくる(fa0640)だが、湯ノ花なのでメロンパン食い競走であるのは言うまでもない。
「‥‥ここに‥‥帰ってくるのは‥‥1ヶ月ぶり‥‥です‥‥」
そのわりにはバウムクーヘンを食べ、神聖ローマ帝国魂を見せつけていたが。
「‥‥これだけの‥‥量の‥‥メロンパン‥‥ゆくる一人で‥‥全部‥‥食べられるのか‥‥どうか‥‥」
湯ノ花の前には、湯ノ花専用の仕掛けとしてメロンパンが10m間隔で吊るされていたが、なぜか遠くの方が近くに見えるナゾ仕様。だが、とりあえずは遠近法がおかしい日もあるさと大人の対応でスルーである。
そして50m後方の100m地点、赤組だけに赤い帽子の3枠3番は、さらに赤い大玉とガブリエル御巫(fa4404)である。
「あらあら、セレブなわたくしがこのように汗をかく競技など‥‥まぁ、いいわ。出場するからには、わたくしの華麗な玉さばきをお見せ致しますわ。お手柔らかによろしゅう」
セレブとか言いつつなぜか木製バットを持っていたが、大玉を打つのではないことを信じたい。
同じく100m地点の4枠4番、青い帽子の伊集院帝(fa0376)でようやく白組の一人目登場である。白組だからか、白と黒のストライプ、いわゆるレフェリー服を身にまとっている。
用意された荷車には、浴槽が備え付けられている。もちろん、その中には熱湯で満たされているのは言うまでもない。
「プロレスごっこ魂を見せつけてやる!」
はじまってもいないのに、早くもその熱湯に飛び込んでプロレスごっこ魂の片鱗を見せつける伊集院。確実に打たれすぎである。
ここからは一気に距離が空いて400m地点、直線の最後のちょうど一番勾配のキツい辺りからのスタートとなるのは、黄色い帽子の5枠5番、赤組の上野公八(fa3871)である。
しかし、伊集院が打たれすぎならば、上野は打ち抜かれすぎであろうか?
「ハンデなどいりません‥‥そして、服もいらないのです!」
己が身一つで走るということで、現在全裸の上野。一応、靴下にスパイクだけは履いているのがマニア心をそそるのだそうだが、マニアック過ぎてターゲット層が存在するかどうかナゾである。
朝のさわやかな時間帯に長々と流すものではないので、するりと直線を抜け、コーナーを曲がって3、4コーナーの中間点の800m地点までさかのぼる。
そこには緑の帽子の6枠6番、白組二人目の雅楽川陽向(fa4371)が帆のついた改造ママチャリを、一応補助輪はついているものの倒れないように支えていた。
「まさに陸の帆船やね、そんな私は陸サーファーやね!」
思わず関西弁が出てしまうほど絶好調な雅楽川。その余勢を駆って、ツッコミ用に10tハンマーまで積み込んでしまっている。本当に10tあるわけではないとはいえ、ムダな斤量を背負っていることに違いはない。
しかしそんなこともあろうかと、雅楽川のスタート地点にだけ巨大扇風機がセットされている。重いだけに初動が一番キツいので、それを少しでも和らげようというわけだ。
さらにぐんと進んで向こう正面、1,400m地点には7枠7番のタケシ本郷(fa1790)と地ならし用のローラーである。芝をつぶされて造園課大泣きであるが、泣けるものは他にいくらでもあるので気にするところではない。
しかしローラーを引きずって1.4kmとはハンデがおかしいのではないかと思われるかもしれないが、本郷は獣化しているのだから仕方がない。
顔にはマスク、全身サウナスーツの上にウィンドブレイカー、首元にはマフラーという、肌を一切さらさない減量中のボクサーというより、計量前なのに減量が間に合いそうにないボクサーの暴挙ともいうべき風貌であるが、単に獣化を隠すための格好である。
そしてピンクの帽子の8枠8番、シトリー幽華(fa4555)だが‥‥姿が見えない。
大外も大外、というか文字通り競馬場の外だったのだ。ハンデ距離の関係で、実はすでにスタートを切っているシトリー。競馬場の遥か遠く、台場から。約40kmほどと、大体マラソンにちょうどいい距離である。
そんなわけでシトリーがトラックに入ってきた時点でスタートと、他の7名にはレースの時間よりも待たされる時間の方が長い苦行であるが、待ち時間などさっくりカットなので視聴者的にはまったく問題ない。
なので次の瞬間には、リヤカータイプの屋台を引っ張りつづけてすっかり汗だくのヘロヘロになった全身豹柄のシトリーが入ってくる。シトリーはついに死力を振り絞ってのラストスパートであるが、他の出走者にとってはこれからようやくスタートである。
「走るのがぁ〜! 好きだからぁ〜ッ!」
延々裸で待ちつづけていた剛の者、上野が大声を上げてスタートする。
走るのが好きなだけに、しっかり腕を振ったキレイなフォームで見事なコーナリングを見せる上野。何も隠さずに腕を振っているので、見せてはいけないものまで見せてしまっているが、画面に収まっていないので問題はない。
画面に収まっていたのは、ゴール間近からのスタート組であった。
「いち、に、いち、に‥‥」
必然的に先頭であるあずさだったが、プチお兄さんズを用意したのが大失敗であった。あまりに狭すぎる歩幅に合わせねばならず、ほとんど進めていない。
一方、打って変わっての好スタートは湯ノ花だ。さっくり10mほど走ると、最初のメロンパンをあっさりくわえる。一口サイズのメロンパンなので、一瞬で完食である。
100m地点の二人は、共に100m地点から進めていなかった。ガブリエルは持っていたバットでグルグルバットをはじめており、三半規管のシェイクに忙しい。対する伊集院はテンションが下がりまくっていた。長すぎる待ち時間に熱湯もすっかりぬるま湯になり、ただの重い湯船を引っ張る人に成り下がっていたからだ。そして、荷車が重すぎてなかなか動き出せずにいる。
それに比べ、重ハンデ組は快調だ。雅楽川は巨大扇風機のアシストもあり、快調に走り出している。高い帆のせいでややよろよろした感じは否めないが、コーナーワークも問題ない。
「止められるもんなら、止めてみんかい! ウァッハッハ!」
そして、ロードローラー以上の迫力の、まさに重戦車ともいうべきなのが本郷だ。すべてを押しつぶすべく、スタートと同時に怒涛の追い込みである。
しかし、向こう正面の直線はそれでよかったものの、第3コーナーをうまく曲がれずに外埒を破壊しまくっている。直線的に進んでは破壊の限りを尽くして方向転換、その繰り返しで大きなタイムロスである。
そして、湯ノ花があずさに追いつきかけたところで、2つ目のメロンパンである。今度は普通サイズのメロンパンだが、これも難なくクリアである。
酒を飲めば飲むほど強くなるのが酔拳ならば、メロンパンを食べれば食べるほど速くなるのが湯ノ花なのである。未だムカデ競走に悪戦苦闘のあずさの横を、湯ノ花が追い抜いていく。
そのころ、100m地点ではようやく伊集院が動きはじめていた。指し湯をしてもらったのが効いた模様。実際には余計に重くなっただけなのだが、こういうのは精神状態がものを言うのである。
そしてグルグルバットを終えたガブリエルが、レスラーらしく大玉にローリングクレイドルをかけながら回りはじめる。
しかし、ローリングクレイドルは狭いリングをグルグル転がる技なので、円を描いて同じ場所に戻って来てしまい、未だ100m地点である。
そして、ようやく向こう正面に入ったシトリー。いくら獣化しているとはいえ、背負ったハンデが重すぎた。温存しておいた俊敏脚足を駆使するが、それでもゴールまではまだ1km以上ある。
直線の坂に入り、これからカメラに映るための着替えゾーンに突入する上野。ジャージに着替えるために立ち止まらなければならず、突然悶絶して苦しがる上野。
「マグロが常に泳いでいないと死んでしまうように、うさぎが寂しすぎると死んでしまうように、走りつづけていないと死んでしまう厄介な体質の持ち主なのです!」
ついに力尽きる上野。しかし仰向けに倒れたものだから、その様子を映すわけにはいかなかった。
ドーン! そこへ、突如轟音が。本郷がいつの間にか内埒を突き破って、名物の大けやきに激突していた。さすがに大けやきを倒すには至らず、交通事故状態である。が、むくっと起き上がると何事もなかったかのように死の行進を再開する。
先頭を走る湯ノ花は、ついにゴールまで20m。メロンパンもサッカーボールサイズになっていた。すでに口にくわえられるかどうかではなく、完食できるかどうかが問題になりつつある。
「今日は‥‥限界に‥‥挑戦‥‥してみま‥‥うぷっ‥‥す‥‥」
が、ダテにメロンパン芸能人を名乗っているわけではないので、苦しみながらもクリアである。
「やはり、三半規管は揺らしつづけてナンボですわね。ここは地獄車ですわ!」
ローリングクレイドルに問題があるとようやく気づいたガブリエルが、今度は大玉と一体化してまっすぐにゴロゴロと転がっていく。
だが、トップをひた走る湯ノ花は、いよいよゴール目前である。しかし、最後の関門が待ち構えている。文字通りの関門として。
それはメロンパンの壁だ。湯ノ花発注の東京ドーム1杯分はムリだったものの、かつてのベルリンの壁のようにそそり立っている。これだけの大きさのメロンパンを焼くなど、その製作過程を番組にした方がいいんじゃね? とも思えるが、感心するよりも引く方のビックリ状態でそれどころではない。
そんなころ、本郷はコースを無視して茨をものともせずバラ園をも蹂躙し、ついにはできたばかりのターフビジョンへと向かう。
多少の損害は覚悟の上とはいえ、さすがに総工費32億円のターフビジョンが傷物にされては困るので、スタッフが止めに入る。
「もう誰にも止められ‥‥ぬおっ、なんだおまえら‥‥うわっ‥‥」
暴れん坊の本郷をものともせず、数人がかりでどこかへと連れ去っていってしまうスタッフたち。
一方のコース上では、雅楽川がうまく風にも乗って、ガブリエル、伊集院を追い抜いていた。が、抜いたところでピタと止まる。
「どう越えたものでしょう‥‥?」
そう、メロンパンの壁で全員が足止めである。雅楽川が悩んでいる隙に、再びガブリエル、伊集院が抜き返していったが、壁を制覇しないことにはどうにもならない。
ここであずさがようやく10mを走り終え、次の騎馬戦に突入する。お兄さんとプチお兄さんズを抱え、一気にスピードの上がるあずさ。上と下の人数が逆だろうという話もあるが、できてしまうものは仕方がない。
あっという間に残り10mを走り終え、ラストの組体操にかかる。題目はサボテンであるが、これまたあずさが下なので楽勝である。
が、やはり待ち構えているのはメロンパンの壁である。しかし、あずさは重い装備が一切ないのが幸いした。一気に乗り越えてしまう。そして、着地したところがゴール、1位入線である。
そこへ、ついにシトリーまでもが追いつく。だが、シトリーには屋台が、伊集院には荷車が、雅楽川には自転車が重荷であった。
そんな3人を尻目に、ガブリエルは大玉を先に放り投げ、そして自分も乗り越えて2位入線となる。
「こうなったら、ふやかすか‥‥」
浴槽のお湯をメロンパンにかけはじめる伊集院。気の遠くなる作業である。と、そこへ助走をつけた雅楽川が突っ込んでくる。そして、突き破って3位入線を果たした。白組の最後の意地のチームプレーというところだろうか。
そして、そこを伊集院帝が通り抜け、さらにシトリー幽華もそこを通ってゴールした。
1着 1 あずさ&お兄さん:赤+3
2着 3 ガブリエル御巫:赤+2
3着 6 雅楽川陽向:白+1
4着 4 伊集院帝
5着 8 シトリー幽華
中止 5 上野公八(裸族の誇り)
中止 2 湯ノ花ゆくる(小食)
失格 7 タケシ本郷(強制退場)
結果、以上のように確定し、赤組5点、白組1点となった。
また、敢闘賞には無意味に最長距離を走ったシトリーが選出され、赤組にさらに4点が加えられた。
こうして、本番組におけるPSFの得点は赤組9点、白組1点と赤組の圧勝に終わったが、果たして最終的に勝つのはどちらの組であろうか?