事前打合せ済ドッキリアジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
牛山ひろかず
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芸能 |
フリー
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獣人 |
フリー
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難度 |
普通
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報酬 |
0.8万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
03/07〜03/09
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●本文
TOMITVの会議室。ムダにアツい上司が、部下を呼びつけていた。
「天然ボケと、天然のフリをした計算ボケ、どっちがスゴいか分かるか?」
「そりゃ、どっちかに関わらず、ボケのレベルが高かった方がスゴいんじゃないですか?」
「バカヤロウ!」
いきなり上司の鉄拳制裁。ムダにアツい上司だけはある。
「俺らはそのボケを使う側だろうが。よく考えろ。天然ボケはいつその天然が炸裂するか分からないから使いどころがむずかしい。だが、計算ボケは随所に計算して天然風味のボケを散りばめられるんだぞ。どっちが使いやすい?」
「まあ、同じレベルのボケができるなら、計算の方が確かに上ですよね」
「そういうことだ!」
別に意味はないが、流れで上司の鉄拳制裁。ムダ以前の問題でアツい上司である。
「まあそういうわけで、黙ってそういう計算ボケを待っている時代は終わった。ちゃんと俺らで育成の場を設けなくちゃいけないと思うのよ」
「それはいいことなんじゃないですか?」
「で、寝起きドッキリってあるだろ? あれを事前に翌朝やると伝えてホテルに集めて、それで一本撮ってこい」
こうして、寝起きドッキリ参加者募集という、ドッキリらしからぬ堂々とした募集がされた。
●リプレイ本文
「おはようございます」
ひそひそ声での挨拶は、朝葉水蓮(fa2986)。事前打ち合わせ済であろうと、リポーターが巫女であろうと、ひそひそ声での挨拶はお約束である。
「うちは今、藤元珠貴(fa2684)さんの部屋の前に来ているのじゃ」
朝葉がドアノブを回す。事前打ち合わせ済なので、当然鍵も何もかかっていない部屋へと入っていく。
まず目に飛び込んできたテーブルには、飲みかけのコーヒーや紅茶があるかと思えば、ブランデーの瓶も並んでいる。
「寝たいのか、寝たくないのか、どっちだったのかのう?」
そしてベッドの方に目をやれば、藤元は衣装に着替え、メイクもばっちり。服に皺が付かないように掛け布団は使わず、分かりやすいまでの待ち受けぶりである。
「おはようなのじゃ」
普通に身体を揺すって起こす朝葉。
「あ、おはようございます」
着崩れないよう、不自然なまでにキレイに起き上がる藤元。どう考えても来るの分かってて待ち構えてただろう、というキャラで徹底したようだ。
「では、うちは寝てくるからの、後は任せたのじゃ」
最初のリポーターの大役を終え、朝葉が自室に戻っていく。無論、自分のドッキリのために寝に戻るのである。
「おはようございます」
ひそひそ声での挨拶は、やはりお約束である。バトンを受けた藤元が、今度は風和浅黄(fa1719)の部屋の前に来ている。
同じ事務所の知った仲ということもあって、藤元はつかつかと入っていくと、カメラを手招きしながらベッドのところまでやってくる。
「朝です、起きてく‥‥ゴツ」
だが、藤元が言い終わる前に、鈍い音をマイクが拾う。起き上がりかけた風和が、マイクに頭をぶつけたのだ。
狙い済ましてならばキングカズの持ちネタであるが、風和は素で寝ぼけてぶつけたので、額を押さえてうずくまったまま動かない。寝起きの激痛に、リアクションどころではないのだ。
「‥‥だ、大丈夫?」
しばらく待っても反応がないので、さすがに心配になって藤元が声をかけると、ようやく返事があった。
「お、おはようございます。人生最大級の不覚を取った気分です‥‥」
「ですよね」
ボヤキをさらりと肯定されて、落ち込みを通り越してすがすがしい気分で朝を迎えられた気がする風和。
「おはようございます」
ここでメインリポーターが風和に切り替わって、風和のひそひそ声での挨拶で蘇芳蒼緋(fa2044)の部屋の前である。
が、中はもぬけの殻であった。
「そういえば、昨夜は玖條響(fa1276)の部屋で話し込んでいたみたいだな」
「よからぬことになってなければ、よいのだけれど‥‥」
二人が玖條の部屋に駆けつけると、よからぬことかどうかは分からないが、玖條と蘇芳は同じベッドで寝ている体である。
「ちょっと、ちょっと。何やってんスか!?」
風和がぞんざいに玖條を揺する。
「はっ! 蘇芳さん、起きて下さい! 朝ですよ。しかもパパラッチが!」
バッと飛び起きたがカメラを確認すると、風和たちを指差す玖條。無論、蘇芳だって起きてはいるが、設定上起きられないだけである。
「‥‥って、まさか本気で寝てるんですか!? 蘇芳さーん!」
耳元で大声で叫ぶと、さすがに蘇芳も起きることになる。
「ん、おはよう‥‥」
「起きられたでちゅか? エラいでちゅねー」
玖條に頭を撫でられるも気にすることなく、おはようのチューをしようとする蘇芳。
「うげっ!」
が、海外の挨拶風に軽く頬にするハズが、寝ぼけ眼にリアリティを求め過ぎて視界がはっきりしなかったため、口元が狂ってしまい唇と唇が触れてしまったのだ。
とはいえ、まだ寝ぼけているという設定上、堂々と悶絶できるのは玖條のみである。
「えーと‥‥」
風和と藤元としても、コトがコトだけにどうツッコミを入れていいのか分からず、生温かく見守るしかない。
玖條はしばらく、驚きと怒りとでしばらくプルプルしていたが、ようやく設定を思い出した。ボカッ! 恥らってベッドから突き落とすハズが、鉄拳制裁に変更である。
「蘇芳さん、朝ですよ? 永久に寝させてあげましょうか!?」
さらに蘇芳を引きずり上げる。胸倉をつかんで拳を振り上げている玖條の眼が、危険な光を宿していることは言うまでもない。
「すみません。起きました‥‥」
蘇芳は敬語で土下座である。
「おはようございます」
そして、何事もなかったかのように、ひそひそ声での挨拶は玖條と蘇芳である。前に何があろうとも、これだけは外せない。
「俺たちは今、玲(fa0923)さんの部屋の前に来ています」
「やっと寝起きドッキリらしい感じになってきたな!」
「声がデカいよ!」
蘇芳が風和に声の大きさを注意されるが、その風和の注意の声も大きい。だがしかし、部屋の前でいくら騒ごうとも問題ないのがこのロケの利点でもある。
「蘇芳さん、エロですよ、エロエロですよ!」
「騒がない!」
玲は布団も掛けず、浴衣をわざと着崩しまくりで、グラビア用の水着が丸見えである。グラビアモデルらしい、分かりやすいまでのお色気攻撃である。
「玲さん、朝ですよ」
玖條が声を掛けるが、玲にベッドに引きずり込まれてしまう。ついでに蘇芳までもが、ベッドに押し倒されてしまう。
「あら? いつもと違うのね‥‥今夜は私の好きにしていいの?」
「うわっ!」
返事を待つまでもなく悲鳴も無視して、右手で玖條の、左手で蘇芳の胸ボタンを器用に外していく。起きていてもむずかしそうな芸当である。
「三人でなんて初めて‥‥え? 三人!? きゃーっ!」」
ここでようやく気づいたという体である。
「な、何? なんなんですか、これ!?」
棒読み気味なのはわざとではない。むしろ、わざと棒読み気味なのである。
「おはようございます、寝起きドッキリです」
「えー! ドッキリ!? もう‥‥いつもと違うからおかしいな〜って思ったら‥‥」
玖條が種明かしをすると、今度は演技過剰気味に答える玲。
「いつもって、普段からこういうことを?」
「え? いつもは、すぐに体勢入れ替えられて‥‥って、何を言わせるのよ!」
蘇芳の質問に、キレイなノリツッコミの玲である。
「もう、恥ずかしいから終わりっ!‥‥おはようございます!」
何事もなかったかのように、ハイテンションにリポーターに回る玲。それでも、ちゃんと声をひそめるのはお約束である。
「私はなんと、富士川・千春(fa0847)さんの部屋に来ています!」
が、ベッドの中にいたのは、いや置いてあったのは獣の石像であった。しかも、褌装着とさっぱり意味不明である。
「同じようなことを言った記憶があるけど‥‥そういえば、昨夜はビスタ・メーベルナッハ(fa0748)の部屋で話し込んでいたみたいだな」
「私も同じようなことを言った気がするけど‥‥よからぬことになってなければ、よいのだけれど‥‥」
風和と藤元が、どこかで聞いたセリフを繰り返す。
「そういうわけで、なんとなんとビスタさんの部屋の前に来ています!」
なぜかすっかり興奮気味の玲。果たして、ベッドには頭まで布団をかぶった状態で、その中で明らかに絡み合っている。しかも、寝ているはずなのに動いているという、演出過剰ぶりである。
「こ、ここで何があったのでしょうか‥‥この二人、とても仲睦まじい様子です‥‥」
しばらくその様子を眺め、ついついハァハァしてしまっていた玲だが、
「では、改めて‥‥おはようございます!」
おもむろに掛け布団をガバっと剥ぎ取る。そこには、絡み合って寝るビスタと富士川の姿があった。それは、寝相が悪いで済ますには多少の無理がある格好である。
「な、何をしているのですか?」
いきなり核心に触れる玲。
「プロレスの練習をしていたわ。芸能人たる者、いつどんなお仕事が来るかわからないじゃない?」
演歌とプロレスがどうつながるのかは分からないが、富士川が寝ぼけながらもきっぱりと答える。
「千春さんったら激しいんだもの、すっごく感じ‥‥もとい、痛かったわよ」
そこへビスタが余計な相槌を入れるものだから、玲はヒートアップ!
「い、痛い!? か、感じる!? 具体的には、一体どのようなことをっ!?」
すっかり興味津津で、玲が聞き返す。
「えっと、そうそう。松葉‥‥蟹を食べたりとか、駅弁‥‥を一緒に食べたりとか」
なぜ急にプロレスから食事の話になるのかは分からないが、微妙に妖しい発言のビスタ。
そんなこんなでビスタと富士川も加わり、リポーター勢も7人の大所帯となって、いよいよ最後の朝葉への寝起きである。
今回のメインリポーターのビスタが入ると、朝葉はすっかり熟睡してしまっている。朝一番のリポートが終わってから長かったので、待ち疲れて寝てしまったのだ。そう、ここに来て、急にリアルドッキリである。
寝ている朝葉の耳元に息吹きかけてみるビスタ。
「うーん‥‥」
寝返りをうつ朝葉。その様子に、ビスタの何かに火がついてしまったようだ。今度は、軽く耳をくすぐってみる。
「あぁ‥‥うむ‥‥」
朝葉の反応を見ているウチに、すっかり盛り上がってくるビスタと玲。なんだかんだで、さりげなく富士川も混じっている。
「ちょっと‥‥」
風和が困ったように言おうとするのを、藤元が止めた。
「さ、私たちは出ていった方がいいわ。ここからは、男子禁制の知ってはいけない領域よ」
藤元が男性陣三人を追い出すように、一緒に出ていってしまう。部屋の中で何が行われているのか? もう知る術はない‥‥。
その後、彼女たちはもう何泊したとか、しなかったとか。