花火大会会場警護アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
有天
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芸能 |
1Lv以上
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獣人 |
3Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
7.9万円
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参加人数 |
10人
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サポート |
0人
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期間 |
07/26〜07/30
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●本文
「火事と喧嘩は江戸の華」と言う言葉がある。
この「火事」、「花火」の意味も含んでいるのは現在意外と知られていない。
江戸時代地鎮祭やら庶民の幕府への不平不満、産業工場色々な意味で始まった江戸の花火大会。
今や夏の風物詩と定着している。
古い運河沿いの鉄工場跡地を改装して作られた作られたライブハウス「7(セブン)」。
厳ついコンクリートの外壁と大きな赤錆が浮いた鉄の扉が印象的で、来る人を拒むように聳え立つ。唯一ライブハウスである証拠と言える物はネオン看板ぐらいである。
この「7」夏になると以前は近所で行われる大体的な花火大会に併せてライブをしていた。
「7」のメインステージ裏の大扉を開け、川に上がる花火を見乍らのライブである。
昨年は親父さんの体調不良によりお休みをしていた。
だが今は親父さんも完全復活し、店長も浩介に引きついでいるので、名物のライブをしてみようと言う事になった。
併せて商店会から要望があった打ち上げ会場近くの公園で前日と当日の昼、花火大会を盛り上げるライブを依頼されていた。
「‥‥‥人が集まるかどうかだが、まあそれはそれだな」
●花火の打ち上げ時間
土曜日 19時〜21時迄
雨天及び強風時 順延 翌日同時刻(土日が雨天の場合は、翌々日の月曜日実施)
●警備員募集
花火大会が行われる会場近くの公演の警備をお願いします。
商店会から危険防止及び防犯の為に泊まり込みの場所取り行為を禁止しているにも関わらず泊まり込む輩や設置されたステージに昇ったり悪戯をする近所の悪ガキやら器物破損をする酔っ払いが出没します。
また、季節柄個人グループで花火をしたりする若者もいたりする訳ですが、それらからステージと公園を守って下さい。
またライブ日は簡単な屋台等も出る為スリ・置き引き等が過去多数発生しておりますので、それらの防犯も併せてお願いいたします。
警備にあたる方々には町内会から公園防犯に関わるIDが貸出され、未成年者も警備にあたれますが、18歳未満の方は22時以降の公園夜間巡回をお断りしています。
スケジュールを打ち合わせて、24時間警備するようお願いいたします。
公園内設備:トイレ3箇所、仮設トイレ10箇所×5個、水道設備、他目的運動場(草野球等ができる)1個、学童用遊具(滑り台、砂場等)、植木等立ち木、花壇
「まあ、そういう訳で予備日を含めた5日間公園を守りきってくれ。まあ‥‥毎年、ガキ共の喧嘩やら商店会も苦労しているんでな。頑張ってくれ」
●リプレイ本文
●顔合せ
各事務所から指定された公園の警備員詰め所に集まった一同に大会関係者である事を示すIDと簡単な公園施設案内図が配られる。
「まず君らに注意しておくことがある。公園管理事務所からクレームが来た」
浩介の言葉にざわつく一同。
「花壇に仕込んだフラッシュの件、申請をしなかっただろう。花壇の手入れに入ったボランティアが踏んでしまったようだ。看板は連絡済だったので伝達事項に漏れだと謝っておいたが、こういうイージーミスは大事に至ることが多い。充分注意して欲しい」
浩介が一同を見回す。
「のっけから説教を食らうとは思わなかったな」
詰め所の中で溜息を吐く一同。
Celestia(fa5851)は良かれと花壇に設置したフラッシュを指摘され、しゅんとしていた。
「気分転換に飴でもどうじゃ?」とポケットから飴を取り出す天音(fa0204)。
子供を釣ろうと思って持ってきたんじゃが。とセラに飴を渡す天音。
気分を一新して警備方針を確認する一同。
「花火会場で起きるであろう事柄は‥‥喧嘩、迷子、トイレ行列、ゴミ問題、行き帰りの誘導、こんなもんかな?」と鬼頭虎次郎(fa1180)。
「あと、置き引きとかも考えられるだろうな」
「人が集まるところには何かしらあるもんだよな」とリン紅原(fa1326)。
「公園の防犯は、地元の人達、特におばちゃん達の協力が必須だな。弱者対象の犯罪防止には有難い戦力だ」と樋口 愛(fa5602)。
「近所の皆さんへの指示としては『単独行動をせず、トラブルを見かけたら我々に連絡を取る』って所か?」と緑川安則(fa1206)。
「泥酔者を忘れてはいかんじゃろう? 泥酔者は他の者の迷惑になるかもしれんのじゃ」と天音。
「しょうもねえ奴は本部に連れて行って水飲ませておくかな」とヘヴィ。
「普通の酔っ払いなら話を適当に合わせて、適当な場所に連れて行くとかになるわね」と天目一個(fa3453)。
「迷惑といえば、植栽や駐車関係の簡易整備‥‥危険な出っ張っている枝は紐でまとめ、路駐はどかし、乗入れ対策のポール据付って所か?」と愛。
「連絡関係はトランシーバーが良いだろう‥‥ここ数日は各地で花火大会があるので携帯は繋がり難いだろう」と虎さん。
「相互連絡で現場急行が鉄則だな」と愛が応じる。
「喧嘩に関しては‥‥仲裁しても駄目だった場合は、最終手段は双方を抱えて警察の所に連れて行くか?」と虎さん。
「そういえばどこかの祭でも問題が起きて、色々な事が取りやめになった。とか最近よく聞くよな」とやーくん。
「そうならないようにするのが俺達の役目だな」とリン。
「チビなら双方の言い分を聞いた上で諭して置けばいいだろうが、若者は突っ掛かって来るようなら『署で話を聞いて貰いたいのか』と威圧したりしてもいいんじゃないか?」とヘヴィ・ヴァレン(fa0431)。
「まあ、暴行の現行犯で相手が襲って来たら、自己防衛の為に反撃して捕縛するしかないだろうな」
「俺は一般人に手を出すつもりはない。俺がそれをすることは許されないからな」とリン。
女性とはいえ、プロレスラーである。
プロレスラーとして守らなくてはならないルールはある。
大丈夫なのか? と心配する問いに、
「尤も相手が手を出してくるなら防御はしっかりする。荒事には慣れてるからその辺は任せてくれ」とリンは笑った。
「わしも特殊警棒はいつでも取り出せるような形で携帯しておくが、あくまでこれは脅しじゃな」とドワーフ太田(fa4878)。
「迷子は‥親を捜すことになるだろうな‥‥」と虎さん。
まぁ、怖がらない子供に関しては最後まで自分で面倒見るつもりだが‥‥。最後のやや小さくなるのは強面の自覚がある虎さんだが、こう見えても子持ちだったりする。
「保護して放送掛けてから本部で預かって貰うでいいんじゃないか?」とヘヴィ。
「拙者もそう思うぞ」と天音。
「徹夜組の散し方だが‥‥」
「祭っていうテンションと夏の暑さがそうさせるのか。気持ちはわからなくもないが行動にしていいことと悪いことがあるからな」とリン。
「大人は近隣深夜営業店舗に散らすか? 未成年は引率者か親権者か補導員にでも連絡とって任せちまおうぜ」と愛。
「そうじゃな。子供の場合は連絡先が判れば引率者や親権者に、判らんようなら補導員を呼ぶことにしよう」とドワーフ。
補導員は、近所の派出所か商店会の役員に聞けば判るじゃろう。
「『ルールを守れねえ奴に参加して貰う訳にはいかない』って事で参加禁止をちらつかせるのはどうだ?」とヘヴィ。
「参加禁止はやりすぎのような気がするのもあるが、もし禁止にしたとして、どうやって人込みの中からそいつを見分ける?」
うーん? と唸ってしまった一同。
「『こういった事が続くとイベント事態の中止や様々な規制が発生する事になる』と懇切丁寧に泊り込みの行為が、全員の不利益になる事を話して納得して解散させた方がいいと思うわよ」と天目が提案する。
「トイレに関しては‥‥こればかりはちゃんと並んでもらうしかなかろう‥‥」と虎さん。
「ライン引きをして、フォーク並びは順番待ちの基本だな」と愛。
「フォーク並び?」
「櫛状に1つ1列だと前の奴がゆっくりで、隣が早いとなれば早く並んだのに入るのが遅くなることもあるだろう? フォーク状なら空いたトイレに次々入ればいい」
「ああ、なるほどね」
「あとトイレと言えば、最近何かと話題になっている『盗撮や痴漢』にも注意が必要だろうな」とセラ。
男女別に別けるか? という問いに、
「ある程度は人の視線や足捌きで不正を行おうする者は差が出るからわかるだろう。後は、清掃を小まめにして不審物がないか見回るしかないだろうな」
その為にもグループ分けする場合は、1チームに最低女性が1名いないと駄目だと思いますよ。とセラは言った。
「ゴミ問題に関しては、拡声器などを使って『ゴミはここに捨ててください』と連絡を常にするようにしなければな‥‥」と虎さん。
「遊具類等の園内清掃の打ち合わせはしないといけないが‥汚いと汚損の原因だし、不審物チェックにもなるだろう」と愛。
「ある程度はトイレも含めて業者がやってくれると思うけど‥‥」
「屋台警備の打ち合わせも必要だろう。期間中は定時毎に声をかけ、不審者不審物の防犯協力要請だな」と愛。
「一番いいのは集まって貰うのだろうが、屋台が設置の時に声を掛けてもいいだろうな」
そっちの方が場所と顔が一致しやすいからかえって便利か? という事になる。
「あと、折角許可を貰ったんだし、防犯を促す看板も作るわね」と天目。
「ついでやから『花火・火気厳禁! 違反者には奉仕作業をして頂きます』の旨を書いた看板・コーンを立ててまわろうや」
罰金より、そういう罰のほうが逆にナメられんもんなんやろか? と観月紫苑(fa3569)。
「世の中、金で何でも解決できる。っていう勘違いした奴がいるからね。それに金の管理が面倒になるしな」
「後は打ち上げ当日は人員整理に対して総動員態勢くらいか?」とドワーフ。
「あとは、問題が起これば単独で解決しないようにして、みんなで解決する。警備行動の基本は数で押し切るってね」とやーくん。
ちょうど男女同数ということで外見の年齢などを元にペアを組むことにする。
ヘヴィ・ヴァレン・Celestia
鬼頭虎次郎・リン紅原
緑川安則・天音
ドワーフ太田・観月紫苑
樋口 愛・天目一個
と分かれてペアを組むことになった。本部に1ペア残して、他は見回り・休憩等をローテーションする形で警備にあたる事になった。
●前夜祭
「やめんかい、ちびっ子ども! ラジオ体操に出られんようになるでー」とミズキがコーンをすり抜け、ステージに上がる小学生達に一喝する。
「へへ〜ん、ばーか、ばーかっ!」と笑って、あっかんべーをする小学生達。
「現行犯は、素人でも逮捕できるんやで」
ミズキの言葉にギクリとする小学生達。
「お父さん、お母さんに怒られるだけやない。お巡りさんや学校の先生にも怒られるでー」
「おぬしらがステージから万が一落ちて怪我をしたらコンサートや‥‥もしかしたら花火大会までなくなってしまうかもしれんのう。そうしたら友達からも怒られるじゃろうなぁ」
ドワーフの一言が止めを刺したようで、すごすごとステージの上から降りる小学生達。
そして陽が暮れ、商店会の屋台がぼちぼち並び始め、無料ライブ(前夜祭)が始まろうとした頃、
公園の砂場で花火をしようとやってきた親子グループ。
「今宵は人が集う夜、無粋は止めて下さいな」とセラ。
「今日は花火はないでしょう? 別にいいじゃない」
「誰に迷惑を掛けるって言うの? ここには燃える物なんてないじゃないの」
こっちはちゃんとバケツも用意しているのだと、悪びれた様子がない。
実際、砂場等の児童用遊具施設はステージから遠い位置にある。
我が儘親子に梃子摺っているセラとヘヴィを休憩に戻ってきた虎さんとリンのペアが見つける。
「最低限のマナーすら最近持ち合わせていないのが多いのは辟易するな」と溜息を吐く虎さん。
「ルールを守れない奴等には早々にご退場願おう」とリン。
「『数には数を』って言うしな」
虎さんとリンは、セラとヘヴィの所に向かった。
●打ち上げ当日
そして花火大会当日、有料ライブ開場3時間前。
有料エリアを示すロープの周りには、チケット購入者らしき人影がちらちらと見え始める。
「席取りは、解禁時に一度に入れる人数を区切って一気に雪崩れ込まねえようにしたいな」とヘヴィ。
「入り口はしっかり見張っておかねばならんのは勿論。『押した、押さない』等で客同士のもめ事が起きんようにも目を光らせておくべきじゃろう」とドワーフ。
隠して「ライブチケット購入者 『先頭』」というプラカードが出来上がった。
「皆さん、折角のイベントですから仲良く場所取りしてくださいね。参加者の皆さんもそれを望んでますよー!」
やーくんがプラカードの後ろに並ぶ観客達に声を掛ける。
一部、座席取りに燃えていたグループがいたが、座席予定地をチケット販売数で頭人数割りした区画に順序良く観客を誘導することに転倒者や混乱は発生しなかった。
無事有料ライブが終了し、暫くすれば花火が始まる。「7」に移動して引き続きライブを楽しむ者、この場に残って花火を楽しむ者とまちまちである。
「しかし‥こー暑て熱いと、正常な判断ちゅーのができんのもおるやろなぁ‥‥」
ドワーフと一緒に巡回していたミズキがパタパタと手団扇で顔を扇ぐ。
「天気も何とか持ちそうじゃし、このまま何事もなく花火がスタートするとよいのじゃが」
陽が傾き、空には一番星が輝き始めていた。
「特に迷子とかおらんようじゃな」と天音。
やーくんと混雑する敷地を巡回する。
ドーンドーンと上がる花火の音に混じって、どこかで「喧嘩だ!」と叫ぶ声が聞こえる。
慌てて人込みを掻き分けながら進むと数人の男が一人の男を囲んで殴る蹴るの暴行を行っている。
「あー、お前ら。祭りだからって暴れるのは無しだぞ。暴れると警察のご厄介になってイベントを楽しめなくなるぞ」とにっこり微笑みながら声を掛けるやーくん。
「なんだぁ、テメェ? 関係ない奴はすっこんでろよ」
「そうだ、そうだ」
仲間の男に突き飛ばされるやーくん。
「抵抗確認‥‥現行犯逮捕して警察に引き渡す!」
やーくんと天音が特殊警防に手を伸ばす。
「なんだぁ、やんのかよ?」
男達は殴っていた男を放り出し、やーくんと天音の方に向き直る。
「まあ待ちな。兄ちゃん、折角の花火だ。野暮は止めようぜ」
割って入って来た男はどう見てもその筋の男。
「ガキ共、すっこんでるのはお前らの方だろうが。花火と歌を皆が楽しもうってのに邪魔すんのか? なんなら、そこの事務所に顔かせや。留守番組みが暇つぶしにお前らと遊んでくれるぜ」
男が顎で示す先には、体格のいい人相の悪い男達が並んでいる。
「どうする、ガキ共?」
「おい、やべぇよ‥‥」
こそこそと逃げていく男達。
「ま、仕事を取って悪いが、あの程度は花火の時はざらだ。こんなつまんねぇ事で芸能人が騒ぎを起こしちまうのはいけねぇぜ」
「どうして、それを?」とやーくん。
「俺ん所の息子があんたの出ているアニメが好きでなぁ、何回もDVDを見せられているから声で判るさ。それに‥‥」とIDタグを引っ張る。
「商店会で警備を頼んだ奴なら、今年は『7』で呼んだ奴らだからな。あそこは芸能人の出入りが多い。芸能人だと考えるのが妥当じゃないか?」
まあ、つまらない事で名前に傷つけるなよ。息子とこーちゃんに恨まれる。と男がにやりと笑う。
「こーちゃん?」
「『7』の店長だ」
くっく。と喉を鳴らす男。
「まあ、そういうこった。巡回、頑張れよ」
やーくんの肩をポンポンと叩き、人込みに紛れていく男。
「店長も侮れんの‥‥地回りに知り合いがおるとは」
こうして一部アクシデントがあったが無事ライブと花火大会は終了し、公園警備は終了した。と言いたい所だが、ヘヴィらがテント撤去作業等を手伝っている側で、
「まだまだ、ゴミ片付けが終わるまでは終了じゃないのよ! ほら、そこサボっていない!!!」
セラは初日の汚名挽回だと、元気に違反をした人間を尻を叩き乍ら片付けに精を出したと言う。