「7」ハロウィンLiveアジア・オセアニア

種類 ショート
担当 有天
芸能 1Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 1万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 10/30〜11/03

●本文

 古い運河沿いの鉄工場跡地を改装して作られた作られたライブハウス「7(セブン)」。
 厳ついコンクリートの外壁と大きな赤錆が浮いた鉄の扉が印象的で、来る人を拒むように聳え立つ。唯一ライブハウスである証拠と言える物は、ネオン看板ぐらいである。

「浩介、10月末と言えばハロウィンだな」
「‥‥いつも乍ら唐突ですね。と言いたい所ですが、手配済みです」
 店長の浩介は、1F用に新しく入れたキッチンのフライヤーを操作し乍ら言った。
「随分用意が良いじゃないか‥‥しかし、段々ライブハウスの親父ってよりコーヒースタンドの親父っぽくなっているな。エプロンが似合うぞ」
「‥‥文句言うならフライドポテトを摘まないで下さい。サンドウィッチとビール代も今月分から引いておきます」
 ああ言えば、こう言う‥‥‥段々、捻くれ者の親父さんに似てくる浩介だった。


●ハロウィンパーティイベント参加者募集!
 ライブハウス「7」にてハロウィンパーティを行います。
 ビートが効いた音楽に乗ってハロウィンを一緒に楽しんでみませんか?

 要仮装! 但し、オリジナルに限る。
 実年齢18歳未満の方、御入場はお断りさせて頂きます。

●料金表
『ライブチケット価格 3000円』
『VIPルーム+ワンドリンク +席料1000円』
『カップルルーム+フリードリンク +席料3000円』


●出演者募集!
 テーマ ハロウィン。
 グループを問わず、ソロ(奏者、歌手のみ)参加も可能。
 ピアノ&ドラムは、貸し出し可能。
 ライブでの演奏は、タイトル・歌詞・曲は、オリジナル限定。
 要仮装! 但し、オリジナルに限る。


●スタッフ募集!
 2Fにあるキッチンは本格的なものになります。あなたの腕を振われるのも一つです。

●スタッフ回覧
『場内、模造銃器武器類(鞭を除く)の持ち込み不可』
 コスプレの一部であっても、クロークに預けていただけない場合は、入場をお断りして下さい。
『カップルルームは、予約制なのでチケットを必ず確認する事』
『お客様の入場制限:実年齢18歳以上』
 18歳未満に見えるお客さまは、身分証などの提示を頂いて年齢を確認しましょう。
 特別ディスプレイもそれっぽくなりますが、恥ずかしがらない事。
 自分達が恥ずかしがっていると、出演者やお客様に影響します。堂々とお客様に対応して下さい。
『必ずスタッフジャンパまたは、Tシャツを着用の事。耳や尻尾程度の仮装は、可』
 お客様や出演者より目立たぬように。あくまでスタッフは裏方です。
                                        店長より。


「‥‥‥なんで鞭は、『可』なんだ?」
「改装の時、思いついたんですが、ディスプレイとしてマネキンのお尻に悪魔の尻尾を着けて並べるんですよ。営業時間の絡みもありますが、客層ターゲットを18歳以上に設定してみました。で、どうせ大人向けなら女王様は『あり』かと」
 法令により18歳未満は、21時以降ライブハウスに御入場頂けないのであった。
「‥‥‥そうか。まあ、店長はお前だしな」
 真顔で言う浩介に対し、赤面する親父さんであった。

●今回の参加者

 fa0038 黒曜・ブラッグァルド(26歳・♀・鴉)
 fa1359 星野・巽(23歳・♂・竜)
 fa2657 DESPAIRER(24歳・♀・蝙蝠)
 fa2683 織石 フルア(20歳・♀・狐)
 fa2870 UN(36歳・♂・竜)
 fa3547 蕪木メル(27歳・♂・ハムスター)
 fa4068 癸 なるみ(19歳・♀・兎)
 fa4371 雅楽川 陽向(15歳・♀・犬)

●リプレイ本文

●開演前
「Trick or Treat! ってな♪ 今日は、よろしく!」『鴉』の黒曜・ブラッグァルド(fa0038)。
「今日トップだから会場の『盛り上げ』、よろしく」とレンボーアフロ頭のピエロ、浩介がいう。
「お菓子はないが、アフロならあるぞ」と顔が黒い黒アフロの親父さん。
『ドレスコードならぬ仮装コードでアフロを他人に強要するのだ。これくらいしなくては』という浩介の提案に親父さんが折れた形になる。

「こんにちは、陽向さんと今回『wonder』を組む、癸 なるみです」
 挨拶に来た癸 なるみ(fa4068)は半獣で黒のタキシード、白のネクタイ。頭には白いリボンの付いた黒いミニシルクハット姿。雅楽川 陽向(fa4371)も半獣で黒いワンピースに白いリボン。なるみとお揃いの白いリボンの付いた黒いミニシルクハット。
 親父さんに「かわいいウサギとわんこだな」と言われて「狼女です」と陽向は食い付いていた。

「Happy Halloween、お化けたちの素敵な夜に‥‥」と『悪魔』のDESPAIRER(fa2657)。
「パワー溢れるステージを期待しています」と浩介、真面目に言うがアフロでは格好が付かない。

 ***

「さて、今日はハロウィンに合った料理を作らんとな」と本格的なキッチンに黒無地に白い狐ワンポイントが可愛いMyエプロンで気合いを入れる織石 フルア(fa2683)。
 パンプキンパイ、パンプキングラタン、パンプキンコロッケ‥‥をせっせとカボチャ料理作成に精を出す。くるりと包丁を使い、カボチャをくり抜き、中身は材料に硬い皮はお化けカボチャ風器へと変貌する。そこ迄作ったフローの手がぴたりと止まる。
 確かに元々のハロウィンはカボチャではなくカブだが、『カブ料理』も作りたくなったのであろうか?

 ボソリ‥‥「カブの糠漬けは、不味いだろうな」

 ***

「こんばんは。音楽事務所『ブルーム』所長の星野巽と申します。先日、うちのメンバーがお世話になりました」と頭を下げる『黒衣の魔術師』姿の星野・巽(fa1359) 。
「ああ、こちらこそ。あの時は楽しかったよ」と浩介。

 入り口近くで親父さんは一人でも多く道連れにするべく、仮装チェックに余念がない。
 グレーのシャツに黒のレザーパンツで『死者』の仮装をしてきたUN(fa2870) 。
「ちゃんと見ろよ。袖が擦り切れていて、いかにも『墓場から出て来た』って感じだろう」と抗議する。
「ふっ、ちゃんと顔色が悪かったら良かったんだがな」と『仲間が出来た』と嬉しそうな親父さん。
「靴墨とアフロ、どちらがいい?」
 あんは軽い気分で来たはずなのに、究極の選択を迫られてしまった。

 このやり取りを見ていて焦ったのは、蕪木メル(fa3547) である。自分もカジュアルなシャツにパンツスーツである。半獣化している為に耳が『ハムスターの耳』になっているだけで、あんと大差ない。『恥ずかしいアフロをつけろ』と言われたらどうしよう?
 そんな思いがメルを包むが、あっさりOK。あんとメル、明暗を別けたのは、ほんのちょっとの差である。

●ライブ開始
「はーい、ブラッグァさんですよ。今夜は楽しんでいこうぜ♪」

『Trick』
「 暗い夜 君がそこにいた
  奇跡のように 悪戯のように
  心が高鳴る その瞬間

  Trick 悪戯な天使
  Trick 悪戯な夜

  君がそこにいるだけで 甘い夜になる
  Your sweet candy 甘くて蕩けそうな夜
  悪戯な悪魔とともに 君と溶け合いたい

  お菓子のように 儚く消えるのだとしても

  Trick 綺麗な月のした
  Trick 儚く消える愛

  Trick それは悪戯
  Trick それは幻想

  Your sweet candy 甘いお菓子のように
  Good bye 君は溶けてしまうだろう
  それでも 僕は見える
  悪戯なような 綺麗な未来

  Trick 悪戯な夜
  Trick 悪戯な君

  今日と同じ夜に また出会う

  Your sweet candy 甘いお菓子のように素敵な君と‥‥

  悪戯な夜 Happy Halloween! 」

 明るめのポップ調でスタートした曲は、中盤でしっとりとしたメロディに変調する。台詞に併せてライトが赤から緑へと点滅する。更に曲調は後半、ポップ調へと変化して曲は終了した。

 歌い終わったブラッグァは、そのまま客席に降りて行く。
「楽しい事は大好きさぁ! ささ、盛り上がろうぜ♪」

 2番手はディー。スポットライトにディーの姿が浮かび上がる 。

『Party Time』
「 夜の中 闇の中 一人立ち尽くす
  あの日の光は遠く 今はもう記憶の彼方
  夜の中 闇の中 一人目を覚ます
  あの日の私ではない もう一人の自分が‥‥

  夜の中 闇の中 一人街を行く
  普段の私にはない 強さという翼を背に
  夜の空 闇を裂き 一人空を舞う
  心に絡みついた 鎖を全て断ち切って

  Yes, I’ve really changed そう 変わったの
  あなたの声も まして手など届かない
  Yes,I know it’s not real そう だから何?
  真実なんて どうせロクなものじゃない

  So let’s have a party!
  例え一夜限りの夢でも 今宵だけはそれこそがReal
  Let’s have a party!
  朝が来て魔法が解けるまで 翼が消えて飛べなくなるまで  」

 曲は暗く寂しく響くディーの歌声から始まった。段々と力強くなる歌に併せてディーがマントを脱ぎ捨てる。力強く疾走感のある曲に歓声を上げ、ヒートする観客。中盤、少し抑えしっとりと聞かせるが、ラストに向かって力強く変わり、高らか響きディーの歌が終了した。

●VIPルーム
 2Fキッチンにもダクトを通して、ステージの音が上がってくる。気を着けているつもりでもフローの耳と尻尾がリズムに揺れる。他スタッフもステージを見入っているのか、出来上がった食べ物を取りに来ない。フローは溜息をつくとエプロンを外し、サンドウィッチをVIPルームに持って行った。
「サンドウィッチ、頼んだの誰?」

 ギムレットを手に1Fフロアには入ろうとした所で、メルは浩介に呼び止められた。
「スミマセン。フロアへの飲食物の持ち込みは、御遠慮頂いています」
 確かに1Fフロアは、ALL STAND(立ち見)席である。カクテルを楽しみ乍ら、ゆっくりライブを楽しもうと思ったが‥‥残念そうにギムレットを見るメル。
「良かったらVIP席に空きがありますので、よろしかったらどうぞ」
 1Fからは想像し難い、白と黒のタイルと黒を基調にしたインテリア。間接照明に暗く浮かび上がるアダルティックなディスプレイに興味を示すメル。
 お詫びだとナッツが入った器を浩介は壁のカウンター席に置いた。
「今度は是非、奥様と御一緒にいらして下さい」

●フィナーレ
 スモークの中、カボチャランタン持ってステージに出てくる「wonder」の二人。
 幻想的な中、曲がスタートする。

『Special☆Night』
「 今宵 月の輝く夜
  オバケたちも騒ぎ出す
  そんなこと気がつきもしないで
  ベッドの上 眠たげに目を擦る君

  ねぇ そんなんじゃダメだよ
  だって今夜はハロウィン 特別な夜なのに
  ねぇ そんなボーっとしてたら
  取って置きの悪戯で 君のハート奪っちゃうから

  TRICK or TREAT
  君に魔法かけたいの
  TRICK or TREAT
  甘いお菓子だけじゃ足りないよ

  お菓子よりも甘い笑顔と
  とびっきりの悪戯で
  素敵な夢見せてね MyDarling♪  」

「Special☆Night」は、少女らしい甘い雰囲気を持ち乍ら、悪戯好きのモンスターがダンスをするような軽快な曲調をなるみのピアノが奏で、陽向も笑顔で踊り乍ら歌う。

「流れ星の願い」は、しっとりとした曲調でスタートした。途中から曲調が反転し、ミラーボールと演出とマッチして明るいポップな曲調に変化した。

『流れ星の願い』
「輝く空は思い集めた
  宝石箱だね そう呟いた
  君の横顔 現し世に消えた

  空に住まう僕の心も
  輝く空の一つになるよ
  遠い大地の君からは
  分からないかも知れないけど

  降りる夜の帳まとい
  流れる星の光になろう
  君の視界に入るだろうか?

  流れる星に祈る君の
  姿認め通り過ぎるよ
  涙持ち去り 空に帰ろう

  流れる星は願い叶えた
  空に住まう僕の心は
  君の流した涙と共に
  輝く空の一つになった
  笑顔の君を見詰めながら
  空でいつまでも輝き続ける 」

 一先ず、ライブは無事終了した。

●オマケ 閉店後奇譚
 浩介から「音響設備の点検を兼ねて触っても良い」とお達しを受けたフロー。嬉々とし乍らスイッチ迄押して楽しんでいた所、突然、大きな音を立てて照明が落ちる。
「ええっ、なんで?」焦るフロー。
 ふと、呼ばれたような気がしてステージの方を見る。その時、フローが見たものは!

 余談であるが「7」のある一帯は大空襲と大震災の被災者が多く出た地域である。フローが見たものの正体は、ディーあたりがいれば楽しく解説してくれたかもしれない。
 これは全くの裏のお話。