姫様漫遊記 偽者編アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
有天
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芸能 |
3Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
7.9万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
08/18〜08/22
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●本文
●娯楽時代劇ドラマ「姫様漫遊記」
ナレーション――
『天下太平世は情け、火の元の国を東西に分けての関ヶ原の戦いも遥か昔話になってしまった江戸の世。将軍様の末の末のそのまた末の姫に「あんず姫」という姫様がおりました。
あんず姫様は大層美しく‥‥俗に言うグレイビー(great beautiful)な少女でありました。
あんず姫様の母親「かさね」は元々は庶民の出、紀州の廻船問屋舟木屋の娘であったが、見習い奉公で大奥に上がった所、将軍様のお手付きになり、目出たく姫(あんず)を授かったのでありました。
将軍様には正室との間に若宮が何人もおり、あんず姫には全くお世継ぎ騒動は関係ないので、あんず姫はすくすくと真直ぐに優しく美しい姫に育ち‥‥‥ただし、一つだけ欠点がありました。
お忍び歩きが大好きなのです。
お忍び歩きには、生まれた時から親友で舟木屋から召し上がっている「あさぎ」が必ずお伴に着いて来る。
そんなある日、立ち寄った茶屋でふと庶民に流行っている「お伊勢参り」の話を耳にした二人。
「床に伏す母上様の為にお伊勢参りに行く」と言い出したあんず姫。
「人足集めのたか」の口利きで旅回わりの一座の踊子に入り込み、一癖も二癖もある一座の一行とお伊勢様を目指す二人。
だが、路行く街道で城や江戸では判らぬ諸処の暮らしを目にするあんず姫。
己の野望の為に民を苦しめるのを目の辺りにし、伊勢への道筋、世直し旅を決めたのであった』
●姫様漫遊記 役者募集
●あらすじ
あんず姫達、旅一座がやって来た宿場町。
ふと立ち寄った飯屋で耳にした噂話。
「‥‥‥ってな感じでな。全く恐れ入ったって感じよ」
「へぇ‥‥大したもんだな。若いっていうのに」
「甘い、甘い、甘いってもんだぜ。若いだけじゃなくって可愛いお姫さまだってぇいうのが泣けるじゃねぇか」
昼から酒を食らっている人足風の男が、仲間の男に絡んでいる。
姫と言う言葉を聞いて、隣ので席で城飯を山盛りにして食べていたあんずが箸を止めて訪ねる。
「‥‥‥そこの男。どこのお姫さまが、一体どうしたというのじゃ?」
「よくぞ聞いてくれた、お嬢ちゃん。将軍様の、本来だったらお城の奥で。よよ、よっと蝶よ。花よ。と大事に育てられて、一生俺達庶民の事なんか知らずに一生終わるってもんだろうが、庶民の暮らしを知る為、世の不正を正す為、将軍様の代りに世直し旅ってんだからよ。並じゃないぜ」
「将軍家の姫だと? 名はなんと言うのじゃ?!」
あんずの剣幕に吃驚する男。
「えーっと‥‥‥たしか、あんことかアンマンとか‥‥」
「あんず?」
「そう、そのあんず姫だ!!」
普段のあんずならば「妾も有名人じゃの‥‥やはりこの美貌と頭脳明晰、性格の良さというのは隠し切れないのじゃ♪」と言いそうなものだが違っていた。
「不味いのなり‥‥街道で噂になっているとは‥‥」
これでも一応、お忍び旅である。
はっきり言えば、こっそり江戸城を抜け出して来たのである。
ばれたら城で身替わりをしている女中にも迷惑が掛かるかも知れない。
(常識が欠落していると思われがちのあんずだが、その辺の常識は一応ある)
青ざめるあんずにお構いなしに離し続ける男。
「で、そのあんず姫がどうしたのです?」
「なんでも大川を流れる巨大な桃を堰きを壊して大きな被害を齎したので、先年の巨木を張り手で打ち倒して橋を一晩で作り直したってんだ」
「は?」
いや俺が聞いたのは、隣町で突然暴れ出した牛を踵落しで昏倒させた。
いやいや俺が聞いたのは、大岩を叩き割って温泉を出した。
女相撲で大関、横綱を倒して、賞金の米10俵を貰って行った。
「ふ‥‥甘いな。俺が聞いたのは、とんでもねぇ悪党で。怪しい萌茶屋の経営をしていると聞いたぞ」
いやいや、俺が聞いたのは実は天下の大泥棒で、盗んだ金は徳川埋蔵金として何処かに溜め込んでいるのだ。挙げ句は子供の飴を盗んだ。など様々である。
「‥‥‥そのあんず様、というのは、どんな方なのですか?」
これも様々で絵に描いた天女のようだ。ボンキュボンのナイスバディの美少女だ。
きりりとした竹を割ったような美少女だ。
髭が生えた乙女系筋肉男で困った将軍様が追い出したのだ。と様々である。
「本当の事も混じっていますが、半分以上は嘘の様ですね」
「偽者でもいるのかな?」
後援者小物(ファングッズ)も売られているのだと言う。
それに描かれているあんず姫は本人と煮ても似つかぬ絶世の美少女。
上から下迄あんずを眺めて言う旅の仲間。
「うるさい! 絶対、その偽者を見つけて『説得』ったら『説得』なのじゃ!」
●CAST
あんず姫:主人公
一人称 妾、二人称 呼び捨て、
口調:だ、だな、だろう、〜か? または〜じゃ、ナリ等、やや古い言葉
気が強く、サバサバした性格、お姫様なのでやや世間からズレた感覚を持っている。
旅一座では、踊子をしている。
●リプレイ本文
●CAST
あんず姫‥‥‥阿野次 のもじ(fa3092)
秋津・桃太郎‥青雷(fa1889)
英之介‥‥‥‥瑛椰 翼(fa5442)
安藤奈津姫‥‥アヤカ(fa0075)
あんずこヒメ‥DarkUnicorn(fa3622)
安寿姫‥‥‥‥メルクサラート(fa4941)
あんじぇ姫‥‥佐渡川ススム(fa3134)
お花‥‥‥‥‥百鬼 レイ(fa4361)
●何人いる!? あんず型量産姫登場!
姫というのは日々何処かで量産されているのかもしれない。
自ら名乗るもの、
まこと、気高き生まれのもの、
単なる服装がそれらしいもの、
人から讃えられそう呼ばれるもの、
だが、本人と周囲の思惑とは別に姫というのは『周りに迷惑を引き起こすもの』なのかも知れない。
『宿場姫様特集! これで一冊であなたのお好みの姫様がきっと見つかる!』
ぱっと見、色事本のような副題名がついている街の名物を紹介する情報誌では、宿場に出没する多々な萌えな姫を特集していたが、その中に小さく『偽あんず姫』についての記事が載っている。
「偽者‥‥世の中には似たようなそっくりさんが三人はいるというが‥‥きっと帯の線が一本多かったり、目つきがだったり、胸が‥‥‥なわけないのじゃぁ!!」とあんず姫。
「俺の偽者はいないのかよー、残念」と溜息を吐く英之介。
「安寿(あんじゅ)に安子(あんこ)、甘夏(あまなつ)、あずき‥‥色んな種類の偽者がいるが、悪人でないなら無視しようぜ」
この調子なら100人はいそうだ。と呆れる桃太郎。
「妾は1つ見かけたら100倍いるという黒い物体Xではないなり。本家本元の危機なのじゃ!」
「‥‥‥止めても無駄は、いつもの事か。放って置いて怪我をしたら困る付き合うぜ」
そう桃太郎は溜息を吐いた。
●安藤奈津姫
「餡入り唐から伝わった甘くて美味しい揚げ饅頭『安藤奈津』は如何じゃ〜☆」
道端で洋風菓子の餡入り揚げ饅頭を売っている安藤奈津姫。
動きやすいように短い裾丈の着物で、はだけた胸元は膨らみがさらしに窮屈そうに押し込められ、健康的なお色気を振りまいている。
珍しい菓子『安藤奈津』を単に目当てではなく、爽やかな笑顔の安藤奈津姫を目当てに来ている客も多い様である。
「昔むかしある国に『山姫』と『壁姫』がおりました‥‥‥」と唐突に話し出す英之介。
「山姫に壁姫?」
「え? あぁ壁姫ってのはな、そうだな‥‥‥‥丁度あんずみたいな、つるぺ‥‥‥ぐぇ!」
あんずに鳩尾に肘鉄を食らう英之介。
「真偽の程いかなろうとも、凶暴さ真なり‥‥‥」
「‥‥余計なお世話なり。後1、2年すれば胸の一つや二つ、豊かになってみせるのじゃ」
やり合っている英之介とあんず達に気がつき、側じゃって来る安藤奈津姫。
「一つ、いかがなのじゃ? 甘くて美味しいのじゃよ☆」
「一つと言わず、お嬢さんを含めてお持ちか‥‥‥ぐふ‥‥っ」
英之介の頬にあんずの拳が炸裂する。
「連れが失礼したのじゃ‥‥そなたが『あんず』姫か?」
「あんず? 違うじゃ。あたいは揚げ饅頭『安藤奈津』売りの『安藤奈津姫』じゃよ」
「どうやら伝言遊戯の類いで『誤り』が混じったようだな」
「何処をどう間違ったか‥‥‥迷惑な話なり」
安藤奈津に偽者騒動で迷惑を掛かっていると話すあんず。
「それは大変申し訳ない事を、失礼したのじゃ。お客さんが勝手に呼び始めた事じゃが、なるべくそう呼ばないようにお願いするのじゃ」
これはお詫びじゃ。と安藤奈津を手渡す安藤奈津姫。
「今日の販売分もこれでお終いじゃ。この後、暇だから他の人の説得とかもお手伝いするのじゃ〜☆」
●あんずこヒメ
雑誌の記事を元にもう1人の似あんず姫の所じゃって来た一行。
「あ、あれだな」
十二単に付けウサ耳、大量の餡子が入った金盥に日傘と言う姿の偽あんず姫。
側にはためく幟には『餡子』の文字。
「これもあんこ‥‥あんこ、あんこ‥‥(百回繰り返す)‥あんご、あんぐぉ‥‥‥あんず?」
「‥‥微妙だな」
「あー‥‥少し物を訪ねるが‥‥そなたが『あんず姫』か?」と金太郎が売り子の少女に訪ねる。
「うむッ。正式名称は『あんずこヒメ』と言うのじゃが‥‥‥地方の者は、なまりが酷いのッ。まぁ、『あんず』でも『あんずこ』でもどちらで呼んでも構わぬのじゃ」
「妾こそが『あんず』姫なのじゃ!」と町娘姿のあんずが言う。
「わしも有名人じゃの‥‥やはりこの美貌と頭脳明晰、性格の良さと餡子の美味しさというのは隠し切れないのじゃ♪ 憧れ真似をする者がこんなに居るとはのッ♪」とあんずこヒメが笑う。
「同じ壁姫だが、あんずの方が着物で負けているな」
「壁は余計じゃ」
バキリとあんずから拳を食らう英之介。
「この人が困っているそうなのじゃ〜☆」と一緒にくっ付いて来た安藤奈津姫があんずこヒメに言う。
「将軍様の姫にあんず姫というのがいるのか」
一行から説明を受けたあんずこヒメ。
「わしの田舎までは、そのような話は伝わって来なかったのじゃが‥‥」
まあ本当の姫がおるのであるのなら、わしも今後気をつける事にしよう。と約束をするあんずこヒメ。
「詫びに困ったら、この餡子玉を空に向かって投げるのじゃ。どんなに遠く離れていてもそなたの助けとなろう」と包みに入った餡子玉を渡す。
但し、暑いから賞味期限は1日じゃ。後、夜遅くは寝ているから駄目なのじゃ。と微妙な説明をつけるあんずこヒメだった。
●安寿姫
高笑いを響かせ一行の前に現れた次なる姫は、踵の高い洋下駄に黒い袴、白い上衣、手には乗馬鞭を携えた安寿姫。
洋下駄が汚れぬように踏まれた美青年、その周りを囲むように安寿の行く先々に花を散らす籠を持っている男達も美青年。
「逆大奥と言うべきなのか‥‥女子に生まれたら一度はやってみたい浪漫なり」
しみじみと言う言うあんず。
「行け、英之介!」
桃太郎に押し出される英之介。
「幾ら綺麗なお姉さんが好きでも、これはびみょー!!!」
「ほーほっほっほ、あなたも早く私の下僕になりなさい」
ビシリっ! と鞭を鳴らす。
「御指名だ、御指名!」
渋々前に出る英之介。
「えー‥‥‥綺麗なお姉さんのお名前は、あんず姫様?」
「あんず姫? 初耳ね、私は安寿姫よ、偽者さん?」
かくかくしかじかと偽者が出回って困っているという話をする。
「私は、誰の真似もしないわ‥‥だって私こそが安寿姫なんですもの」
そう言い切る安寿姫に取り巻きの男達から拍手と歓声が上がる。
「まあ、私も偽者と間違われるのは気分が悪いから今度から『本家安寿姫』と名乗る事にしましょう」
お互い間違えられないようにしましょ。とにっこり笑う安寿。
「あなたもあんず姫のお付きが飽きたら、いつでも私の逆大奥に入れて差し上げるわよ」
高らかに笑い乍ら去って行く『本家安寿姫』。
「しかし、なんでこんな次から次から、続々と‥‥まあ、後1人じゃが」
手持ちの雑誌にペケを書くあんずであった。
●VSあんじぇ姫
「この際放っておいて本来の目的(お伊勢参り)を果たせよ」と桃太郎。
「だが、この最後の1人。なんでも本によると店じゃって来た若い男を次々と襲っているらしいなり」
「さっきの安寿姫と何処が違う?」
「安寿姫を取り巻く男達は、好きでやっていたのじゃ。大の大人が好きじゃっているのなら『触らぬ髪に育毛剤』なのじゃ」
「抜け毛には気を付けましょうって、微妙に違う」
「お店はここみたいじゃ☆」
安藤奈津姫が看板を指差す。
『萌衆道茶屋【あんじぇ】』
「衆道とは、なんなり?」
「それを俺に説明しろというのか?」
「俺には縁遠い世界だ。できればお近づきになりたくない場所だが‥‥」
と、やや揉める一行。
斯くして『せえの!』で入ろうと言う事になる。
「いらっしゃいませ〜☆ 何名様ですか?」
店の奥から店員のお花が出て来る。
何が出て来るのかドキドキしていたあんずだが、普通の萌茶屋と判り安堵する。
「4人で禁煙席を頼むのじゃ」
「しかし安藤奈津はよいのか? 妾達とこんなに長い時間いて?」
「あたいの売っている安藤奈津は単なる餡子と違って油で過熱しているから日持ちするじゃ♪」
「ま、さっさと『あんじぇ』姫とやらに会って帰ろうぜ。どうも、さっきから妙な視線を感じる」
落ち着かなげに英之介が言う。
飲み物を持って来たお花に訪ねる。
「『あんじぇ姫』って今日は来ているかい?」
「お客さん。あんじぇの一番の姫子、あんじぇ姫を御存じないんですか?」
びっくりするお花。
「いやぁ‥‥俺達はこの宿場は初めてで。噂に高い『あんじぇ姫』に会いたくって来たんだよ」
ああ、なる程と納得するお花。
「あの人ですよ」と指を指す。
店の奥の窓辺に座り、物憂気に煙管を吹かしている美女。
「一番、えいのすけー☆ いっきま〜す♪」
「そこの綺麗なお姉さん、お暇ならこの俺と‥‥」と英之介。
「あ〜ら、アタシに何の御用かしら?」
くるりと振り返るあんじぇ姫。
白塗り壁のような顔にタラコのような真っ赤な唇、白粉で隠し切れない髭がピンピンと生えている。
言葉途中で『ずざざざさっ』と1間真後に下がる英之介。
「‥‥今言ったこと却下。却下だ却下っっ!」
「なんだと、こらぁ! って‥‥‥あらあらあらあら。いい男じゃな〜い♪」
「あんじぇ姫の悪い癖が‥‥また一目惚れですか?」とお花。
体は男、心は乙女のあんじぇ姫、怪しく唇を嘗める姿は獲物を見つけた蛇。
「俺がいい男なのは認める! あんず、もういいんじゃね? この際、本物が誰だってい‥‥ひぃ〜っ」
あんじぇ姫のただならぬオーラに、絞め殺されそうな古牡鶏のような悲鳴をあげる英之介。
「駄目なり。頑張るのじゃ、英之介!」と遠い席から声援を送るあんず。
「うぇぇぇ‥‥あんたが‥‥あんじぇ姫って名乗るっているので迷惑を被っている人が‥‥‥」
「うふふぅ〜ん♪ 一晩付き合ってくれたら、なんだって言うこと聞いちゃうわよん?」
ちらり。と着物の裾をはだけ、薄桃色の艶っぽい褌をみせ、英之介に流し目をするあんじぇ姫。
砂を吐く一行。
何時の間にか桃太郎にもスリよってくる店員(オカマ)がおり、安藤奈津は何時の間にかお花と秋の新作化粧の話で盛り上がっている。
(「このままでは全滅してしまうのじゃ、じゃが‥‥」)
懐に仕込んだ餡子の袋を探るあんず。
(「じゃが、妾には食べ物を粗末にする事はできぬのじゃ‥‥許せ、英之介!」)
「その話、乗ったのじゃ!『英之介、一晩貸出し』でこの店は廃業じゃ! 二度と『あんじぇ』と名乗る事まからぬなり!」
「いいわよ〜ん☆」
あんずとあんじぇ姫のやりとりに真っ白に燃え尽きる英之介。
「えっ? あんじぇ姫、ちょっ、待っ‥‥」
「五月蝿いわね、甚助(お花の本名)! あたしが『こう』と決めたら『こう』なのよ!」
斯くして『萌衆道茶屋【あんじぇ】』は廃業となったのである。
「‥‥危うく一夏の特別な体験をする所だった」という英之介を横目に 旅日記を書くあんず。
あんじぇ閉店記念日という事であんじぇ姫に付き合って朝迄飲み続けた英之介が、あんじぇ姫より先に酔い潰れなかったのは、くノ一の心得がある安藤奈津姫から大量の眠り薬を貰ったからに他ならない。
『×月△日、本日は騙り者(とそうでない者)と語り合うというおかしな一日となった。
有名になるというのは時として不可思議な奇々怪々なことを引き起こす。今後気をつけねば』
(「しかし‥おっかけ人情というものはよいが、小物に関しては『ちょさくけん管理』したいのじゃ」)
少しは宿代の足しになろうものを‥‥そう思うあんずであった。
尚、この後あんじぇ姫は、店の跡地に萌奉行所風酒場【オーヤマ】を開業し、自ら名を錦之介と改める。
お花もとい甚助を始めとする『あんじぇ』の店員全員再就職したという。
「おうおうおう! このオーヤマ菊花、散らせるもんなら散らしてみやがれぃ!!」
「きゃ〜♪ 錦さん、素敵ぃ♪」
店の名物『お白州小劇』は話題になり、『オーヤマの錦さん』と話題になったと言うのは別の話である。
――完。