AN レコーディングアジア・オセアニア

種類 ショート
担当 有天
芸能 3Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 5.5万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 09/07〜09/09

●本文

【Town of crime】
♪♪♪〜
 Pupil of inside, Giragira of the dark,and shining beast. 
 Wolves who quietly approach crowd of sleeping small sheep. 

 Will a weak thing be a crime?
 Person who tears up weak person by power. 
 Person who steps by power and crushes weak person. 

 Can only the thing for the person who is not power to cry and the thing for which it feels sorry be done?
 Can’t the bad man able to be kicked down, and done the captured thing?

 The gun can’t be taken,
 the knife can’t be taken,
 and no do hold one’s own with to violence. 
 It opposes violence by violence. 

 Is it correct?
 Isn’t it a cause of inventing a new tragedy?
 However,the thing,that is,the hold one’s own with to adult violence can’t been done any longer. 
 The person who loves is taken,and the lover is taken and to defend the family,people take the gun. 

 Is it a justice?
 It quarrels with one’s own flesh and blood. 
 Reply of violence. 
 People have forgotten smiling. 
 However,no one has helped people any longer. 

 Sadness and hatred encompass the world. 
 The smell of violence and the smoke of powder encompasses the world. 

 Did the god desert the justice and love?
 Did the person forget gentleness and love?

 The town deserted by the god,
 the town that lost love,
 and people scream seeking succor.

 help, help, help!

(和訳)
 暗闇の中、ギラギラと光る獣の瞳
 眠る小羊の群れに静かに迫る狼達

 弱い事は罪なのだろうか?
 弱い者を力で引き裂く者
 弱い者を力で踏み潰す者

 力ない者を泣く事と悲しむ事しか出来ないのか?
 悪人を蹴り倒し、捕まえる事は出来ないのか?

 銃を取れ、ナイフを取れ、暴力に屈するな
 暴力には暴力で対抗する

 それは正しいのか?
 新しい悲劇を生み出す原因ではないのか?
 だからと言って大人しく暴力に屈する事はもう出来ない
 愛する者を、恋人を、家族を守る為
 人々は銃を取る

 それは正義なのか?
 血で血を洗う暴力の応酬
 人々は笑顔を忘れてしまった
 でも、もう誰も助けてはくれない

 悲しみと憎しみが世界を包む
 暴力と硝煙の臭いが世界を包む

 神は正義と愛を見捨てたのか?
 人は優しさと慈しみを忘れたのか?

 神に見捨てられた町
 愛を失った町
 人々は救いを求めて、泣叫ぶ

 ヘルプ、ヘルプ、ヘルプ!
〜♪♪♪

「か、書けた‥‥‥」
 バタリと机に伏せるのはヴァニプロの新人ロックグループ「アルカラル・ナイト」のリーダー、クラブ・クラウン。
「『罪の街』ね‥‥アメリカだったら訴えられるぞ」とナイト。
「もう‥1曲‥メタル‥インストゥル‥メンタル‥の‥タイトル‥‥も‥勝ち目なし‥の‥有罪‥‥」
 そう笑うクイーン。
「『The judge said,”The bad men must throw and confess shedding tears”』‥‥‥訳すれば『”罪人は泣いて懺悔しろ”と裁判官は言った』‥‥本物の裁判官さんは言わへんね」
 エースが溜息を吐いた。
「いーじゃん、日本の深夜TVドラマなんだから」とぐったりと言うクラウン。
 だってもしかしたらデジタルだけで地上波では放送されないかもしれないってマネージャーも言ったし。
 クラウンが書き下ろしたのはTOMIの秋の新番組である。
「とりあえず事務所に連絡してアレンジャーとタッパー星人とスタッフ集めて‥‥兎も角、急いでレコーティングだ!」
 おー! と拳を上げるメンバーだった。

●今回の参加者

 fa0826 雨堂 零慈(20歳・♂・竜)
 fa1704 神代タテハ(13歳・♀・猫)
 fa2495 椿(20歳・♂・小鳥)
 fa3661 EUREKA(24歳・♀・小鳥)
 fa3797 四條 キリエ(26歳・♀・アライグマ)
 fa4559 (24歳・♂・豹)
 fa5316 希蝶(22歳・♂・鴉)
 fa5538 クロナ(13歳・♂・犬)

●リプレイ本文

「ええと、はじめましてクロナです。よろしくお願いします」
 よかったらお昼に食べてください。
 そう良い乍らぺこりと頭を下げるクロナ(fa5538)は今後の音楽活動の参考にしたいと見学である。
 白いふわっとしたブラウスと青いチェックのプリーツスカートという姿である。
「か、わ、いい〜っ♪ タテハさんと一緒に並んで、並んで♪」
 目をキラキラさせて言うエース。
 やはり見学に来ていた神代タテハ(fa1704)の腕を取り、クロの隣に「並んで」とお願いしている。
 最近とみに可愛いもの好きが進んだ感があるエース。
「そのうち、タテを妹に欲しいとか言うんじゃねぇ?」と苦笑するナイト。
「若干‥‥タテの‥お母さん‥の‥唐揚に‥‥吊られ‥‥ている‥よう‥に‥も‥‥見えま‥すが」
 朝からの打ち合わせで若干お腹が空いて来る時刻である。
 今日はお腹空きが集まったせいかウィエティングルームには食べ物が溢れている。
 特にどこかで尾鰭が着いたのか笙(fa4559)以外の参加者全員が食べ物なり飲み物を持ち寄っている。
「それはやっぱりお腹の音で折角の緊張感をグダグダにしちゃったらいけないもの」とクッキーとプチケーキを持ってきたEUREKA(fa3661)。
 四條 キリエ(fa3797)の用意したハーブティを片手にプチケーキを食べている椿(fa2495)と希蝶(fa5316)を見乍ら、「独り占めは禁止ですよ」と釘を刺している。
「大ジョーブ。お腹鳴らないよーにおやつ持参デス!」と大きな袋を見せる椿。
 大きな袋といったが、とても大きな袋と訂正していいかもしれないかなり大きな袋抱きしめ乍ら、
「でも差入れは別腹だカラ、ちゃんと頂きマス♪」とにっこり笑う椿。
「俺もちゃんとレモンの蜂蜜漬けの甘さ控え目厚切りバージョンと甘めの薄切りアバージョン♪ 喉にも疲労回復にも良いよ。お湯や水で割れば飲み物にも出来るし」と蝶。
 でも空のタッパーも持っているけど。てへっと笑う蝶。
「なんで『空タッパーも』持ち歩いているんだ?」とナイト。
「それは何があるかわからないから。差し入れの残り物をお持ち帰りとか道端で食べられる草を発見! とか、日々やくにたっているぞ」と、堂々と言う蝶。
「蝶は‥‥伝説‥を‥‥作って‥いる‥の‥です‥か?」
「‥‥で、レイジはなんでいるの?」
 音楽関係者ばかりの中、唯一演劇端の男 雨堂 零慈(fa0826)。
 誰が見ても恋人のクラウンに会いに来たのはバレバレであるが、敢えてそう聞くクラウン。
「拙者も少し音楽をかじった身‥‥興味がある‥‥花梨のスランプも一段落したみたいで安心した‥‥やはり花梨は歌っている時が一番いい顔をしている」
 やや顔を赤らめ乍らそう言うレイジに対して目を丸くするクラウン。
 今までレイジはクラウンの事を「クラウン殿」とか、たまに「花梨殿」と呼んだ事はあっても名前を呼び捨てにする事はなかった。
「ねぇ、もう一回言って♪」
「な、何をだ‥‥」
「あー、あそこで時期遅れの春が咲いたなぁ。先に飯にしたほう良くないか?」
「そうだね。レコーディングは緊張感を持って、休憩はしっかり休んで‥‥メリハリつけて行った方がいいからね」と音響を担当するキリエが苦笑する。

 レイジが持ってきた品はマツタケご飯のおむすび、筑前煮、箸休めの胡瓜と茄子の一夜漬け。
「松茸は国産だ。全員に行き渡る分はあると思う‥‥余ったら持ち帰りしても構わない‥‥」
 本当はお吸い物も用意したかったのだが、精密機械が多数あるし汁物は無しにした。
 お重を包んできた風呂敷を畳ながら言うレイジ。
「クラウン、いい嫁を貰ったな」
 人参を口に放り込みながらナイトが言う。
 ポンポンとクラウンの肩を叩くクイーン。
「うう‥‥あたしは最近始めたばかりなんだから、そうそう上手くいくわけないじゃん」
 タッパーに梨やらイチジク、プラム、思いつく限りのフルーツを詰めてきたクラウン。
「タテは、おにぎりと唐揚げにタコさんウインナー、卵焼きとか色々にゃ♪」
 お弁当箱の中で偉そうに赤いウィンナーが鎮座する。
「あうぅ‥‥クロはサンドイッチ色々にエビのフリッターとサラダ、後はデザートにマンゴープリン、中華風ドーナッツ。飲み物にジャスミンティーを持ってきました」
 気合を入れすぎて作ってきたのでバスケット2個分もあるんですが‥‥幾らなんでも多すぎますよね? 余っちゃいますね。どうしよう‥‥とクロが言う。
「「大丈夫、俺に任せて!」」
 椿と蝶の声がハモる。
「やぁ‥‥これは幸先いいねぇ」
「そうそう、息もバッチリ。これでこの後のレコーディングもOKだね」
 食事も終わり、一息ついた後はレコーディングの続きである。


●【Town of crime】
「さっきは途中になっちゃったけど、この曲はゆーりサンのコーラスも入れてみタラどーカナ?」と椿。
 クラウンは女性中低音、ナイトは男性高音から女性低音域に届くハイトーン。そして現在コーラスで入っている笙はバリトンからハイトーン迄をカバーするがファルセットの高音があってもイイ感じゃナイ?
 との事である。
「笙サンの『叫びと怒りにも似た強い祈り』に対して『哀しみに満ちた祈り』のイメージが加わる事で幅が広がると思うんだよね」
 今回のレコーディングは当初楽器毎に録音をし、後から音を合成するミックスダウン方式で考えていたキリエだったが、期日ギリギリ迄色々なパターンで採取した音の中で一番のものを使いたいというクラウンの要望に沿い、色々対応できるように考慮している。
「そうだね。時間が許す限り、同録まで考えて、やれる形は色々試したいね。どの方法も一長一短ある事だし」
「ゴメン我がまま言って」
 いいよ。自分の音にこだわりたいって言うのは、ミュージシャンなら誰でもだよ。
 そう笑うキリエ。
「露骨な効果音はギリギリまで絞って、狼の遠吠えなら例えばギターの軋む音とかにしたいカナ。あくまでも効果音はフレーズのフレーズ間数箇所でアクセントつけたいカナ。硝子の砕ける音を『Sadness』直前に入れてインパクトつけたりどーダロ?」
「それもいいね。自分で作っておいてなんだけど、歌詞が長くなりすぎた感があるから、どうしよう? ってさ思っていたんだ」
「他の楽器も試したいところよね。ドラムやベースの重低音にヴァイオリンやエレキギターの早いメロディを重ねるとかもいいと思うのよ」
「じゃあ、俺もサックスをちょっと入れてみたいかな? 曲にメリハリが加わると思う」
「‥‥なんだかやりたい事が増えていくばかりだな」と苦笑するクラウン。

「レベルチェックするよー。はい、音頂戴ねー」
 キリエの掛け声がヘッドフォンを通して聞こえてくる。
 歌詞内容が暗く重いテーマである分、ベースのズムズムとした腹に響くリズムが刻まれる。


 曲はベースのイントロで始まった。
 低く重いメロディにドラムが勢いをつけ、軋む様なギターの音に答えるようなベース音。
 絶望と嘆きと救いを求める人々の祈りと人を導くように響く声。
 すすり泣くようなヴァイオリンの響き。
 フレーズに声が重なることによって嘆く人々の叫びを嘲笑うかのように競い合うメロディ。
 クラクションの音等の効果音がポイントに最小限にちりばめられ、効果的に曲を盛り上げる。
 サックスが加わり一層激しいメロディが効果的に続く。
 機関銃を思わせるような激しいベース音。
 音を受け、揺らめき響くギター音。
 世を嘲笑うかの如く力強いメロディ。
 叫び声をあげる人々。
 競い合う後奏‥‥ジャン!と締めるようなカットオフで曲は終了した。


「お疲れさまなのにゃ♪」
 クロと一緒に暖かいお絞りを休憩に上がってきた一同に渡すタテ。
「クロに何かお手伝いできるようなことがあれば声を掛けて下さいです♪」
「タテも何かお手伝いできないかにゃ? もし何かあれば気兼ねなく引っ張っていってにゃー♪」
「二人がいると和むなぁ‥‥癒し系ってヤツ?」
 クラウンにお絞りを手渡すレイジ。
「この曲は、時代劇馬鹿と言われそうだが‥‥これは拙者だけか?」と有名な時代劇の番組名を挙げるレイジ。
「ああ‥‥良かった。今回の楽曲はTOMI−TVの深夜番組用なんだけど、レイジがそう感じてくれたなら‥‥それならこの曲は成功って事だよ」とクラウンが笑う。
 近未来がモチーフだけど、悪人を倒す力がない事を嘆く人々の為、手段を問わず、時には強引に敵を打ち砕く。そんなダークヒーローが活躍する番組だって聴いたよ。
「そうか‥‥ハズレではないのだな」
 嬉しそうに言うレイジ。
「しかし、血生臭く暴力的な歌詞なのに花梨が歌うと力が湧くというかみなぎるというか‥‥おそらく花梨が歌っているからそう感じるのだと思う。他の人が歌うとそう感じないだろう‥‥」 
 レイジの言葉に、はにかんだ笑顔を浮かべるクラウン。
 礼を言おうとするクラウンだったが、ストイックな役者故なのか、そのドラマに己が出演した場合どんな役を演じるのかと言う事に没頭してしまったレイジに苦笑するだった。



●【The judge said,”The bad men must throw and confess shedding tears”】
 別録方式をメインにした『Town of crime』に比べ、『The judge said,”The bad men must throw and confess shedding tears”』はライブ感を出すために一番最初に同時録音が行われる。その後に『Town of crime』で行った録音方法と丁度真逆に録音が進む。
 インストゥメンタルな分、声による誤魔化しはできない。
 慎重に音のバランスや音色を調整するキリエ。

 コツコツと硬質な床を歩く靴音が響き、重い裁判所の扉がきしみながら開く効果音。
 キーボードの流れるような音にエレキギター、ベースが激しく加わり、激しくハイテンポな音が響く。
 逃げる音(=罪人)を追う逃走劇。
 疾走感に溢れるギターとベースの音は、連符を下がりながらも駆け上がるリズムパターン。
 バイオリンも激しく走り、サックスはその音を変則的にめまぐるしく変り、音が駆け上がっていく。
 ドラムの音に混じり、裁判官が判定を下すかのように木槌の音が効果的に使用される。
 ラスト、疾走感をメロディに残しながらフェードアウトし、曲は終了した。


 ***

「おつかれー!」
 レコーディングも無事に終了し、マスターディスクを事務所に届けに行くと言うクラウンを送っていくレイジ。
 写真集用の撮影の際「カラオケに私服で行く」というのがあったが、行った事がないと言うエースとクイーンに付き合ってナイトもカラオケに行く事になる。
「他に行く人ーっ!」
 出欠を確認しているナイトの側からふぃっとクイーンが笙の元へとやってくる。
「笙‥‥」
「なんだ?」
「今日‥‥お誕生日‥だ‥と‥‥‥聞‥き‥ました‥‥‥‥いつも‥私‥‥‥貰ってばかり‥‥です‥‥それに‥いつも‥‥自分の‥事‥ばかり‥よく‥考え‥た‥ら‥‥私‥‥笙‥の‥事‥‥どんな‥‥ものが‥好き‥‥なのかとか‥‥知ら‥ない‥です。だから‥‥何を‥あげたら‥‥いい‥‥の‥か‥‥判り‥ま‥せん‥でした」
 だから‥‥そう言い乍ら笙の手を取り、小さな擦り切れた兎の毛で出来た何かを握らせるクイーン。
「ラビットレッグ‥という‥お守り‥です‥‥私が‥父から‥貰った‥もの‥で‥‥唯一‥‥残った‥もの‥です‥‥良かった‥ら‥貰って‥‥下‥さい‥」