AN 写真集2アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 有天
芸能 3Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 難しい
報酬 8.6万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 09/07〜09/11

●本文

 ヴァニプロの新人ロックグループ、アルカラル・ナイトの9月発売の新曲『Town of crime』と『The judge said,”The bad man must throw and confess shedding tears”』。
 これを併せると3月末日でビューのANの持ち歌は全10曲になる。
 少し計画が「後れ」になったが計画通り1stアルバムを秋に販売する事になった。

 以前作成したCDとミニ写真集が合体したブックCDに添付した2種類の応募券、アルバム、そして今回ダブルA面CDに付属している応募券、計4枚で申し込めるマニアなファン向け写真集である。

「そうねぇ‥‥A4サイズにするかB5サイズにするか、はたまたLPサイズってのも面白いわねぇ‥‥それとも1000円位の通常版と豪華装釘コスト無視の超プレミアブックを限定5冊だけ作るとか♪♪」
 そう言うのは、ミニ写真集と同様に仕事を請け負ったお姉マンなアートディレクターである。
「どうせなら、また若い子達のエキス‥‥もとい、アイデアを募集しちゃおうかしら♪」

「でも‥‥色々個人の都合で忙しい子もいると思うけど、ANの記念すべき本格写真集だからこまめに打ち合せに来れる子がいいわねぇ‥‥じゃないと衣装とか小物を手配を担当する子が困っちゃうし」

 お姉マンなアートディレクターの決して小さくない胸を痛める心配事は尽きないが、アイデアマンやアーティスト、カメラマンの募集が始まった。

●今回の参加者

 fa0388 有珠・円(34歳・♂・牛)
 fa2544 ダミアン・カルマ(25歳・♂・トカゲ)
 fa3211 スモーキー巻(24歳・♂・亀)
 fa4264 月白・蒼葵(13歳・♀・猫)
 fa4265 月白・緋桜(13歳・♂・猫)
 fa5615 楽子(35歳・♀・アライグマ)
 fa5625 雫紅石(21歳・♂・ハムスター)
 fa5851 Celestia(24歳・♀・狼)

●リプレイ本文

 製本の企画者と撮影者、メイクや衣装といったスタッフは、前回のシングルCDのパッケージ写真集を手掛けた者が参加しているので、前回と以上にスムーズに撮影が上手く行くかと言えば、そうも簡単に言えない。
 故、雑用の月白・蒼葵(fa4264)と月白・緋桜(fa4265)、衣装とメイク担当の楽子(fa5615)と雫紅石(fa5625)や実際の写真集の構成を担当するスモーキー巻(fa3211)や小道具を扱うダミアン・カルマ(fa2544)、カメラマンを担当した有珠・円(fa0388)や音響のCelestia(fa5851)もやる事が多過ぎてパニック寸前であった。
 今回申込者全員が入手可能の通常版と豪華装釘桐箱入りの特別版が作られるのだったがきめる事が多すぎるが、企画者達は困惑し乍らもメンバーのサイン入り生写真やら撮影風景を映したDVD、トレーディングカードまでも着くという。

 大まかなプランが決まればANメンバーとの打ち合せである。
 特別テーマ撮影の内容を聞いて苦笑したり困惑するメンバー達。
「全体的‥に‥ファンシー‥‥です」
「なんかしっかり『コスプレーヤー』って感じ」
「‥‥赤い帽子の小人さんに、人形‥‥‥俺って他人から見るとこーいう感じなの?」
 まあ、ライブ中は倒錯的な衣装が多いからなんじゃない? と突っ込まれるナイト。

「今回はBGMに『Kiss me』や新曲とか入ってないんね」
 エースがセラがピックアップした曲のリストを見乍ら言う。
 一見未成年者に見えるANのメンバー達、其れ故デビューしてから持ち込まれる企画は、アルカラルの目指すものよりかなりライトなPOPロックが多い。なのでクラウンが今回この撮影に併せて録音を行う『Town of crime』と『The judge said,”The bad man must throw and confess shedding tears”』の曲作りには力を入れたのだ。
「いい曲やよ?」
「『Kiss me』は、おまけにミニ写真集が着いただろう? 同じイメージになるといけないからな。それに勿論希望があれば別の曲もかける予定だ」
 新曲が選ばれていないのは単に慣れていない新曲よりリラックスすると思ったからだ。とセラが言う。
「ライブイメージの部分はライブハウスで実際に歌っている風景を撮影しようかと思っているの」とティア。
 クラウンが、無意識に右手を触る。
「‥‥‥あたしは今ギターを握っていない。今のあたしじゃスローな曲でも弾けないよ」
 実際プライベートでギターは触っているが曲を弾くというレベルではなく、クラウンは8月以降公式の場でギターを握ってはいない。だが、クラウンの作るANの曲はエレキギターを多用した曲が多い。
 CDのレコーディングの合間を縫っての撮影である。クラウンの代りをしているギタリストにいきなり言って「ハイそうですか」と気持ちの切り替えは難しいだろう。
「こういう事があるから事前にミーティングは密して欲しいってアートディレクターが言ったんだけど‥‥‥まあ、スモーキーがいたというのも神様の思し召しなのかもしれないけどね」
 クラウンは困ったように苦笑した。

 実プランが決まれば、そうそうに準備である。
 撮影場所をどうするか?
 衣装は小道具はどうするか?
 レンタルシャワーを借りるか、シャワー付きのスタジをにするか?
 ロケ地候補は? テーマ「お花畑」や「雨」は屋外にするか屋内スタジオにするか?
 そういうものを詰めて行く。
「今回は衣装はトレカに着けちゃうからタンクトップ、キャミソール‥‥値段も高くなく切り易い物がいいな」とソウが言う。
「そうだね。革とか厚いものだと手が痛くなっちゃうよ」とヒオが答える。
「そうね‥‥でも安物だと生地がぺなぺなで見場が悪くなっちゃうし」
 トレーディングは通常版にも着いてくる。
 撮影に使用した衣装の殆ど全てがトレカに着く事になるだろう。
 本来メイクとモデルのらっことティア、作るかどうするか悩み所である。
「でもダミアン君がいるからOK?」
 テーマ『休息』で使用する大量のカーテンを作るべくミシンを踏んでいたダミアンに注目が集まる。
「‥‥たしかに弟や妹の服とか作っていたから、できるとは思うけど」
 人魚姫やら赤頭巾となにげに『メルヘン』の小道具が多い、これで衣装まで引き受けたら完全に連日徹夜決定である。
「そうよね。安く売っているものにパーツを色々着けてフェミンだけどゴージャスにしましょう」 

 ***

 さて実際の撮影だが、アリスの気合いはいつも以上だった。
 前回撮影もANの気分を盛り立てながらビシビシとポーズを要求していたが、それがさしずめパワーアップしていた。
 極みはテーマ『お花畑』はロケ撮影の時だろう。
 雲一つない‥‥とは行かなかったコスモス畑の撮影は、雲の流れで左右される一発勝負的撮影である。
 花が不足している所は植木鉢を増やして花爛漫を演出する。
「もっと右手を‥‥こう!」
 リアクションを入れてポーズ指導をするアリス。
「ああ、その表情いいね。最高♪」
 BGMがモチベーションを上げて行く。
 咲き誇るコスモス畑に蝶の羽根が着いた妖精をイメージしたオーガンジーのワンピースを纏ったクラウンとエースが談笑し、ナイトとクイーンは着る衣装は小人をイメージした赤と緑の長袖シャツにズボン、三角の帽子。その帽子を手で弄び、代りに花冠を被り寝転ぶナイト。隣でコスモスの首飾りを作るクイーン。

 次の『雨』のロケ地に向かう休憩と撤収と準備の時間もカメラを手放さないアリス。
「使うかどうか不明だけど、ロケ地の空とか花畑とかANのいない風景も撮っておこう」
 こういう写真は芝居で言う幕間的に使うと写真集が締るんだよね。とひたすらシャッターを切る。
「顔に似合わず、アリスって仕事中はテンションが高くない?」
 プロとしてさすがだよね。とクラウンが笑った。
「言える。でももう少し『優しい』と嬉しい」と散々駄目出しを食らったナイトがヒオが用意したドリンクを飲んで答える。

 テーマ『雨』。
 これは格納庫を思わせるジャングルのように草木が御生い茂った廃倉庫の前と都内の廃ビルの屋上に散水車が用意されて大量の人工の雨を降らせる。
 大量の水にも負けないメイクの腕の見せ所である。
 折角の写真であってもメイクが流れてしまっては駄目なのである。
 ウォータープルーフの中でも強い耐久性を持つ化粧品を用意するらっこ。
 明るい空、暗い空、ANメンバー達もスタッフも撮影が終了する頃には全身濡れ鼠である。
 全員でらっこの用意したミルクティーで暖を取る。
 シャッタースピードを絞りに絞ってクイーンの睫毛に雫が落ちる瞬間等様々なシュチュエーションが撮影された。

 皆がロケ地で奮闘している間、1人セット格闘するのはダミアン。
 テーマ『休息』は、白いシーツを様々に組み合わせ奥行きと同時に何処か神聖なイメージをかもし出す。
 単に身体を休ませる。眠りという事ではなく魂の休息、聖地を思わせるセットである。
 衣装も白を基調にしたワンピースやドロワーズ、ブランケットといったゆったりとしたものである。
 柔らかな朝の陽射しを思わす優しい照明に大きなクッションに戯れるエース。

 逆に余分なセットを一切省いたのはテーマ『メルヘン物語』
 クラウンは人魚姫。碧の煌く鱗の下半身に貝殻ビキニ。髪は結上げ真珠と貝のアクセ、ラメの入った涼しげなブルーのアイシャドウ。
 エースは白馬の王子。白に金糸の刺繍を施した衣装。かぼちゃパンツに白タイツ。頭上に小さな冠が飾られた。
 クイーンは赤頭巾。白い長袖ブラウスとタイツに赤い頭巾とスカート。三つ編には黒のリボン。バスケットには、お供の狼ぬいぐるみ。
 ナイトはピノキオ。産まれたばかりのマリオネットは白い布を纏ったセミヌード、手首・指先に細い糸絡ませ、後でCG加工しやすいよう目安の関節が書き込まれた。

 そして『ライブ』である。
 ピンチヒッターギタリストを命じられたスモーキーは、やや緊張気味であるがクラウンの代打ちギタリストに応募した経緯があるので余り文句を言う事が出来なかった。
 反対にセラはステージの端にある調整室に入り、喜々とし乍らマイクやアンプの調整をしている。
「最後は『花模様』のピアノバージョンな♪」
「マネや事務所に知れたら『興行にしろ』って言われそう」とクラウン。
 実際の所、自分が見に行ったライブのDVDを内容は覚えていても、つい買って仕舞うのがファンの心理である。
「ケチ臭い‥です‥が‥‥実際‥CDの‥‥売上‥にも‥‥影響‥‥しま‥す‥ね」
 そんなやり取りの隣で。
「俺の衣装がない」
 衣装が下げられた棚を見ていたナイトがボソリと言う。
「ええ?! そんな事はないわよ。ちゃんと名札を‥‥ほら!」と焦るティア。
 見ればクラウン、ダイヤ、スーペード、ダイヤとある。
 ダイヤの札が着いた衣装は、短丈のジャケットにラメ入りキャミソールとミニスカート。もう一方はレザーベストにタンクトップ、同じ黒レザーのシガレットパンツにブーツ。
「俺がミニスカート?」とナイト。
「うち、ミニスカートなん? シガレットパンツやよね?」
 じゃないと下着が見える。ベースドラムのペダルにヒールが引っ掛かる。とエース。
 スポットライトに浮かび上がるメンバー達は黒を基調にした衣装を纏う。
 結局ミニスカを穿いたのは、ナイトであった。
「いーじゃん、脛毛ないんだし。そこらの女の子より可愛い」と余り慰めになっていない言葉を掛けるクラウン。
 マイクを握るクラウンは、レザージャケットにタートルネックのシャツ、ビスチャスカート、クイーンはゴスロリワンピースでスカートの裾が表に向けて上がっていくトレーンスカート。

 ***

 印刷所から上がって来たアートディレクターが上がって来たB5版80頁と言う厚さの写真集の第1版を見て言う。無闇に厚い写真集等買っても1度しか見ないだろうと80頁である。
 実際撮影したフィルム数は100本を越える。
『本当のファンだけが入手可能な写真集か。それじゃ、その目の肥えたファンの方々にも喜んでもらえるようにしなくてはね』と意気込んで絞りに絞って編集したスモーキーだったが、あっさりアートディレクターからやり直しとNGが来る。
「折り込みポスターは素敵よね。おまけDVDやトレカが着いているのもファンには嬉しいわよね。他も写真も綺麗で構図も悪くなくいけど‥‥私がこれを買うのに3000円は厳しいわね」
 オマケで付加価値を上げている感じがするのよね。とアートディレクターが言う。
「1、2枚のシングルCDならば外見やノリで購入するでしょうが、発売時期の違う4枚ものCDを買ってくれたファンは、少なくとも音楽性やメンバーのスタイルに魅力を感じていると思うのよね」
「厳しいですか?」と編集をしたスモーキーが言う。
「インタービューもあるし、オフショット、各曲をイメージしたスナップもあるわよ。でも、もっと彼女らの曲のイメージに併せた『これがアルカラル・ナイトなんだ!』とか。こう‥‥見る人がイメージを膨らませる‥‥そう、インパクトにやや欠けるのよ」
 なので物足りない。と言うのだ。
 その辺はスモーキーも十分注意しての構成であったが、どうやら目の前にハードルの高いディープなファンが1名いたようだった。
 斯くしてアリスがお守り代わりに撮影しておいたメンバー達のパーツアップショットやレコーディング風景等が盛り込まれる事になり、スモーキーの編集は印刷直前ギリギリ迄行われる事になった。

「ところでタイトルは?」と上がって来た最終稿を見乍らアリスが聞く。
「ユニット名のアルカラル・ナイトの英語表記を使用するのも良いと思うよ」とダミアン。
「俺としてはANの皆につけて欲しい所だな」
「そうだね。タイトルは‥‥‥」

『the jackbox in Arcalaru・Night』となった。