長靴獣人求む!アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 有天
芸能 2Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 3万円
参加人数 10人
サポート 0人
期間 11/05〜11/09

●本文

「にゃにーーい! 高速の渋滞にハマってこれにゃいだとぉ?」
「コータ先輩、訛っています」
 コータは弱小パフォーマンス集団の主催である。偶然なのか類ともなのかメンバーは、なぜか全員獣人である。TV局で行われるイベントの話を聞き付けたコータは、系列会社にいる同窓の先輩に頼み込んで、イベントの1コーナーに潜り込んだのである。

「ドラムセットだけが届いたんで変だとは思ってはいたのにゃ。だからあれほど経費節減もあるから上(高速道路)を使うなと言ったのにゃ‥‥にゃったゃく、遅刻は信用問題に関わるのにゃ」
 別に口に物を入れて喋っている訳では無い‥‥いや、ある意味口を物に入れているのだが。
 コータは猫獣人であるが、半獣化した上に猫の上顎をメイクさんに付けてもらっていたので、どうしても鼻詰まり気味な喋り方になる。

 彼らが請け負った仕事は、「TV御伽(おとぎ)物語」という童話や寓話を紹介する子供向けアニメ番組のチャリティショーである。コータたちは、「長靴をはいた猫」のシーンを貰い、童話や寓話の登場人物になりきった歌を歌い、踊りを子供達に見せるのが仕事である。

 だがコータを始めとする電車組ダンサーを除き、車組の演奏者と歌手が渋滞にハマったのだ。
「メールしたら事故渋滞だって言っていました。簡単に抜けられないみたいです」と赤いベストを着たジャンガリアンハムスターが半ベソで言った。
「泣くにゃ! 知合い全員に連絡して、すぐに来れる奴らを見つけるのにゃ! ミュージシャンだけじゃなく、手品師とかジャグラーとかのパフォーマーでもいいのにゃ!」

「俺達の出番は実質15分にゃ。手品師がいれば、魔物役をやってもらって猫の注文で魔術、手品をしてもらって良いのにゃ。音楽だったら子供にも乗り易い♪=100、四拍子。変調無しの単調な曲でいけば、元々用意していた曲も同じにゃ。パフォーマンスとも併せてにゃんとかにゃるはずにゃ」

「でも逆にパフォーマーだらけだったらどうすんですか? 後、出番迄2時間ないですよ」これは紫色のベストを着たシジュウカラ。
「幸いにもここのスタッフも全員獣人にゃし、臨時出演者も完獣か半獣すればいいのにゃ。音が無ければ床を叩けばいい、床が駄目にゃら体にゃ! 俺達には芸能の神様がついているのにゃ」
 根拠の良く判らない自信であるが、コータはガッツポーズをしてこう言った。
「こういう逆境に強い所を見せて、TV局から声を掛けてもらう事がメジャーへの第一歩なのにゃ!」

●ミュージシャン&パフォーマー求む!
 テーマ:童話「長靴をはいた猫」

 演奏は、歌詞・曲・タイトル、オリジナル限定。
 子供にも乗り易い♪=100、四拍子。変調無しの曲。
 ドラムセットあります。
 奏者がいなかった場合は、体や空き缶をつかったパーカッションを主催指導で行います。

 TV局内大型スタジオでのパフォーマンスになります。
 極めて2mを越す巨漢の方以外は、局の衣装部からメンバー用に用意されています。
 魔物はネズミから竜まで変身してみせますので種族不問。
 子供も踊れる簡単なダンスを音楽に併せて一緒に踊ります。

「半獣や完獣は強制でにゃいから、御主人のハンスとお姫さまもできるのにゃ」
「猫の人や猫耳がなかったら、どうすんですか?」
 予定されていた主役は、コータではなかったが猫獣人であった。つまり猫耳&猫尻尾はないのである。
「俺がしょうがにゃいから『猫』するのにゃ‥‥俺も喋るのは苦手なのにゃが‥‥」とコータは溜息を着いた。

●今回の参加者

 fa0330 大道寺イザベラ(15歳・♀・兎)
 fa0472 クッキー(8歳・♂・猫)
 fa1081 三条院真尋(31歳・♂・パンダ)
 fa3503 Zebra(28歳・♂・パンダ)
 fa3867 アリエラ(22歳・♀・犬)
 fa4210 小明(11歳・♀・パンダ)
 fa4235 真喜志 武緒(29歳・♂・狸)
 fa4339 ジュディス・アドゥーベ(16歳・♀・牛)
 fa4557 アレクサンドル(31歳・♂・豹)
 fa4559 (24歳・♂・豹)

●リプレイ本文

●全体練習30分?!
「みんにゃ、時間がなにゃいので、早速皆の考えるパフォーマンスを見せて欲しいにゃ」
 挨拶もそこそこに出演者達に与えられた共通練習スペースの駐車場でコータは言った。
 実際のステージ上で通しをしたい所であるが、他の出演者がいるので無理なのである。


「あたしは、兎のお姉さん『ベラお姉様』として、子供達と一緒に踊りたいです」と兎のダンスを披露する大道寺イザベラ(fa0330)。
「うん、一緒に踊ってもらうのが一番にゃ。ベラは、ミュージシャンの準備までMCを兼ねてダンスを披露して貰うにゃ。ラスでは客席に降りて、ダンスの先導して貰いたいにゃ」


「オフだって聞いたけど、よろしく頼むにゃ」
 たまたま母親と一緒にショーを見に来ていたクッキー(fa0472)。以前出演したテレビドラマをたまたま番組ディレクターが覚えていて、急遽出演を依頼されたのであった。コータがくぅを見た時は出演をごねていたが、何か母親が言ったのかも知れない。『猫』役をOKしてくれた。
 出演許諾を聞いたコータが「芸能の神様は、今、俺達に微笑んでいるのにゃ」とトイレでガッツポーズしたのは内緒である。

「『お姫様』役をさせて頂きます。踊りはあまり得意ではないのですが‥‥」ジュディス・アドゥーベ(fa4339)。
「一緒に踊りゅハンスや父王はメンバーにゃ。OPとラスでダンスにゃから、頑張ってにゃ」


「『魔王』役をさせて頂く三条院真尋ですわ。よろしくね」三条院真尋(fa1081)。
「俺は魔王の手下『使い魔パンダ』役だ」完全獣化したZebra(fa3503)。
「鼠になった魔王を食べるシーンは、クッキー君に『消失』手品を教えておくわね」と真尋教授。
「お願いしますにゃ」


「こういうお仕事は初めてだけど、頑張るデスヨ☆」エレキ、ギター担当のアリエラ(fa3867)。
「団員さん達も思い切りノリ良く頼むぞ」ヴァイオリン担当の笙(fa4559)。
「パーパ、いっしょに、がんばりましょう」ショルダーキーボード担当の小明(fa4210)。
「小明ちゃん、一緒に頑張ろうね」アコーディオン、コントラバス、トランペット担当の真喜志 武緒(fa4235)。
「ノワール、悪い。木琴と鉄琴は無理だった」
 いい加減喋り難いので、メイクさんに上顎を外してもらったコータ。
「残念だが、OPのアクセントはドラムアレンジか」ドラム担当のアレクサンドル(fa4557)。


 ☆オープニング曲【きっとお役に立ちますよ】

 「 おいらを もらったご主人様
   なんか がっかりしているね
   なげかないでよ ご主人様
   おいらに長靴くれたなら
   きっと お役にたちますよ 」

 『 とっとこ ウサギをとっきて
   せっせとお城に みつぎもの
   カラバ侯爵からですよ
   王様 ウサギに大満足  』

 台詞 ” おっと 王様行列だ ”

 「 やったチャンスだ ご主人様
   さあさ どぼんと水浴びを
   服はとられたことにして
   王様 助けてくださいな
   ご主人 しずしず 馬車の中 」

 『 おいらはちょいと先回
   この先 魔王のすむお城
   魔王はちょっとこわいけど
   カラバ城 手に入れるため
   準備万端 がんばろう  』



 ☆エンディング曲【おめでとうご主人様】

 『 ようこそ〜 王様
   ようこそ〜 お姫様  』

 台詞 ” 王様 お城にびっくり
      なんて 広い城だろう
      すごい侯爵 カラバ殿
      お姫様のお婿さんは
      この人しか きっといない ”

 『 おめでとう ご主人様
   おめでとう お姫様
   すばらしい 結婚式  』
 
  「 ほおら おいらもらって
    よかったでしょ? ご主人様 」

 『 おめでとう ご主人様
   おめでとう お姫様
   しあわせな 結婚式〜♪  』



 ☆BGM【魔王出現】
 ヴァイオリンの怪しげな旋律で始まり、要所でドラムがやや強めに響く。フレーズ毎に一つずつ演奏する楽器を増えて行く。エレキの不協和音が余韻を残す不可思議なハーモニー。後半、ドラムのロールアップが盛り上げ、ラストは全ての音を強く鳴らしてカットアウト。



 曲を聞き終わったコータ。時計を確認すると、こう言った。
「EDはショーレビューっぽくって一体感があっていいね。ラストだから少し長めに、OPはノリが行進曲っぽいし『あらすじ』だから子供達も話が判り易いだろうけど、少し短くできるかな?」


 そして、現在ラスト、2回目の通しである。コータの手にはストップウォッチが握られていた。


●本番、待ったなし!
「ハーイみんなぁ、ベラお姉様だよぉ♪ こんにちわー!」とベラが会場に声をかける。
「こんにちわー!」
「なかなか、元気があってよろしい! 今日は皆に‥‥」
 袖のスピーカーの影からベラの様子を覗くコータ。丁度ダンスを教えている最中だった。

 『 タラッタッタラッタラッタ♪ 兎のダンス♪
   ハイぴょんこぴょんこぴょんぴょん
   ぴょんこぴょんこぴょん
   お手々をブランブラ〜ン♪  』

「いいぞー! 皆、最高♪」
「あの度胸、メンバーに欲しいにゃ‥‥」と呟いたとか。


 ☆【きっとお役に立ちますよ】


「今日はどんな人間を騙して、食事にしようかな‥うふふっ」と下手からゼブ登場。
「おや、歩く猫なんて珍しい。今日はあれを食べよう」
 上手から歩いてくるくぅを遠くから見つけた。というように手を額に翳してを眺めるゼブ。

「そこのにゃんこさん、素敵な魔法見てかない? 皆もよく見ててねー♪ 」
 何もない空間から赤いボールを取り出すゼブ。
 1個、2個、3個、ゼブが手首を返す度にどんどん数が増えて行く。
 今度は、全部の玉を両手でくるくるとこねまわすと1個の大きなボールになり、ぽんと手を叩くとゼブの手の中からボールが消えてなくなる。
 パチパチと会場から拍手が上がる。

「すごい魔法だけど、魔王の住むお城に用があるにゃ」
「ええ、それは好都合。じゃなかった。うちの魔王様はもっと凄いんだよー☆」
 その場で足踏みをするゼブとくぅ。背景の書き割りが森から城に変わる。

「うちの魔王様は、もっと凄い事が出来るんだよ」とゼブ。

「魔王様、魔王様は何処に!」
「私を呼んだか、使い魔よ」
 赤いスポットライトに照らされて、舞台上手上部よりゆっくりワイヤーで吊るされて登場する真尋教授。
 

 ☆【魔王出現】


「魔王は何が出来るにゃ?」
「私の力が見たいのか。では見せてやろう」
 黒いマントを跳ね上げ、ハンカチを取り出す真尋教授。ハンカチを棒へ、棒を花へ、花を鳩へと次々に変え、最後に鳩を消す。

「ふふっ、私は色々な物を変える事ができる」
「凄いにゃ。でも自分を変えるのは、出来ないにゃ?」とくぅ。
「それぐらいたやすい話だ」真尋教授、マントを被る。
「さあ、会場のお友達も一緒に3つ数えよう」とゼブ、大きく指を立てる。
 ドラムロールが緊張感を盛り上げる。

「1!」
「2!」
「3!」

 ジャン! シンバルのタイミングもばっちり。
 マントが取り除かれ、完獣化した真尋教授が立ち上がる。
「パンダー!」子供達が驚いて、拍手をする。

「びっくり、凄いにゃ。でも鼠とか、小さい物にはなれるにゃ?」
 再びマントを被り、鳴るドラム。今度は自主的にカウントをする子供達。

「1!」
「2!」
「3!」

 しゅぼっ! 今度は、シンバルではなく。床に仕込んだスモーク発生器から勢い良くスモークが上がる。ステージの床に広がるマントをくぅが取り除くと、玩具のネズミが転がっている。
 それを摘まみ上げるくぅ。

「あ〜ん♪」
「な、な、何考えてるんだよ。馬鹿っ! 返せ、戻せ!」
 ドラムロールに併せて、大きな口を開け、鼠を飲み込むジェスチャーをするくぅ。
「あーーっ!! 魔王様が食べられた!」
 シンバルの音に併せてからっぽの口を見せるくぅ。

「うあ〜 力が〜 もうこの城もお終いだぁ」とゼブ。
 黒いマントにくるまり、シンバルの音に併せ舞台から消えてみせる。


 ☆【おめでとうご主人様】


 EDに併せてダンスを披露する一同。ベラ達ダンサーが客席脇に降り、観客達にダンスを促す。小さな観客達の頭がリズムに併せてぴょこぴょこ動く。拍手を持って、フィナーレを終了した。


●あとのまつり
 控え室に戻った一同。

「出番迄2時間ない中で、よくやったな俺達」と感無量な笙。
「ママ、ちゃんとくぅの活躍、見ていてくれたかな?」と人形態に戻るくぅ。
「どうなるかと思ったが、なんとかなるもんだな」とゼブ。
「実は失敗すると思っていたの?」とベラ。
「ダンスのステップを間違えてしまいました」とジュディー。
「大丈夫だ、目立たなかった」とノワール。
 一番後ろと言うのは、一番全体が見えるのである。
「まさか中央に引っ張り出されるとは思わなかったわ」と真尋教授。
 フィナーレのダンスシーン、舞台の端でゼブと一緒に「カラバ公爵さま万歳」とやっていただけであったが、メンバー達に腕を捕まれ中央で挨拶をさせられたのだった。
「魔王のインパクトが強い程、『長靴を履いた猫』が引き立つますしね。影の主役でしょう」とマキタケ。
「ダブルパンダでしたしね♪」とアリー。
「こういう時は、桃マン、乾杯です」と小明。何時の間にか自分の勤める店の桃マンが、握られている。

「乾杯! お疲れさまでした♪」×10。