−ザ・DOG−第3話アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
有天
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
やや難
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報酬 |
3.1万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
11/19〜11/23
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●本文
●深夜ドラマ『潜入捜査官―ザ・DOG―』第3話:「護衛、隠されたもの」役者募集
あらすじ>
暴力団の不自然な動き‥‥それは自然保護団体のリーダーたる女性『吉村 恭子』の殺害計画。
自然保護団体に入り込み女性リーダーを守り、裏に隠された『事実(不法投棄事件)』を暴く。
1stシーン:
『薄霧の中、山を歩く犬を連れて散歩をする老人。
犬、何かを見つけ、脇道に入る。追い掛けて、脇道に入る老人。
犬は地面の臭いを盛んに嗅ぎ、土を掘り返す。
犬を叱咤して引き綱を引くと‥‥掘り返された真新しい土の合間から老いた指(地主の手)が現れた。
悲鳴を上げて、しりもちを着く老人』
●ザ・DOG概要
犯罪組織撲滅の為にだけ組織されている司法の犬たち。
元死刑囚や犯罪組織に肉親を殺された家族たち等で構成されている潜入捜査官。
警察機構に属さず、逮捕権、銃の携帯等一切ない『非合法』の組織である。
構成員達は自分のチーム以外との交流を行わず、時に捜査チーム同士敵味方として戦う事もある。
任務成功の折に犯罪者として逮捕されたり、組織の裏切り者として生死の危険に晒される事もある。
偽りの名前、偽りの顔、偽りの為の孤独で辛い仮の生活‥‥‥。
あるのは、ただ一つ。捜査官達の「悪を許してはおけないという」熱い思いと彼等の頭脳だけである。
時には非情とも思える手段を取って戦うダークヒーロー達。
●製作ノートより
「犬飼A『橘 正三56歳』、専属鳩『橘公子27歳』」の下で動いている『犬チーム』の活躍を描く。
完全一話完結、毎回主役チームが変わる(1事件解決毎に解散)。
継続協力を申し出たメンバーは、他チームメンバーを含めて再編成をされる。
チーム構成は、男女を問わず10代前半から60代まで『1名から10名』程度。
捜査毎に潜入捜査官の保身の為、整形手術や戸籍偽造によって別人になりかわる事もあり、終了した任務についてはチーム内でも一切公言することを禁じられている為に以前同じチームで働いた事がある人と接触しても判らないと言う事もある。
●用語
「実働潜入官(潜入官)」調査対象組織に潜入する実働部隊の捜査官。
「サポーター」潜入部隊の補助役。潜入官を助け、情報収集・解析、回収・廃棄、配車等を行う。
「リーダー」実働部隊を指揮。1チーム1リーダー。
上層部との連絡・交渉、一部メンバースカウト等を付けたりする。
※犬組織上層部
「鳩」犬飼(ブリーダー)直属の連絡要員。
「犬飼(ブリーダー)」複数ある『犬』チームの統括者。基本的には『犬』達と接触しない。
「総纏(そうまとめ)」犬飼たちを纏め、潜入捜査官組織を結成した人物。その正体は不明。
Aチーム
『実働潜入官(顎、複数)――\
サポーター(手足耳目、複数)―リーダー(頭)』―\
Bチーム―――――――――――――――――――――犬飼A(鳩A)―\
Cチーム―――――――――――――――――――――/ |
: 犬飼B(鳩B)――+――総纏
: 犬飼C(鳩C)――+
「『ザ・DOG』は、合法(司法)が永年を掛けても裁けない悪を『非合法=潜入捜査』手段で潰す。その為に構成された兵隊だ。時として『犬』同士を戦わせたり、仲間を見殺しにする事で『悪を排除する』というの非情さを持つ」とディレクターの鬼塚は言う。
「他人を傷つけても悪を潰す。被害者であった人間が『捜査官』として動く事で他人を傷つけ、新しい被害者を出す訳だ‥‥『犬』達は自らを使い捨ての駒であると知り、悪を憎み乍らも悪行を潰す為に自らも悪を行う。心に矛盾を抱え、葛藤し乍ら戦うダークヒーローなんだ」と紫煙を吐き出し、タバコを揉み消す。
「そうだ、募集をかける時気をつけろよ。『橘父娘』役は今回出番がないぜ。あと、深夜だからと言ってTVである事を忘れんなよ。モザイクなんてみっともないもんが必要になるのはお断りだぜ」
そう言って、ミーティングルームを鬼塚は出て行った。
●リプレイ本文
●CAST
苅部・愛純‥‥苅部・愛純(fa4350)
篠塚 弘毅‥‥伊達 斎(fa1414)
市川舞‥‥‥‥森里碧(fa4905)
白わんこ(高白)‥‥‥高白百合(fa2431)
吉村 恭子‥‥斉賀伊織(fa4840)
モルモットお姉さん‥‥稲川ジュンコ(fa2989)
黒猫‥‥‥‥‥相麻 了(fa0352)
蝙蝠‥‥‥‥‥蒼流 凪(fa3623)
●黒猫と蝙蝠
薄暗いゲームセンターの中、通信対戦型格闘ゲーム興じる黒猫。
「‥‥ゲーム強いんですね」と声をかける蝙蝠。
「結構面白い、暇つぶしになる。‥‥来ないかと思ったぜ」とゲーム画面を見つめたままの黒猫。
1席空けて2つ隣の席に座る蝙蝠、二人の間の席に紙袋を置く。
「‥‥なんか、ちょっと着けられているような気がして」
小さく舌打ちをして席を立つ黒猫。手には蝙蝠が持ってきた紙袋が握られている。
「‥‥お前は暫くここにいろ」
物陰から蝙蝠と黒猫を見つめる男。
●スパイ
薄暗い部屋の中ぼんやりとパソコンのモニタ画面が浮かび上がる。キーボードを叩いているサングラスの篠塚。画面に表示されているのは、吉村と関係者のリスト。
「何故、こうも手が読まれるのか?」篠塚は舌打ちをした。
吉村の講演会以外の予定が変わる事は良くある事ではあったが、調査の結果、一定のパターンがある事を調べ上げていた。篠塚が予測した内容を苅部に伝え、さりげない行動操作で吉村の行動を制限していたハズだった。だが予め向こうも準備したかのように吉村の周りに影がちらつく。
「スパイがやはり潜入しているか‥‥」
「スパイ?」
篠塚からの連絡は突拍子もない物に苅部は思えたが、何時も後手に回るのは確かである。初めての単独潜入なので苅部はひたすらリーダーでサポーターである篠塚の指示を必死に守った。
「うちのせいではない」そう思い乍らも、不安がよぎる。
「愛純さん、どうしたんですか?」と自然保護団体のメンバーの1人高白が、苅部に声をかける。
「ううん、なんでもない。おとんが早帰れって、うるさいねん」と無理矢理笑顔を作って言う。
「そうですか? でも元気を出して下さいね」と高白。
村役場に行ってきます。そう出かけて数分後、添付書類を忘れた。と戻ってくる高白を見て苦笑する苅部。
「こん人だけは、絶対スパイとちゃうやろ」
「避難?」吉村は、市川の提案を聞き首を傾げた。
「そうです。恭子さんの周りで‥‥地主さんが変死してからずっと変な事が起っているじゃないですか」と言う市川もまた吉村の自然保護団体のメンバーの1人であった。
「いい案だとうちも思います」と苅部。
「解りました‥‥皆がそういうのなら仕方ありませんね‥‥貴方達の意見に従いましょう」
かえって姿を隠す事により余計周りに迷惑が掛かりそうだけど。という吉村は大きく溜息をついた。
市川は苦笑した。やられたと。手錠を後ろ手に掛けられた上、御丁寧に紐でドアに繋がれている。
「まさか、愛純ちゃんが敵だと思わなかったわ」
「うちも市川さんが敵だと思わなかったわ」
吉村、市川、苅部の3人で避難先に行く為にタクシーに乗った所迄は記憶がある。
「まさか催眠ガスとはね。反則技じゃない?」と自嘲気味に言う。
「市川さんも反則だよ。うちはオカマが爆発したり、感電とかイヤやもん」
「吉村さんは、どうしたの?」
「今日は打ち合わせに行く日やろ? こういう日は自分の部屋が一番安全やから」
勿論、篠塚の指示である。
「それに市川さんが動かんかったら、他の人が動くやろ?」
そして予想通り、動かぬ市川の代りに動いた暴力団員はカメラが回っている事も知らず、影武者の女を襲う事になる。
吉村は自室で目が覚めた。風邪を引いたようぼんやりする頭で食堂に行き、水を飲む。広げた新聞の日付けを見ると丸1日以上寝ていた事になる。その事実に驚き乍らも、小さく産業廃棄物会社社長逮捕の記事が載っているのを確認する。吉村が撤去を求めている産廃を不法投棄したと思われる業者だった。
「‥少しは、撤去が進むのかしら?」
●犬
暗殺阻止の報告に「‥‥やれやれ」と一息を着く篠塚。
切ったばかりの携帯が鳴る。「非通知」表示に眉を寄せる篠塚。
「‥‥はい」
『不用心だな』低い記憶にない男の声。
「君は誰だ?」
『さあね』
男から別チームの証拠集めに踊らされていたと告げられる篠塚。事実を知り、押し黙る。
『別によくある事だろう?』おせっかいな正体不明男は言いたいだけ言うと電話を切ってしまった。
「一つの組織に二人の潜入者、か‥‥やられたな」
パソコンの前に座り、吉村 恭子のデータを削除し、パソコンの電源を切る。
――数日遡る。モルモットお姉さん所に「森の秘密」と書かれた台本が届けられ、「おお、影武者! 冬のコート、ゲット!」と叫んでいた頃、吉村から提供された一室のベットの上で市川は悩んでいた。高白こと「白わんこ」と組み、数々の脅迫や暴力団に情報を与えて様子を見ていたが、嫌がらせに屈する事なく吉村は増々意固地に土地にしがみ着いているように見えた。だが今行っている嫌がらせでは暴力団の直接関与を証拠付け、逮捕に至るまで行かない。そうブリーダーに言われ、「とっておきの写真」を使えば危うく暴力団側にこちらの足が掴まれそうになってしまった。
八方ふさがりであった。
「私が死んで、あいつらが捕まるんなら‥‥」
「潔い事だが無駄が多いぜ、お嬢ちゃん?」
言葉と同時に市川の顔の上にクッションが押し付けられる。
強い力に息が出来ず、手足をばたつかせる市川。
「良い事を教えてやるよ。別の犬舎から犬が離された‥‥そいつらにお前は狩られてやるのさ‥‥早いぜ」
「!」
一瞬力が弛んだ隙に市川は、そのままクッションを跳ね除けた。
「いない‥‥」
市川は白わんこに相談をした。たった2人のチームである。
だらだらと内定をこのまま続けても、埒が空かない。賭に出ようと。
「犬となった時から覚悟は出来ている」白わんこは、そう笑った――
――正体の判らない男の言いなり通りになるのは酌だが、これで奴らは逮捕される。市川はそう思った。きっと白わんこと苅部の仲間が私の集めた証拠を上手く使ってくれる。
私にも実刑が着くだろう‥‥できるだけ重い判決になれば良い‥‥上手く、証言してなるべく1人でも多く捕まえられるように‥‥‥市川はゆっくり眠る為に目蓋を閉じた。
「ワンコ1匹、みーっけ! あはははは」
ブリーダーへの報告直後の白わんこは、突然後ろから現れた黒猫に完全に虚を突かれた形になった。
「‥‥っ!」
咄嗟に身を庇ったが袖はばっくり切り裂かれた。
負わせた傷はかすり傷程度だったが、黒猫はそれで満足だった。
「あなた、誰?」
「黒猫って言う殺し屋さんさ」
「その殺し屋さんがなんだって言うの?」と黒猫を睨みつける白わんこ。
「俺っからのプレゼント♪」黒猫は指の間に挟んだ小瓶を見せる。
「この前、あんたの仲間が邪魔をしてくれたお礼♪ これは解毒剤、頑張って探しておくれ♪」
遠くの草むらに小瓶を投げ捨てる。
白わんこが振り返った瞬間、もう黒猫の姿はない。
「あはははっ、あんまり時間がないよ。急げ急げー!! きゃははは」
「‥こんな、バカな‥‥なん、で‥‥こん‥‥」
酷い頭痛と発熱で思考が纏まらない。実際には数分しか経っていないだろうが、小瓶を探している白わんこに取っては数時間が経過したように感じる。
木の根に足を取られ、そのまま地面に突っ伏す白わんこ。
「こんな‥‥舞‥ごめ‥‥」
「お嬢ちゃん、気合いだけで潜入官はできないぜ?」
「だ、れ‥‥?」力つき昏倒する白わんこ。
「全く‥‥」男はつまらなそうに言った。
●狼
――数日後。
黒猫がこのウィークリーマンションを借りて2日。一切のルームサービスは断っている。
だが、そこに届けられた宅急便。覚えのない女文字の差出し人名に不信を抱き乍ら包みを開ける。
中身を見て、鼻に皺を寄せる黒猫。
「面白いじゃん‥‥」
見覚えのある腕時計をした女の腕。持ち主であった女がどうなったか想像し易い。
『社長! 聞いているんですか?! ウチは小さな事務所ですし、そんなに仕事が選べる訳じゃないですけどあんなにハードなんて聞いていません!』
「ああ、すまないね。でも、その辺はホラ? 臨機応変にね。次はマトモな仕事を回すから‥‥」
「ゴミの匂いがまだ落ちない」「ギャラをあげろ」等とごちゃごちゃ言っているモルモットお姉さんの声が、少し離れた場所に立つ男の耳にも届く。
「なんで、使い捨てにしない? 本人も『やりたくない』ようだしリスクを負って迄、繰り返し使う理由はないだろう?」
男の言葉に事務所の社長が苦虫を潰したような顔をする。
男は笑うと入って来た時と同じように音もなく出ていった。
男が去ると同時に漂っていた死臭というべきなのだろうか?
事務所の中に漂っていた異様なな雰囲気が消える。気が弛み、社長の額から一気に汗が吹き出る。
「‥‥‥『狼』め」