「R・A」Dec南北アメリカ
種類 |
ショート
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担当 |
有天
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芸能 |
3Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
7.9万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
12/15〜12/19
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●本文
「15インチ‥‥いや、17インチにするべきか‥‥‥R・Aのクリスマスパーティ用は現場で作って貰うとしてもな」
クリスマスケーキのカタログをめくり乍ら、インターネットコンテンツサービス会社の在宅職員ロック・ライフ(23)は自分用のクリスマスケーキをどうするか悩んでいた。
ロックは、新人とインディーズの発掘する「ROCK・AWARS」の「お勧めの曲」とコーナーを担当していた。上司も「聴くのは、一般視聴者。プロじゃない。お前の好きに選べ」といった態度ゆえ、はっきりいってロックの主観(好き嫌い)で、通常、毎月「お勧めの曲」が選ばれる。なのでメジャーなアーティストが選ばれる時もあれば、全く無名のアーティストが選ばれる場合がある。
「17インチにするべきか15インチにするべきか‥‥‥」勿論、ケーキの話である。
どうやらロックに取っては目先のケーキの方が大事らしい。カタログに書いてある申込締め切り日とカレンダーを確認しようとして「‥‥‥しまった! 12月のお勧め曲の募集かけなきゃ」
「ROCK・AWARS」の片隅に小さく募集記事が掲載された。
●「『ROCK・AWARS』お勧め曲」への投稿者 募集!
参加資格 プロ・アマ、ソロ・グループ問わず! 今回からオリジナルPVも受け付けます。
テーマ なし
ジャンル ロック
歌詞&曲は、オリジナルのみ♪
歌のみ(歌手ソロ)曲のみ(バンドマンソロ)の参加も可能♪
オリジナルPVを作成しての投稿も可能♪
ここまで打込んでおいて、ロック、ふと思う。
「プロモーションビデオの撮影受付OKって書いたけど、アマチュアじゃあプロモの作り方なんてしらないよな」
投稿募集の一番下に小さく撮影スタッフ斡旋の文字が追加された。
●プロモーションビデオ撮影スタッフの斡旋も致します
●リプレイ本文
●撮影状況
低予算重視の自主PVなのでスタジオで撮れる分は、複数のミュージシャンが集まってスタジオと機材を借り、日替わりで撮影する方法が撮られる事になった。
アシスタントのカリン・マーブル(fa2266)は、パタパタとスタジオ内を忙しげに駆け回っていた。
「カリンさん、使わなかった服を片付けるのを手伝ってもらえます?」とA&D(fa4517)が声をかける。
「は〜い」
アニーは、全体スタイリスト兼ヘアメイクを担当である。
アニーが事前に用意した衣装はX’masをイメージした物が多く、曲の内容から行くと鶤.(fa3351)とラファエロ・フラナガン(fa5035)のユニット「HolyKnight」以外は使用しないようなので、ミュージシャンたちの要望に対応しようとあちらこちらに連絡をして衣装をかき集めていた。
そしてたまたま現場を覗きに来ていたロックに「別室が欲しい」と言うアニー。
理由を聞けば半獣化するとの事。
「そりゃ、なんていうか、‥‥乙女心ですよ」
綺麗な者はより綺麗に、格好良い男はより格好良く。アニーなりのこだわりである。
亀獣人のアニーならば目立つのは甲羅だけである。
「別に僕は今回の監督じゃないし、今回の現場は予算の関係で人間のスタッフもいるから‥‥」と言いながらもスタジオの隅に更衣室という名目で「つい立て」を探し出してきた。アニーは、そこで仕事をする事になった。
「う〜ん、かっこいいです♪」とか「アクセサリーはやっぱりシルバーですよね♪」
アニメチックに表現するのなら語尾にハートが飛びかっている状況である。
さしずめ対象者は相麻 了(fa0352)かラフィー辺りだろう。
が、ロックは「楽しそうでいいんじゃん?」と自ら持って来たお土産のドーナッツを食べていた。
ジョーカーのPVカメラマンは、本来女優である仙道 愛歌(fa2772)である。
炎を綺麗に撮ると言うのは、存外プロでも難しい。映像に残像が映り込んだりと、撮影後CG処理を掛けるのが普通であるが、基本になるVTRがしっかり取られていないと処理をしても限界があるのだ。
これをフォローするのは、照明担当のウィリアム・ライト(fa4589)。
全体の照明担当も行っているがジョーカーのPVである。
アリーと同じで仕事をするからには全力を尽くしたいビルから完獣化したいという要望は、あっさり却下された。獣人が多い業界だが参加スタッフ中には人間が混じっており、特にタカの撮影は屋外である。
「半獣化ならなんとかなるかなぁ?」とビルは溜息をついた。
ジョーカーの周囲でゆらゆらと揺れる炎の光量は安定せず、気をつけないとジョーカーが白くなり過ぎたり、逆に炎だけ目立ち黒くなってしまう。その為、他のアーティストの倍以上時間をかけ、ビルは納得が行くまで何度も光量や色見をチェックし「服とか色おかしくなりそう?」とアニーと調整をしていた。
上手く映っているか? と最後まで心配していたが、出来あがったPVを見たロックは「良く出来ているんじゃん?」と言った。
自分達のセットが組み上がる迄の間、鶤とラフィーは最終の音合わせを行っていた。
「足手纏いにならない様、練習したんで‥‥この曲に関しては、普通に聞える程度ではあると思っているが」と鶤。
「気弱なことを言ってるんだよ。鶤のベース、イケてるよ。弾けていこう!」
11月お勧め曲に採用されたラフィー、倍の歳近い鶤に突っ込みを入れてる。
芸能界では年齢は関係ない、才能だけがその人物の評価である。
浮島・隆志(fa3704)のPVに関して2台のバイクが平行してハイウェイを疾走し撮影、CG加工される事になった。そして街頭での撮影は一番交通量の少ない早朝が選ばれ、撮影された。
尚、街角での撮影は、時間帯がラッシュ時ではないのですぐに許可が降りた。
「寒いよ〜、冬眠しちゃうよ〜」と愚痴を言っているビルを始めとする凹みぎみのスタッフにカリンとアニーが、温かいコーヒーやサンドイッチを配って歩いていた。
出来上がったPVを見て、事情を知っているロック「ご苦労様」と言った。
●最終選考曲
【Burning X’mas】 JORKER
Vo:ジョーカー
廃ビルの中に立つジョーカー。
激しい炎が立ち上る中、スタンドマイクを握り、熱い恋の歌を荒削りの声が力強く歌う。
「 熱く紅蓮の炎のように
今夜お前とBurning X’mas
全て忘れて燃え上がるのさ
今夜お前とBurning X’mas
言葉なんて必要ないのさ 」
【angel】 HolyKnight
◆&G:ラフィー、○&B:鶤
クリスマスイルミネーションで彩られた街。画面中央に揃いの赤い革に白のフェイクファーが着いたサンタっぽいイメージの服を着た鶤とラフィーが映し出される。子供部屋に煙突から忍び込んでいく二人。大きな袋からマイクやら楽器を取り出し、枕元で──
「Let’s! Rock’n roll!!」掛け声も高々に曲がスタートする。
「「 この聖なる夜の奇跡を 永遠に 」」
◆「 磨きあげられた君の 美しさに
僕は もうTO・RI・KOさ 」
○「 左手に光る約束の印など 今日は
捨てて さぁTO・MO・NI行こう 」
『 昨夜見た 夢のカケラ
この手に 掴んで 』
「「 降積る雪と共に落ちて来た angel
夢の様な一時の present 」」
『 この聖なる夜の奇跡を 永遠に 』
【Made in Highway】 浮島・隆志
雪の降るハイウェイを走るバイク。人通りのない道路の真ん中でギターを弾きながらタカが歌う。
「 着古したレザーライクのジャケットを風になびかせて
果ての見えないハイウェイを走る
灰色の世界が二つにわれるように流れていく
その果ては、真っ白なまま
ショートストロークが胸をたたいて急きたてる
欄干から巻き上がる気流が俺を空へと吹き上げる
風も寒さも感じない、アドレナリンが頭の芯を研ぎ澄ます
天に昇るオレの心に迷いはもうない
グリップを握るこの手のひらも、もう震えない
新たな世界が切り拓かれる
白い彼方は光か? 闇か?
Made in Highway 」
●12月お勧め曲
「PVとして見た時のグレードの高さは『angel』が1番、演出も凝っていたしね。『Burning X’mas』は非常に僕好みの歌詞だったし、条件が厳しい中カメラと照明が頑張ったと思うよ」
「『Made in Highway』は他の二組がX’masだったのに対して、ロードムービーを思い出させる曲で完成度も高めでメッセージ性もある、曲も正統派のロックなんだけど‥‥何故だろう? 他の二組に比べてインパクトが少なかった」
こればっかりは感性なんだろうけど‥‥そう言うとロックは肩を竦めた。
こうして「12月のお勧め曲」として『angel』が選ばれ、ラフィー、鶤には、後日記念品としてワイヤレスマイクが贈られ、1ヵ月間ROCK・AWARSのホームページのトップを飾る事になった。