「7」X’masライブアジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
有天
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芸能 |
3Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
7.9万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
12/20〜12/24
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●本文
古い運河沿いの鉄工場跡地を改装して作られた作られたライブハウス「7(セブン)」。
厳ついコンクリートの外壁と大きな赤錆が浮いた鉄の扉が印象的で、来る人を拒むように聳え立つ。唯一ライブハウスである証拠と言える物は、ネオン看板ぐらいである。
‥‥‥と、ここ迄がいつもの「7」である。
世間一般、クリスマスシーズン到来である。街にいつもと違うクリスマスツリーのイルミネーションが輝き、ケーキの広告と御歳暮、おせちの広告が店頭にはり出される。
とりあえず料理が趣味となりつつある浩介がおせちをどうするかとか考えるより先にクリスマスが業界的にやってくるのだ。これに乗らない訳はない。
取り合えず夜中に頑張って、電気モールで外壁を飾ってみた。
ツリーは浩介の趣味でいけば、出入り口ドアに2m、エントランスに3m、VIPルームに2m、カップルルームに30cm、1F立ち見席には吹き抜けをフルに使った4.5mを各1本飾りたい所であるが‥‥‥予算が追い付かない。「電飾で誤魔化すか?」
ちなみにこういう時は親父さんは、アテにならないので色々悩む浩介であった。
●参加者募集!
<料金表>
『ライブチケット価格 3000円』
『VIPルーム+ワンドリンク +席料1000円』
『カップルルーム+フリードリンク +席料3000円』
●出演者募集!
テーマ 聖夜
グループを問わず、ソロ(奏者、歌手のみ)参加も可能
ピアノ&ドラムは、貸し出し可能
ライブでの演奏は、タイトル・歌詞・曲は、オリジナル限定
●スタッフ募集!
2Fにあるキッチンは本格的なものになります。あなたの腕を振われるのも一つです。
必ずスタッフジャンパまたは、Tシャツを着用
<店長より>
●リプレイ本文
●The X’mas Tree
「出入口は『店の顔』だし、1Fはメインだから外せないと思うんだよね。だから他は、スパっとCut」
銀色のスタッフジャンパーを着た四條 キリエ(fa3797)、開口一番浩介にこう言った。
「僕もキリエさんと同意見です」とスモーキー巻(fa3211)。
「そうだな。今回のトータル予算は70万なんだが、4.5mツリーは木本体だけで30万掛かるんだ。カップルルームは内装が高い分下手に安い物が飾れなくってな」
俺が見たクリスタルのツリーは25万円してな。じゃあ本物の小さいもみの木にオーナメントと思ったんだが、15万円するんだ。と浩介。
「一体、何を見たんです?」とスモーキー。
誰でも知っている超有名海外ブランド名をあげる浩介。
「店長、Simple is Best!」とキリエ。
キリエとスモーキーの出したプランは、こうである。
◆出入口ドア外2m
玄関用はライブハウスっぽく音符やミニ楽器の形をオーナメントとモール。
見えない背面には巻かないS字巻で電球節約。カラフルに人目を引くようにする。
◆1F立ち見席から吹き抜け用4.5m
下手にゴテゴテ飾らず電飾のみで大人っぽく。
大きく意見が違ったのは、カップルルームであった。
二人の意見を聞き暫く考えた後「2F席からはステージが見下ろせるからスモーキーの案で行くことにしよう」と浩介は言った。
そして買い出しである。運送費も節約と言う事で飾りは近くの「7」近くの問屋街で購入する。両手一杯に荷物を抱えて区バス乗るキリエとスモーキー。
「次は車を出して貰おう」と固く心に決めるのであった。
さて一同が心配していた大型ツリーの搬入だが、元々「7」は鐵加工工場跡をそのまま使っているライブハウスである。
駐車場もトラックが楽々入れる広さであり、入り口の設置は問題ない。問題は中である。
スタッフ達で搬入すると思っていた小日向・レン(fa4161)に対して「裏の用水路に足場を組んでクレーンを使う」と言う浩介。予算の半分は、運搬費と設置費なんだよ。と苦笑する。
「サイズとか無計画に言っている訳じゃないんだよ」と言う浩介に、先に言って欲しいと思うメンバー達だった。
もみの木の設置が終わり、出演者乍ら飾り付けの手伝いを申し出ている駒沢ロビン(fa2172)と雪架(fa5181)がやって来る。半獣可して高い部分の飾り付けをする為に人間のスタッフ達は、スモーキーやレンが適当に買い物等の手伝いを頼んで外に出ている。セッカがツリーの上のシンボリティックオーナメントの星を飾り――。
「できた‥‥」
どうやら準備万端、いよいよ開場である。
●Open The Door
通常の開場時間より早めに開場して、観客達にもたっぷりスタッフ達の力作を楽しんでもらう事にした為に出演者と観客が入り乱れる事態となる。
「今年一年の節目はやっぱりここでないとね」と出演者の亜真音ひろみ(fa1339)、チケットをもいでいるロビンを見つけて声をかける。
「駒沢、今回はよろしく。いいライブにしようぜ‥‥って何しているんだ?」
「スタッフ。皆、忙しそうだから手伝い」
浩介的には助かるが、いいのか、それで? と、突っ込みたくなる。
やはり出演者の堕姫 ルキ(fa4852)、スタッフやら出演者に悪戯をして歩いている。
「仕方ないじゃん、あたし堕天使だもん」とにんまり笑った。
それに対し客として来た冬織(fa2993)、三つ編みに和服、さらにピンクのがおーうさぎを持っている為に妙に目立っている。
「受付嬢殿、出演者殿らへクリスマスプレゼントなのじゃが、託してかまわぬか?」とクリスマスローズのミニブーケを差し出す。
それを見た浩介に直接楽屋に行けば良い。と言われるが、VIPルームのチケットを振って見せ、「今日は客じゃ。クリスマスは家族と共にあるものじゃよ、本来。のぅ、がお太郎」と言われてしまった。
それにステージ側からは見えぬ何かを、感じることが出来るやもしれぬしの。とまで言われてしまったので「昆布茶が欲しくなったら、店長室に遊びに来るればいい」と苦笑した。
一方、裏方は大変である。
厨房を取り仕切るキリエ。
「カチャトーレ、ローストビーフサラダ、ミネストローネ、ミニブッシュ・ド・ノエル‥‥敵に取って不足なし! X’masらしいMenuに腕揮おう!」気合い十分である。
レンから「シュトーレン」がリクエストされ、「客にジンジャークッキーも配ろうぜ」と親父さんの一言で仕事が増えてしまった。
スタッフTシャツを着てキリエを手伝っていたレン。
ウェイターもしていたが、カクテルの知識が少々あるようなのでVIPルームのカウンターに転属になった。
「バーテンダーは下手に飲めると判ると客に飲まされて仕事が出来なくなる」と浩介。
そしてもう一つ打算もあった。
白いシャツに黒い蝶ネクタイ、お仕着せのバーテン服を身に纏い「お待たせしました」と微笑みフローズンカクテル等を差し出すレン。曲そっちのけでレンに群がる女性客が数名いたのは事実であった。
出演者の演出担当するスモーキー。
「ライトではなく紙吹雪」とセッカからリクエストされたスモーキー。
どのタイミングで降らせるか、他のメンバーの演出も含めてチャートに書き込んでいる。
キリエは料理の合間に作った小さなツリーを持って来て、ピアノの上に置いた。
「私からのX’mas Presentだ」
こうしてステージ心憎い演出が一つ加わり、いよいよライブがスタートする。
●Holy Night
「聖なる夜にふさわしくないかもしれないが、あたしの唄を聞いてくれ」
【君へ】 =snow apple=
Vo:ひろみ P:ロビン
♪♪♪
街中に溢れるイルミネーション眩しくて路地裏に身を潜めた
寒さに身を竦めながら自分のいる世界と違う世界を眺め傷つけ傷ついていた
夜空から降り注ぐ雪がその全てを隠してくれるまで
誰にも心許せなかった
街角から聞こえて来たありきたりなゴスペルとクリスマスソングに心奪われ
いつか自分もと柄にもなく心躍らせた
たとえ儚い夢だとしても
今宵今夜君にこの歌声を届けたい
つたない歌声でも人に何かを伝えられると信じて
今この歌声は君の元に響いているかい?
この歌声は君の心を動かしているかい?
たとえ今は無理でもいつか届くと信じて唄い続けよう
路地裏で震え続ける君に
♪♪♪
ひろみの語りかけるようなバラードを聞き乍らVIPルームのとおる。
「レン殿、『ブロンクス・カクテル』を頼む」
「冬織さん、強いんですね」
「うむ、まあまあじゃが」
レンの思い違いでなければ、先程は赤い水引きで作られた花がグラスの柄に飾られた『花椿』をリクエストしたはずだ。
「上手い肴も頼む」と言われて悩んでしまった。
浩介に聞きに行った所「匂いが強い系のブリーチーズとかが、ブロンクスには合う」と答えた。
クサヤやカラスミとか、アタリメとかもいけるな。と親父さん。親父コンビに着いていけないレンであった。
一方、なかなか帰って来ないレンに。
「‥‥梅昆布茶も頼めば良かったかのぅ」と、とおるは呟いた。
次はぴったりとしたボディラインを強調する露出度の高いマイクロミニの改造シスター服に逆十字架を下げたルキ。
半獣化しているのでいよいよ持って堕天使的である。
【cardinal E.V.E】 =堕姫 ルキ=
♪♪♪
街を白く染めてゆく 清らかな粉雪
静謐な闇に寄り添う 恋人達の“聖夜”(よる)‥‥
ココロ白く染めてゆく 浅ましき欲望
燃え上がる闇に乱れる 恋人達の“性夜”(よる)‥‥
Agnus Deiの“前夜祭”(イヴ) 始まりの罪
赦しなんて要らない 欲しいのは唯‥‥あ・な・た!
聖なる夜を染めてゆく‥‥
「わたしと」「あなたの」熱く迸る‥‥Desire!
聖なる夜に堕ちてゆく‥‥
「犯した」「罪は」もう戻れない‥‥VirginNight!
♪♪♪
静謐なバラードで曲は始まったが、すぐに転調し攻撃的なハードメタルに変わる。攻撃的で挑発的な歌詞と赤い照明に浮かび上がる激しいダンス。
「悪くないですね」
「お前はバラードやクラシックが好きな癖にスラッシュメタルが専門だったな」
「時代的にハマる音楽が、アイドルからフォーク、テクノ、ハードロック、メタルの順に変わるのが普通でしたからね」
今は地味に第2次メタルブームですからね。俺としては彼女には頑張って欲しい所ですよ。と浩介、にっこりと笑う。
次にステージに上がるは白の上下に同色のジップアップジャケットにシルバーアクセサリーと全身白で纏めたセッカ。ピアノの上に飾られた小さなツリーを見てにっこりと微笑む。
曲は涼やかなベルに被せるようにセッカのピアノが重なって始まった。
【simple*jingle】 =雪架=
♪♪♪
期待ゼロ カイショーナシが好みなの?
確かに否定しない 今日も残業
44階じゃ街のキラメキも見えないし ベルは遠く TVの中
喜ばせたい 想いに嘘はない 言い訳するつもりはないけどさ
無関心 くすんだ銀 月明かり 夜に鳴いた夢の仔猫
僕の隣 肩に触れた 君の匂いがしてた
ありきたりでいいよ 聖夜なんて小さな枠で
括りきれないから 日々 つながる HAPPY DAYS
明日には安くなるケーキだけどね
一番大きいの! これがアイだよ
二人で食べよ 明後日までかけて 4分の1は僕にまかせて
待っているかな 大きなアイの箱 抱えて走る
ドアを開けて 呆れた顔 特別じゃない笑顔を見せて
ありきたりでいいよ 聖夜なんて小さな枠さ
Twinkle! 星が舞う 鼓動 日々につなげて HOLLY NIGHT
きよしこの夜 僕は汗かいて 全力疾走 目的地はもうすぐ
君に会いにいくよ!
♪♪♪
紙吹雪がゆったりと落ちる中、曲は終了した。
全てのステージが終わり、ぞろぞろと「7」を後にする観客達。
「此度は観客に徹したが、やはりわしは歌い手じゃ。次のステージが待ち遠しいの。のぅ、がお太郎」
冷たく冴え渡った星空を見上げて、とおる。彼女の歌が「7」で再び聞ける日は近いのかも知れない。
人気の無くなった「7」でたった一人で座っているひろみ。
目の前にはキリエが作ったクリスマス料理やシャンパンが綺麗に並べられている。
――かたん。小さな音を立ててドアが開いた。
呑んべい親父コンビ、川の散歩道でライブ成功の祝杯をあげる。
「「Merry X’mas!」」
聖なる夜に そして恋人達に乾杯――。