「7」正月アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 有天
芸能 1Lv以上
獣人 3Lv以上
難度 普通
報酬 7.9万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 01/04〜01/08

●本文

 古い運河沿いの鉄工場跡地を改装して作られた作られたライブハウス「7(セブン)」。
 厳ついコンクリートの外壁と大きな赤錆が浮いた鉄の扉が印象的で、来る人を拒むように聳え立つ。唯一ライブハウスである証拠と言える物はネオン看板ぐらいであるが、今は扉の両脇に五尺門松がおいてあるので、一応正月っぽい。

 浩介的には松のアレンジメントにするか悩んだが、結局親父さんの勧めに乗った形になる。
「7」の前の駐車場では、今では珍しくなった獅子舞が披露されている。
「正月だし、また和楽器とのコラボも良いかも知れないし‥‥」

 正月期間内のライブである。
 冬休みや帰省で人が少ないかも知れない‥‥‥。
「まあ、人が来なければ内輪で騒ぐのもいいかな?」
「なんだ、新年会をやるのか?」
 駅伝の中継を見ていた親父さんが浩介を振り返り乍ら言う。
 家では芸能人の「隠し芸大会」を見ているので、仕方なく「7」に来て見ているらしい。
「集まった顔ぶれ次第でしょうね‥‥たまには2FのVIPルームでやりますか?」
「そうだな。飯を食い乍ら交代で演奏し乍ら評価しあうとかも面白いな」
「‥‥それでは新年会じゃ無くなってしまいますよ。まあそれも面白いので別の機会にでもしてみましょう」


●出演者募集!
 テーマ 『新春』
 グループを問わず、ソロ(奏者、歌手のみ)参加も可能
 インストゥルメンタルも可
 ピアノ&ドラムは、貸し出し可能
 ライブでの演奏は、タイトル・歌詞・曲は、オリジナル限定


『ロックアーティストの他に和楽器(三味線、琵琶、鼓、太鼓、尺八)奏者等ジャンルを問わず歓迎』

●新年会に参加される方は『芸』をお願いします。
 例)ブリッジをし乍らギターを弾く、餅の一気食い、鼻から牛乳、降霊術(但し、本当には出来ない。見様見真似) 等
 基本的に店長やオーナーは、一発芸をしません。
 尚、実在する芸人さんの芸を真似するのは駄目です。
 未成年者及び乗用車やバイクを運転している人には酒が出ません。
 ノンアルコールドリンクでお願いします。

※スタッフはスタッフジャンパーかTシャツを基本着用の事、振袖等和装は可(当日割烹着貸出)

●今回の参加者

 fa0422 志羽翔流(18歳・♂・猫)
 fa0484 林檎(18歳・♀・鴉)
 fa0595 エルティナ(16歳・♀・蝙蝠)
 fa0847 富士川・千春(18歳・♀・蝙蝠)
 fa1242 小野田有馬(37歳・♂・猫)
 fa1744 雛姫(17歳・♀・小鳥)
 fa5030 ルナティア(17歳・♀・蝙蝠)
 fa5286 四菱ベンジャミン(22歳・♂・兎)

●リプレイ本文

●IN THE BACK
「おめでとーございます!」
 そう言って現れたのは四菱ベンジャミン(fa5286)と紋付袴姿の志羽翔流(fa0422)。
「あけましておめでとうございます♪ なんか飲み物しかない気がしたから正月料理持って来たわよ」振袖姿の富士川・千春(fa0847)。
「あたしなんかコレ以外持って来なかったよ」ショルダーキーボードを示す林檎(fa0484)。
 背中が見える程襟足を大きく開けたデザインの着物がセクシーである。
 そう親父さんが誉めた所、あっさり「演出も兼ねて翼を出すだけだから」と言われ苦笑する。
「あ、僕も後で兎耳つけます。お仲間です」とベニー。

「浩介様、お父様、あけましておめでとうございます」雛姫(fa1744)は萌黄に梅の振袖姿。
「おとう‥‥それは俺の事が?」
「変でしょうか? 『親父』」というのは、父親を指す言葉ですので『お父様』と」
 真顔で言うひなに、自分の娘にだって『お父様』なんぞと呼ばれた事が無い親父さんが顔を赤くした。親父さんが赤くなるというのは、とても珍しい事である。
「ひな、よかったらもっと呼んであげてくれ。本当は『お爺様』の方がぴったりくるかも知れないが」と笑う浩介。
 うるせぇ。と顔をしたまま親父さんが吠える。

「「明けましておめでとうございます。今日は」」
「ルナと」
「エルと」
「「一緒に参加させて頂きます。よろしくお願いします」」
 ぺこりと頭を下げるのは双児のエルティナ(fa0595)とルナティア(fa5030)。
 そっくりな顔をした二人は江戸紫色、朱鷺色と色違いのおぼろ小花絞りの振袖を着ている。
「‥‥途中で着替えたら絶対間違えるな」と親父さん。
「‥‥そうですね。ちょっと声質が違うようですが」風邪を引いたとか言われると判りませんね。と記憶力の怪しくなってきている親父二人、顔を見合わせボソボソと話す。

 * * *

「あけましておめでとうございます。山田店長、物凄くお久しぶり♪」とフォーマルスーツの小野田有馬(fa1242)。
「あけましておめでとうございます。小野田さん、良く来て下さいました。ありがとうございます」とスタッフジャンパー姿の浩介。
「相変わらずの男前で嬉しいわ♪ でもスーツ姿以外は初めてね、新鮮だわ」そうそう、このお店物凄く美味しいの。と『紅白かまぼこ』と『カステラ』を手渡す社長。
「お気づかいありがとうございます。早速切って頂きましょう」
 出演者やスタッフは終わる迄上がって来ませんので少し寂しいかも知れませんが。と言い乍ら浩介、社長をVIPルームに案内する。
 1Fエントランスで常連客と喋っていた親父さんはそんな浩介を見て「あいつは元営業だったっけな」と呟く。親父さんもいつもの皮ジャンにジーンズ姿である。
「俺も着替えて来た方が良いのか?」と呟いた。



●LIVE ON STAGE!

【未来への道】Vo:雛姫、P:エルティナ、ケルトハープ:ルナティナ
 ライブハウス「7」の2007年最初の1曲目は、エル、ルナ、ひなの3人によるユニット【E.L.H】。
 夜明けをイメージさせる薄暗いライトの中、幻想的にピアノとケルトハープのゆったりとした優しいメロディが観客席へと広がる。

♪♪♪
 春風馨る 巡り巡る季節
 木々の眠り まだ明け切らぬ 遠い夜明け
 暗く冷たい 雪舞う道に 夢の明かりを灯し 一歩踏み出せば
 きっと君が望む 未来への道 開くだろう

 すべての始まりの今だから そっと君の背中押してあげよう
 迷い戸惑う君を 笑うように 風が大地で踊っている
 前だけ見て 怯えないで

 今から始まる未来へ 歩き出して
♪♪♪

 ひなの声とエル、ルナの演奏が強く盛り上がっていくに従い、陽が強くなるようにステージを照らす照明が徐々に明るくなっていく。
 ステージでは優しい笑顔を浮かべたひなが客席に向かって手を差し伸ばしている。
「洋楽器でどう日本の正月を演奏するかと思ったが‥‥」悪くねぇな。と親父さん。
「和楽器独特の湿ったような音は、洋楽器には難しいのですがケルトハープを使用したのがよかったのかもしれませんね」
 それにひなも客席に語りかけるように丁寧に歌っているますし、とても良く仕上がっていますね。
 紙吹雪の舞い落ちる中、曲の余韻と共に照明が徐々に薄暗くなっていき、演奏の終了と同時に暗転した。


【春色染まりかけ‥‥】Vo:林檎
 ベースラインを中心としたメロディにクロの声が重なる。心を押さえたような潜った感じから心乱れ戸惑うようなメロディに変わる。

♪♪♪
 気付かぬまま 日々を過ごしてた
 そ知らぬふり specialty

 季節の変わり目 時の変わり目
 境界が廻る度 それまでの自分を振り返る
 今までどう過ごしてきたの?
 次をよりよく過ごすため

 気付いていないと 自分を誤魔化した
 そ知らぬふり specialty

 交わしてきた言葉 重ねてきた視線
 ひとつひとつ全て 積み重なっているはずで
 芽生えとも呼べないちっぽけな欠片
 自分でも戸惑っているから

 本当なら自分も 気づきたかったのかも
 そ知らぬふり specialty

「今はまだ 厚く強く皮をかぶって じっとして
 春に芽吹くまで寒さ凌ぐ為の準備を」

 それまではこのまま 隠したままで
 そ知らぬまま specially
♪♪♪

 ピンクの花びらのような照明がくるくると回りクロが花吹雪の中にいるように見える。
 台詞に合わせ、あいた手で扇を広げるクロ。舞うように腕を交差させると同時に広げていた羽根を閉じる。
「大丈夫でしたかね?」
 クロの演出を聞いた浩介が半獣化のリスクを減らす為、目の錯角を促す照明の演出を足したのだ。
 幸いにも微妙に変化する初恋の思いを歌い上げるクロに魅了された観客達は気がつかなかったようである。
 まさにspeciallyである。
 決意を込め力強く最後のフレーズを歌い上げクロの歌は終わった。

 * * *

「なんだか昔を思い出すわね。最近、こういう演奏を生で聞く事も少なくなったわ」
「そうなんですか?」と社長にお代りのグラスを渡す浩介。
「同年代よりはまだまだ若いつもりだけど‥‥若返る感じがするわ♪」
 2FのVIPルームに座っている親父達は、先に宴会をなにげに始めているようである。

 そこに演奏が終わった出演者達も上がって来る。
「わたくしは芸ができませんので、お料理を作って見たいと思います」とひな。
「料理ができるって事は十分一芸だぜ」と親父さん。
「2Fのキッチンは石釜もあるが、ゴキブリが出ると困るのであまり食材をストックしていないぞ。小麦粉と塩があるから生パスタやピザぐらいはできると思うが?」と浩介。
 猫がくわえて持って来るとバイトの子がパニックになるんだ。と溜息をつく。
「私達もそれはちょっとパスです」と顔を引きつらせるエルとルナ。

「あたしも芸は無しですが‥‥代わりに酔い止めの効果のある薬草茶を持ってきました」とクロ。
「酔い止めっていうとウコン茶か?」と親父さん。
「違います。ウコン茶もアルコールの吸収を抑制しますが、あれは漢方やスパイスのイメージが強いから使わないんです。スパイスティーがよければスパイスティーも煎れますが‥‥」
「クロはお茶が詳しいな。好きなのか? 我が家は茶道楽でもあるから安くて良い小売店を教えてやろうか?」
「是非!」クロ今日一番の食いつきである。

 * * *

 グループ全員和装で統一するはずが、一人だけ持っていなかったので、浩介から借りた袂が邪魔になると襷掛けをして演奏に望むベニー。
「TVでやっていて、ちょっと格好いいかな? って思っていたんだ」やれてラッキー♪ とノリノリである。

【奉納歌 〜UTAGE〜】☆志羽翔流:三味線、※四菱ベンジャミン:ドラム、#富士川・千春:エレキ

♪♪♪
※☆#
 涼やかに鳴り響く 衣擦れの音
 硝子の糸を弾く 鈴音に
 光りの羽が 舞い踊る
 風を纏い緩やかに 時を刻み唄う

☆#
 声にならぬ詩を 捧げましょう
 音にならぬ曲を 納めましょう


 土の匂い 風の香り
 花に願いを 星に祈りを

※#
 空廻り
 日は駆け降りて
 月たゆたう
 星たちは歌い
 海は囁く

※☆#
 さぁ歌い明かそう 宴のとき
 しなやかな体で 乞う踊りを
 伏して願い 奉らん
 我らが想いもて 願いの成就を

※#
 踊れ若人
 血潮のままに
 舞え命火よ
 心のままに

※☆#
 さぁ踊り明かそう 宴のとき
 艶やかな声で 乞う唄を
 伏して願い 奉らん
 我らが血肉もて 祈りの成就を


 光消えた
 夜の胎
 深き闇夜は
 母の懐
♪♪♪

 祭りをイメージさせるアップテンポのロックに観客達も和服姿も多かったがノリノリである。
 ライブが終わる頃にはぐずぐずに着崩れている子も多かったが、スタッフ総出で着物を整えさせ、さっさと観客達を放り出す。

 近くのスーパーで買い物を済ませたひなが手際よくチキンやポテトなどのつまみを手際よく作っていく。脇でピザが焼かれて香ばしいチーズの香が漂う。はるちーや社長のお手持ちの他は、ケータリングしか並んでいなかった卓が一気に華やかになっていく。
 さあ、いよいよお待ちかねの新年会である。



●PLAY THE PARTY!
「改めて明けましておめでとう、今年も『7』を宜しく。乾杯!」
「「「「「かんぱーい!」」」」」
 各々の手に握られたグラスが掲げられる。
「お腹すいたぁ〜」
「あ、そっちのカクテルも飲みたい。グラス取ってぇ」
 若いメンバーが多い(平均年齢を上げているのは、親父さん、浩介、社長の3人だが)ので、あっという間に飲み物や食べ物が減っていく。
「このペースでいくと一発芸が見れねぇで皆、潰れるか?」と言う親父さん。
「は〜い! 1番、富士川・千春、行きま〜す!」
『へたれべあー』と『はららきうし』を相手にコントを始めるはるちー。

【腹話術ショートコント『初夢』】
 はるちー「あけましておめでとう。ねえねえ熊君に、牛君、初夢見た? 私はまだなの」
 うし『初夢が見られるまで寝るのもいいわよ』
 くま”寝正月じゃん!”
 うし『美味しいものばかり食べて寝ると牛になるよ』
 くま”既に牛じゃん!”
「どうもでした〜」
 パチパチと拍手が上がる。まずは軽めのジャブから一発芸大会は始まった。

「2番、エルティナ。頑張ります!」

【バルーンアート】
 きゅきゅっ!
 手提げ袋から風船と空気入れを取り出し、膨らませた風船を器用に操るエル。
 次々と犬や花を作っていくエル。出来上がったバルーンは希望者(スタッフ)のお土産となった。

「3番、ルナティア‥‥基本技しか出来ませんが」

【中国独楽】
 弓と呼ばれる紐を器用に使ってくるくると谷渡りや頭の高さ迄独楽を飛ばしてキャッチする技を披露するルナ。スタッフ一同、やんやの喝采である。
「ずいぶん本格的だな」と感心する浩介。
「全く二人揃って器用なもんだ」と親父さん。

「えっと‥‥芸は、私もした方がいいのかしら?」と社長、ゆらりと立ち上がる。
 お酌をして回るひなに頼んで未開封のコーラのペットボトルを貰うと、
「4番、小野田有馬。一気します」

【コーラ一気飲み】
※※※ 危険なので真似をしないで下さい! ※※※
 TVであったらこうテロップが流れるだろう。
 がばっと空に向かって大口をあけると一気にペットボトルの中身を飲み始める社長。
 その姿は飲むと言うより直接胃に流し込んでいる感があり「中身を胃に捨てているのか?」と思わず言いたくなる程景気が良い。あっという間に空になったペットボトルを片手に「皆は真似しちゃ駄目よ♪」とウィンクする社長。
 誰も真似したくありません。と突っ込む浩介。

「大トリは大道芸人、志羽翔流の芸をとくと御覧あれ!」

【大道芸】
「ではお口汚しにまずは手品など、ここに取り出したる種も仕掛けもないハンカチを‥‥」
 ハンカチを懐から取り出すタケル、仕掛けがない事を確認させ造花を出す。
「おやおや花はお気に召さない? ではボール等」と花をボールに変え、ジャグリングを始める。
「さてさて、次は大神楽」
 傘の上でくるくると大小の枡とうり坊ぬいぐるみ回す。
「今日もたくさん回しております〜」
 どんどん♪
 太鼓の代りに机を叩き「おめでとうございます〜」と締める。

 * * *

「なんか最後は寄席に行ったみたいで、楽しかったですね」と浩介。
「後片付けがなかったらな」とペットボトルを集めている親父さん。
 片付けの手伝いを申し出たタケル等が手伝っている為、意外と早く終わりそうである。
「次は花見でやりますか?」と浩介。
 斯くしてまだ見ぬ桜の席で宴会(一発芸付き)を催す事を決める呑んべい達であった。

●ピンナップ


志羽翔流(fa0422
PCシングルピンナップ
大吟醸