VBディナーメニュー募集アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 有天
芸能 フリー
獣人 フリー
難度 やや難
報酬 0.7万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 01/30〜02/02

●本文

 古い運河沿いの鉄工場跡地を改装して作られた作られたライブハウス「7(セブン)」。
 厳ついコンクリートの外壁と大きな赤錆が浮いた鉄の扉が印象的で、来る人を拒むように聳え立つ。唯一ライブハウスである証拠と言える物は、ネオン看板ぐらいである。
 ライブハウスにしては豪華なイタリア製キッチンを前に最近「趣味:料理」と書いてしまいそうな男、店長の山田 浩介(40)は悩んでいた。

 そう彼が頭を悩ませているのは、2/14 セントバレンタインデー用のスペシャルディナーのメニューである。カップルルームの利用者がいなければ必要がないメニューであるが、VIPルーム利用客はいるかもしれない。
 ムーディで甘いお菓子のような新しいカクテルや簡単なチョコレートデザートぐらいはいるかも知れない。ローストした鴨肉に甘くないチョコレートをベースにしたソース、レッドペッパーとケッパーを飾り‥‥‥色々考えるといても立ってもいられないのである。
 浩介はとりあえず自分で考えたピンクやブラウン、ノーマルカラーのデザインパスタ(ハート型)を茹で、洋酒を程よく効かせ甘さを抑えたカスタードクリームと一緒にココット皿に入れ、上から粉糖を掛けオーブンで焼き色をつけ、更にクランベリーやラズベリーなどとチョコレートを飾ってみたが、今一お気に召さないようである。

「シャンパンにチョコトッピングをしたマスカット(または苺)1粒添えるとか‥‥最近はカカオリキュールやチョコレートリキュールにレシピが書いてあるしカクテルはそれでもいいのだろうが、デザートやディナーがな‥‥‥」

 完全に不毛のルーチンに突入したようである。
 この手の事が苦手な親父さんは、とっくにとんずらしている。

「こういう時こそ若いヤツラの意見を聞くべきだな」
 斯くしてアドレス帳の端から端迄、電話を掛けまくる浩介。
 こうして不幸な料理自慢たちが浩介の前で新しい料理を披露する事になったのである。

●今回の参加者

 fa1660 ヒカル・マーブル(20歳・♀・牛)
 fa2172 駒沢ロビン(23歳・♂・小鳥)
 fa2484 由里・東吾(21歳・♂・一角獣)
 fa2683 織石 フルア(20歳・♀・狐)
 fa4265 月白・緋桜(13歳・♂・猫)
 fa4882 ヒカル・ランスロット(13歳・♀・豹)
 fa5113 豊田せりか(16歳・♀・犬)
 fa5302 七瀬紫音(22歳・♀・リス)

●リプレイ本文

「バレンタインデー用のメニューですか。なかなか難しいですねえ‥‥」
 メイド服に身を包んだヒカルは、そう言った。メイドアイドルの肩書きを持つ彼女に取ってメイド服の時がお仕事モードなのかもしれない。当の浩介といえば「『メイド服祭り』も良いかも知れない‥‥出演者も客もスタッフもメイド姿‥‥」
 どうやら完全韜晦しているようであるが、韜晦出来るのは最初のウチだけである。

●ヒカル・マーブル(fa1660)の場合
<ホロホロ鳥のチョコレートソース掛け>
 1:ホロホロ鳥に塩・胡椒、シナモン、クローブで下味をつけおいておく。
 2:アーモンド、胡桃、レーズン等を全てフードカッターで刻み、脂が出てしっとりするまで練る。
 3:バターを鍋に入れた玉葱をしんなりするまで炒めニンニク、刻んだ鷹の爪も加える
 4:3にチキンスープを半分くらい入れ煮立たせ、2を入れよくかき混ぜる。
 5:火を弱火にしヴィンコット(ワイン)を入れ、次いでココアパウダーを少しずつ振るい入れよく練る。もしソースがボソボソと固くなったらスープを足してトロトロ感を保つ。
 6:ココアが完全に溶けたら、チリペッパー、塩・胡椒、シナモン、クローブを好みの味になるように調節しながら混ぜていく。
 7:1でした味をつけた肉を焼き始める。始め強火でこんがりと両面に焼き目をつけたら、弱火でじっくり中まで火を通す。
 8:皿に肉を盛り、上からチョコレートソースをたっぷりとかける。

「チョコレートソースというのは日本じゃ珍しいですので、驚くかもしれませんが美味しいですよ☆」
 そう言うとヒカルは浩介の前にたっぷりのチョコレートソースがとろ〜りと掛かったホロホロ鳥の皿を置いた。
「香ばしく焼き上げた鳥の旨味を濃厚なソースが引き立てている‥‥鶏のもも肉でも作れる点が良いね。オーダーが入らなくても他に転用ができる。良い料理を教えてもらったよ」
 そういってヒカルのレシピを受け取る浩介。


●駒沢ロビン(fa2172)の場合
<一口寿司のフライ&メロン粥>
 1:マスクメロンの上部をギザギザに飾り切りにして外し(蓋の状態)、種を取って身を丸く刳り抜く。
 2:お粥を炊き、メロンの身の一部と蜂蜜少々で味付け、メロンの器にお粥を入れ、身を数個飾る。
 3:イカ、鮪赤身、玉子、とんぶり、へしこの炙り等をネタに小さめの寿司を握る。
 4:寿司にフライの衣を着けて揚げる
 5:器に大きなサニーレタスを数枚広がるように敷き、粥の入ったメロンを置き、その周りを囲むように寿司を置く。
 6:ハートの抜き型で抜いた生ハムをメロン上部に飾り、食用ホオズキのチョコレートがけと残りのメロンの身をピックに刺しメロンに固定。

「この料理は俺は好きなんですけど、やっぱり寿司が揚がってるとかお粥が甘いとか、そういうのが人を選ぶでしょうか?」
「俺も旨いと思うが、メロンの粥は好き嫌いが出るろうね。酢豚のパイナップルを許せない人がいるからね。米をオレンジジュースで焚いてチキンカレー掛けて娘に出したら一匙も食べてくれなかった」と天井を見る浩介。
「寿司天フライは串で食べるようにしよう。その方が揚げるのも食べるのも楽だしな。あと12本は少々多いから6本でいいだろう」
 ロビンから寿司フライのレシピを受け取る浩介。
「ああ、そうだ。サラダ巻を揚げても旨いんだぞ」と付け加えた。

「ところで店長、ディスプレイの事なんですが、カップルルームは確か予約制でしたよね?」とロビン。
「ああ」
「女性の方だけに希望に応じてメッセージカードや彼の好きな花を飾ったりとか素敵だと思うんですけど」
「そうだな。カードは自分でプレゼントに入れる娘もいるだろうから、事前に一言確認しておけばいいだけだからな」
 アイデアをありがとう。浩介はそう言って他のメンバーの皿の試食に向かった。


●由里・東吾(fa2484)の場合
<ホワイトグラタン>
 1:丸い耐熱皿に2人前。ホワイトソースにマカロニ系のパスタとポテト、チキンを混ぜる。
 2:白いプロセスチーズをたっぷり乗せて、その上にゴーダチーズのスライスしたものを雫型に型抜きしたものを花弁にみたてて、花の形に並べる。

「欧米では男性からのプレゼントは花束が一般的だそう‥‥だから、花をテーマにして何か作ってみた。内装もそれに併せて花だらけにしてみると面白いかもしれないとも思うよ」今回はチキンにしたが、コストが許せばカニでも良いと思う。そう言って浩介の前にこんがり焼かれたグラタンを置くユリ。
「あまり今回はポントになる場所だけに飾るかな?」
 そう言って席を立つ浩介。
「あ、大事な事忘れていた。カニとチキン両方でデミグラスかカレーでも作ってみてもらえるかな? 2色同時に出してみたいんだ」


●織石 フルア(fa2683)の場合+α
<一本スパゲッティ>
 1:スパゲッティの麺に梅を練りこんでほんのりピンクを作る。
 2:解したタラコでソースを作り、彩りに青紫蘇の千切りを少々散らす。

<色々スパゲッティ>
 1:ペスカトーレ、ペペロンチーノ、カルボナーラ、ボロネーゼを作り、少量ずつハート型に盛り付ける。

<紅茶煮豚肉>
 1:紅茶を煮出した液に塊豚肉を投入、しっかり煮込む。
 2:キャベツ、人参、玉葱を千切りにした物と、細かく切ったワカメとドッレシングを混ぜ込んで山にし、その山の上に煮込んだ豚肉をスライスしたものを貼り付けるようにトッピング。
 3:最後に上で使った紅茶と同じ紅茶で甘さ控えめのゼリーを作り、崩しつつ豚肉の上にかける。

「1本スパゲッティは面白いな。味は普通のタラコスパだけど」
「変に珍しいだけだと食べれない人もいるだろうからスパゲッティ類はスタンダードにしたんだ」とフロー。
「そうだな」と苦笑する浩介。
 どうも娘も狐獣人なのでつい構いたくなるようだ(尤もフロ−よりかなり年下だが)。
「紅茶煮豚肉は良く出来ているよ。豚の臭みが紅茶で良く取れているし、見た目も綺麗だし」
 どうやらフローからは紅茶煮豚肉のアイデアを採用するようだ。

 席を立つ浩介に向かってフローが慌てて追い掛けて来る。
「‥‥出来ればステージの端に盛り塩して経の一つでも唱えたいのだが。勿論本番までには片付ける」
 真剣な眼差しでそういうフローに狐に摘まれたような顔を一瞬した浩介、次の瞬間大笑いを始める。
「フローのように若い娘(こ)から『清め塩』を言われるとは思わなかった。大丈夫だ。フローが『見て』から親父さんが出入り口とステージに『盛り塩』はしている。晦日には『門戸(護)神』の札も貰って来たしな」
 くくっと笑い乍ら「フローはあの手の話はバカにするタイプかと思っていたよ」と言う。
「‥‥ならいいけど」むぅっと言うフローに「後で良かったら音響をチェックしてもらえないか? 最近担当の子が変わったんだが、どうも馴れていないのか微妙にズレを感じるんだ」と浩介。
「それなら手伝えると思うし、必要があればそこを手伝いたい」
 先程の不機嫌さはどこへやら「じゃあ後で残ってくれ」そう言うと浩介は隣の皿の試食に向かった。


●月白・緋桜(fa4265)の場合
<タラとアスパラとレタスの和風スープ>
 1:沸騰した湯の中にタラとアスパラを1口大に切って煮込む。
 2:レタスを適当な大きさに千切り入れて、少しの間煮込。
 3:塩コショウ+少量のバター+白味噌で味を整える。

<コラーゲンスープ>
 1:塩を少量味付け程度に入れるだけで豚足とネギをグツグツと鍋で煮込む。

「どちらもサッパリ味付けをした女性向けの食べるタイプのスープです。特にダイエットを1度でも経験した方なら、夜間は重い肉よりもサッパリとした魚介類や野菜を好むし‥‥それにスープなら、メインに別の料理を食べても十分メインとは別に追加で頼む場合も多々ある事だよ」とヒオ。
「‥‥‥そうか」
『ダイエット』と言われて困ってしまった浩介。
 何しろどんなに食べても太らないのだ。
 大食いをしても翌日には元の体重に戻ると言う一部の女性の敵とも言える羨ましい体質なのだ。
「レタスのスープは旨いよな。塩のスープかと思ったが白味噌は思いつかなかったな。ウチで作る時、今度は味噌でもやってみよう。豚足は‥‥そのまま出すと嫌がる女性もいるだろうからスープだけを白髪葱を添え、戻したクコの実を入れて出そう。あと生姜を入れた方が豚の臭みが抜けるのと身体が温まるが、どう思う?」
 そう言ってヒオからレシピを受け取る浩介。


●ヒカル・ランスロット(fa4882)の場合
<イカの詰め物>
 1:小さいイカの皮を剥き、わたや足を取り除く。
 2:フランスパンを水に浸して、やわらかくする。全卵、リコッタチーズ、パルミジャーノチーズ、ルッコラをよくかき混ぜる。
 3:2の具をイカに詰める。イカの端を楊枝で出ないように止める。
 4:鍋にオリーブ油を熱し、スライスした玉葱を炒める。
 5:薄く小麦粉をまぶしたイカを加えて軽くソテーする。
 6:白ワインを振ってからローリエ、ブロード、トマトソース、生クリーム入れて30分位よく煮込む。
 7:イカを取り出した煮汁は、ミキサーにかけてソース。
 8:ソースと共にイカを鍋に戻して温め、お皿に盛り付ける。

「パスタを食べるんならやっぱりアンティパスト(前菜)は必要でしょ?」
 赤い縁に色とりどりのハートが描いてある可愛らしい皿にイカの詰め物を盛り、浩介の前に差し出すヒリー。
「さあどぅぞ、め・し・あ・が・れ♪」
 ぱくりと一口食べた浩介。
「‥‥味がない」
「あ、お塩忘れちゃったぁ♪」

『きゃ〜! 溢れるぅ』
 ミキサーに煮汁を入れ過ぎて、電源を入れた途端に中身を飛び散らせていたのヒリーの姿を思い出す浩介。
「失敗なくして成功なし」料理に関して持論がある浩介、塩味を想像しヒリーから受け取ったレシピに『要、塩』と書き加えるのを忘れなかった。


●豊田せりか(fa5113)の場合
<小牛のチョコレートソース煮>
☆2人分
 小牛すね肉150g
 リンゴ1個、玉葱1個、人参1本、ニンニク:1片
 野菜スープ500cc程度、カカオパウダー大匙4、チリペッパー少々、塩・コショウ:少々

 1:玉葱は櫛切り、人参は乱切り、ニンニクは粗微塵、リンゴは1口大の大きさに切る
 2:鍋に油を敷き1を炒め、玉葱がしんなりしてきたら、一口大に切った肉を入れ炒める。
 3:肉の表面に軽い焦げ目がついたら、野菜スープをひたひたになる位入れて煮立てる。
 4:材料に火が通ったら、カカオパウダーがダマにならないよう手早くかき混ぜながら振り入れる。
 5:チョコソースが滑らかになってきたら、チリペッパー、塩・コショウで好みのピリ辛さに味を調える。
 6:20分〜30分ほど弱火でじっくり煮込み肉がトロっとしてきたら出来上がり。

「チョコレートがソースになるって言うのは正直驚いたよ〜☆ ソースが美味しいからパンかご飯と一緒に食べるのが良いんだって」
 そう言って皿を置くせりか。
「ソースが凝っているから余らせると勿体無いな」と浩介。
 ネットで見つけて美味しそうだったからというその場を借りてチャレンジしたチャレンジャーだが、味は悪くない。
「お肉は他の物でもいいんだって、便利だよね〜☆」
「ハーブの苦手な人や鳥が苦手な人は、せりかの料理を選ぶと丁度良いな」
 そう言って浩介はレシピを受け取った。


●七瀬紫音(fa5302)の場合
<フォーチュン・カップケーキ>
○ブランデーケーキ
 薄力粉100g、ベーキングパウダー小匙3/1、バター75g、砂糖80g
 卵 2個、ブランデー大匙1、バニラオイル少々
○ブランデーシロップ:
 ブランデー100cc、砂糖大匙2、水 大匙2

 1:アイスの中に、一つだけチョコを潜り込ませ、丸くしてラップに包み冷凍庫へ入れておく。
 2:薄力粉とベーキングパウダーを合わせてふるい、室温のバターを、砂糖を加えながら、白っぽくなるまで混ぜておく。
 3:卵を一つずつ混ぜ、粉類加えさっくり合わせ、ブランデー・バニラオイルを加えて混ぜる。※種は固めに
 4:3を冷やした型に流し込む。
 5:オーブンで周りを少し焼いたら、1のカチカチアイスを入れて、10分程焼きあげる。
 6:ブランデーシロップを上に塗って出来上がり。

 浩介の前に白いココットに入ったカップケーキをハート型のコースターで飾り、浩介に出すシオ。
「とりあえず、食べて下さい」
 スプーンでケーキを崩す浩介。
「ブランデーケーキか。なるほど外は熱々、中は冷たくアイスクリームか‥‥チョコが入っているんだな」
「アイスは市販のアイスを使用しました。バニラ・紅茶・ミントの3種類から選んでオーダーしてもらいます。チョコは5種類、おみくじになっていて『星はラッキー』『ハートは愛情運』『ダイヤは金運』『クローバーは健康運』『スペードは凶』です」
 勿論、冷たく冷やしても食べられます。とシオ。
「発想が面白いね。出す際に解説のカードをつけるといいな。凶は‥‥開運のおまじないを書いてつけるといいかもな。七夕の時とかにも出せるし」
 そう言ってレシピを受け取る浩介。

 * * *

 どうやら何品か纏めて日替わりでバレンタイン期間中、店に出されるようである。
「暖かくなったら花見会場で屋台とステージでもやってみるかな?」
 色々思いついたようであるが、問題のバレンタインデーはもう目の前である。