「R・A」Feb南北アメリカ

種類 ショート
担当 有天
芸能 3Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 不明
参加人数 8人
サポート 0人
期間 02/15〜02/19

●本文

 年明け早々骨折したインターネットコンテンツサービス会社の在宅職員ロック・ライフ(24)、人間と同じに自然回復を待って(と言っても人間よりも何倍も早いのだが)いたが無事全快となった。
「1ヵ月早かったなぁ。もう2月だもんなぁ」
 2月頭に24歳の誕生日を迎えたロック、しみじみと言う。
 一般的に2月ともなればバレンタインデーであるが、それは後日「女性に感謝しようデー」と名付けて大々的にイベントを行う予定である。
「ダイエットも順調だし、年初は最悪だったけどいい年になるのかなぁ?」
 そう言い乍らノンカロリーキャンディーを口に放り込む。
 パソコンディズプレイに「その一口がデブの元」と書いてあるメモが貼られている。

「ぼちぼち『2月のお勧め曲』の募集を掛けるかな? だけど最近ちょっと前と応募して来る内容が変わって来たしなぁ」
 ロックは、新人とインディーズの発掘する「ROCK・AWARS」の「お勧めの曲」とコーナーを担当していた。
 そう、本来の「お勧めの曲」は発掘を目的としているのである。以前はアーティストの曲だけを募集し、「お勧め曲」に選ばれたアーティストに報酬代わりにPVを作っていたのであるが、最近、応募したメンバー全員に報酬を与える事(出費)が上の方から問題視されているのである。
「しょうがない。裏方は仕事内容によって、採用者は同額かなにか賞品を贈呈しよう」

 こうして「ROCK・AWARS」の片隅に小さく募集記事が掲載された。


●「『ROCK・AWARS』お勧め曲」への投稿者 募集!

 参加資格 プロ・アマ、ソロ・グループ問わず! オリジナルPVも受け付けます。
 テーマ   なし
 ジャンル  ロック
       歌詞&曲は、オリジナルのみ♪
       歌のみ(歌手ソロ)曲のみ(バンドマンソロ)の参加も可能♪
       オリジナルPVを作成しての投稿も可能♪
 報酬    曲採用の場合のみ支払われます。

 ※1人(1グループ)1曲迄、曲を受け付けます。
 自分で曲を考え、衣装、PV演出、自主撮影した物も投稿可能です。
 逆に曲(歌)のみの一本勝負も受け付けます。
 撮影を当社に全てを頼む事も出来ますが、裏方さんと打ち合わせ・協力した方がより良い作品ができます。
 ミュージシャン以外の職業の方(アマ)も曲を投稿できます。



●プロモーションビデオ撮影スタッフの斡旋も致します

 ※低予算の為、人目が多い現場です。
 裏方さんはミュージシャンの個人指定もできます。指定がない場合は全部の仕事に関わります。

 報酬    最高3万5千円を目処に支払われます。


 →(クリック)<<隠しアイコン>>
”この現場は安い賃金で雇用できる人間が多くいます。
 なので完獣は、
 「人間形態で美術スキル3以上」、
 または「肩書き(個別設定)メイクアップアーティスト」がいた場合、
 または「籠る作業(フィルム編集、音加工)」、
 「ミュージシャンの単独PV撮影」のみ許可します。
 他の場合は半獣迄で頑張って下さい。               ”

●今回の参加者

 fa1861 宮尾千夏(33歳・♀・鷹)
 fa2266 カリン・マーブル(20歳・♀・牛)
 fa3351 鶤.(25歳・♂・鴉)
 fa3797 四條 キリエ(26歳・♀・アライグマ)
 fa4443 陽織(24歳・♂・一角獣)
 fa4874 長束 八尋(18歳・♂・竜)
 fa5035 ラファエロ・フラナガン(12歳・♂・狼)
 fa5316 希蝶(22歳・♂・鴉)

●リプレイ本文

●誕生祝いは誘惑が一杯?
「ロックは、骨折していたのか‥‥疲れ」と鶤.(fa3351)。
「ああ、先月踏み台から足を踏み外しちゃってねぇ」と苦笑いするロック。
「誕生日だったそうなんで・・カロリー控えめのクッキーを、焼いてきたんだが‥‥」と小箱に入ったクッキーを差し出す。
「鶤ってこういうのをするタイプに見えなかったから新発見かも」
 ロックは骨折しようがしまいが相変わらず失礼な男である。
「俺も、この間・・年を取ったばかりでな‥‥年齢も近い様だし‥‥勝手に親近感を持ってしまっている」
「そういえば鶤も誕生日が2月だよね。誕生日おめでとう♪」
「ロックさん、誕生日おめでとう! チョコフェザーケーキです」と長束 八尋(fa4874)。
「誕生日おめでとうございます、ロックさん。これ、よかったらどうぞ 」と陽織(fa4443)がお菓子の詰め合わせを差し出す。
「‥‥皆で打ち合わせしたの?」とロック。
「僕のお気に入りの店のものなんです。カロリー控えめで、でもとても美味しいんですよ。気に入って頂けると嬉しいです」
 にっこりと笑うヒオ。
「油使ってないし‥‥今日くらい、ね?」と尋。
 ローカロリーと聞き、心が揺れるロック。
「折角持って来てくれたんだし、ありがたくいただくよ」とお菓子をしっかり受取るロック。
 その場で全ての箱を開ける。
「‥一度に食べる気か?」と鶤。
「この手の焼き菓子は日持ちしないからね。それにケーキはその日に食べるって言うのが持論だから」
 何故ロックが太るのか判ったような気がする3人だった。
「あ、皆もお手持ちで悪いんだけど、食べる?」


●撮影こぼれ話
「今日は生足じゃ無いんだ。でもタイツじゃ無いよね。ストッキング?」
 スタッフにお盆に載せたコーヒーを配って歩くメイド服のカリン・マーブル(fa2266)にそう質問するロックは、とても残念そうである。
 カリンのスパッツ情報。どこからそんな情報を耳聡く仕入れて来たのだろう。
 因にコーヒーには遅れたバレンタインと言う事らしく個別包装されたチョコレート菓子が着いている。
 それ故「手作りらしい」と言う尤もらしい噂迄着いているので、男のスタッフが用も無いのにカリンの周りをウロウロしている。
「寒いと言うよりは、今日もADのお仕事が忙しいのでスパッツの方が色々便利かな? と思いまして」とカリン。
 今回、ADが1人と言うのもあって、カリンは衣装の発注から受注、建物使用許可の申請と確認、休憩中の世話から撮影で出た廃棄物の処理、大道具の手伝い、バミの再確認までしていた。
「そうか。カリンさんはタイツも似合うと思ったけど、そういう理由じゃしょうがないな」
 ふっと溜息を吐くロック。相変わらずセクハラ発言が多い。
「MADE IN ROCK・AWARS」と題し、裏サイトをこっそりカリンの「ADメイド」萌え姿を配信しようしていた最中だったので本気でがっかりしているようだ。
 別にチラリを撮影しよう等とは考えていないようだが、スパッツでは無くタイツにして欲しいと思ったのはロックの変なこだわりである。

 宮尾千夏(fa1861)は撮影されたVTRに映像処理室で効果と加工をCGで加えていた。
 『White Regret』で使用された昔の真に更に顔がハッキリしないように、嫌みにならない程度に手を加えているようだ。
 ふと手を止め映像処理室の天井を見上げて溜息を着く千夏。
『我ら大地の子』の詳細が届いていないので作業スケジュールが立たないのだ。
「困ったわね。私ができる事を一つ一つできる範囲内でやるしかないでしょうけど‥‥」
 PVは出演者個人が取るセルフ以外は、当たり前だがスタッフ達との共同作業である。
 スタッフ側も納期に拘束される分、余裕をもって連絡を取らないと困った事になってしまうのである。千夏は撮影現場にいるスタッフに電話をするべくバックに入っている携帯電話を探した。


●投稿曲
【White Regret】 WB(尋:Vo 陽織:SVo&G 鶤:B)
 ◆:尋 ○陽:織 ☆:合同

♪♪♪〜
(曇り空に雪の様に舞う羽、ビルの屋上で演奏始まる)
※◆募る想い 空に舞う 雪になれ
 塞ぐ心 白く 染め上げて
 春の風に 儚く 溶ける頃
 この想い きっと 癒されるだろう
(黒いコートに身を包んだ尋の澄んだ素直な歌声。風にマフラーが揺れている。
 画面が変わりシックな部屋のソファにもたれた鶤、手には昔捨てた筈の写真が握られている。
 写真の顔は逆光で見えない。
 ”曲は疾走感のある哀愁系ポップロック。スローテンポで始まったがすぐにスピードを上げる”)

○I’m wondering why myself
 Why oh why...
 did I let you walk away?
(ヒオの愁えた表情のアップ。ふと何かに気付いた表情へ切り替わる。
 段ボールが積まれた部屋、見つけたのは片方のピアス
 拾い上げると彼女の耳で揺れる様が演奏映像と交差し乍らフラッシュバックする)

◆君の笑顔 今は遠く
 届かない声
 触れられない 白い吐息
 思い出の中 今も輝いて
「輝いて」で画面3分割
(マイクを握り直す尋。
 写真を伏せる鶤。
 ピアスをそっと握り締めるヒオの手元アップを同時に)

☆募る想い 空に舞う 雪になれ
 胸に残る 甘い 後悔は
 真綿の枷 今も僕を 締め付けて
 いつの日に 僕は 赦されるだろう
(舞う羽の中、演奏をする2人。
 黒ジャケットに黒革のパンツの鶤、白いコートに黒っぽいジーパンのヒオの長めのアップ)

◆I need you by my side again...
(尋は手を前へとさしのべ、囁く様に歌う)

 ※リピート
(ピアスを手に外出しようと立ち上がり、窓の外を見て微笑むヒオ
 一方突然の電話を受ける鶤。始め微かに驚き、やがて笑みをこぼす。
 一旦フェードアウトし‥‥‥屋上で本を大袈裟に広げた尋。
 本を閉じて伸びをする。手にした本のタイトルは「White Regret/BW」
 本の表紙のアップでPVは終了した)
〜♪♪♪


【我ら大地の子】ラファエロ・フラナガン(fa5035)

♪♪♪〜
 忘れてないか───虚空の中に浮かぶこの星、これだけがぼくらに許されている全てなんだ。
 それを穢す奴等! KILL YOU!
 我ら母の子、大地の子! OTHER FUCKER! LOST YOU!
 天も海も穢す奴等、みんなまとめてGO A WAY! FOR FAR A WAY!! FUCK OFF!!
(黒レザーで上から下まで決めたラフィーが、黒いグラサンを投げ捨てる。シンプルなリズムに破壊的までにに激しいギター。攻撃的な歌詞を強く印象つける。高らかに歌い上げるラフィーの歌に併せてスパッと曲は終了した)
〜♪♪♪


【HANDS】希蝶(fa5316)
 「」多重録音(ハモリ)

♪♪♪〜
「繋いだ手と手空に振り上げ
 冷たい風も薙ぎ払え」
(ドラム、ベースの低音を効かせ、走るようなエレキギターのメロディ。疾走感ある前奏から一気に歌が始まったその曲は駆抜ける様な、アップテンポの勢いロック)

 伝わる熱は胸の焔
 絶対零度の世界でも消せやしない
 鈍色の重苦しい空 威圧するビルの杜
(伴奏少し抑え、リズムとリフを刻む)

「凍え震えて立ち竦み
 頼りない指の隙間から 何かが零れそうになる」
(先程迄の力強い声からやや弱音吐きな心情の歌声に)

「でも」掌を握り締めたら
「ほら」零れる隙間も埋まるさ
「だから」恥ずかしがらず手を繋ごう
「だって」どうせなら一人より二人が
(ハモリと掛合うようなメロディはサビへ向け音を広げていくが‥‥)

 いいだろ?
(メロディがカットされ、無伴奏の中、確信的に語りかける声)

「繋いだ手と手空に振り上げ 舞う粉雪も溶かし尽くせ」
(メロディのアクセントとして高らかなサックスの音が入る)

 冷めない熱は心の歌
 絶対零度の世界でも途絶えやしない
 繋いだ手と手離さない
(更に激しく、吠えるような蝶の声)

 Clasp your hands!
(蝶が高らかにシャウトし、派手なメロディが続く。最後、ドラムのアクセントで曲は終了した)
〜♪♪♪


●1月お勧め曲
「2月のお勧め曲はWB『White Regret』、最後迄蝶の『HANDS』と選考は迷った。『HANDS』は別枠の推薦曲にさせてもらう。別に食べ物に釣られた訳じゃ無く、WBの方が何となく今の心情に‥‥メロウ系の曲があったとしか言いようがないんだけどね。楽器のバランスも良かったし、テクニックだけなら蝶が一番良かったよ。一番テクがあるから『その月一番のお勧め曲』になるかと言うとそう言う訳じゃ無いんだ。実際、僕のハートにガツンと来る曲は今回なかった」とロックは苦笑した。
「あとラフィーの『我ら大地の子』は相変わらず正統派ロックで良かったんだが、『HANDS』と同様タイトルとテーマのギャップがあったかな?」と評する。

「ああ、後、蝶にはウルフファングならあげても良かったんだが‥‥フレイムストームが希望していたよね。あれは例えお勧め曲に選抜されていても、結構良い値段でホイホイあげられる物じゃないんだよ」と銀色のピック(ウルフファング)を示す。
「4月の募集の後、半年間総決算って事で大きなフェスをやるけど、そこならフレームストームやアイスブリザードといったギターを優勝者の副賞に出しても良いと考えているけど、高い報酬には高いなりの理由があるよ。まあ良かったらチャレンジしてね」
 ロックは、そう言うと手に持っていたノートパソコンを閉じた。

 実際今回は副賞は何も配給されず曲採用者には曲使用料のみが支給され、撮影や録音のアシスタントをした者にも仕事にあった相当額が支給された。