「R・A」バレンタイン南北アメリカ

種類 ショート
担当 有天
芸能 3Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 なし
参加人数 7人
サポート 0人
期間 02/19〜02/22

●本文

『St.Valentine’s day』
 日本程ブームでなく、女の子から好きな男の子にチョコを渡す訳でも愛を告白する訳でもないが、アメリカでもこの日はある。 
 アメリカでのこの日は、男性から女性に愛を確認をする日であり、最近では広い意味で日頃お世話になっている女性全般(妻、恋人、姉妹、母親、祖母、親戚、はたまた仕事先の掃除のおばちゃんや学校の先生等)に男性が感謝の意味を込めて、カードや花束、お菓子等を贈っている。

 由来になった聖バレンタインは、3世紀頃ローマに実在したキリスト教司祭(医師)で、当時のローマ皇帝クラウディウス2世が禁止していた兵士達の結婚をこっそり執り行い、それが露見して2月14日に処刑された人物である。この司祭が処刑される前に女性に手紙を送ったのが由来とか、2月15日に行なわれていた古代ローマのルペルカリア(Lupercalia:豊穣と多産を祈る春の祭典。2月14日に、女性の名前を書いたくじを男の子が引いて、当たった娘を祭りの間のパートナーにするという風習あり)祭に由来していると色々である。その他に結婚適齢期の男女を結婚させて教会に入る多額の御礼が目当てとか、離地流民防止の為に行った等、余りにも恋人達の甘い囁きを交すのに相応しくない話もあったりするが、インターネットコンテンツサービス会社の在宅職員ロック・ライフ(24)には殆ど関係がなかったりする。

 多少気になる女性がいたりするが、今の所「気楽に一緒に飲んで騒いで、楽しければいいじゃん?」なので特定の親しいガールフレンドというのは彼には存在しない。それでも最近のブームに乗って、家族には手書きのメッセージカードやカーディガン等を準備して贈ったのである。
 さて、ここでふと思うロック。
「やっぱりバレンタインデーに愛の詩を贈りたい人っているのかな?」


 斯くして「力の限り愛のを叫ぶ、大告白大会」と言う名のライブパーティが催されるのであった。


●『ROCK・AWARS』「力の限り愛のを叫ぶ、大告白大会」への参加者募集!

 参加資格  プロ・アマ、ソロ・グループ問わず!
 テーマ   愛しています!
 ジャンル  ロック
       歌詞&曲は、オリジナルのみ♪
       歌のみ(歌手ソロ)曲のみ(バンドマンソロ)の参加も可能♪
 報酬    なし
 ※1人(1グループ)1曲迄、曲を受け付けます。



「とりあえずカップル成立とか愛の確認をしたカップルには、現場で『確認のキス』と祝杯の強制シャンパンシャワーでビショビショになって貰うとしても‥‥‥ケーキどうしよう。やっぱりチョンガー野郎は、ケーキかパイシャワーだよな。ま、今回ケーキはケータリングでいいか」
 ダイエット中のロック、不味ければ食べないだろうという判断である。
 そしてパーティに関しては、まともに終わらないのは年を越しても変わらないようである。

●今回の参加者

 fa2529 常盤 躑躅(37歳・♂・パンダ)
 fa3225 森ヶ岡 樹(21歳・♂・兎)
 fa3596 Tyrantess(14歳・♀・竜)
 fa3651 海鈴(16歳・♂・猫)
 fa3776 コーネリアス・O(32歳・♂・猿)
 fa5423 藤間 煉(24歳・♂・蝙蝠)
 fa5484 名無権兵衛(20歳・♂・狸)

●リプレイ本文

●思い思いの思い秘めて‥‥
 会場入り口に掲げられているその小さな看板を見つけたのは、藤間 煉(fa5423)であった。
「あー‥‥ココ、毎月曲をネット配信してるトコ?」
「煉さん、知っている人?」と一緒に旅行中の海鈴(fa3651)が質問する。
「んー‥人と言うか、音楽系サイト‥‥お陰で‥見つけられたし? あー‥‥パーティね」と言うレオン。
 丁度会場の前に業者の車を迎えに出て来たロックを見つけて声をかける。
「‥‥良かったら俺らも、混ぜて♪」

「混ざっちゃってもいいのかなぁ」とロックから合羽を受取る海鈴とレオン。
「全然OK♪ NO,Problem、問題ないよ」とロック。
「手伝えることあったら言ってください! いつでも何でも手伝うですよー」と海鈴。
「今日は全部業者に頼んじゃったから大丈夫だよ」
 ロックに連れられて会場の中に入る海鈴とレオン。
「‥‥お、客とか演奏側‥‥綺麗な人多いんじゃね?」とレオン。
「そう? 結構こんな感じだけど、業界の人が結構多いから普通のパーティよりも多いかもね」
「絡んじゃお♪ そこの彼女、一緒に酒とか、ケーキ‥‥ど? 俺・・酔えねぇから、介抱するし♪」といそいそとナンパに向かうレオン。
「君たち、付き合っているんじゃないの?」とロック。
「違うよー。たまたまライブハウスで意気投合しちゃって一緒に旅行しているけど友達だよ」と笑う海鈴。

「本日は御来場ありがとうございます。お客さまにお願い申し上げます。演奏中は奏者にパイを投げたり、シャンパンを掛けないで下さい。演奏が中断される恐れがございます。また演奏後もステージに向けてシャンペンシャワーはお止め下さい。回線がショートして発火や感電の危険があります。守られ無い場合は、パーティが中止になる場合がございますので‥‥てめぇら、守らねぇ場合は叩き出すぞ!」
 そんな会場アナウンスの中、バレンタインデーパーティはスタートした。

 ***

 半獣化姿でステージに上がる森ヶ岡 樹(fa3225)を見て「なんだか親近感を覚える」と言うロック。
 イッチーも食いしん坊のぽっちゃり体型である。
 ステージに上がる直前迄、ステージ初挑戦の緊張からロック心配する程お菓子を食べていた。
 ふっくら体型に兎の垂れ耳、20歳過ぎの男に言うのはどうだろう? と思いつつ、観客席からは「可愛い♪」と声が掛かっている。
「今日はヴァレンタインということで、今アメリカの何処かにいる母さんへ、見てるかどうかわからないけど、おじいちゃんのサックス、日頃の感謝の心を込めて奏でるから、もし良かったら、見ていてください」
 そういってぺこりと御辞儀をするイッチー。

【ママトールドミー】 森ヶ岡 樹
 曲は、子守唄調のジャズバラード風インストゥルメンタル。
 聞く者に何処かで聞いたような懐かしさと温かさを感じさせ、イッチーのイメージと合った曲である。
 静かに演奏が終わり、ここでパイが飛んで来る所だが拍手の嵐である。
 演奏テクニックはまだまだ荒っぽいが母親に感謝の意を表するイッチーにパイをぶつけようと思わなかったようである。恐るべきふっくら系萌えキャラ、イッチーがステージデビューした日であった。


 次に演奏するのは半獣化した名無権兵衛(fa5484)。ノリノリのエレキギターによるインストゥルメンタル。ゴンベ曰く「告白したい気分になるような曲」である。
 だが実際に演奏する曲は場の雰囲気を盛り上げるBGMのような曲である。
「主題のパンチが弱いかも。ステージは初めてみたいだけど‥‥」とロック。
 実際に曲を聞かず喋っている客が多い。
 ロックの主催するパーティは単なるパーティではなくMUSIC&PARTYなのである。
 歌や曲は観客と同格の主役なので、この状態は好ましくないのだ。
「この曲に素敵な歌詞をつけてくれる、素敵なコを募集中で〜す」と演奏終了後、ちゃっかり恋人募集をするゴンベを観客席からパイの嵐が襲うのであった。
「わぁいっ当たった!!」と嬉しそうな海鈴であった。

 ***

 コーネリアス・O(fa3776)は会場に入らず、ラウンジにあるカウンターに座って酒を飲んでいた。
 コーニーの横には小さな紙袋‥‥チョコとブックカバーが入っている。
「あれ、中に入らないの?」とトイレに行く為に会場から出て来たロックが声をかける。
「人を待っているんだよ。ライブパーティに参加するなんて久しぶりだからね。それに会場の中だとパイ投げが始まったら会うのが難しくなるからね」
「ふーん? ガールフレンド?」
「いや、妻だよ」
 ロックの知るコーニーのプロフフィールには妻帯者という文字は無い。
「ひょっとして男? それとも複数いるとか‥‥」
「ちゃんとした女性だよ。ただ普通の仕事をしているんだ」
 ああ。と納得するロック。
「よく仕事に支障が出るからって奥さんを隠している人もいるけど、コーニーもそうなの?」
「そう言う訳じゃ無いが‥‥」
「余計なお世話かも知れないけど、それだったらちゃんと奥さんの為にもプロフィールに書いてあげた方がいいかもね」
 ロックはそう言うとトイレに行く最中だったのを思い出し、「後で奥さんを紹介してね」と言い乍ら通路を走っていった。その慌ただしさに苦笑するコーニー。
 お代りを頼むかどうか悩んでいると後ろから声が掛かる。
 その声にコーニーは、ゆっくりと振り返った。

 ***

 ステージを眺めていたレオンがロックの所にやって来る。
「ちょい、ブランク有るけど‥‥乱入OK?」
 見ているだけでは物足りなくなったのだろう。
「Oh,Yeah! 勿論」と答えるロック。
 ギターを片手にステージ上がるレオン。
「もち俺の事好きでいてくれる、ファンの皆へプレゼント♪」
 ベーシストのレオンであったが慣れた曲と言うのもあり、エレキギターでの演奏でも特に支障が無いようである。

【Sexy】 藤間 煉

♪♪♪〜
 忘れてない 何もかも
 そのままで 走り続けてる
 追いつけない 速さで

 痛みなんて 知らない
 求めるモノ 多過ぎて
 零れ落ちるモノ 気付けずに

 笑うがイイ! 今の俺達を
 なじるがイイ! それがカイカンに変わる

 言葉で伝わらないなら 身体で教えてアゲル
 俺の気持ちイイ加減 気付いて?
 触合えない時間は スグに埋めてあげるよ
 この極上の ‥‥で!!
〜♪♪♪

 レオンと海鈴を友人以上恋人未満とみるか、単なる友達とみるべきか。
 観客達がパイ投げを躊躇しているうちにさっさとステージを降りてしまった為にレオンはパイの祝福を受けずに済んでしまった。


 赤とクロの申し訳程度の布で出来たエナメル衣装に身を包んでTyrantess(fa3596)がステージに上がる。派手なドラムのリズムに乗ってラストナンバーが始まった。

【Unchainable Beast】 Tyrantess

♪♪♪〜
「I love you」その言葉に嘘はない
その時 その瞬間は 確かに愛してるから
でも側にいない時は‥‥‥‥わかるだろ?
一人の男で満足できるほど 俺は無欲な女じゃない
One man is not enough for me at all, no no no!


My love’s like an unchainable beast
いつだって側にいるヤツがターゲット
Touch me! Feel me! Try me! Love me!
’Cause I love YOU!
I love YOU!
(客席を指差すタイ。指差されたレオンがにんまりと笑顔を返す)
and YOU! (×9)
(「YOU!」と言う毎に客席を指差すタイ。
 指差されたコーニーが反応する前に隣の女性がコーニーに肘鉄を喰らわす。
 指差された海鈴が「イェイ!」と手を腕を差し上げる。
 指差されたゴンベが赤くなる。
 指差されたコーニーの隣の女は目を丸くする。
 タイが指差す度にテンポが段々早くなり、ノリノリの観客がリズムを刻む。
 指差された常盤が「いいねぇ〜♪ もっと大胆なポーズも‥‥」と言い乍らシャッターを切る。
 指差されたイッチーが片手にフォークを持ち乍ら手を振り返す。
 指差さたキーボードがメロディにアレンジを加えて答える。
 一番最後に指差されたロックがグラスをあげる)

Yeah! I LOVE YOU ALL!!
(タイは高らかにギターをかき鳴らし、歌い上げて行く。ステージは盛り上がっていく)

*Repeat
〜♪♪♪

 ドラムがノリの良いビートを刻み。タイのギターがラストをスパット決めた。
 曲に熱中した為か観客は、タイに祝福のパイを投げ付けるのを忘れたようであった。

 ***

「用意は良いか? 野郎共、これからいよいよ‥‥」
 MCの言葉を遮りロックがMCにパイを喰らわす。
 それを合図に無差別なパイ投げがスタートした。
 飛び交うパイとシャンペンシャワーの中、「ケーキやパイは投げるのは良くないよね、もったいないし‥‥もったいないお化けが出ちゃうよ‥‥」
 そう言い乍ら、机の下からテーブルに手を伸ばすイッチー。
 ゴンベは両手にパイを抱え、ぶつける相手を探している。
「あはは、びしょくたぁー!!」と嬉しそうな海鈴。
 コーニーは楽しそうにパートナーとシャンパンを掛け合っていた。
 カップル=シャンペンシャワーである。
「あっ、そこにもお似合いのカップルが‥‥」
 海鈴とレオンをカップルと思ったコーニーが、シャンパンを掛ける。
「うあ!? ‥‥やったなー!」と海鈴が机に置いてあるシャンパンをお返しをすべく掴む。

 デジカメを手にうろつくのは、パンダ覆面男バイオレットバイオレンスこと常盤 躑躅(fa2529)。
 パンダ覆面から怪しい目を輝かせて狙うは、濡れた服スケ。
 むっちり熟れた果実のような肉体に濡れた拭くが張りつく。
「これを撮り逃す手は無ぇぜ!!!!」と行きたかったが、会場にいるのは9割野郎である。
 少女と見間違えそうな美少年がいたりもするが、所詮男である。
 一応、女性もいるが健気にパートナーの男が彼女を守ってガードが硬い。
「ラブラブの光景がもっと広がると思ったけど、優勝祝賀会を見ているようだね。まあ、良く考えれば当然と言えば当然だけど」とロック。
「なんでだ。この野郎!!!」
 キスだけなら良かったのかも知れない。
 ロックをガクガクと力一杯振る常盤。
『カップルはシャンパンシャワーにキス強要! 寂しい一人身はパイ&ケーキの嵐』とロックが告知したのが不味かったのだろう。
 女性にしてみれば、愛しい男とのデートは自分を可愛らしく見せる為にお洒落がしたい(勿論、同性を牽制するのも重要だが)。
 とっておきに決めた服も髪もベタベタのグショグショになるシャンパンシャワーを好んで受ける者は、かなり珍しいと言えよう。勿論、そういうのが好きな女性もいるの事実だが。
「クソ、こうなったらヤケ喰いしてやるぞ!! ついでに酔っぱらった勢いで男女の別なくチューだぜ!!」
 ぐっへっへ。と笑い、人込みに再突入して行く常盤がデブ専でない事をこっそり願うロックだった。