「7」秋祭りアジア・オセアニア
種類 |
ショート
|
担当 |
有天
|
芸能 |
1Lv以上
|
獣人 |
1Lv以上
|
難度 |
普通
|
報酬 |
1万円
|
参加人数 |
8人
|
サポート |
0人
|
期間 |
10/09〜10/13
|
●本文
古い運河沿いの鉄工場跡地を改装して作られた作られたライブハウス「7(セブン)」。
厳ついコンクリートの外壁と大きな赤錆が浮いた鉄の扉が印象的で、来る人を拒むように聳え立つ。唯一ライブハウスである証拠と言える物は、ネオン看板ぐらいである。
「確かに言いましたよ。三味線ロックも良いって‥‥ですがね、親父さん(怒)」
「神輿の休憩場所に毎年ウチの駐車場を貸しているんだ」
「今、ウチは工事中なんですよ。『万が一』があったらどうするんですか?」
店長の浩介と親父さんの二人が、珍しく険悪なムードであった。
「判んねぇ奴だな。使うのは中じゃねぇ。『外』だ」
「‥‥俺は親父さんが何を考えているか、大体判りますよ。プレ興業を行ったのに改装・その他で丸1ヵ月営業できないから客寄せしたいって考えているんでしょう」
「判っているじゃねぇか」
「秋祭りとコラボもいいですが、俺は和楽器奏者なんて知りませんよ」
「募集したら良いだろう」
●屋外演奏、ミュージシャン募集
テーマ:日本の秋祭り(豊穣祭)。
ライブハウス「7」駐車場で地元秋祭りとコラボレーション。
ロックアーティストの他に和楽器(三味線、琵琶、鼓、太鼓、尺八)奏者歓迎。
グループを問わず、ソロ、奏者、歌手、ボディパーカッショナー参加も可能。
ピアノ&ドラムは、貸し出し可能。
タイトル・歌詞・曲は、オリジナル限定。
●リプレイ本文
●出演者控え室
天気予報通り、東京は綺麗な秋晴れが広がる祭日和である。神輿が到着するまで後1時間と少し‥。
「普段はギターが、殆どなのよね。三味線を弾くチャンス! と喜び勇んで来たわ」と笑うは、紅葉の和服も艶やかな蓮 圭都(fa3861)。
「色々な楽器が弾けるのも楽しみだが‥‥エレギは封印か‥‥」と少し残念そうな美日郷 司(fa3461)は、紺色の着流しに角帯。
「別の機会もまだまだあるだろうし、俺も期待しているよ」と浩介。
「そうだ‥‥差し入れを持って来たんだ」と浩介にサンドウィッチが入ったボックスを司が差し出す。
「それ、食べていいの?」と濃茶の和服に下駄姿の椿(fa2495)。
控え室の端でスタッフと楽器をチェックしていたはずだったが、どこかに食べ物センサーが搭載されているのかもしれない。
「俺も妹も曾祖母がつけてくれたんだけど、和楽器の名前なんだよ」と笙(fa4559)は、藍地に細縦縞の着流し、襷掛け、桐下駄。
「笙殿の名前には、そんな由来があるか」アレクサンドル(fa4557)は、羽織袴。
●雅楽 〜GARAKU〜
「アレクは手品に燃えるのはいいが、演奏を忘れるなよ」
「司殿、大丈夫だ。先程も笙殿との長胴太鼓の二人打ちの練習に余念はない」とノワール。
「張り切って行きますね!」ぐっと握りこぶしをするのは、萌葱に葡萄をあしらった着物のクク・ルドゥ(fa0259)。
雅楽川 陽向(fa4371)は淡黄色の着物を、雛姫(fa1744)は藍色着物に金帯、月兎の髪飾りが可愛らしい。
「お祭り盛上げて、俺達も楽しも♪」と椿。
「おー!」
いよいよ、ライブスタートである。
ステージに上がるメンバーを見て客席から拍手が起る。最後にノワールが、秋桜、菊、竜胆を生けた竹の花器を手にステージに上がる。
ノワールは秋桜を一輪、花瓶から取り上げ、鮮やかにマイクに変えて見せた。小さな感嘆と沸き上がる拍手。次々と花をマイクに変え、ヴォーカル担当のクク、ひな、陽向に渡す。残りの花、全てを一瞬で篠笛に変え笙に渡す。観客席から一人客を選び花器を確認させた後、ノワールはその中から鳩を出して見せた。
「ロックの前座っぽくないが、ウケているようだからいいか」と浩介。
【日々是戦 〜Never give up!〜】
Vo:クク、ひな、陽向
Key:司
Dr:ノワール
篠笛:笙
三味線(太棹):圭
鼓&三味線(細棹):椿
「何処へ向かい歩くの 何を目指し生きるの
漠然とした不安抱えながら 今日も『満員電車へ突撃!』
人波に押されながら 皆今日も踏ん張り戦ってる」
「黙っても時は流れる 黙らなくても流れる
どうせどっちも同じなら 知りたい『自分探しに挑戦!』
何回失敗しても 起死回生の悪あがきリベンジ」
「どうせ出来っこない」そんな自己暗示蹴り飛ばせ
人は心は捕らえようなく いつだって可能性無限大
叶わない願いなんてない そう信じて戦い続ける」
『一度の人生毎日挑戦 見渡せばほら たくさんの戦友(とも)達』
『Going my way』 「歩き出せ 踏み出す一歩が創るこの道」
『強引に前へ』 「体進めれば いつか辿り着く場所がある」
『Never give up』 「気にするな 自分らしくていいMy Life」
『弱気もアリ』 「偶には泣いたって また笑えばいい」
「何かにつまづいた時は 空に手をかざしてみよう」
「世界はいつも必ず 戦う君と繋がっているから」
『Never give up, Let’s go!』
椿の鼓でスタートした曲は、ドラムがリズムを刻むアップテンポでノリが良いジャズロック。ヴォーカル3人が交代で歌い、時には声を重ねハーモニーをかもし出す。キーボードと三味線のメロディに篠笛がアクセントである。後半からサビから盛上げた後、メロディをカットオフして終了した。
歌詞に併せてキックをするククを見て。
「あいつは下にちゃんと履いているのか?」というのは親父さんの感想である。
【はしけやし倭 〜Fore Seasons〜】
Co:クク、ひな、陽向
V:司
篠笛:笙
筝&琵琶:椿
三味線(太棹):圭
三尺太鼓&平太鼓:ノワール
効果:ひな、陽向
「冬」
篠笛と筝、三味線、バイオリンの三種の弦楽器が静かな単調なリズムのメロディを奏でるジャズロック。深々と降る雪の様なスローな曲調から徐々にテンポアップ。中盤に平太鼓が刻む変拍子に併せて篠笛が変化し、冷たく吹雪く風を表現し、拍子木の乾いた音が凛とした冬の静寂さを感じさせる。後半、晩冬から初春を思わせる明るい曲調に転調しながら春へと繋ぐ。
「春」
穏やかな筝の音色が「芽吹き」を、バイオリンは「花開」をイメージさせる優しい旋律のスローバラード。軽い平太鼓のリズムに、鳥が歌う様な篠笛と圭の爪弾く三味線。更に筝とバイオリンは豊かに音を広がり‥‥夏に繋ぐ。
「夏」
三味線の力強い演奏からメロディは始まった。応えるように琵琶と太鼓を要所で響かせ、徐々にテンポアップ。コーラスの歌声も伸びやかに暑い夏を、賑やかさを表現、全体を盛り上げる。ラストは三味線の叩き撥を連続で入れ力強くも、陽向の操作する波の音が余韻となり‥‥晩夏から秋に繋ぐ。
「秋」
軽快な三尺太鼓の連打の後、大きく一打ちに併せて篠笛が入り、賑やかに曲はスタートした。ノワールは平太鼓を打つ途中、合間、合間で三尺太鼓を打つ。途中に入るコーラスの合いの手が、三味線、篠笛、太鼓の「祭の囃子」と共に賑やかさを増す。徐々に全体の音量を下げて「祭り囃子」が遠ざかり、転調。流れるようなバイオリンと箏と平太鼓をアクセントに入る演奏で実りの秋が表現され、最後は三尺太鼓の一本締めで演奏を終了した。
「インストゥルメンタルか‥‥楽器の個性が出て良いね」とこれは浩介の感想である。
一度楽屋に戻り、雅楽のメンバーが揃いの法被を羽織ってステージに再登場した。
「『月祭』と最後の曲『祭り囃し』は、メドレーで演奏させていただきます。私たちが皆さんにマイクを向けたら、掛け声をお願いします」と『歌のおねぃさん』の肩書きを持つククが音頭を取る。
「練習行きまーす♪ 『ワッショイ!』」ククが掛け声を掛ける。
「ワッショイ」
照れがあるのか客席から声が小さい声が返ってくる。
「声が小さい! もう一度! 『ワッショイ!』」とひな。
「ワッショイ!」
「まだ、まだ! 『ワッショイ!!』」
「ワッショイ!!」
スタッフも一緒に掛け声を掛ける。
「もう一回! 『ワッショイ!!!』」
「ワッショイ!!!」
「OK! 本番もこの調子で元気一杯いこう♪」
【月祭】
Vo:ひな、クク
Co:司、圭、陽向
P:司
AG:圭
篠笛:笙
琵琶:椿
鉦鼓:クク
平太鼓、附締太鼓:ノワール
長胴太鼓:ノワール、笙
「満月は唄う いらっしゃい いらっしゃい
私を呼ぶ声 聞こえた気がして
こっそり雨戸を開けてみた
晩秋の風に乗って 祭囃子が聴こえてくるわ」
『今宵は秋祭り
まんまるお月様はお祭りの合図
薄に跳ねる兎と一緒に
夜中ずっと踊り明かそう
moonlight festival』
「満月は笑う いらっしゃい いらっしゃい
一時でも早く あの音のもとへ
ひっそり静まる外に出た
逸る心を抑えつつ 蜻蛉の羽を借りました」
『今宵は秋祭り
きらきらお星様が照らす広場
月兎のお餅を沢山食べて
夜中ずっと笑いあおう
midnight carnival』
ツインヴォーカルを軸にした穏やかで緩いイメージがあるジャズロック。和太鼓がリズムを刻み、ピアノとアコースティックギターは彩りと深みを与え、琵琶が低音を更に力強く響く。サビ部分は各パートに別れ、柔らかにかもし出す混成の美しいハーモニー。観客席から感嘆の溜息がこぼれる。声の余韻が残ったまま、高らかに響く長胴太鼓の音と篠笛の奏でる「囃子」が、そのまま最終曲「祭り囃し」へと続く。
【祭り囃し】
Vo:陽向
Co:クク&ひな
P:司
AG:圭
篠笛:笙
琵琶:椿
長胴太鼓:ノワール、笙
平胴太鼓:ノワール
「祭り囃子が聞こえたら
はっぴ引っ掛け出かけよう」
『ワッショイ ワッショイ』 ワッショイ ワッショイ
「あれに見えるは神輿じゃないか
担ぐ声は勇ましく
乗せて行きます神様を
終着点は神社だよ
右の綿菓子 左の出店
道程ちょいと険しそう」
『ワッショイ ワッショイ
ワッショイショイ』 ワッショイショイ!
※間奏。
「着けば出迎えは獅子舞かい?
こくりと頷くその顔は
自信に満ちておりました
捧げる為に舞いましょう
空にヒラリと 天翔け上がる
なんと見事な技だろか
祭り囃子が誘います
ほんにめでたき今日の日を
皆で楽しく祝いましょ」
『ワッショイ』 ワッショイ!
長胴太鼓を合図に琵琶が加わり、一気に賑やかに替わる。客席から手拍子が加わり、出演者の演奏にも力が入る。平胴太鼓と篠笛による間奏は、篠笛の軽快な音が祭の賑々しさを更に演出した。一瞬の静寂の後、割れんばかりの拍手が起った。
ライブはアンコールも飛び出し好評の内、終了した。予定時刻より宮入が遅れてしまったが、苦情が来なかったのは祭の実行委員たちこそ筆頭でアンコールを要求していたからである。が、これは裏の事情である。