AN デビューアジア・オセアニア

種類 ショート
担当 有天
芸能 3Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 やや難
報酬 7万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 03/30〜04/02

●本文

 CDショップのロックコーナーに流れるPV。
 この春ヴァニシングプロからデビューするヴィジアル系メタパンクバンド「アルカラル・ナイト」
 店内に流れる音楽は彼女らのCDデビューシングルの曲である。


【華模様】 アルカラル・ナイト

♪♪♪〜
 桜舞散る夜に 貴方を想う
 適わない恋なら 心なんて砕けてしまえ
 諦めてしまう恋なら 初めから貴方を好きにならなかった

 乱れ飛ぶ花吹雪 何処迄も狂おしく  I request like the beast your mind.
 乱れ飛ぶ花吹雪 何処迄も愛おしく  I want to tear up you like the beast.

 目まぐるしくも 咲き乱れる貴方への想い
 狂おしくも 乱れ咲く花模様のように
〜♪♪♪

 PVの中、振袖を着崩し画面の中を激しく踊り歌う彼女らは、華やかで淫ら‥‥
 イメージ映像は白の画面に花吹雪の舞う、床に広がった錦糸の御所車が描かれた紅の打ち掛けからしなやかな白い裸体を晒すクラブ・クラウン。
 長い黒髪が床に流れ、誘うように画面に腕を伸ばし切な気な表情を見せる。
 側に立つハート・ナイトは黒地に桜が描かれた打ち掛けを素肌に羽織る。
 クラウンの手に唇を這わし、舌を指に絡める。
(ギリギリの布面積しか無い水着で撮影に及んでいるがカットワークの関係で二人とも裸のように見える)
 側に薄布を被った黄緑の童女のような着物を纏ったスペード・クイーン。
 袴を履いた若武者姿のダイヤ・エース。
(当初エースも振袖を計画していたが、胸のバランスが悪いとスタイリストから言われ、袴姿になった)
 一面の黒の中、赤く照らされた障子の影。頭を軸に90度の間隔で床に並んだけだる気な表情を浮かべるメンバーの上に花びらが舞い落ちる。


「意外と小さなステージやだけど‥‥ドラム、置けるん?」とエース。
「クイーンのキーボードをさ、ショルダーキーボードに変えたらなんとかなるんじゃん? 痛!」
 クイーンに脛を蹴られるナイト。
「大事な‥デビュー‥‥ステージ‥華模様‥‥ショルダー‥キーボードでは‥‥音‥‥不満足‥‥駄目です」
「そうだね。あたしらが客の前でちゃんと演奏するのは初めてだし。どうしても表面しか見て貰えないからね」とクラウン。
「そうだな。生は駄目、やっぱり面だけしか通じない。とか言われるとムカツクからな」
 彼女らアルカラル・ナイトは、本日初めてCDが販売される。
 今迄ネット上で配信をしていたが、良い評判と同時に「音は他人が演奏している」と言う悪い噂も聞こえて来る。
 今迄は手伝いのバックバンド程度でしか人前で演奏して来なかった彼女等の実力が試されるのである。
「マネからもヴァニプロからデビューっていうネームバリューで1曲目は売れるかも知れないけど、その次は実力だって言われているしね」
 実際、社長のお眼鏡に適ってデビューを果たしても、それだけでは売れない(生き残れない)のが芸能界である。
「そういえば一緒に演奏してくれる人達ってどうなってるの?」
 アルカラル・ナイトは今回の両A面CD分、つまり華模様の他にオリジナルの曲はもう1曲しか持っていない。
 マネージャーから聞いているストアライブの時間は40分、2曲演奏し、トークを織り混ぜたとしてもかなり時間が余ってしまうので事務所側が他のアーティストも手配しているようである。

●アルカラル・ナイト情報
 G:クラブ・クラウン、B:ハート・ナイト、Key:スペード・クィーン、ドラム:ダイヤ・エース


●共演者募集
 テーマ なし
 ジャンル ロック
 グループを問わず、ソロ(奏者、歌手のみ)参加も可能
 ドラムは、貸し出し可能
 ライブでの演奏は、タイトル・歌詞・曲は、オリジナル限定
 バックバンドをアルカメンバーに頼む事は可能。

●今回の参加者

 fa0847 富士川・千春(18歳・♀・蝙蝠)
 fa0868 槇島色(17歳・♀・猫)
 fa2123 ブルース・ガロン(28歳・♂・蝙蝠)
 fa3211 スモーキー巻(24歳・♂・亀)
 fa3351 鶤.(25歳・♂・鴉)
 fa3596 Tyrantess(14歳・♀・竜)
 fa3661 EUREKA(24歳・♀・小鳥)
 fa5035 ラファエロ・フラナガン(12歳・♂・狼)

●リプレイ本文

●主役抜きの打ち合せ
 アルカラル・ナイトのメンバーは、CDの発売のキャンペーンの為に今日はFMラジオの音楽番組に朝迄生番組に出演していたりと、ぷちどころか、かなり忙しい。
「‥‥鶤だ、宜しく頼む。俺は初ステージの事、緊張でよく覚えていないよ」と鶤.(fa3351)。
「実力は本物でしょうから元flickerとして負けないわ」とにっこりと笑うEUREKA(fa3661)。
「こちらこそ、よろしく。鶤にゆーり。しかしあたしは、ゆーりのギターに着いていけるか少々心配だよ」お手柔らかに頼むよ。とクラウン。
「うちら、ほんまに新人よって。その冗談はキツいよ」焦るのはエース。

 実際問題、顔合せ以降グループの打ち合せに時間を割いてアルカラルメンバーはぷちぷちと参加しているが、全体の通し(リハーサル)は当日までどうやら出来ないようである。
 この状況にスモーキー巻(fa3211)は頭を抱えてしまった。
 個別対応は出来ていても通してみなければ全体の曲のバランスや音の調整が出来ないのだ。
 卓上でシュミレーションしても判らない事が現場では多々ある。
 頭を抱えるスモーキーに更に追い討ちを掛けたのは、ラファエロ・フラナガン(fa5035)と一緒にやって来た槇島色(fa0868)である。
「わたくしはラファエロさんとの曲の他にもう一曲、ソロボーカルで歌うわね。それのバックバンドをアルカラルに頼みたいんだけど」
 ラフィーも演奏をアルカラルに依託しているが、事前にスコアを貰っているので問題ない。
 だが色の申し出は突然であり、覚えきれるか? という心配がある。
 大手プロダクションからデビューともなれば、無名に近い新人アルカラルであってもプレセールスの為に音楽番組出演は集中して行う為に練習時間が取れない状況であった。
 主役の彼等がとちる事は本末転倒、はっきり言って不本意である。
 もっともそれは他の参加者、富士川・千春(fa0847)やゆーりにしても同じであった。
 アルカラルと共に演奏する事により、ライブに慣れて貰う。そして見せ場としてパートを組み込んでいたりするのであった。


●午前9時45分
「おはよう、早いね」
 少し疲れた様子のクラウンが目頭を揉み乍らTyrantess(fa3596)に声を掛ける。
「おはよう。他のメンバーはどうした?」
「クイーンを起こすのに手間取っている」と苦笑するクラウン。
「初ライブで緊張して眠れなかったんじゃねーの?」
「多少緊張していた見たいだけど、クイーンの寝起きの悪さはいつもの事だよ。‥‥ここん所忙しかったからね。あいつ、小さい時デカい怪我をしているから体力ないんだ」
「緊張してるようなら、俺の御守りを貸そうとか思ったんだが、寝てるならいい」とタイ。
「行ってやってよ、喜ぶから。地下駐車場のワゴンで寝ている筈だから叩き起こしてくれると助かるねし」

 タイが駐車場に行くとワゴンの後部座席で毛布で丸まったままクイーンはまだ眠っていた。
「おいおい、俺より寝起きが悪い奴はそういないぜ」
 タイが覗き込むとクイーンは、苦しそうに眉間に縦皺を寄せ、長い睫毛が生えた目蓋がぴくぴくと痙攣している。
「おい、起きろよ。襲うぞ‥‥折角、俺がお祝いを持って来たんだぜ」
 自分の毛色と似た長い赤い髪を引っ張る。
「おい、起きろ。キスするぞ」
「‥キス‥‥if‥you‥loved‥kiss‥‥もしそうなら‥とても良い‥day‥なりそうです‥‥‥‥‥morning‥‥タイ。‥‥もう‥ライブの‥‥時間ですか?」
 血の気の薄い青ざめた顔で薄く目を開けてクイーンはそう言った。


●ストアライブ
「ヴァニシングの新人か‥‥‥‥」
 ふと立ち寄ったCDショップの告知ポスターを眺めるブルース・ガロン(fa2123)。自分が駆け出しだった頃をふと思い出し、暇つぶしにライブを見てみようかとホールの端からステージを眺める。
 CDを買った者には整理券が配られ見やすい場所が与えれるがブルースのような只見客は、エスカレータの影やらエレベーターホールの端から眺めるしかないのだ。
「和洋折衷とお色気か‥‥‥少し、欲張りすぎてないか?」

 ***

「一気にテンション上げてくぜ!」
 タイの掛け声と共に曲がスタートする。

【Juggernaut】作詞:Tyrantess、作曲:スモーキー巻
 Vo&G:Tyrantess、B:スモーキー巻

♪♪♪〜
(キーボードの前奏から入るこの曲は、豪快さと疾走感溢れるアップテンポなパンクロック。キーボードのメロディにドラムとベースのリズム、ギターのメロディが更に重なる)

 You may call me greedy
 欲しいものはいつだって 手に入れなきゃ気が済まない
 You may think I’m crazy
 一旦走り出したなら 何があっても止まらない

 ルール? 常識? どんなものでも 邪魔をするなら容赦はしねえぜ?
 俺の行く手を阻むなら 構うことなく轢き潰すだけだ!

 Runnin’ like the Juggernaut
 I won’t reserve or hesitate
 いつだってアクセルベタ踏みで 思ったままに走り続ける
 Runnin’ like the Juggernaut
 I won’t stop or regret
 過去(うしろ)なんか目もくれないで どこまでだってBurnin’ up the road!

(ギターとキーボードの競い合い流れるようなやや長めの間奏)

 You may say I’m just mad
 欲しいものがある限り どこまでだって追い続ける

 Fame, fortune, and... You! さあパーティーの始まりだぜ!

 Yeah, I’m your Juggernaut
 Gonna take you to the Heaven... With the sweetest pain!
(ドラムのスネアとタムのリズムとキーボードが、ギターとベースのメロディを支え‥‥曲は力強く終了した)
〜♪♪♪


【While waiting for the star and daybreak】
 Vo:ラファエロ・フラナガン&槇島色

♪♪♪〜
 I want to turn around again at the daybreak thought you.
 However, you are not any longer. It vanished at daybreak.
 If tears are thrown very much, it might be able to reach you at last.
 ─I only sing because I know that it is providing for which it is never suitable.
 Once ..reading.. at daybreak of that day.
 Once ..reading.. at daybreak of that day.
 The moon conceals the appearance, Hoshihoshi vanishes,
 and I want to return at time and that time that had been buried in drowsiness.
 It is too dazzling. eye difference of the sun─.
〜♪♪♪


【GARNET】アルカラル・ナイト

♪♪♪〜
 パンクロックと言うよりもメタルの響きにも似た激しい恋歌は、終奏に差し掛かるとクラウンとナイトのWギターが激しく鳴り響き、クイーンのキーボードがメロディに深みを与える。そして、エースのシンバルで曲はカットオフし、終了した。
〜♪♪♪

「しかし、ヴィジュアル系というのは‥‥‥‥まあアレだな」
 ブルースは整理券をとっていなくて良かった言えよう。
 少なくともクラウンの耳にブルースの微妙な発言が耳に入ったらギターで脳天を叩き割られていただろう。
 アルカラル・ナイトのメンバー達は、その人並み外れた外見の美しさだけヴァニプロにスカウトされたのではない。独自の音楽スタイルを貫く姿勢が認められたからこそ、ヴァニプロ所属なのである。

 ***

「知人は、楽しく演奏すると言う事だけ思い‥‥‥ステージに臨むらしい。‥‥良いステージに、しよう」と鶤。
「誰でも最初の一歩から、楽しんでいきましょ♪」とゆーり。
「ああ、楽しいのが一番だよ」とクラウン。
「うん、せやね」とエース。

【MAZE】TeAN Vo:鶤.、G&Co:EUREKA
『』ハモリ

♪♪♪〜
(ドラムのカウントから始まった前奏はWギターの激しいメロディで始まる)

 惑い惑わす混沌の日々
 迷い迷わせ認(したた)むは
 未来(さき)の見えないMAZE
(伴奏を抑えリフを刻む。鶤の声が力強く響く)

 足を踏み入れたが最期
 振り返るもDoorは無し
(少し音程をあげたメロディにドラムの鋭いリズム。走るようなギターの響き)
 『前へ後へ 何処かへ進む』
(二人の声を支えるようにドラムがビートを効かせ、叩き付けるようなスネアの歯切れの良いリズム)
 其れだけが許されし迷図

 絡み合う糸 交じり合う道
 『絡み合う意図 交じり合う未知』

(間奏: クラウンのギターが主軸に競うようなWギターの後、ドラムのソロが続く。楽しそうな視線をメンバー達に向ける鶤。地下強いドラムの音が叩き込むように勢い付ていく)

 『胸の臆で眠る光 求め彷徨う迷図』
 此の手に掴み取る日迄
 蒼き闇路を 進め
(和音が力強く響かせるメロディ。『進め』の前に1拍休符を挟み、高く伸ばした後駆け下りるギターのメロディ。鶤の声がシャウト気味で高く伸びていく)

(後間奏:一つ一つの楽器を聞かせるようにメロディが進む)

 You’d clear the MAZE
(演奏が停止し、鶤の声だけが囁く様に響く)

(‥‥再び楽器が加わり、爪弾くようなギターの余韻が残る中、曲は静かに終了した)
〜♪♪♪


【桜華夢奏】 槇島色

♪♪♪〜
 薄紅色に 咲き誇るは
 春を示す 美しき華
 天も地も全て 華やかに染める
 だけどそれは 刹那の出来事
 短き命は 天空(そら)に散って
 敷きつめた花びらは 土へ還る散り終えた巨木には緑が覆い巨木は眠る
 再び全てを 薄紅色に染めあげるために
 薄紅色に染めあげるために
〜♪♪♪


【影絵】
 Vo&G:富士川・千春、B:スモーキー巻、Dr:EUREKA

♪♪♪〜
(春の陽射しを思わせる軽快なギター・ベース・ドラムのメロディで始まったポップロック)

 空白の先はまだ見えない
 静寂に意識を傾ければ
 セピアの世界に出会えるでしょう
(一転してギターとドラムのメロディが淡々と続く)


 追憶の中で繰り返すシーン
 水面に揺らめく花びらを
 雨のヴェール越しに見つめてる
(ギターとベースを中心とした穏やかなメロディ)


 I can remember it clearly. 
 Your color, your voice, your scent & my silence.
 However, why is not there the concrete image here?
 An answer won’t be surely found.
(力強いギターのメロディに他の楽器が彩りを加え)

 呆然と外を眺めてみれば
 季節の足音が聞こえる
 そこに君の気配は感じないけれど
(ギター・ベース・ドラムのメロディが、はるちーの声を響くように支える)

 安らかに街を彩る桜
 一つの影だけが揺れてる
 絵空事のように無表情だけど
(キーボードのソロ、優しいメロディが流れる)

▲repeat

 この声が 季節が 君に届く日が来たなら
 何を伝えればいいのだろう
 その薄紅に 匂いに 僕の姿を覚えていたなら
 セピアに埋もれた言葉を切り出して欲しい
(ギターとベースが力強く響く)

▲repeat

※repeat
(春の力強さと穏やかさを込めたメロディが静かに終了した)
〜♪♪♪



【華模様】アルカラル・ナイト

♪♪♪〜
 流れるメロディはアップテンポのパンクロック。
 軽快なギターとドラムのリズムとミスマッチする激しい歌詞。
 キーボードが春の嵐のように目まぐるしくメロディを響びかせ、終奏、激しいシンバルのリズムと各々の楽器が競い合い、ばっちりのタイミングで曲はカットオフし、終了した。
〜♪♪♪

 こうしてアルカラルのインストアライブは終了した。


●業務報告書
『本件を単なるライブと見た場合、短時間であったにも関わらず構成も取れ、一部気になる点もあったが見ごたえのあったライブと言える。ただ、アルカラル・ナイトのセールスライブと見た場合、アルカラルメンバーの曲2曲に対し、5曲も他グループの曲があった。3組はメンバーが演奏に参加して見せ場を用意したようであるが、『While waiting for the star and daybreak』『桜華夢奏』に関して言えば、本件依頼の本題を忘れ、自己セールスに徹していると、評価人は判断する。今回のアルカラルの1stセールスライブに関しては、評価すべき点と課題を残す形になった』
「‥‥‥ふん、こんなもんか」
 少し離れた所からステージを見つめていた男は、黒革の手帳を閉じた。