卵探し南北アメリカ

種類 ショート
担当 有天
芸能 2Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 なし
参加人数 8人
サポート 0人
期間 04/22〜04/26

●本文

「ない、ない、パーティのネタがない!!」
 最近の心配事は血糖値というインターネットコンテンツ「ROCK・AWARS」の担当者ロック。
 4月8日は、キリスト教徒には馴染み深いイースターだった。

 当初ロックは、生卵を出演者共々ぶつけ合うパーティを考えていたが、少々悩むところがあってパーティが延期になっていた。
 苦渋の決断、「お勧め曲は『今月なし』とし、気分転換の卵パーティと大型フェスだけしよう」

 大型フェスは、大型である。
 何しろ「ROCK・AWARS」の半年総決算、参加アーティストへの報酬も大きいがショッピングモールで手に入りにくい楽器がMVPには贈られるのだ。
 ちなみにそれ故、物凄く厳しく判定が行われるので要注意なのだが、それの正式告知はまだ少し先である。

 さて20個ほど自分の額で生卵を割ってみたロック。
 生卵はかなり痛い。
 中身を抜いて絵の具にしてもいいが、施設の掃除はパイの数倍になるだろう。
 再び何処も会場を貸してくれない可能性がある。
 上司からの一言「素直に卵探しにしてみたらどうだ?」
 その一言で遅ればせながらイースターらしい「卵探し」パーティをすることにした。

 やり方は簡単。
 参加者が1個、プレゼントを用意する。
 自分が作ったクッキーや花束、市販されているギターでも頬にキスでもOK。
 集まったプレゼントに1から50までの数字を割り振る。
 卵の隠された家を探し、卵を見つける。
 卵の中には数字の振られた番号が入っている。
 卵の中の番号の賞品が貰えるという訳である。

「‥‥すごっく普通。でもたまにはいいか?」

●卵探しパーティ
 会場:ロックの家
 プレゼントを必ず持参のこと
 食事、飲み物:持参

●ロックの家
 1F:玄関、2Fへの階段、地下室への階段、リビング(ソファー、暖炉、TV)、キッチン、バス、トイレ、客室、デッキ(ブランコ&チェアあり)
 2F:1Fへの階段、トイレ、ロックの寝室、ロックのお母さんの寝室、ロックの妹の寝室、ロックの仕事場(書斎)、シャワールーム、ウォークインクローゼット
 B1:倉庫(ロックが踏み台を踏み外した場所)
 ガレージ:オープンカー、4ドアセダン、バイク
 プール
 使用していない犬小屋
 郵便ポスト

●今回の参加者

 fa0181 四条総一郎(21歳・♂・兎)
 fa2153 真紅(19歳・♀・獅子)
 fa2529 常盤 躑躅(37歳・♂・パンダ)
 fa2825 リーベ・レンジ(39歳・♂・ハムスター)
 fa3211 スモーキー巻(24歳・♂・亀)
 fa4526 菜姫 白雪(19歳・♀・猫)
 fa5423 藤間 煉(24歳・♂・蝙蝠)
 fa5662 月詠・月夜(16歳・♀・小鳥)

●リプレイ本文

「やあ、よく来てくれたね♪」
 にっこりと参加者を迎えるロック。
「ミスターロック、お招きありがとう。皆色々持ってくるから軽い物にしたわね」と2種類のパテやトッピングが着いたクラッカーにバゲットが入ったBOXを差し出す真紅(fa2153)。
 ルージュのプレゼントは、お手製の縫ぐるみ「ロックンロールベア」。フェイクレザーのジャケットにミニチュアのエレキギターを構えているという請った代物である。
「プレゼントの数が足りないようなら、こんなのも用意してみたけど」とペイントされた卵の殻に蝋を流し込んで作ったアロマキャンドルを一緒に差し出す。
「ああ、助かるよ」とにっこり笑うロック。
「とても楽しみにしてきたんだけど‥‥‥妹さんやお母様のお部屋まで使って大丈夫? なんていうか、その‥‥‥卵探しにかこつけた犯罪の香りがする気がして」
 視線の先には、パンダの覆面と同様にトレードマークと化している「グヘヘヘっ」という笑い声と共に開口一番「ロックの母ちゃんと妹の寝室、シャワールームを調べるぞ!!」宣言をした常盤 躑躅(fa2529)がいる。
「ああ、本当に不味い所には鍵を掛けたから」と言うロック。
 プレゼントは重いハープなので、半獣化してロックの家に運び込んでいる常盤。
「俺はジュースとローストキチンを持って来たよ。後、サラダも作るから台所を貸してくれ」と四条総一郎(fa0181)。
 総のプレゼントは「肉球グローブ」。男が当れば面白いし、女に当たれば可愛らしくて一石二鳥という事らしい。
「プレゼント以外持ってくるの忘れちゃったんですけど、大丈夫ですか?」とリーベ・レンジ(fa2825)が恐る恐る聞く。
「平気だよ。余っても困っちゃうし‥‥って、レンズも大きい袋だね」
「ソードです。人もNWも斬って親の七光りを与えて下さい」とレンズ。
(「親の七光りは別だろう?」)と思いつつ、レンズから袋を受取るロック。
「イースターエッグか。実際こういうパーティーに参加するのは初めてだね」とスモーキー巻(fa3211)。お手持ちは2種類のハムサンド。
 プレゼントはデジタルオーディオ。未発表の自作の曲等が入っていると言う。
「あ、本当? 僕の用意したプレゼントと少し被るかも。僕のは番号を引いた人のイメージで即興って思ったけど、スモーキーと比べられると恥ずかしいからファンクにしようかな」とロック。
「お口に合うか分かりませんけど、マドレーヌ焼いてきましたから、良かったら皆さん召し上がってくださいませね」と菜姫 白雪(fa4526)。
 プレゼントは、ハーモニカだという。
「イースターパーティ‥‥懐かしいねぇ。俺のトコは、卵チョコ買って‥‥ケーキ焼いてたっけ」と藤間 煉(fa5423)。
「レオンはケーキが焼けるの? ひょっとして‥‥」とロック。
「今日は市販で悪いけどな。オーソドックスな甘さ控えめだった筈‥‥んで、プレゼントはエレギ」と真紅に塗られたエレキギターを差し出すレオン。
「プレゼント‥‥ネコ耳かバニー服か勝負下着が欲しいですね」と月詠・月夜(fa5662)。
「俺は、プレゼントは貰えたら嬉しいけど‥‥美人のキスのが嬉しいねぇ♪」とレオン。
「えー‥‥‥うーん?」
 全員のプレゼント内容を知っているロック。
「まあそれなりに良いものが用意されているよ」とお茶を濁す。
「そういえば、月夜のプレゼントは?」
「プレゼントは、今着ているパーティー用の一張羅のチャイナドレスです。当選者の方に脱いで手渡します。ついでにサインも書きます。‥‥半年後には有名になって価値も上がっているはずです‥多分」
「俺も希望有ったら、サイン入れちゃおっかね♪」とレオン。
「はは‥‥‥」
 節約に努めている月夜の持ち込んだお手持ちは野草を使った料理だった。
 予定のメンバーが集まりお手持ちの品々とプレゼントがリビングに置かれる。
「ナンバーカードが入った卵は、特に作成希望者がいなかったから僕の方で用意したよ」
 籠に入った卵を見せるロック。
 絵も色も着いていない、一見普通の卵である。
「大丈夫。普通の卵よりかなり軽いし、振ればカサカサ音がするから。で、プレゼントは先に言ったように公平を期す為に僕が振るけど‥‥これは僕が全部卵隠すの?」とロック。
「私が手伝いますよ」とレンズ。
 他の者達は、パーティの準備をするのだと言う。
「庭にバーベキューセットやキャンプのベンチとか出してあるから適当に使ってね」
 こうしてレンズとロックは、2人で50個の卵を家中に隠す事になった。

 そしてロックが用意したプレゼントを含めた19個のプレゼントに番号を振って行く。

 肉球グローブ(13)
 お手製ぬいぐるみロックンベア(17)
 エッグハーブキャンドル(18、20、36)
 ハープ(8)
 ソード(29)
 デジタルオーディオ(1)
 ハーモニカ(38)
 真紅のエレキギター(7)
 チャイナドレス(着用/サイン入り)(14)
 風呂掃除(5)
 ロックの作った歌(24)
 エッグタルト(3)
 ガス台掃除(35)
 トイレ掃除(40)
 セダンの掃除(43)
 ブラックベリージャム(47)
 ギドニーパイ(50)

「ちょっと待て、なんだ『セダンの掃除』ってのは?」
「僕のセダンだよ。家を提供するんだからこれ位はね。それに『スカ』だけじゃなく『ハズレ』があった方が楽しいだろう?」とロック。
 こうして2週間近く遅れたイースターパーティが始まった。


●卵探し
「たーまご探し♪ たーまご探しー♪ たまごさーん、どーこかな? どーこかなー?」と白雪が鼻歌まじりでキッチンを探している。
「冷蔵庫のエッグスタンドになんてないわよね」と言い乍らも冷蔵庫を開ける白雪。
 卵が「よろしく♪」とばかりに10個程並んでいる。
 振れば良い。と言われているので、片端から卵を振る白雪。
「あった♪」
 こうして白雪はエッグスタンドとお鍋の中から卵を2個発見した。

「一見隠す場所が無さそうですけど、探せば意外と見つかるような‥‥‥」
 猫足のバスタブの下を探す総。
「うーん? ないなあ‥‥‥あ!」
 シャワーヘッドの代りに卵が張りついているを見つけた総。
 更に探すとソープ置きにソープならぬ卵が堂々とおいてあり、結局卵を2個発見した。

「いくつか見つかった?」とスモーキーはリビングに通りかかったレンズに声を掛けた。
「また1個です」と卵を見せるレンズ。
「スモーキーさん、調子はどうですか?」と白雪。
「まだ1個も」
 リビングはロックの家で、当たり前だが一番広く探すのに手間が掛かっていた。
「そうですか。まだ始まったばっかりだし、頑張りましょうねーっ!」と楽しそうに次の探し場所に向かう白雪。
「まあ、ゆっくり探すか」
 そう言ってソファーに腰を降ろスモーキーの尻の下の方で『くしゃり』と小さな音がする。
 慌ててクッションを持ち上げると潰れた卵が1個。
『30』をこうして手に入れたスモーキーは結局、暖炉とTVの中、フロアスタンドから計4個の卵を手に入れた。

「じゃ、まず‥‥犬小屋が気になるんで行ってみようかね。お‥‥可愛いお嬢ちゃん(月夜)が探してるのな」とレオン。
「お嬢ちゃん、ご一緒しません♪」
「残念ですけど、一緒に探すと『見つかった卵は無効(没収)』ですから駄目です」と月夜。
「今回はなにがなんでもプレゼントを持って帰らないと!!」
 マイホームカー資金を溜める為に日々節約に励む月夜。
 大事なチャイナドレスがプレゼントで取られ、手元に何も残らない可能性があるのだ。
「じゃあ俺は場所移動して玄関と‥‥ありふれているけど電球の笠の中とか‥‥」
 まさしく電球の代りに卵がくっついている。
「まあ‥‥入り口だしな」
 こうしてレオンは卵を1個手に入れた。

 一方、犬小屋からは2個の卵を手に入れた月夜、プールへと移動する。
「プール付きの家なんて日本では考えられないです」とその為に中に水着を着込んで来た月夜。
「丁度安く売られていたからね。でも手に入れた時は相当酷かったよ」とロック。
 プールを捜索する為にチャイナドレスを脱ぎ出す月夜を慌ててとめるロック。
「わー! 風邪を引いちゃうよ!!」
「でも服が汚れちゃいます」と月夜。
 ロックのお母さんの寝室を探していたはずの常盤が何時の間にかロックの隣でカメラを構える。
「止めるな! 折角のショットを!!」
「熱が出たら、お菓子が一杯食べれないよ!」
 その一言にピタリと手が止まる月夜。
 斯くしてロックは月夜の代りに自分で隠した卵を自分で探して渡す羽目になった。
 常盤は写真を撮り損ね、月夜は2個の卵を手に入れた。

 先刻までロックに「邪魔をした」と怒っていたが、今はロックの妹の寝室で乙女の香りを満喫していた。
「くんかくんかくんくんくん、匂う匂うぜぇ!! 俺の鼻はごまかぜねぇぞ!!」
 エロ親父のカンなのか、はたまたパンダが持つと言う特殊能力「幸運付与」の幸運が味方したのか、鍵の掛かったクローゼットの中から正確に下着の入った場所を見つける常盤。
「このタンスの中のブラの隙間が怪しいと見た!! ゆで卵を隠すならブラの中というのがエロ世界での常識だからな!!」
 パワフルな体格で更に半獣化である。金剛力増を使う間でもなく、本人軽い気持ちで引き出しを引っ張ると鍵が壊れる。

 パチン!
「痛ってぇ!」
 ブラジャーに手を伸ばした常盤の手にネズミ捕りが掛かる。
「くそぉー‥‥気を取り直して、裏のエロ世界では、もちろん下の穴の中だ!!」

 バチン!
 パンティに手を伸ばした常盤の後頭部にロックの握る定規が炸裂する。
「家のモノを壊すな。後で怒られるのは僕なんだから」とロック。
 ロックが目を話した隙に妹のベットにその巨体で寝転び危うくベットを壊しかけた常盤は、なんやかんやと言いつつ卵を手に入れた。
 ついでを言えばシャワールームでも怪しい行為を続ける常盤はルージュに見つかりお仕置きを食らっていたが、プロレスラーを目指している丈夫な男なので軽い脳震盪程度で済んでしまった。

 そして成果と言えば、
 四条総一郎:2、8、25、32、35、48
 真紅:1、5、15、31、47、49
 常盤 躑躅:11、33、38、44、45、46
 リーベ・レンジ:13、26、39
 スモーキー巻:6、14、21、30、34、42、50
 菜姫 白雪:3、4、17、27、28、36
 藤間 煉:10、12、20、29、37、40
 月詠・月夜:7、16、18、19、24


●卵の中身は?
 パーティが始まり各々が持ち寄ったサンドウィッチやパティ等に舌鼓をうち乍ら卵の中身を確認する事になった。
 さて結果は悲喜こもごも、発見した番号(プレゼント)と御対面する一同。
「ハズレ」カードを引いた面子に「何時でも好きな時に掃除に来てくれていいから」とにっこり温かい言葉をかけるロック。
「月夜への歌は、ファンクな『卵の歌』を捧げるよ」と自室からギターを持って来る。
 総がダンスを披露したりと盛り上がっていくパーティの傍ら、手製のソーセージを熱心に女性陣に勧める常盤。形は微妙だがソーセージはソーセージだろうと受取った月夜が、いざ食べるとなったら今度は食べ方について文句を言う。
「先ちょっから舐めるように食うのがマナーであり、料理人である俺に対する礼儀だぞ!!」
「こう言うジョークグッズは僕も好きだけど、こういうのはフォークに刺されて『グサっ!』」
 にこやかに言い乍らフォークをソーセージに突き刺すロック。
「Noooーーーっ!」
 常盤の絶叫空しくソーセージをナイフとフォークでバラバラに解体するロック。
「野郎はこっちのエロくないマッシュポテトでも食ってろ!!」と常盤。
「ホットドックすると女性の警戒心が薄くなるんだよ。柔らかなパンと縮れたレタスに埋もれたソーセージを無防備にかぶりつく女の子が、その熱さに眉を潜めるのは良くないかい?」と真顔で言うロック。
「そ、そうか‥‥ホットドック‥‥」
「家にはパンがないから近くのストアに買いにいかなきゃないよ」
 そう言って常盤をにこやかに送り出すロック。
 予測外だったのはストアが臨時休業していた事だろうが、常盤がホットドックのパンを求め歩いている間にしっかりパーティはお開きになってしまった。
 そして月夜は失った一丁裏の代りに余ったデザートを中心に袋詰めにして持ち帰ったと言う。
「‥‥‥あ、クローゼットの修繕代貰うの忘れた」
 そしてロックと言えば、明日帰宅する妹から死ぬ程怒られる自分の姿を想像して少々げんなりした。