ザ・DOG=春SP=裏アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 有天
芸能 3Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 7.9万円
参加人数 10人
サポート 0人
期間 04/26〜04/30

●本文

 TOMI−TVの深夜ドラマに「ザ・DOG」という番組がある。
 深夜であるが一部ファンと役者に支えられ細々と半年やって来た。
 目出たく最終話の第8話(前後編)をGW前後で計画しているが、その前に遅れている春SPを何とか放送しようと言う事になった。
 遅れたのは、偏に「鬼の攪乱」とも言うべき筆頭脚本家のよしりん☆が風邪を引いたからに他ならない。
「今回の春SPは、娯楽性を従来のザ・DOGより強くしている。これは一部の者は耳にしていると思うが、計画中の2ndシーズンの娯楽性が高いからだ。今回のSPは、それの長い目で見た告知とも言える」と鬼塚。

 大まかなあらすじは、珍しく公安と犬達が協力して新興宗教団体というなのテロリストから武器を守ってドンパチするというアクション中心である。

「娯楽性を追求した分、セットもロケ地も多数だ。火薬や銃の専門知識やら、まあ役者側と打ち合わせて‥‥‥今回はひたすらやる事が多いんでな。頑張ってくれ」



●ドラマ『潜入捜査官−ザ・DOG−』=春の大爆発SP= 裏方募集
 美術、メイク、衣装、照明、小道具、大道具、カメラ、タイムキーパー、殺陣師、雑用 他多数募集

●今回の参加者

 fa0126 かいる(31歳・♂・虎)
 fa0179 ケイ・蛇原(56歳・♂・蛇)
 fa0311 木場修(34歳・♂・虎)
 fa1206 緑川安則(25歳・♂・竜)
 fa2021 巻 長治(30歳・♂・トカゲ)
 fa3135 古河 甚五郎(27歳・♂・トカゲ)
 fa3843 神保原和輝(20歳・♀・鴉)
 fa5003 角倉・雪恋(22歳・♀・豹)
 fa5302 七瀬紫音(22歳・♀・リス)
 fa5687 天城 当真(21歳・♂・鷹)

●リプレイ本文

●ロケ地は意外と簡単に決まるもの?
「よろしくお願いします! 劇団クリカラドラゴン座長、不肖ケイ・蛇原でございます」とケイ・蛇原(fa0179)。
「ああ、宜しく。しかしクリカラドラゴンの役者は何回か役者として出演して貰っているが、座長が役者ではなく裏方とはちょっと残念だな」と鬼塚。
「テレビものの裏方の経験は実は少ないので、勉強させていただくつもりで参加致しましたので」とケイさん。
「何か得るものがあると良いが‥‥そのうち会うだろうが名物の筆頭脚本家に掻き回されない様としか言い様がない」と鬼塚。
「その辺は大丈夫です。現状が見えていない指示や行動をされると静かにキレますので」とケイさん。
「そいつは頼もしい」と笑う鬼塚。
「娯楽物‥‥鬼塚さん、丸くなったのでしょうか?」と本編、正月SPと裏方、役者双方に関わって来た古河 甚五郎(fa3135)が言う。
「SPは企画の時点は『娯楽重視』なんだよ。正月は、犬から狼に転落する話だったから娯楽性が低くなったがな」と鬼塚。
「まあ‥‥どちらにしても死の行進になることは間違いありませんでしょうね」とケイさん。
「そうですね。相変わらずロケ場所に困るような内容です」とコガ。
「全くです。取り敢えずロケ地は最低限決めないといけませんね。教団本部は爆発等を考えると採石所跡でしょうか?」と巻 長治(fa2021)。
「採石所跡地が無難だろうな。こいつはTOMIで良く借りている場所でいいだろう。借りるのは問題はずだが、緑川は連れて行け。火薬量と規模やら配線について聞かれるからな」と鬼塚。
「自分と緑川さんが交渉に行って来ます」とコガ。
「あと、倉庫は正月の倉庫を使えば用が足りるだろう」と鬼塚。
「となるとロケは暴力団事務所と道路ですね」
「道路は確か、タンクローリーが高速道路を走るんだよな? 警察と各役所で足りると思うが、空撮の手配はどうなっている?」
「空撮ですか?!」
 思いもよらない鬼塚の言葉に吃驚する一同。
「寝言を言うのはやめてください」とケイさん。
「市街地を走るんだったら高速でカーブを曲るタンクローリーを映す事によって、画面に圧迫感を与えタンクローリーの凶悪さが判る。だが、高速道路だったらタンクローリーの規模が視聴者に分りにくいだろう。上空から普通乗用車と一緒のロングショットを撮るのと乗用車がケチらかされて行く事によってタンクローリーの『暴力性』がアピール出来るってもんじゃないのか?」
 この辺りの考え方は映像屋ならではの考え方かもしれない。
「ヘリはTOMIのヘリを使えば良いし、どうせ役所に行くんだ。一緒に書類を出して来くればいい。じゃなかったら市街地と教団本部近くだけの撮影に変えろ。市街地撮影の方がずっと早く許可が下りて楽だぞ」


●大道具&小道具となにげにエキストラ?
 制作側から指示をされたセット内容は、教団の道場、教祖部屋、秘密部屋、軟禁部屋、犬の潜伏場所、公安本部‥‥と多々多様。
「待て、これ全部この急場で仕上げるのか!?」とかいる(fa0126)。
「でもいつもよりもスタッフさんが多いですし☆ アルバイトとかもその内応援に来るらしいですから先に基本になる図面をカイ君ときば君で引いていただければ結構ですよ」
 のほほーん。というよしりん☆。
 図面と言われて「残念ながら俺は他の仕事にかまけてたのもあるので体力勝負派だ」と言うカイ。
「知合いの大工の親方は『頭で図面引いちゃう』派でしたけど、カイ君もなんですか?」
「細かい所とか、元宮大工の木場さんに任せた! 俺大まかな形とか作るから!」と木場修(fa0311)に向き直るカイ。
「宮大工は関係ないだろうが」ときば。
「いや、細かい細工が得意そうだと」とカイ。
「教団本部出入り口に対になっている像があったりとか思ったんですがないんですか?」とよしりん☆。
「なんでそんな怪しい外観を考えつくんだ」ときば。
 カルト教団本部内トータルイメージは、簡素な迄の白。
 本部外観は白い四角い2階建ての建物の書き割りを組み、装飾やら山はCGを加筆する事になっている。
「現場を混乱させて遊ぶな。先刻迄撮影の方で茶々を入れていただろうが」と鬼塚。
「それはですね、スカウトに来たんです♪ 監督から仕出しが少ないので絵的に寂しいと‥‥平たくいうとヤラレ役ですね☆」
「ちょっと待て、さっきの像の話とかはなんだ?」ときば。
「『お天気の話』と同じで話のツカミです☆」
 堂々と言うよしりん☆。
「よし、任せろ。俺そういう台詞少なくて簡単な役大の得意だ!」とカイ。
 先程、よしりん☆に「図面」と言われていた時とは大違いである。
「まあ、暇になったら暴力団の三下あたりならできると思うが‥‥」と呆れた顔でいうきば。
「‥‥なんでもいいが、きちんと作ってからにしてくれよ」と鬼塚。

 不本意な所で時間を取られ乍らも銃が入っている木箱等細々とした小道具も作っていくカイときば、そして全体のスケジュール調整だけでなく自らなぐり(トンカチ)を握るケイさん。
 コガの提案で教団内部はCG処理を依託している専門学校やらTOMIの会議室らをそれらしく飾り、公安やら暴力団事務所は他番組のセットを流用で賄う事になった。
「ケチ臭いと言いたい所だが、日数を考えるとしょうがないか?」
 熊の縫ぐるみをせっせと作っているカイ。
「結局は表から『らしく』映ればいいだけだかならな」
 怪しい儀式っぽい刀の拵えを削っているきば。
「口を動かす分、手を動かしましょう。稽古に使うので今できてないとダメです」とケイさんに活を入れられる。
 こうして表から見ると美しい白いドレープのカーテンと雛壇に飾られた幻想的な教団本部内教祖部屋が出来上がったのだった。


●射撃特訓のあり方講座?
「緑川安則、元陸上自衛官だ。今回は弾着や爆破に関係する爆破物取り扱いと役者一同に対する火器使用教練担当、いわゆるガンアクションアドバイザーだ」と緑川安則(fa1206)。
「ウチは火爆特効と専属契約をしていないから助かる」と鬼塚。
 ここで言う火爆特効とは、火薬を使用する特殊効果の事である。
 戦隊物の決めポーズの後ろで上がる爆発や銃を撃った時の白煙、服に開く弾痕を一種にして作り上げる特殊技能である。
「銃だけでなく派手に血糊も爆発もブチかましてくれ」と鬼塚。
「火薬も燃料も量は増やしませんよ。もう申請してきちゃいましたから」とコガが横やりを入れる。
「銃の構え方と言っても幾つもあるが、幸いにもメインキャストに曲撃ちは必要無いようだな」とやーくん。
「ヤクザは殆どがVシネを真似て銃を撃ちたがる人達ですので場合によって、トレーニングは必要無いかも知れませんが、公安関係には基本の構えを叩き込んで下さいね♪」とよしりん☆。

「精度を優先するような設定であればボルトアクション式の扱い方でよければ‥‥というか寧ろボルトアクションだと教えやすい」と言うのはライフル競技選手の肩書きを持つ天城 当真(fa5687)。
「元公安の狙撃手役の方が丁度いますね☆ ばっちり仕込んであげて下さい♪」とよしりん☆。
「片側の足を膝立て、その上に腕を置いて構える膝射もあれば、あぐらをかくように座った状態で銃を構える座射もあるけど?」
「サイレンサーと暗視スコープを装着して見張りを倒すそうですので、精度面から行けば三脚架を使用かと」
「軍仕様のライフルとか使うのかな?」とトーマ。
「今回の銃のリストに入っていませんね。よしりん☆は設定から言って国内の銃砲店等で手に入るライフルが良いのですが‥‥暗視スコープを着けて狙撃となるとよしりん☆の知っている銃は、かなり絵面が悪いのでトーマ君が選んでくれると助かります☆」
「設定ではクレーの経験がある事になってるんだね。クレーと固定射撃は一口にライフルと言っても弾も違うが‥‥判った。訓練開始迄には選んでおくよ」
「頼りにしています♪」

「申し訳ないけど、私は主に私は兄の射撃の訓練に付き合う形になるよ」と神保原和輝(fa3843)。
 当初フールト奏者がなんで射撃訓練担当者に名を列ねているのだろう? と一同首を捻ったが、和輝の家系は軍人の家系だと言う。
「兄は格闘戦ばかり得意になって射撃が得意じゃないのよ」と溜息を着く和輝。
「まあ日本国内にいる限り余り銃は必要無いだろうからな。NW戦とかだと獣化して特殊能力を織りまぜた攻撃の方が銃を使うより短い時間で解決する場合もあるしな」と苦笑する鬼塚。
「今回緑川さんには総合アドバイザーとスタンダードな短銃、天城さんはライフル銃、私はGlockenみたいな個性的な銃を指導しようと思っている」と和輝。
「Glockenは、今回のメイン役者では使用者がいないと思ったが、まあ良いだろう」
「結構いい加減だね」
「まあな。ガンマンを育てている訳じゃないからな」
「そうですね。下手をすると弾込めシーンとか多分映らないでしょうし‥‥それこそ今回は『今、何発目か?』ごっこが出来ますからね☆」
「弾の残数か、本当はそういう所にもこだわりたいよね」
「ここで銃についてゆっくり語っている暇はないのは残念だが、トレーニングのスケジュールを含めて期待している」と話を切る鬼塚。

 こうして射撃トレーニングがスタートしたが‥‥‥。
「やっぱり走るのね」と茶を啜り乍らよしりん☆。
「団体生活の基本は、ラジオ体操とランニングと腕立だろうな。まあ、役者の体力作りにもなるしな」と鬼塚は七瀬紫音(fa5302)が差し入れたおにぎりを食べている。
 当のシオは後ろで集音器片手に足音を取っている。
 最低限ある程度上半身を鍛えないと銃を構えた時、銃先が振れるのだ。
 実際に銃を撃つのであればある程度下半身も鍛えなくてはならないのだが、なにより銃そっくりな精巧なモデルガンは重いのだった。
「重さや形状は同じだが、これは軍でも使う訓練用の『おもちゃ』だ。常に肌身離さず持たせることで重さや違和感を慣れさせるものだ。はっきりいえば新兵訓練と同じだ。違うのは役に合わせた動きを覚えさせるんだ」とやーくんが役者達相手に熱弁を振っている。
 トーマは一撃必中のスナイパーの基本「弾を込める。素早く弾を排出する」と言うのを狙撃者役にマンツーマンで繰り返し教えていた。
「トレーニングで本物や重さ迄そっくりなモデルガンとは思わなかったが‥‥」
「そうですね☆ よしりん☆も軽いトイガンを使うのかと思っていました」
「俺達は、机上でしかこういう事を知らんからな」
「何であれ『役の肥やし』にはなるでしょうから良いんじゃないんですか?」
 何か微妙に違う気もするが『餅は餅屋』銃の専門家に任せたのだ。
 きっと立派なコマンダー(犬)になってくれるに違いない。
 そう鬼塚とよしりん☆は他人事のように考え乍らシオの差し入れに舌鼓を打っていた。


●編集は籠ってしまえば楽なもの?
「編集に関して自分含めた獣人スタッフのみで、完全獣化状態で行って宜しいですか?」とマキさん。
「別に構わんぞ。丁度GWで学校には誰もいないようだしな。存分に完獣化してくれ」と許可を出す鬼塚。
 何度もシュミレーションを重ねて設置したカメラで撮影したフィルムをチェックするマキさん。
 主要な登場人物のアップがきちんと映っているか、カメラスピードを変えた為に起るボケがないか?
 と1コマずつ丁寧にチェックする。
 尤もトラブルがあっても良いように撮影の際には多数のカメラを同時に使って、撮影したりしている。
「結構な量を撮ったな」と鬼塚。
「撮ったものを没にすることはできても、撮らなかったものを使うことはできませんので」
 そう苦笑するマキさんだったが、自分でも少々撮りすぎたかも知れないと思う。
 映像をチェックするのもかなりの時間が掛かってしまうだろうが、苦労した分はすぐに帰って来るだろう。という自信はあった。
 実際、フィルム編集という役割故もあるがスタッフの中で一番最初に教団本部爆発シーンを見ると言う機会を得るのだった。
「光量の修正が少しいるかも知れませんが‥‥煙を足したりとかの加筆が必要なさそうですね」
 小さな編集モニタを見つめるマキさんは満足げに見つめた。

 効果音を担当するシオは、撮影中や特訓中に集音した大勢の足音、街の喧騒、事務所内部の音等がかすれたり、足りないものがないかチェックをする。
 その他に音の補充、サブリミナル効果音の作成、緊迫感の演出音を作成・編集していく。
 実際の銃の発射音は一般人が想像する音よりかなり軽い音である。
 ドラマ(嘘)である以上、一般人がイメージする銃の音が望ましいだろうと効果音CDからマキさんが起こしたフィルムに併せて音入れをして行く。
 今回は使用している銃の種類も多いのでベースになる音に更に加工を加えていくシオ。
 次にキーボードを使い、効果音と洗脳シーンに使用するヒーリングミュージックを書き下ろす。
 教祖役の女優に協力してもらい別録した台詞をサブリミナル効果音としてヒーリングミュージックに重ねていく。
「で、できたぁ」
 何日お籠り作業をしていたのか自分でも判らなくなる程、集中していたシオ。
 シオの作り上げた効果音に音楽が更に加えられ放送される迄にはもう少し時間が掛かるようだが、出来上がりは「放送を楽しみに」と言う所だろう。