RA半年総決算 裏南北アメリカ
種類 |
ショート
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担当 |
有天
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芸能 |
3Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
不明
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参加人数 |
10人
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サポート |
0人
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期間 |
04/28〜05/01
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●本文
「大変大変大変‥‥‥」
インターネットコンテンツサービス会社の在宅職員ロック・ライフ(24)は、朝からコマネズミのように会場を走り回っている。
ロックの仕事は、新人ロッカーとインディーズバンドを発掘する「ROCK・AWARS」の担当。
毎月ロックの独断と偏見による「お勧めの曲」プロモーションビデオが配信されていた。
なので複数のメジャーアーティストが選ばれるときもあれば、全く無名のアーティスト1グループ(1名)が選ばれる場合がある。
上司も「聴くのは、一般視聴者。プロじゃない。お前の好きに選べ」といった態度ゆえ、最終選考に残った曲全曲がお勧めになったり、また全くなかったりする場合もある。
さてその「ROCK・AWARS」もそれなりの知名度が上がって来たようなので、半年の総決算として大きなフェスを行う事になった。
フェスである以上、お祭りネタは必要だろう。
大きな会場でネット配信するのだ。
会場を借りればカメラマンから照明を始めとするスタッフも当然いる。
「うきぃー! 猿じゃないけど叫びたい!」
目一杯、一杯なようである。
●「『ROCK・AWARS』半年総決算」スタッフ募集!
美術(大道具、小道具)、照明、カメラ、サーバー管理、AD、メイク、衣装、受付、警備 他
報酬:5万円
お祭りにつき半獣化迄&コスプレ許可(オリジナルのみ)
●「『ROCK・AWARS』半年総決算」観客募集!
お祭りにつき完獣化&コスプレ許可(オリジナルのみ)
●リプレイ本文
●打ち合わせ
RAの半年総決算、リアルタイムネット中継と言う点では昨年末に行ったカウントダウンライブと同じであるが、それとは一味違った意味を持つネットライブである。
中継開始の合間、事前に録画しておいたスタッフインタビューが流れる。「PV制作とはまた勝手が違うけど、今回も頑張るよ」とスモーキー巻(fa3211)。
「今回、TV中継と同じだからスタッフは地獄のように忙しいだろうけど、よろしく」とロック。
「ロックさん、出演される『紗鈴花』さんのリクエストで花をいっぱい飾る事になりそうですが、イメージは春の花々という事でタンポポと菜の花にしようと思います」と逢月・遥(fa4374)。
「タンポポは判るけど‥‥菜の花?」とロック。
「菜の花です。アブラナ科の花でタンポポもそうですけど、菜の花も美味しいんですよね」と遥。
余り花に詳しくないロックであったが、食べられると聞いて30秒ほど考える。
「ああ、中華料理と日本料理に出てくるアレか」とロック。
今回のトータルプランナーとしてロック、各出演者からのリクエストは纏めて書き出してある。
その束をめくりながら、
「彼女らのステージは『花園』だね。タンポポと菜の花じゃ野原っぽいから、悪いけど花を選び直してくれないかな?」
そう言うと足早に立ち去るロック、何しろ忙しいのだ。
「ロック君、今回やる仕事は‥‥『スタッフの衣装の発注および完成品の受注。建物使用許可を提出して、それが可能かどうかを警察と市の観光課に確認を取る。休憩時の飲食物の調達や作成。撮影の時に生じた廃棄物などの処理。大道具を作るときの手伝い』みたいな感じでよろしいのでしょうかねぇ?」とメイド服のカリン・マーブル(fa2266)。
「別に警察と観光課は必要ないんじゃない? 確かオープニングやミュージシャンの入れ替え中にヘリを出すとかの予定はないし、そこそこ顔が知れている人が殆どだから警察に連絡が必要になるような混乱はないと思うけど?」とロック。
今回の関係者の中で一番メジャーなのは女優でもあるのと同時にアメリカで『エビル・クイーン』というリングネームでリングに上がっていたリネット・ハウンド(fa1385)だけなのである。
「リネットさんはメジャーですからね」と元女子プロレスラーであるカリン。
尤も当のリネットは今回会場警備である。
本人は設備の運搬も手伝う事を申し入れたが、ロックが「警備に専念して欲しい」と謹んで断った形になる。
「折角ですから時間的に余裕がありましたら、私も警備の方もお手伝いしたいですが、無理でしょうね」と少し残念そうにと笑うカリン。
「時間かぁ‥‥多分、ADのカリンと僕が一番あっちこっち行ったりきたりで忙しいような気がするよ。それに今日は、休憩中の飲食物は全てケータリングでいい。いつものPV作成のような感覚では行かないから‥‥万が一あった時笑えないから」とロック。
そして日米中国語を話せると言う理由で受付を担当するステラ・ディスティニー(fa2443)はメイド服を着るか、それともチャイナドレスを着るかと未だに悩んでいた。
「メイド服は可愛いらしい‥‥チャイナドレス‥‥う〜ん、迷います」とステラ。
カリンのメイド服姿を見て、いよいよ悩んでいるらしい。
「チャイナドレスは樹神が着るって言っていたし、中華風メイド服っていうのもあるらしいけど?」とロック。
ステラの受付もまた一種の警備である。
リネット、カリン、ステラの3人がデザインと色違いのメイド服に身を包んでいる姿を想像するとどこぞの戦隊物のようである。
オタク心をそそるのは間違いないが、別にロックはオタクなメイドマニアではない。
どちらかといえば綺麗な脚と巨乳が好きなガンマニアである。
それにロック的には、ステラは折角のトライリンガルである。
ステラには歌詞のテロップやタイトル等の画像加工を担当する宮尾千夏(fa1861)を手伝って3ヶ国語通訳を手伝って欲しい所であった。
「だー!! 痒い所に手が届かない。って感じ!」
やりたい事が一杯のロックであった。
「Mr.ロック、ここのプロデューサーさんにお会いしたいんだけど、どちらかしら?」と真紅(fa2153)。
「『ROCK・AWARS』の? それとも『このお祭り騒ぎ』の?」とロック
「勿論、このお祭り騒ぎのよ」とルージュ。
「んじゃあ、僕だ。お陰で滅茶苦茶忙しくって」とぼやく。
「出世したわねえ」と驚くルージュ。
「会社と言う点で行けば、まあ『チャンスをやるぞー』って事なんだろうけど‥‥なんか用?」
「せっかく仮装OKなんだから、ネットで見てる人達にもお祭り騒ぎな会場の様子をより『リアル』に伝えたいのよ」とルージュ。
「一応、リアル放送するけど‥‥?」
「『フォトジェニックin観客席』って事で‥‥まあ、大仰な名前つけたところで仮装スタッフやギャラリーにインタビューするだけなんだけど、どうかしら?」
「ああ‥‥TVと違ってCMが入らないから、一応舞台のセッティングの関係とかあるから出演グループ毎に観客や事前に録ったミュージシャンのインタビュークリップとか織り交ぜるつもりだけど‥‥」
「私にインタビューアやらせて頂いていいかしら?」とルージュ。
こうしてルージュがカメラを引き連れて、舞台裏を放送する事になった。
「小物やちょっとした道具を入れられるポシェットあると便利だよね。折角のお祭りだしちょっと外見も機能性にも凝ったのを作ってみよおー!」と宇藤原イリス(fa5642)。
「えー?」とロック。
「や、カメラだと着飾れませんし、それに巾着とかなら入院生活中にたくさん作ってましたから大丈夫だよ」とイリス。
「今日のイベントは、リアルライブ中継がメインだよ。固定カメラもハンディカムも普通のTV中継と同じものを考えているから‥‥イリス、君が15kg近くあるカメラを担ぐの?」とロック
大の大人でさえ慣れていなければ重量がある為に手ぶれ防止機能が最新式には組み込まれているとは言え、画像がブレる代物である。
「違うよー。私のカメラはこれだよ」とデジタルビデオカメラ(ハンディカム)を指し示す。
「『ROCK・AWARS』は元々ネットだよね。後日、ホームページで流したりするのかと思って、その時リアル放送と同じじゃ詰まらないよね」とイリス。
「確かに今日のリアル放送は会員限定で、後日編集した物をアップするつもりだけど‥‥」とロック。
「だったら私がカメラしても問題ないんじゃない?」
「うーん?」
イリスの身長は149cm。
本人曰く、台を使うと言うことなのでOKを出すロック。
「ルージュが普通の突撃インタビューを撮るから、イリスはイリスの目線で撮影してくれ。その方が面白い映像が撮れるから‥‥ただ‥」
「ただ?」
「イリスは、メイク志望だったよね。もしカメラマンをするのならメイク室でゆっくりする暇はないよ?」
樹神(fa1099)と共にメイクを担当する楽子(fa5615)からイリスがメイク希望であることを聞いている。
暇が出来たらメイクについてレクチャーしたいと言っていたが‥‥。
「君が一流を目指すならプロとして仕事に専念してくれ」
そう釘を刺すロックだった。
●ライブ中継スタート
開場と同時にネット中継がスタートする。
「いよいよ、これから『ROCK・AWARS』半年総決算、ライブがこの会場でスタートします」
タキシードを着込んだライオンガール(ルージュ)。
会場前やら場内の客を片っ端から捕まえてインタビューしている。
その後ろを観客に紛れ半獣化したリネットがゆっくり巡回して歩く。
「Hi♪ 照明の彼、素敵なマントね」とウィンクするルージュ。
「どうだろう、似合ってるかな?」と19世紀の紳士のようなマントとシルクハット姿のスモーキー。
「とても似合っているわよ。現在の場内の様子は、こんな感じです。続いてステージ裏を覗いて見ましょう」
カメラマンを引き連れ、スタッフがごった返すステージ裏に突入する。
「さあ、メイク室です。ここには出演を控えたミュージシャンが控えています。突撃してみましょう」
一際目立つ紫色のチャイナ服、ダミー胸まで着いた見事な女装姿の樹神。
「やっぱり私としては、ここのメイクは白くしたほうがいいと思うのぉ〜」
オネエ言葉が、その口からガンガン飛び出すその姿はまさにドラッククイーン。
「今日の仮装のポイントは?」
「え〜? やっぱり、この胸?」
樹神がインタビューに答えている間、奥では半獣化し、もふもふの尻尾をふりふりしているロック風黒ナースコスチュームに身を包んだらっこが出演者にメイクを施していた。
派手な仮装をしている人物を片端から捕まえてインタビューをしていくルージュ。
ぐるりとステージ裏をインタビューして歩いた後、場内に戻ってくる。
「あ! やっと今回の番組を企画したMr.ロックを発見しました! Mr.ロック、今回のライブについての意気込みは?」
「半年、R・Aが続いたのは皆さんのお陰です。そのご恩返しと、やっぱりアメリカのロック界に新しい風を入れたい? そんな気分だね」
「いつになく真面目な答えですね」とルージュ。
「いつだって僕は、真面目だよ」
そんなやり取りの中、会場が暗くなり、ミュージシャンの演奏がスタートした。