RA半年総決算 曲南北アメリカ

種類 ショート
担当 有天
芸能 3Lv以上
獣人 3Lv以上
難度 難しい
報酬 8.8万円
参加人数 10人
サポート 0人
期間 04/28〜05/01

●本文

「大変大変大変‥‥‥」
 インターネットコンテンツサービス会社の在宅職員ロック・ライフ(24)は、朝からコマネズミのように会場を走り回っている。
 ロックの仕事は、新人ロッカーとインディーズバンドを発掘する「ROCK・AWARS」の担当。
 毎月ロックの独断と偏見による「お勧めの曲」プロモーションビデオが配信されていた。
 なので複数のメジャーアーティストが選ばれるときもあれば、全く無名のアーティスト1グループ(1名)が選ばれる場合がある。
 上司も「聴くのは、一般視聴者。プロじゃない。お前の好きに選べ」といった態度ゆえ、最終選考に残った曲全曲がお勧めになったり、また全くなかったりする場合もある。

 さてその「ROCK・AWARS」もそれなりの知名度が上がって来たようなので、半年の総決算として大きなフェスを行う事になった。
 フェスである以上、お祭りネタは必要だろう。
 低予算の誉れが高い「ROCK・AWARS」だが、上司からはMVPに輝いた者(1名)に「高級楽器を一つ副賞をつけても良い」とお達しを頂いた。
 但し、このMVP、必ず該当者が出るとは限らないのとどんな楽器が当るかは出演者に教えられていないのだ。
 場合によっては車がなければ困ってしまうような大きい物が当る可能性もあるのだ。


●「『ROCK・AWARS』半年総決算」出演者募集!
 参加資格 プロ・アマ、ソロ・グループ問わず!
 テーマ   なし
 ジャンル  ロック
       歌詞&曲は、オリジナルのみ♪
       歌のみ(歌手ソロ)曲のみ(バンドマンソロ)の参加も可能♪
 貸出楽器 ドラムセット、ピアノ
 副賞   MVP(1名)該当者に楽器を進呈

 ※1人(1グループ)1曲迄、曲を受け付けます。

●今回の参加者

 fa0259 クク・ルドゥ(20歳・♀・小鳥)
 fa0597 仁和 環(27歳・♂・蝙蝠)
 fa1359 星野・巽(23歳・♂・竜)
 fa1851 紗綾(18歳・♀・兎)
 fa3351 鶤.(25歳・♂・鴉)
 fa3461 美日郷 司(27歳・♂・蝙蝠)
 fa4557 アレクサンドル(31歳・♂・豹)
 fa5423 藤間 煉(24歳・♂・蝙蝠)
 fa5470 榛原 瑛(26歳・♂・猫)
 fa5541 白楽鈴(25歳・♀・狐)

●リプレイ本文

●【Ravages】蜜月 Vo:クク・ルドゥ(fa0259)、三味線:仁和 環(fa0597)、G:さーや、B:ノワール、Dr:瑛
「」ハモリ

♪♪♪〜
(真っ黒なステージの中、ドラムカウントが響く。エレキギターとベースの高低激しい前奏青い照明が夜の闇を演出する。静かに楽器が奏でられ、スモークが漂い幻想的な雰囲気を作る。三味線の叩きつけるようなメロディが激しさを加える。
 そして、全ての楽器の音が消えた瞬間、ククのヴォーカルがスタートした)
「へぇ‥‥ストリングスがジャパン(三味線)か。こういう弾き方もあるんだ。」
 力強い響きを持つ三味線の音に元々細い目を更に細めるロック。
 最近、欧米諸国と言った海外でも公演数が増え、認知度が増えた三味線だがまだまだ民族楽器としてのアピールである。
「いいね♪ こういうの」

 見上げる闇空 銀色の細い月
 戦い疲れ 零れた溜息

 失う争い続けながら 心は何を求める
 傷ついた自由だけが 儚くも此の手に残る
(スネアを効かせたリズム、全体をリードする様な三味線とギターが絡み主旋を刻む。ククの澄んだ高音が力強くも切なく、微かな哀愁も秘めた響く)

「どれだけのモノを犠牲にしただろう
 どれだけのヒトと逸れてきただろう」
(ステージ上を風が渡り、スモークを一掃する。青い照明がステージを包み、白いレーザースポットが煌く)

(溜息のような疲れた息)
 問いかけは 夜風に浚われ
(叫び荒ぶる様な声が、激しい苦悩・自嘲を感じさせる中、ランダムに激しく万華鏡のように照明が煌く)
 刃の如き天の月は 凍る静寂(しじま)を投げるだけ

(ドラムのソロが響き、ストリングス達のパートが響く)

「どれだけのモノを犠牲にするだろう
 どれだけのヒトと逸れていくだろう」
(ステージを駆け巡る風がステージ上に白い垂れ幕を揺らす。力強く声を響かせ合い、楽器もハモるような厚みで走っていく)

 揺らぐ心を 独り抱きしめ
(ランダムに激しく万華鏡のように照明が煌く)
 得られぬ答え求め 「彷徨う戦の夢間」
(ストリングス達が段々と強くなる中、ドラムがアクセントを刻む)

(一拍無音)

 月が嗤う
(銀の紙吹雪をはらはらと上から降り堕ちる中、高く吼える様に歌い伸びる声。叩込む三味線と軋む様なギターの音が駆け下り、ベースとドラムがリズムを揃える。
 ククはSHOUTを天に突き上げ、演奏は余韻を残さず終了すると同時に、ステージも真っ暗になった)
〜♪♪♪


●【Temptation】BLUE−M Vo:星野・巽(fa1359)、G:美日郷 司(fa3461)、Dr:アレクサンドル(fa4557)、B:まき、Co:クク&まき
『』ハモリ、「」コーラス

(ツカサが祈るように銀の愛機にキスをすると黄色い声援が上がる。ノワールは登場すると薔薇の花束を出しタツミに渡す)
「ふーん‥‥このグループも拠点がアジアだけど、それになりに人気は出そうだよな」とロック。

♪♪♪〜
(ドラムカウントの後、軽快なエレキギターの音が駆け上がり、イントロがスタートする。暗い照明の中、スポットライトに浮かび上がるタツミ)
 目映い光を 身に浴びて
(タツミの声が力強く響き、ギターがメロディをベースが支え、ドラムは力強く響くアップテンポなロック)
 眩しい視線を 身に受けて
『太陽よりも 輝く姿態(したい)』
 皆の視線は キミのもの
(客席にウィンクをするタツミに黄色い歓声が上がる)

(短い間奏の間、賑やかにギターとベースは背を合わせるようにしてアドリブで弾き、タツミはそれを際立たせる為にステージ脇に寄る)

(そのままテンポ早めに維持したまま、曲は進む。歌いながら演奏者と並んだり、歩いたりと色々立ち位置を変えるタツミ)
「惜しいな。演奏を工夫して目立たないようにしているけど‥‥他が良すぎる分、ヴォーカルのリズムに乗れていないのが目立つ」と溜息を着くロック。

 蠱惑の『キッス』(「オーロラマシンのビームが刺激的なムード盛り立て、キッスでタツミが客席に投げキスをする)
 魅惑の『スマイル』(タツミが薔薇を一輪抜き、観客に差し出す)
 誘惑してる
 プリズムの瞳
 七色のビームに
 射抜かれた!
(矢の飛ぶ効果音が響き、激しいシンバルのクラッシュ。同時にノワールが後方からその薔薇を射貫くしぐさをすると花弁が舞台にぱっと舞い散る)
「タイミングは合っているな。これは裏方を褒めるべきか、ドラムを褒めるべきか‥‥」とロック。

(エレギのメロディが一気に流れ込む)
 キミの魅力は魔力的 「君の魅力は刺激的」
(照明が一気に明るくなり、更にアップビートに賑やかにしつつ、前のフレーズのラストに被せ気味にコーラスの声が被さる)
 ボクの未来はキミのもの 「僕の未来は刺激的」
 キミは煌めく 『光の天使【エンジェル】!』
(ドラムから金銀七色紙吹雪が飛び出し、ステージを煌き彩る。花束をシャウトした瞬間、空へと放り投げるステージを薔薇を振りまくタツミ。タイミングを合わせたメロディは余韻を残さず終了する)
〜♪♪♪

「トラッドなポップ系ロックだったな。観客にアピールして見せる演出でいいけど過剰演出の印象があるな。PVだったり、『ソロ』ステージなら良かったんだろうけど」とメモるロック。


●【花占い】紗鈴花 作詞・曲:紗綾(fa1851) Vo:白楽鈴(fa5541)&紗綾、G:紗綾、G:ツカサ、B:レオン、Dr:瑛、Harp:まき、P:ノワール、Co:クク
「ふーん、ツインヴォーカルに半獣化かぁ。鈴は新人の女優さんでさーやは演奏メインだから負けないように工夫しているんだ」とロック。

♪♪♪〜
(色とりどりの春の花彩られた花園ようなステージ、白い昼光のような優しい照明の中、ドラムカウントが刻み元気よくスタートした曲は、そのまま軽快なメロディが続くと思われたが、2スレーズ目で転調、落ち着いた優しいメロディに変る。アップテンポな甘く切ないガールズロック)
「うん♪ 二人にとても合っている曲だし、メロディも請っていていい感じだね」とロック。
「ただ、これだけ他のユニットから手伝いが入るとバックバンドに委託しても変らなかった気がするのけど、皆知り合い見たいだしその辺は息が合うみたいだけど‥‥」とロック。

 広がる蒼穹 光の午後
 流れる雲の切れ間から
 顔を出した細い三日月
 揺れる心が見透かされたみたいで どきっとした
(ツインヴォーカルが織り成す歌声に溶け合う様にツインギターの明るいメロディが流れる)

 道端に咲く白い花を 一輪摘んで
 この胸の秘めた想い 占ってみる
(ドラムはスキップするようなリズムを軽快に刻み、ハープとピアノは煌めく音で華やかさを演出していく)

 He loves me or loves me not‥‥
 好き 嫌い 好き
(追いかけるようにさーやと鈴が柔らかい声が交互に歌いあげていく)

 期待と不安が繰り返し 心の中で追いかけっこ
(華やかなコーラスがツインボーカルの声を支える)
 足元に散る花弁の数だけ 君に近づければ良いのに

 He loves me or loves me not‥‥
 好き 嫌い 大好き

 いつかこの心の雲も 太陽のようなあの笑顔で 晴れ渡る日が来る きっと きっと
(ベースが全体を支えるように、そして一音、一音を噛み締める様に力強く歌う鈴とさーや)

 He loves me or loves me not‥‥
(たっぷり音を響かせつつ、徐々にメロディーが緩やかに)
 He loves me‥‥love me please‥‥
(そして全てのメロディが止み)
 I lov you.
(鈴が好きな人を想いながら感情を込め、語りかけるように囁き詠う。虹の様に煌くピンスポットの中、余韻を残し、曲は静かに終了した)
〜♪♪♪

「課題点もあるが‥‥これは本業じゃないからしょうがないのかな? でも自分達の欠点をよく理解して見所があるグループだよな。この曲おしいな。PV見て見たい気がする」


●【fly high】Gain Vo:鶤.(fa3351)、B:藤間 煉(fa5423)、Dr:榛原 瑛(fa5470)、G:さーや

♪♪♪〜
(真っ暗なステージ、ドラムカウントが響く。高らかに歌う鶤の姿がピンスポットに浮かび上がり、曲はスタートした。曲調は力強い男性的なハードロック)
 朝日に照らされ 埃が舞い散る
 荒れ果てた道さえひた走れ
(ゆっくりとしたテンポで沸騰直前といった重い印象のドラムとベースのかなり抑えたリズム音にヴォーカルがしっかりと歌詞を刻む様に歌う)

(全体に照明が点き、ステージを照らすと同時に曲調が変る)
 ブーツの紐を固く締め 不敵に笑えば
 目指すはまだ見ぬ高みへと
(エレギが微かに攻撃的なフレーズを奏でベースの低音が徐々に重みを増していく。メリハリのしっかりしたドラムがリズムを刻み、それを支える)

 おとなしい顔して迎合しきって
(スポットライトの中、ギターがメロディアスなフレーズを奏でベースと音が絡み合う)
 木の葉の真似する虫にでもなるつもりか?
(スポットライトの中、ベースのソロが響く。徐々にリズムがテンポアップしていく)

(スポットライトの中、魅せるドラムが力強くまた、時には優しくスネアがリズムを刻む。一拍休符した瞬間、スティックをくるりと回す瑛。一気にリズムがアップテンポになる)
 fly high  もっと遠くへ
 ちゃちな雑音耳に入れる暇などない
 かけたプライド 期待の視線
 背負う覚悟はできている

(前方のフットライトが光を遊ばせる様に明滅する)
 get along  遥か彼方へ
 一瞬たりとも迷っている暇などない
 きつく握って突き出したこの拳は
 世界を掴むためにある
(上がったリズムはそのまま勢い落とさず‥‥わざとマイクをハウリングさせ、強烈な印象のまま余韻を残さず曲は終了する。と同時に全ての照明が消え、ステージは曲が解した時と同じように真っ暗になった)
〜♪♪♪

「‥‥悪くはないな、全体のバランスもいいし。鶤とレオンが僕の前で演奏した中では一番いいんじゃないか?」とロック。
「だけど、演奏順が悪かったな。どうしても蜜月やBLUE−Mに比べればテクニックが見劣ってしまうな。まあ、これから幾らでも伸びる可能性が紗鈴花と同様にとてもあるし、いつもの『お勧め曲』なら間違いなく選ばれるんだろうけど」

 ロックの苦悩を他所に好評のうちにライブ演奏が終わった。
 だが、今回のライブ。それだけでは終わらない。
 この後、目玉の表彰式がある。

***

 暗いステージの上に本日の出演者が並ぶ。
「結果発表! ベストユニット賞『蜜月』」
 ピンスポットがククとまきを照らし出す。
「その高いスキルとバランスの取れたテクニックを披露したのみならず、和楽器である三味線を演奏しアメリカロック界に新しい可能性を示してくれた事を高く評価します」
 神妙な顔をしてロックが小さな賞状をククに手渡す。

「続きまして、新人賞『白楽鈴』」
 再び暗転したステージの中、鈴にピンスポットが一人、照らし出される。
「異なるジャンルからのチャレンジと言う高いハンディを乗り越え、さーやの難しい曲を歌い上げた君のセンスを高く評価します。もし良かったら今度はPV募集に参加してみてみないかい?」
 そう言いながら小さな賞状を鈴に手渡す。

「さて、残す所。MVP、ただ一つとなりました。Mr.ロック、今の心境は?」
 ライオンメイクをした女性MCがマイクを振る。
「本気で悩んだ。これほど高いスキルの人間が集まったのは、R・Aで初めてだよ。選ればれなかった曲だって今までのお勧め曲に匹敵する‥‥若しくはそれ以上だったからね」
「それでは、選考はとても大変だったんじゃないんですか?」とMC。
「本当だよ。絶対、今日だけで2kgは痩せたよ」とロック。
 ドッと湧く会場。
 ある意味、ロックの懲りないダイエットはR・Aの名物である。
「さて、冗談はさておき、お待たせしましたMVPの発表です!」
 高らかにスネアドラムの音が鳴り響く。
「MVPは『仁和 環』!」
 スポットライトが、まきを照らし出す。
「貴方は三味線、ハープといったアメリカロック界では珍しい楽器を演奏し、ロックの可能性を広く示した事を高く評価します!」
 こうして後日、まきの自宅にR・Aから三味線製作の始祖、石村近江の手による三味線『古近江』が贈られた。