「7」新装開店アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 有天
芸能 1Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 0.8万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 10/25〜10/28

●本文

 古い運河沿いの鉄工場跡地を改装して作られた作られたライブハウス「7(セブン)」。厳ついコンクリートの外壁と大きな赤錆が浮いた鉄の扉が印象的で、来る人を拒むように聳え立つ。改装してもしなくてもライブハウスである証拠と言える物は、表に飾ってあるネオン看板ぐらいである。

「ここ1ヵ月、目まぐるしかった‥‥」店長の 山田 浩介は、VIPルームのデッキからステージをしみじみと見下ろし言った。改装と屋外ライブ日が重なり(祝日と言うこともあり、観客は大入りであったが)、浩介始めスタッフ側は大いに混乱した。

 あれから半月、2F部分だけではなく1階部分も大幅に改装された。
「ライブハウスというよりサロンやクラブとかに近いんじゃないか?」と出来上がった内装を見て親父さんに突っ込まれたが、浩介にしても色々してみたい事はあるのだ。
「人が集まりやすい場所にしたいんですよ」そう、親父さんに笑いかける。
「その内この前の募集みたいに、ロックとかの垣根を越えたセッションも出来ればと思っているんですよ」

「いよいよ、オープンだな」
「ええ、オープニングイベントは派手にしたいですね」


●ライブハウス「7」新装開店
 オープニングイベント出演者&参加者、スタッフ募集!

●オープンセレモニー出演について
 セレモニーでの演奏は、完全『BGM』扱い。
 会話を邪魔しない曲やコーラス(スキャット)のみが可能。

●ライブ出演について
 グループを問わず、ソロ、奏者、歌手、ボディパーカッショナー参加も可能。
 ピアノ&ドラムは、貸し出し可能。
 ライブでの演奏は、タイトル・歌詞・曲は、『オリジナル限定』
 18歳未満のアーティストの出演は、2日目昼限定。

●スタッフ回覧 スケジュール、他
 1日目)
    17時45分スタッフ集合。
    18時セレモニー準備。
    21時オープニングセレモニー(1Fエントランス)。
    A)24時からライブスタート、翌朝5時迄。

 2日目)ライブ演奏。
    11時スタッフ集合。
    B)12時から16時迄(18歳未満の参加可)。
    C)21時から24時迄。

 3、4日目)片付け。

 ※期間中、カップルルーム&VIPルームは閉鎖。一般客は、入れない事。
  必ずスタッフジャンパかTシャツを着用の事。

●今回の参加者

 fa1108 観月紗綾(23歳・♀・鴉)
 fa1339 亜真音ひろみ(24歳・♀・狼)
 fa3596 Tyrantess(14歳・♀・竜)
 fa3797 四條 キリエ(26歳・♀・アライグマ)
 fa4371 雅楽川 陽向(15歳・♀・犬)
 fa4559 (24歳・♂・豹)
 fa4767 レオン・グラント(28歳・♂・豹)
 fa4936 MAY(21歳・♂・犬)

●リプレイ本文

●ミーティング
「親父さん、お久しぶりこれはお祝いだよ」と亜真音ひろみ(fa1339)が一升瓶を差し出す。
「気が利くじゃねえか!」と親父さんが、ぐしゃぐしゃとひろみの頭を撫でる。
「親父さんは相変わらずみたいだね」と髪を直し乍らひろみが苦笑する。

「新装開店おめでとう。今日、明日とよろしくな」とTyrantess(fa3596)。
「七色揃えるとなると薔薇か菊しか思いつかなかったが、さすがに菊は気が引けた」と笑い乍ら笙(fa4559)が薔薇の花束を差し出す。今日は、ノータイにダークスーツである。
「2人ともありがとう。笙の花は、受付の所にでも飾らせて貰うよ」
 通りすがりのスタッフ、四條 キリエ(fa3797)を手招きする。
「ゴメン、活けといてくれるかい?」
「判りました」

 脇では、上下黒のジーンズとシャツに青いネクタイ姿のMAY(fa4936)が観月紗綾(fa1108)にケースを差し出している。
「はい、頼まれていたキーボード」
「ありがとう、助かるよ」


『セレモニー出演:笙にレオンとサツキ。
 1stステージ:ひろみ、タイ、笙、レオンとサツキ。
 2ndステージ:観月、ひろみ、陽向、レオンとサツキ。
 3ndステージ:観月、ひろみが2曲、タイ、笙』

 スタッフから回されて来た出演リストを確認している浩介に。
「あ、俺はサツキと一緒にユニットを組むから」黒ジーンズに黒シャツ、赤いタイのレオン・グラント(fa4767)。
「判った。進行表を見たが、タイは明日の昼間出ないんだな」と浩介。
「ちゃんと起きられるか心配なんだ」と苦笑するタイ。
 親父さん、目敏くレオンとサツキの衣装を見比べて「判り易い程コンビだな」と突っ込む。

 出演者が歓談をしている間にもスタッフ達は料理を運んだり、照明のチェックをしたりと動き回る。
 キリエはエフェクターに用意していた音を打込み、セレモニー中の間繋ぎ曲を用意していた。
「セレモニーは適当なCDを流して、途中で親父さんと俺で演奏しても良いかとか思っていたんだが助かるよ」
「親父さんって演奏できるの?」と雅楽川 陽向(fa4371)が目を丸くする。
「ギターぐらいは弾けるぞ。上手いかは別だが‥‥」後の方は小さく付け足す親父さん。


●オープンセレモニー
 ジャズロックとポップロックから構成されるBGMが流れる中、オープンセレモニーは始まった。セレモニー中盤、笙のピアノ演奏に続いて、レオンとサツキのアコースティックギターが静かに流れる。
 お披露目も無事に終わり控え室に戻って来たメンバーにキリエが、差し入れのおにぎりとサンドウィッチを差し出す。
「時間があんまりないけど、何かお腹に入れておいたほうがいいだろうって作って来たんだよ。良かったらつまんでね」
 次は本番。ライブである。
 

●1stステージ
『LIVE』 <Vo ひろみ、key 笙>
 暗い舞台の上にピンスポットが当り、ひろみの姿が浮かび上がる。
 力強いアップテンポなポップロック。ひろみの声も力強く観客達も乗っている。
 
「不安な気持ちは誰にもあるさ
 迷ってなんかいられない
 感じ合えればそれが全て
 心のビートを信じて今を突っ走れ!」
 

『All what we need』 <Vo&G タイ>
 2番手はタイ。ロリっぽい童顔に露出度の高い黒と赤のラバーの衣装で登場である。
 愛用のギターを軽く抱いき恋人にするかのようにヘッドにキスして曲がスタートした。
 弾けるような勢いのあるギターの曲に客もノリノリである。

「Here is all what we need... Who wants for more?」


『Genuine Cinderella』 STRAY <Vo&Key 笙>
 照明がミラーのフェクターを通して、キラキラとステージを明るく笙を照らす。 

「24時を過ぎた君こそ真実 飾り立てた言葉は不要
 硝子の靴などなくても 君は君
 いっそ放り投げて粉々に 裸足で踊ろう円舞曲
 お手をどうぞ Genuine Cinderella」

 
 初日、最後の曲は、レオンとサツキのSTRAY。
「STRAYです。名前の通り彷徨ってるうちにここに辿り着きました。今日は楽しんでって貰えたら嬉しいです!」とレオン。
 
『おはよう』 <Vo&AG レオン、Vo&Dr サツキ、Key 観月>
 曲開始と同時に橙ライトで、ステージを下から上に向う形で照らす。
 萎んだ気持ちも明るくなるような、陽が昇るイメージのアップテンポな曲である。
 レオンがサビの部分で手を振り観客を鼓舞する。
 
「おはよう おはよう
 最初のあいさつ 最初の言葉 家族は抜きにしてな
 おはよう おはよう
 君からくれるなら 今日の点数は朝で決まり 最高にシアワセ」


 始発電車が走り出す時間に1回目のステージが終了した。
 連続して勤務に当るスタッフは軽い掃除の後、VIPルームのソファーで仮眠を取るもの、浩介のマンションに上がり込んで飯を食べるもの色々だった。


●2ndステージ
『はじまりの冬』 <Vo&AG レオン、Vo&Dr サツキ、Key 観月>
 雪が舞台に写し出され、ゆったりとした散歩を楽しむようなメロディー。
 間奏にレオンが口笛を吹き、全体に柔らかな印象を与える。

「真っ白い地面の上に並ぶ足跡 長く伸びた二人分の影
 夢なんだなんて言ったら 君は笑うかもしれないけど
 頬が緩むのは 許してくれる?
 
 真っ白い地面の上に並ぶ足跡 長く伸びた二人分の影
 夢なんだなんて言ったら 君にやっぱり笑われたけど
 君の一歩が 僕の隣に並んだ。
 

『風舞』 <Vo&P 観月、G レオン、Key メイ>
 前奏のピアノのメロディーをキーボードとギターが追う。静かでゆったりとしたバラード。
 間奏はギターの優しいメロディが流れ、ラストに段々に音が小さくなる中、キーボードが葉が舞うような音を繰り返し終わった。

「行きずりの花 ひらひらと
 あなたの心に舞うでしょう
 いつか悲しみ全て あなたが忘れるとしても
 花は覚えているでしょう
 
 ひらひら ひとひら舞うごとに
 ひとひら はらはら落ちる雫にも似たはなびら
 餞の風となれ」


 今日は、白いワンピースとカーディガン。赤ビーズのネックレスとブレスレット。赤いカーネーションの花束を抱えている。陽向らしい衣装である。
「赤いカーネーションの花言葉は『純粋な愛』
 親父さんがこのライブハウスに注いだのは、この花言葉のそのものやと思います」
 ピンスポットが2Fのデッキに座る照れた親父さんを照らす。

『大切な』 <Vo 陽向、AG サツキ>
 陽向の優しいソプラノが、しっとりとしたバラードにマッチする。

「思い受けて生まれてきた
 あなたと出会えたこと
 この奇跡に感謝するの

 ――大切なあなたに送りたい
   『おめでとう』の言葉――」


『House』<Vo ひろみ、key 笙>
 スポットライト浮かびあげるひろみの歌う曲は、昨日の曲と異なりしっとりとしたバラード。

「あなたに出会えた事があたしをスタートラインに立たせてくれたから
 精一杯の感謝の想いを込めてこの場所で唄いたい
 まだあなたには認めてもらえないかも知れないけど
 この場所はあたしのいつか帰る場所だから」


 隣で曲を聞いていた親父さんが「皆、泣かせやがって、こんちくしょう」と呟いた。

 
●3ndステージ
 夜の出演がない陽向は、昼のステージの後そのまま残り観客として、ステージを楽しむ。
「色々な人の音を聞くのは勉強になるし、楽しいですよね♪」と2Fのデッキに椅子を出し、親父さんと浩介の隣でステージを見ている。
 夜のステージは、タイ、観月と続き‥‥‥。

『秋彩』 <Vo&Key 笙>
 暖色の柔らかいライトを使って秋の色合いを深く出す照明の中、アコースティックをイメージさせるのバラードを声を活かして高く唄いあげる。

「鞄いっぱいの感情 染めて
 ゆららゆらら秋の光 身体中で受止め
 迷い忘れ素直な気持ち ずっと
 どこまでも抱えていける
 未来(あした)も」

 トリは、ひろみが2曲歌い。オープニングライブの全てが終了した。
「兵(つわもの)どもの夢の後‥‥と言いたい所だが、これからここは皆の夢を紡ぐ場所になるんだな」と浩介は呟く。
 
 ●兵どもの夢
 浩介が帰り支度をしているひろみと笙を呼び止める。
「照れくさいので言うかどうかは悩んだが、デモプレの時にひろみや笙たちから貰った気持ちは、何時も忘れないように『ここ』に刻ましてもらっている」とスタッフジャンパの胸元を示す。
「7−Seven.−のロゴの「.」の部分には、○で囲まれたセントーレアの花弁がデザインされていた。
「これは親父さんには内緒だ。あの人は茶化すからね」と浩介は笑った。
「ひろみ、浩介と何を話していた?」
「親父さんは、爺だから飲ませ過ぎるなってさ」
「けっ! 言っていろ、まだまだ若い者には負けねぇぜ」
 
 ライブのない残り2日間は、予定通りキリエを筆頭に残ったスタッフ総出で清掃と相成った。
 それでも尚、元気のあるスタッフは親父さんにちゃんこ屋にラチられ、打ち上げ宴会に突入するのであった。
 一応、親父さんなりに清掃仕立ての店で打ち上げをするのは不味かろうとの配慮からであるが、これは浩介だけが知る話である。