お暇なら披露宴 歌アジア・オセアニア
| 種類 | ショート |
|---|---|
| 担当 | 有天 |
| 芸能 | 3Lv以上 |
| 獣人 | 1Lv以上 |
| 難度 | 普通 |
| 報酬 | 不明 |
| 参加人数 | 8人 |
| サポート | 1人 |
| 期間 | 06/26〜06/30 |
●本文
古い運河沿いの鉄工場跡地を改装して作られた作られたライブハウス。「店長、『披露宴』で使用する花嫁衣装確保しました♪」とベテランアルバイト・モモが喜々と言う。
「そうか‥‥‥」と店長の浩介は生返事をする。
モモは近くの被服デザイン学校と学生達が課題で作ったウェディングドレスをステージ衣装として借り受ける事をとりつけてきた。
『披露宴』と名付けているイベントであるが、実際仲間内に披露したいと考えるカップルが来ないかも知れないのでファッションショーというかお得意のコスプレイベントにしてしまえ。と言う事であるらしい。
「人目を忍ぶホモカップルさんとか、歳の差カップルさんや性別の逆転カップルさんとか、入籍（挙式）したけど披露宴はまだなカップルさんがいるとは限りませんから」
先日の強気は何処にいったのであろう。
「‥‥まあ、今回の6月イベントはモモに任せているからな。俺としては本当にカップルが来た場合、ケーキを作るか、どうか位だからな」
「取り敢えず本当にカップルさんが来たら、出演者達にはそのカップルさんをモチーフに曲を作ってもらおうと思っています」とモモ。
「来なかった場合は？」
「来なかったら、その時は結婚に対する思い『結婚なんて、カップルなんて嫌いダー！』とか『私はこんな結婚に憧れています』みたいな曲を作ってもらうと。あ、またバックバンドのサポートにはアルカラルのメンバーに来てもらいますので、店長はヴァニプロに連絡お願いしますね♪」
●出演者募集！
テーマ 『結婚、花嫁』または『カップル参加者がいた場合は、カップルをモチーフに作曲』
グループを問わず、ソロ（奏者、歌手のみ）参加も可能
インストゥルメンタル（アカペラを含むボイスパーカッション）も可
ピアノ＆ドラムは、貸し出し可能
ライブでの演奏は、タイトル・歌詞・曲は、オリジナル限定
『ロックアーティストの他ロックに縁遠い楽器奏者、ジャンルを問わず歓迎』
出演料：一律3万円
衣装に関しては、全員近くの専門学校生徒制作の花婿または花嫁衣装を借用し、着用して頂きます。
使用後は、学校に返却致します。
＊バックバンド「アルカラル・ナイト」データ
G：クラブ・クラウン、B：ハート・ナイト、Key：スペード・エース、ドラム：ダイヤ・エース
●披露宴の主役はあなた！
ロックのビートに乗って、披露宴を行いませんか？
披露宴後、カップルルームにて食事が出ます。
参加費用：1万円／1名
食事：オードブル4種盛り合わせ、季節の野菜のポタージュ、パン、
メインディッシュ（魚、肉、鳥から選択）、デザート盛り合わせ。
ソフトドリンク、アルコールについては飲み放題。
未成年者の場合は、ノンアルコールカクテル。
御希望の方には近くの専門学校生徒制作の花婿または花嫁衣装を借用し、着用して頂きます。
使用後は、学校に返却致します。
●リプレイ本文
「皆さん‥‥今日は、よろしく、お願いします‥‥」披露宴カップル1組目、ＤＥＳＰＡＩＲＥＲ（fa2657）が神代アゲハ（fa2475）にエスコートされて打ち合せ室にやって来る。
「まだ‥なんだか、ピンと‥‥来なくて」
アゲハの妹の紹介で付き合い始めた二人も「おつき合い歴1年」だが、ほんの1、2週間ほど前まで自分が披露宴をやるとは思ってもいなかったのである。WEAの「LSP」出演をきっかけに披露宴をしてみようということになったのだから世の中何がきっかけになるか判らない。
「まあ、人生そんなモノなのかもな」
高校生の時、親父さんの紹介で付き合い出した彼女が現妻の浩介。
「そうね。くっ付いたり離れたり‥‥色々よね」と感慨深気なＥＵＲＥＫＡ（fa3661）。
「何をしたら良いか全く判らないんだが、とりあえず衣装は白をお願いしたい」とアゲハが言う。
「選べる‥のであれば、比較的‥‥大人しくて‥上品な感じ‥のものを‥選びたい‥のですが‥‥普段、黒がメインなので、こういう時くらい‥‥花嫁さんの‥白を‥‥‥」
「いいんじゃないか？ 生徒が用意したドレスは20着、ライブの内容を話したら学校の経営者側からも提供出来ると言っていたし」と浩介。
「じゃあ‥‥お色直しをお願い、しても平気ですね」
にっこりと微笑むディー。
【RealEternity】Azurite Vo＆仁和（三味線）：仁和 環、P：ＥＵＲＥＫＡ
ステージを照らす薄暗い照明。スポットライトの中、深蒼基調のフロックコートを着た仁和 環（fa0597）にエスコートされたワンショルダーマーメードラインの青いドレスを着たゆーりがステージに登場する。
「カップルの皆さんが、どうぞ幸せでありますよう」
「お二人に心からの祝福を込め歌い奏でよう」
ゆーりが微笑み、まきが優雅に挨拶をする。
♪♪♪〜
（ダン！
叩き付けるような短調のハイテンポなピアノソロから始まる前奏。
テンポダウンするに従い、柔らかく広がりを見せる。
スポットライトから照明が徐々に薄っすら明るくなっていく。
テンポダウンしながら移調し、静かな柔らかい明るいメロディー。
転がすように爪弾くような仁和も加わり歌がスタートする）
太陽に顔背け 昏き闇に揺蕩う
しめやかに身体纏う黒のVeil
（低音でリズムを刻むピアノに主旋律の仁和の音）
包まれて独り 寄る辺もなく
穏やかに生きるのだと思っていた過去（きのう）
（調和する中音のメロディに独白のような曲調と敢えて反する淡々とした歌声が響く。
柔らかな中にも静かな力強さ、意思を感じさせるミディアムスローなバラード）
闇の迷路駆けて来た 可愛い子猫
涼やかに鳴り響く運命の鈴（Bell）
（音階を上げ、更に明るい雰囲気をかもし出すメロディ。
柔らかく、音色も音幅を広げて豊かに歌い上げるまき）
導かれて出逢い 優しさ知る
穏やかに生きずとも涙で伝えたい
（淡い白ライトがステージに祝福するように光を散らし動く。
歌も音も力強く情感込め、ピアノはフルに音を使い、優しくもキレのある音を奏でる。
仁和は爪特有の素早く流れるような音で曲を盛上げる）
伝えて欲しい
想いが現在（いま）を満たす
（音を響くように伸ばし、ピアノは滑らかな和音旋律、仁和は豊かに声と共に響かせる）
幾千の月と太陽が廻っても
繋いだ手 抱きしめた腕 離さぬように
幾億の昼と夜が二人過ぎても
胸に光る 大切なモノは 夢じゃない
（テンポはゆっくりとスローダウン。
ピアノの中・高音と仁和の爪弾く音で、歌声を前面に押し出す）
（銀の紙吹雪が照明を受けキラキラと舞い落ちる）
優しい闇の中 巡り会った絆
奇跡なんて言わせない 伝わる温もりが証
哀しみは分け合い 喜びは果てなく
歩き出す未来（あした）は 永久（とわ）を奏でる
（まきの希望ある未来を信じ優しく語るような歌声が響く。
伸びる声の余韻の中、終奏へ。
ゆったり終奏、ラスト。タイミングを併せたピアノと仁和の音がポロンと響いた）
〜♪♪♪
「素敵な、曲でしたね」
「ああ‥‥」
お色直しにラベンダーから深紺へのグラデーションカラー。
夜明けをイメージしたドレスを身に纏ったディーがAzuriteの曲を思い出して、ほぅと溜息を吐く。
食事の為にディーとアゲハはカップルルームにいる。
メインディッシュのヒラメのミルフィーユが運ばれて来るののんびりと眺める。
ワインが入り、ゆったりとした時間が流れる。
「ディー、渡したい物があるんだ」
アゲハがディーを抱き寄せる。
小さな箱を2つ取り出すアゲハ。
一つは結婚指輪、もう一つは三日月型の髪飾り。
「着けて下さいますか？」
ディーに促されて震える指でアゲハが髪飾りをつける。
夜の輝きを持つディーの髪に髪飾りが良く栄える。
「改めて言うのも照れるものもあるが‥‥‥ずっとオレの傍にいてくれ」
「はい‥‥」
二人は優しい近いのキスを交した――。
＊＊＊
薄い水色のウェディングドレスにアップスタイルの渦深 晨（fa4131）。
「うん、良く似合ってる。綺麗だよ」
にっこりと笑う玖條 奏（fa4133）は髪は後ろに流してタキシード姿。
コサージュが曲がっているよ。とシンの胸の青薔薇を直す。
「‥‥渦深‥‥ドレス似合いすぎ」と白いデザインシャツにクールグレーのシンプルなスーツ姿の榛原 瑛（fa5470）が突っ込みを入れている。
「ええ？ 『可愛い』とか『綺麗』だとかはぁ？ 瑛さん、褒めてくださいよ〜！！」
「誰が褒めてやるかよ、図に乗るくせに。大体男なのにウェディングドレスが似合ってどうする」
照れ隠しに心にもない事を言う瑛。
「ひどーい」だとか「自分が着れないからって差別だぁ」と文句を言う二人。
「‥‥うっせーな、これやるから我慢しろ」
耳に着いていたウルフピアスをひとつ外してシンに投げる瑛。
「うわーっ♪ ありがとう」
嬉しそうにウルフピアスをつけるシン。
「気障だな」と嶺雅から貰ったウェディングドレスとパールスターを身に着けているナイト。
「神聖な‥ステージ前‥に‥ナンパ‥‥」
「うるせー、外野！」と吠える瑛。
「こうして仲のいいカップルさんたちを見てるとちょっと羨ましいな‥‥」
そういうカナの袖を引っ張るクイーン。
「カナ‥‥良い子‥きっと‥素敵な‥‥恋人が‥‥見つかり‥ます」
背を伸ばしカナの頭を撫でるクイーン。
「クイーンの‥‥撫で撫で‥100％‥カップル成立‥‥御利益、OK‥‥駄目なら‥エース‥どうです？」
「クイーン！！ そんなうち、確かに誕生日迄に彼氏が欲しいって言うたけど！！」
まっかになってエースが焦る。
「‥クイーン的には‥‥カナ‥顔良し、性格良し、女装癖なし‥‥久々の‥優良物件‥の予感‥」
何処迄本気なのか判らない事を言うクイーン。
「ちなみに‥クイーン‥男の好みは‥ゆーりが‥男なら‥嫁に‥‥欲しい‥ですね」
「‥‥‥お前、掻き回して楽しんでいるだろう」とナイトがぽつりと言った。
【Oath】Ｔ．Ｒ．Ｙ．with瑛 G：榛原 瑛 Vo：★‥玖條 奏、☆‥渦深 晨
「」‥ユニゾン『』‥ハモり
「お二人が『幸せだ』って思えるライヴにしたいと思うので心を込めて精一杯頑張ります！」とシン。
「おめでとうございます。末永くお幸せに」とカナがスポットライトの中で微笑む。
「俺としては、クラウンのギターも聴いてみたいが、手の怪我のこともあるしな。無理すんなよ。今日は雨堂とクラウンを祝う曲を作ってきたんだからよ」ぶっきらぼうに瑛が祝辞を述べる。
照明が消え、前奏がスタートする。
♪♪♪〜
（ステージを包む薄闇の中、光量を落とした無色ライトが様々な方角に点滅している。
キーボードの和音が伸び、一瞬音が消える）
★出会いはほんの少しの気まぐれな出来事
いつからか近づいた距離 気づかないうちに
☆病めるときも 健やかなるときも
ただ静かにそばにいてくれた
（ギターのメロディと歌を前面に出した軽快なPOPロック。
青い照明がカットインする。無色ライトが軽快なテンポを煽って行く）
★冷たい闇が足元に忍び寄っても
ふたりでいればきっと溶けていく
（無色ライトは点滅を止め、青い照明だけがステージを包む。
弱めのスポットライトが演奏者達をステージに浮かび上がらせる。
リズムが一気に転調してバラード調となる。
ベースを効かせ、ドラムのしっかりとしたリズム。花婿の強さイメージさせる）
☆ココロもカラダも寂しくないよう
隣で寄り添い続けましょう
☆不器用な優しさ （1拍休符） 『それだけで嬉しかった』
（徐々にブルーライトがフェードアウト）
＜短い間奏＞
（ドラムロールが曲を盛り上げ、一気にサビへ）
「降りかかる火の粉も 哀しい傷跡も」
（暖色系の照明をベースにした明るい照明がカットイン。
複雑に絡み合う音と力強いメロディが曲を更に盛り上がらせる）
★決して近づけたりしないから
「これからの長い未来を共に歩み続けましょう」
☆手を取り合って繋がる 『輝ける明日へ』
（ボーカルは言葉の一つ一つに意志を込めて、まっすぐ投げかけるように歌い上げる。
メロディは華やかに勢いを殺さないまま、最後はドラムのクラッシュシンバルをすぱっと決める。
同時に波が引くように全ての照明が消えた）
〜♪♪♪
――喜んでくれると思っていた。
しかしカップルルームで二人っきりになってからクラウンは、一度も雨堂 零慈（fa0826）の方を見ないでいる。
何処か怒ったようにメインディッシュのチキンをビール片手に突いている。
「ノンアルコールを」と言ったレイジに対して、むーんとしたままビールをお代りしている。
17歳位に見えても今年の3月にクラウンは22歳の誕生日を迎えているのである。
だが、言う事は言わなければ。そう思ってレイジはクラウンを向き直る。
「手順は逆になってしまったが、花梨殿‥‥婚約して欲しい‥‥」
タキシードの上着のポケットから小さな箱を取り出すレイジ。
「ちょ、ちょっとたんま！ 待ってよ、レイジ」
ウェディングドレスを着せられ、レイジの隣に座った時からある種覚悟がついていたはずだが、改めて「婚約」と言われ焦るクラウン。
「まだ弱輩の拙者では役不足かも知れないが、きっと幸せにする」
「だからちょっと待ってよ！ あたしら知り合ってから、まだ3ヵ月だよ！」
受けて貰えると思っていたレイジは、クラウンの拒絶にみるみるしょぼんとする。
強く言い過ぎたか？ と心配し乍らも言葉を続けるクラウン。
「そりゃあ、あたしもレイジは好きだし『結婚を前提に』って言われるのは嬉しいよ。でもあたしらは付き合い出して1ヵ月も経ってないし‥‥今、手の事もある」
怪我以来クラウンの右手にはずっと指先が出る革手袋が如何なる時もはめられいる。
今は金色のウェディングドレスに併せサテンの長手袋をはめているが。
その右手を見つめるクラウン。
「今、レイジと婚約したら、あたしはレイジを逃げ道にしちゃう気がする。そんな事をしたらファンに失礼だし、第一そんなあたしをあたしは許せなくなると思う。それに‥‥そんなあたしを見たらきっとレイジが傷付くと思う。だから今、あたしはレイジから指輪を貰えない。もう少し時間を頂戴‥‥‥」
「そうか‥‥」
クラウンに真直ぐに見つめられたレイジはバツが悪そうに指輪をポケットにしまう。
「でも代りに‥‥欲しいものがあるの」
「欲しいもの？」
「うん、あたしがレイジのモノだって印」
レイジの耳に唇を寄せるクラウン。
「‥‥‥しよ」
レイジが耳から項迄まっかにしてタジタジし乍ら言う。
「こ、ここでか‥‥」
「ここ（カップルルーム）でしてもいいけど‥‥ギャラリーが、ね！」
すたすたとドアの前に立ち、クラウンが勢いよくドアを開く。
聞き耳を立てていた野次馬達がカップルルームになだれ込む。
「「「「やぁ‥‥」」」」
ナイトにクイーン、エースやら手の空いているスタッフ‥‥挙げ句、浩介までいる。
「（野次馬が）多すぎるわよ」
レイジにウィンクをするクラウン。
――誰もが思った。
絶対、尻に敷かれる。勿論、レイジが。
